募集終了2023.07.18

京都のまちや人とのご縁をつなぐ。言葉で「コミュニティ」を紡ぐライターの仕事

2023年3月にWebサイトのリニューアルを行い、「コミュニティメディア」として新たなスタートを切った京都移住計画。これまで人のつながりからゆるやかに関わる人を増やしていましたが、初めて公式に求人記事のライターを募集します。

京都移住計画・代表の田村篤史、編集長の北川由依、営業担当の中村千波の3人は、どのようなことを考え求人記事を作っているのでしょうか。これまで言語化されてこなかった「移住計画のライターとして必要なこと」について紐解いていきます。

聞き手は、京都移住計画のライターとして取材・執筆をしているミカミユカリが務めます。

コミュニティメディアに込められた想い、そしてどんなライターと共に未来を築いていきたいかについてまとめていますので、ぜひご一読ください。

左から北川、田村、中村。取材は、宿の立ち上げ時に求人のお手伝いをさせていただいた「KéFU stay & lounge」をお借りして実施した

田村篤史
京都生まれ。3.11を契機に東京からUターン。京都移住計画を立ち上げる。2015年にツナグムを創業。採用支援、企業や大学など拠点運営、地方への関係人口づくり等を通じて、人の働く・生きる選択肢を広げる。2020年、京都信用金庫の共創空間QUESTIONの運営に参画。新会社Q’sを設立し、コミュニティキッチン事業を開始。

北川由依
大学生が地域の中小企業の経営者に弟子入りする実践型インターンシップに関わった後、ライターとしてさまざまな業界の求人記事やインタビュー記事を執筆。2015年に京都へ移住し、現在は京都移住計画の編集長として、メディアを軸としたコミュニティづくりに携わる。

中村千波
1992年生まれ、京都出身。「その人自身が納得したキャリア形成」に興味があり、人材会社で法人営業に従事。東京・大阪での勤務を経て、京都へUターン。「人は人で磨かれる」と感じて株式会社ツナグムへ転職し、主に京都移住計画の求人記事の営業を担当。

「コミュニティメディア」という言葉に込められた想い

ーー Webサイトリニューアルの際に「移り住む先の暮らしをつくるコミュニティメディア」にキャッチコピーを変更されました。この言葉が生まれた背景やその想い、これからについてを聞かせてもらえますか。

そもそも京都移住計画のWebサイトは、京都や移住に関する情報サイトとして始まったので、Webメディアとして作ったものではなかったんです。

立ち上げから10年以上が経ち、メンバーが京都府内各地で育んできたつながりや足で稼いだ情報はたくさんあるのに、その一部分しか表現できなくてもったいないよねって、田村さんと話をして。せっかくリニューアルするなら、記事を読んでもらって終わりではなく、実際に紹介したお店に訪れたり、新たな出会いが育くまれたりするコミュニティ的な役割を担えるメディアとしてやっていきたい想いがありました。

リニューアル前から「読んでる人や関わってくれる人の役に立ちたい」という姿勢は変わっていないんだけど、今までは京都で暮らす際に必要な情報を手渡しただけで終わってしまっていた。でもこれからは、10年を経て築き上げた関係性をもう少し進化させたいと思ったんだよね。イメージとしては、そっと背中を押して行きたい場所に運ぶ「風」の役割に加えて、京都にたどり着いた人たちが、やりたいことの芽を出すための「水」のような存在になっていきたいなと。

例えば、京都の学生が卒業後も引き続き京都で働きたいとか、Uターンで京都に戻ってきてお店を始めたとか、そういった変化のタイミングに寄り添える存在でありたい。もちろん移住者に限定してるわけではなくて、僕らとつながろうとしてくれるなら、出張や観光で何度も京都に足を運んでいる人にとってもそうでありたいなと思う。

私は「京都での暮らしを面白くしたい」という想いを持つ人が集えるメディアなのかなと思っています。記事を読むだけでもいいし、イベントにふらっと顔を出すだけでもいい。読んでいる人に対しても「これ!」って押し付けるのではなく、コミュニケーションの中で多様な選択肢に触れて、自分に合うものを見つけられるメディアでありたいですね。

書いて終わり、の関係性じゃない

ーー さまざまな記事がある中で、今回は「仕事を探す」のカテゴリに掲載する求人記事のライターを募集します。どのような企業から掲載の依頼が多いのでしょうか。

僕らとつながりがある、京都の中小企業さんが多いですね。少人数のスタートアップの時から関係性を持っていた人たちが企業として大きくなっていく段階や、新規事業を始めるタイミングで「求人を出したい」って相談をくれるんです。昔から知っているからこそ、ビジネス相手というよりは京都を面白くする仲間のような感覚に近くて。仲間が頑張ろうとしてる、変わろうとしてることを応援するっていうスタンスなんですよね。

私たちは、記事を掲載しておしまいではなく、企業さんの採用活動の伴走者でありたいんです。企業さんを応援したいという気持ちがあるからこそ、取材の前にヒアリングを行い、今抱えている課題や問題点、困っていることもしっかりとお聞きするようにしています。それをライターさんに共有することで、企業さんにとっても肩肘張らずに等身大で話せる状況が生まれるかなとも思うんです。最初から用意された言葉を話して欲しいのではなくて、取材を通じて一緒に企業の魅力を見つけられたらなって。

アートのサブスクサービスを提供する「株式会社Casie」さんの取材風景。一人ひとり30〜60分ほどの時間を頂戴しじっくりお話を伺う(撮影:中田絢子)

ーー 一緒に企業の魅力を見つけるために、ライターとして必要な要素は何だと思いますか?

取材に同席していて感じるのは、人の気持ちの機微や心情を想像できるライターさんが多いということ。「この企業にフィットするのは、どんな人だろう」「どんなやりがいがあるんだろう」といろんな角度から質問を重ねて、企業さんと共に求められる人物像を具体化しているような印象を受けます。だから建前ではなく、「実はね……」と本音を引き出すのが上手なんだなと。

企業さんは「新規事業を立ち上げるために、見合ったスキルや経験を持った人を採用したい」「労働環境をより良くするために増員したい」などの目的があって、求人記事を依頼してくださいます。なので、企業の成長や新しいチャレンジをライターとして応援することにやりがいを感じてくれる方だったら、楽しんでもらえるんじゃないかな。

広い目線で捉えると、元気な会社が京都に増えれば、結果的により良い社会をつくることにもつながる。大げさかもしれないけれど、誰かの仕事の積み重ねで、この世界はできているわけで、移住計画のライターの仕事は、そんな視座を持つこともできる仕事だと思うんですよ。

長岡京市にある「なかの邸」で行った「一般社団法人暮らしランプ」さんの取材。障害のある人が焙煎やドリップを担当するコーヒーをいただいたり実際の仕事風景を見せていただいたりしながら、仕事や会社への理解の深めた(撮影:中田絢子)

ーー これまで採用を応援した企業さんからは、どんな声が届いていますか?

企業さんへ記事をお渡ししたときに、「うまくまとめてくれてありがとう」という言葉をもらうことが多々ありました。条件や給与の羅列ではなく、ライターさんが働く人に丁寧に話を聴いて書いてくれているので、「これまで気づかなかった特徴や魅力を、わかるように言葉にしてくれてありがとう」っていう意味も含まれていると思うんです。

移住計画の取材はただ情報を聞く取材じゃなくて、相手の話を聴くインタビューだもんね。

そうですね。みなさん相手の話をきちんと聞いて、思考を一緒に整理しながら話を進めているような印象を受けます。解釈したことと合っているか確認しながら進めることにもなるから、相手も安心して話せるのではないでしょうか。

短い時間で必要な情報を取りにいく取材をしてしまうと、事業概要や社員数、キャリアステップなど、よくある質問事項を一問一答みたいな形で聞くことに終始してしまいます。だから、基本的な情報や採用課題は予めこちらでヒアリングをして、ライターさんにお渡ししていて。インタビュー当日は約3時間かけて、どんな仕事をしているのか、困っていること、今後どんな仕事をしたいかなどをじっくり聞いてもらっています。企業さんも気づいていなかったような仕事のやりがいや魅力を引き出すことに時間を使ってほしいんです。

これまで2本の求人記事を移住計画で出してくださっている「綿善旅館」さんの取材風景。関わりが長くつづくことで、会社の節目に立ち会わせてもらうことができている。「移住計画のWebサイトは社史のような役割を担いたい」と田村さん(撮影:岡安いつ美)

ーー 求人記事を書く上で、必要なスキルは何だと思いますか?

こんなことを言うと誤解を生んでしまうかもしれませんが、必ずしも取材先の業界知識が豊富でなくてもいいんです。大事なのは、「今後この企業さんはどんな方向に進んでいくんだろう」「京都にとってどんな存在になりうるだろう」と興味を持つこと。すると、社長のインタビュー記事を探したり、SNSを見たり、知りたいという気持ちが行動につながり自然と自分ごとになっていきます。読者にも取材先にも対しても、愛を持った眼差しで表現してくれる方と一緒に働きたいですね。

大切なのは、誰かを応援したい気持ち

ーー ここまでライターとして必要なスキルや姿勢などについてお伺いしてきましたが、どんな人に応募してほしいと思われますか?

これまで他の求人媒体に関わってきたけど、作業的なライティングではなくもっとストーリーを伝えたい、みたいな想いを持っている人は移住計画のライターとして活躍してもらえるんじゃないかなと思う。僕は前職、転職希望者のキャリアアドバイザーをしていたんだけど、採用担当が求める人物像を切り出した求人票の中でしか提案することしかできなかった。だからこそ移住計画の求人は、働く現場の人のストーリーを丁寧に伝えられる記事を発信したかったんだよね。

私も大手の求人媒体で、限られた文字数に情報を羅列するような記事を書いていた経験があります。すごくユニークな取り組みをしている企業があっても、これじゃ面白みが伝わらないなって思うこともありました。でも移住計画の記事は、およそ6000文字と長いのもあって、魅力を余すところなく伝えられます。

話を聞くだけではなく、オフィスや工場を見せていただいたりランチタイムをご一緒したり、時には取引先もご紹介いただいたりすることもあります。取材する企業さんの日常に近い部分を見せてもらい、体感した上で言葉にするから、いつの間にか企業さんのファンになっていて。取材先の企業さんがイベントをやっていたら足を運んだり、新商品が出てたら買いに行ったり。書いて終わりじゃない関係性を、自然と育めるんです。そんな関わりを楽しめる方が応募してくれたら、一緒に良い記事をつくれるんじゃないかな。

京都移住計画を運営する株式会社ツナグムと同じ、西陣エリアにあるコーヒー自家焙煎店「Laughter」。コーヒー豆を買ったりほっと一息つきに行ったりする。

ーー 私も京都移住計画の取材を通じて行きつけのお店ができるなど、書くということを通じて京都のまちと関係性をつくらせてもらっています。

実は移住計画に関わってくれているライターさんって、不思議とライター業だけやってるって人が少なくて。藤原さんは鍼灸師や古書店の店員、ミカミさんはビールの醸造所で働いたりコワーキングのスタッフをやっていたり。ライター以外でも、やりたいことを表現したり、まちとの接点をつくったりしている人が多いんだよね。書くことのスキルを生かしていかに自分の人生を楽しむか、暮らしを面白くしていくかみたいなことに、わくわくできる人が自然と集まっているのかも。

京都移住計画に関わっているクリエイター向けの交流会を実施することも。ライターさんやフォトグラファーさん同士の横のつながりも意識し、お互いに悩みやキャリアなどを相談しあえる仲間に出会えるような機会づくりも行っている(撮影:三輪恵大)
夏至の日に開催した「夏至カレーナイト」のイベントは、クリエイター交流会で、京都移住計画でも活躍するフォトグラファーの中田さんがマイプロとして続ける「夏至カレー」を他のメンバーが面白がったことがきっかけに始まった(撮影:小黒恵太朗)

ーー 読み手だけでなく、企業さん、そして書き手もひっくるめてコミュニティメディアであるんですね。

移住計画には誰かのやりたいことを応援することが好きな人たちが集まっているから、ライターさんも私たちと一緒に誰かを応援する仲間になる気持ちで、応募してくれると嬉しいですね。そんな一人ひとりの行動が、巡り巡ってより良い社会をつくることにもつながるんじゃないかと思うんです。

企業さんにとって移住計画の求人記事は、ときに自社の魅力に気づいてまた頑張ろう、新しいことをしてみよう、と思ってもらえるものになりうるんだなと実感しています。今回の募集でライターさんが増えることで、今まで以上に企業さんとの出会いも増やしていける。一過性ではない関係性を育み続けて、もっとみんなが応援しあえる優しい社会になるといいなと、そんな壮大なことも考えています。

取材後にも、京都のまちをめぐり、関係性のある人や場所を巡ることで、改めて「コミュニティメディア」の意味を肌で感じることができました。店に入って「こないだはイベントに出てくれてありがとうね」「今度こんなことをする予定なんだけど、興味ある?」なんて話が日常の中に溶け込んでいて。

関係性をつくるなんて硬い言葉じゃなくて、日々のコミュニケーションの中から少しづつ積もって信頼が結ばれていく。そんなコミュニティの育み方なんだなと。

私もライターとして、移住計画のメンバーが大切に重ねてきた関係性をより良くできるような記事を書きたいなと思いました。取材も大切な出会いと思える人、文章で誰かの力になりたいと想う方はぜひご応募ください。お待ちしています。

編集:京都移住計画 編集部
執筆:ミカミユカリ
撮影:進士三紗

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