KYOTO WORK LIFE DESIGN LAB - 第2期 十人十話 - もっと多様に、ゆるやかに、人と企業が出会うために

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転職や就職を考えるとき、みなさんは何から始めますか?

とりあえず、大手求人サイトや転職エージェントへの登録、転職フェアなどに参加する人が多いのではないでしょうか。それは、企業側も同じで、採用活動をするときに、そういった転職活動中の方に出会うための方法を検討するのが一般的かもしれません。

でも、人と企業の出会い方って、本当にそれだけでしょうか。もっと、多様なつながり方があってもいいし、ゆるやかに、お互いの縁を育むような場があってもいいのではないでしょうか。

そんな想いを形にすべく、人と企業の新しい出会い方を実践するイベント&ワークショップ『KYOTO WORK LIFE DESIGN LAB』を開催しました。

企業側からの一方的な会社説明だけで終わるのではなく、参加者側から歩み寄ってみたり、実際に働く人の仕事観や人生観を聞いてみたり。採用する側・される側という関係性ではない。働くことと生きることを切り分けずに、人と企業が対話を交わし、ゆるやかにつながっていく模様をお届けします。

京都の企業と出会う、自分の本音と向き合う

今回、『KYOTO WORK LIFE DESIGN LAB』は、現在進行中のプログラム『十人十話 – JUNINTOWA -』の一環として開催されました。

みなさんは、自分と対話する時間を持てていますか?

移住や転職など、今後の人生を考えるためには、自分とじっくり向き合う時間が必要です。でも、日々の仕事に追われていると、そんな余裕を持つことは難しい。結局は、「いつか、できればいいや」と先送りにしてしまうことが多いのではないでしょうか。

十人十話では、そんな“いつかは“と先送りしてしまう人生の選択(移住や転職)について共通の悩みを抱える仲間と共に、内省と対話を繰り返しながら、本当の自分と向き合っていく。5ヶ月・全6回の連続セミナー&ワークショップです。

左から、ウワノキカク代表の上野敬峰さん、NPO法人full bloom・代表の安井亜希さん、京都移住計画・代表の田村篤史。今回の『十人十話』と『KYOTO WORK LIFE DESIGN LAB』を企画・運営。

2018年8月に第1回目が東京都内でスタートし、第4回目は舞台を京都に移しての2DAYS 合宿編。その第1日目(11月3日)のプログラムとして、KYOTO WORK LIFE DESIGN LABが開催されました。

十人十話からは、20〜30代のメンバー14名が東京から参加。一方、京都の企業からは「株式会社ヒューマンフォーラム」「株式会社YOKOITO」「株式会社八清」「株式会社食一」が参加。いずれも、京都移住計画で新しい仲間を募集中です。

NPO法人 グローカル人材開発センターの外崎 佑実さんをお招きして、イベントの模様をグラフィックレコーディング。素早く、鮮やかに、ポップに描いていく外崎さんに歓声が湧くシーンもありました。

イベントは、第1部と第2部で構成。
各企業からゲストが登壇しての会社説明にはじまり、感想シェアの時間、ワークショップ、最後の質疑応答を通じて、参加者と企業がお互いに歩み寄りながら、つながりを深めていく。まずは、各企業の登壇の様子について、ゲスト個人のお話を中心にお届けします。

素晴らしき仲間の集いを育む

最初にご登壇いただいたのは、株式会社ヒューマンフォーラム
ゲストは、人財育成部の大槻 彦吾(おおつき げんご)さんです。

独自のカルチャーを発信するアパレルブランド「SPINNS(スピンズ)」や豊かなライフスタイルを提案するブランド「mumokuteki」をはじめ、飲食業や農業などに取り組んでいるヒューマンフォーラム。今回の会場にもなった「mumokuteki ホール」ではいろんなイベントも開催。企業理念『素晴らしき仲間の集い』を軸に、人と人とのつながりを育む事業を展開しています。

mumokutekiのコンセプトは「生きるをつくる」。mumokutekiホールがあるビルには、飲食店やアパレルショップも併設されています。

大槻さんは、ヒューマンフォーラムの「人とのつながりを大切にする」ことに共感して入社しました。印象的だったのは、前職に在籍中、仕事に対する熱意を持てなくなっていたときのお話。

「ある朝に洗面所で歯を磨いていたら、1歳になるうちの子どもが洗濯機を見ながら目をキラキラさせていたんですよ。すげぇ、洗濯物がグルグル回ってるって。それで鏡に目をやったら、死んだ魚の目をしたおっさんが立っている。そこで気づいたんですよ、うちら大人は年齢を重ねてきた分だけ目をキラキラさせるべきなのになって」

この出来事をきっかけに、大槻さんは転職を決意。
現在のお仕事を通して、日々、人とのつながりを感じています。

参加者からは「キラキラしていない自分の現状に気づけたことがすごい」という感想も。まずは、自分の現状や本音を大切にすること。それが、今後の人生を変えるために必要な、ファーストステップだと感じました。

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未来の技術で、モノの可能性を広げる

続いては、株式会社YOKOITO
ゲストは、セールスマネージャーの中川 葵(なかがわ あおい)さんです。

YOKOITOでは、3Dプリンターなどの導入や課題解決の提案など、デジタルファブリケーション(コンピューターと接続されたデジタル工作機で加工する技術)を軸とした事業を展開。ものづくりの未来をつくることをビジョンに掲げ、伝統工芸の道具をデジタル技術で復元するなど、最新×伝統の可能性も広げています。

当時、大学2年生だった創業メンバー3人がお金を出し合い、3Dプリンターを購入したことからYOKOITOは始まりました。

中川さんは、これまでいろんな企業を渡り歩いてきました。4回の転職を経て、YOKOITOは5社目。参加者からは「なかなか転職の踏ん切りがつかない自分にとって、中川さんの経歴は衝撃。そのバイタリティはどこから湧いてくるのですか?」と問いかけがありました。

「もちろん、不安や怖さもありましたけど、それよりもいろんな経験がしたいっていう気持ちが強いんです。子どもの時から『将来の夢はなに?』って聞かれても、あんまり答えられなくて。何でもおもしろそうだし、やってみないと分からないから。転職してきたというよりも、ご縁を大切にしながら、ワクワクする方向に歩きながら、プロジェクト単位で仕事を変えてきたという感覚です」

転職回数が多いことは後ろ向きに捉えられがちですが、そこに信念があれば決して間違いではありません。人生の半分以上は働く時間。せっかくなら、自分のやりたいこと、より輝けることを仕事にしていったほうがいい。そんな中川さんの言葉が心にじんわりと広がります。

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京町家を活かした、京都の町づくり

創業60年余りの老舗不動産、株式会社八清
ゲストは、サービスマネジメント部の山口 晃(やまぐち こう)さんです。

京町家(昭和25年以前に京都で建てられた木造家屋)の改装や販売事業を軸としながら、京都のまちづくりに取り組んでいる八清。京町家の魅力を活かした一棟貸しのお宿やシェアハウス、コワーキングスペースなどを展開しています。

10年前には4万7千件近くあった京町家も、現在では4万件ほどに減っているそう。京都の町並みをつくっている京町家を残していくために、八清では京町家の改装に取り組んでいます。写真は、大型町屋の活用手法として事業化したシェアハウス第1号「京だんらん東福寺」。

東京のコンサルティング会社から、京都に根付いた八清に転職した山口さん。転職先を選ぶとき、大切にしたのは「人」だと言います。

「僕にとって、仕事は遊びの延長線上にあります。業種とか業界とかではなくて、誰と遊んだら、つまり、誰と仕事をしたら一番おもしろいかなという視点で八清を選びました。いろんな会社を見たなかで、自分の心の琴線に触れる人、触れる会社に巡り会えたら、これはご縁だと迷うことなく飛び込んでみてもいいのではと思います」

転職先を選ぶとき、ついつい仕事内容を基準にしてしまいます。でも、「何をするのか」だけではなく「誰とするのか」も大事。働いていると、楽しいこともあれば、辛いこともある。そのとき、誰と仕事をしているかによって、状況は大きく変わるのではないでしょうか。

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みんなで楽しく、漁業を盛り上げていく

最後にご登壇いただいたのは、株式会社食一
ゲストは、代表でもある田中 淳士(たなか あつし)さんです。

イベント開催の数日前に創業10周年を迎えた食一。全国各地の漁港を巡り、産地直送の魚の卸事業をはじめ、飲食店にメニュー・フェアの提案を行っています。特徴的なのは、珍しい魚介類を扱っていること。値段が付いていない、けど、食べると美味しい。そこに価値を付けて漁師さんから買い取ることで、漁業全体の活性化を目指しています。

全国の漁港で仕入れた、珍しくも美味しい魚たち。販路開拓のために、自分たちで料理方法を提案したり、飲食店をまわって地道な営業活動をおこなっています。

田中さんは、大学進学をきっかけに九州から京都へ。参加者から「地元を離れるときに迷いはありましたか?」という問いかけに、「本当は九州から出たくなかったです」と答えます。

「本当は大学にも行くつもりはなくて、高校を卒業したら働くつもりでした。でも、京都に出てきたからには仕方がない、楽しまないと損やなと思いながらやってきました。すると、周りの人たちも楽しそうにしてくれるんですよね。結果的に、自分も楽しくなってきて。覚悟を決めるというより、その先でいかに楽しむかが大事なんじゃないかなと思います」

田中さんは、大学3年生のときに出場したビジネスコンテストで優勝。在学中に立ち上げたのが食一です。今後は、珍しい魚を贈るギフト事業や直営の魚屋兼飲食店など、B to Cの展開も目指しています。

「僕らの会社の経営理念は『食を通じて、社会を愉快に』です。わいわいみんなで楽しくご飯を食べるように、みんなでわいわい漁業を盛り上げていけたらなって思っています」

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胸に響いた言葉をギフトする

各企業の紹介やゲスト自身の物語を受け取った参加者のみなさん。質疑応答やグループ対話を通じて、一人ひとりが理解を深めていきます。感想シェアの時間には、参加者からはいろんな声が挙がりました。

「伝統工芸には後継者がいないという課題があるけれど、YOKOITOさんの取り組みを聞いて、3Dプリンターがあればいろんな形でアプローチをかけられるのがおもしろい」

「八清さん、食一さんのお話を聞いて、扱っているものは違うけれど、どちらも”守る”ための活動をしている印象を受けます。空き家になった京町家に価値を付ける、見向きもされない魚に価値を付ける、失われるものを未来に残してゆくという点で共通することがあるのだと感じました」

「自分の好きなことを仕事にしながら、楽しそうにアイデアを膨らませている食一さんの働き方がとにかく羨ましいなって思った」

また、参加者のみなさんには、ポストイットならぬ「ポジティブイット」を書いてもらいました。お話を受け取って、素敵だな、心に響いたなと感じたことを言葉にして付箋に書き留めてもらいます。

書き留めたポジティブイットは、気持ちを添えながらそれぞれのゲストにプレゼント。企業側から贈られた言葉に対して、今度は参加者側から言葉を贈る。お互いの距離感が、着実に縮まった瞬間です。

最後、4人に並んでもらってパシャリ!

田中さんからは、「多くの人から『楽しそうな会社ですね』って言ってもらえて、楽しさをウリにしているうちの会社のことが伝わってよかったです」

大槻さんからは、「気持ちを伝えてくれたこと、コミュニケーションをとれたことが、とにかく嬉しいです」とコメントをいただきました。

問いを中心に、さらに深く歩み寄る

企業と参加者がお互いの想いを交換し合った第1部。
続いて、第2部では、参加者から企業にさらに深く歩み寄ってもらいます。

取り組んでもらったのは、企業からの「問い」をテーマに対話を交わすワークショップ。1人当たり2つの企業を回り、参加者が感じたこと、思いついたことを自由に書き出していきます。

各企業のテーブルに置かれた模造紙に、意見やアイデアをどんどん書き出していきます。

 

各企業のゲストと意見を擦り合わせながら理解を深めていきます。

各企業が出した問いは、事業課題や企業を象徴する社会的な課題など。それぞれについて意見を出し合い、考えることで、企業についての理解をより深めていきました。

株式会社ヒューマンフォーラム「女性が活躍する会社とは?」

 

株式会社YOKOITO「”モノヅクリ”をもっと身近にするには?

 

株式会社八清「八清ワールド(住む+貸す+売る)をつなぐには?」

 

株式会社食一「ギフトを送りたいシーン、送りたくなるギフトとは?」

今すぐに採用したいアイデアもあれば、明確な答えが出なかった問いもありましたが、参加者側にとっては企業のリアルを知る機会、企業側にとっては社外の斬新な意見を聞ける機会となりました。

自分らしく人生を歩むために

瞬く間にイベントは終盤へ。
今日の内容を振り返って、改めてゲストに質問する時間が設けられました。

取り上げたいのは、「仕事と日常の垣根をなくすにはどうすればいい?」という質問。自分らしく生きている人に共通しているのは、仕事と私生活が上手く混同していることだと思う。それは、今回のゲストのお話を聞いているなかでも感じました。

問いかけについて、大槻さんのなかでは、仕事と日常は「オン・オフ」ではなくて、「ボリューム」を調整するようなイメージだと答えます。

「休日に洋服店に立ち寄ったりすると、いい接客だなぁ、うちのスタッフにも教えてあげたいなぁって思うことがあります。このとき、僕のなかではちょっと仕事のボリュームが大きくなっているんですね。そんな感じで仕事と日常の音量を調節しています」

「でも、そうなるには、自分自身がワクワクしたり、キラキラしたりする仕事をしていることが大事なんだと思います。自分が一番やりたいことをしていれば、自然と垣根って感じなくなるんじゃないかな。だから、まずは自分に問いかけてみてください。嬉しいこと、好きなことは、自分が一番知っています」

大槻さんのお話を受けて、中川さんも深く頷きます。

「これまで転職を繰り返してきたなかで、大切にしていたのは、その会社が社会に対してどういう想いを描いているのか、代表や仲間がどういうスタンスで働いているのかということ。一緒に働けるなと感じた人や会社に出会えたら、自然と垣根ってなくなっていきます。逆に相性や方向性が合わないと、やっぱり垣根を分けないといけなくなってしまうと思います」

この瞬間、心の声に光を当てて

印象的だったのは、最後の質疑応答を終えたあと。
ほんの数分でしたが、誰もが口を開こうとしませんでした。

受け取った言葉を胸に刻んでいたのか。
心に響い心地よい余韻を感じていたのか。

それぞれの瞬間のなかで、会場全体があたたかな「一体感」に包まれました。

イベント終了を名残惜しみながら、チェックアウトの時間。
今、この瞬間に、自分が感じている気持ちを一言で表していきます。

「噛み締めています」

「合わせるのではなく、在るもの」

「巡り会えたら飛び込もう」

「自分の気持ちに素直に生きている人って楽しい」

一人ひとりが明るい未来を見据える言葉を送りながら、KYOTO WORK LIFE DESIGN LABは幕を閉じました。

みんなで集合写真をパシャリ!外崎さんの描いてくれた、参加者全員の似顔絵&グラフィックレコーディングを囲って。

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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