2018.10.22

誰もがクリエイターになれる。全てのアイデアを形にする社会を作る

京都移住計画での募集は終了いたしました

世の中にある無数の情報から、たった一つの知りたい情報を見つけ出す。大量の本や文章の中から探し出さなければならなかったこの作業も、インターネットやスマートフォンなどの技術の進歩によって、いつでもどこでも、あっという間に知りたい情報にたどり着くことができるようになりました。

今、この記事を読んでいるあなたも、技術を使って情報を知り得ているなんてことは、特別に意識していないのではないでしょうか?このように、技術は当たり前のように生活に馴染み、急速に人々の生活を変えてきました。

今回ご紹介する「YOKOITO」という企業は、ハイコストでレベルが高く、これまで一般人には手が出せないと思われていた技術を誰もが当たり前のように使える「ものづくりの未来」を作ることをビジョンに掲げています。

創業メンバーの1人である中島佑太郎さんは、当時大学2年生の時に出会った3人の仲間と共に、ものづくりの未来に関わる事業計画を練り、起業されました。

「3人とは、将来は起業したいという共通の思いで出会いました。それぞれ別々の大学に所属していましたが、出資を受けるべく、合宿をしたり時には遠隔で集まって企画を練り上げ、出資が決まりました。出資前にみんなでお金を持ち寄って初めての“3Dプリンター”を購入しました。」

樹脂や金属などの様々な素材を何層にも積み重ねて加工し、デジタルデータから立体的な造形物として、成形・実体化することができる3Dプリンターは、まさにYOKOITOが目指す未来を実現するための装置のひとつ。今や3Dプリンターは、デジタルファブリーケーション(=コンピューターと接続されたデジタル工作機で加工する技術)を象徴する存在になりつつあります。

そう言われると、なんだか難しくて自分には関係ないことのような気持ちになりますが、今までこんなものが有ればいいなと思いついても、どう作ればいいのか分からなかったアイデアを自分ですぐに形にできるようになると想像してみてください。

自分の分身フィギュアを作ったり、オリジナルの面白いペットボトルのキャップを作ったり何だか少しワクワクしませんか?

伝統ある街からものづくりの社会をイノベーション

そんなワクワクで胸をいっぱいに満たして起業した彼らは、大学を休学し、京都でオフィスを借りて事業を始めました。なぜ、東京で出会った彼らが京都を選んだのか質問してみました。

創業支援に力を入れる京都信用金庫さんの『京信・地域の起業家大賞』最優秀賞を受賞(創業メンバーの3人で)

「創業メンバーの1人が京都の大学だというのもあったのですが、京都は学生の街だと思ったからです。また、次世代のものづくりは既に洗練され尽くした東京ではなく、地方で生まれたほうが面白いというのも思ったんですよね。」

しかし、しばらくは何もかもが手探り状態だったと中島さんは語ります。まだろくに使い方も分からない3Dプリンターをガラガラと引き回し、名だたる大企業だらけのイベントに出展してみたり、地元のお祭りに3Dプリンターの出店を出した経験もあるそう。どうしたら、誰もがものづくりに参加できる社会になるのかというヒントを求め、産業系の展示会やコワーキングスペースを渡り歩く毎日だったそうです。

「そんな中、従来の3Dプリンターよりも使い易さを重視して開発された“Form2”と出会い、その場で買い付けを行い、買い付けたばかりのForm2を同じ日の展示会に出展するとしたこともありました。今思えば、ちょっと無謀すぎるくらい、がむしゃらでした。」

デジタルファブリーケーションの進歩により、これまでプロや企業にしかできなかったものづくりの在り方が根本から変わり、国や企業の技術力すらも関係なく、人々の生活を変えるようなアイデアが世界中で実現することができる環境が整えられようとしている今。

職業や場所、既存の完璧な製品の常識に捕らわれない、新しいものづくりの可能性へ挑戦することこそが彼らの原動力だと感じることができるエピソードでした。

諦めず行動し続けて確立したビジネスモデル

YOKOITOForm2を購入してすぐ、これまで様々な企業にコンサルティングを行って培った3Dプリンターのノウハウを活用すべく、2016年に歯科事業への参入に乗り出しました。

「薬事法関連など難しいことも沢山あったのですが、一旦頭の隅に置いておいて、歯科事業の需要が増えていることが分かったので、とにかく旗をあげてみたんです。そんなふうに行動していたら、Form2を開発したFormlabsという会社と出会うことができ、既に行動を起こしていたことが評価され、正式な代理店として認めてもらえました。そこからグングン売り上げが伸びて、ようやく僕たちのビジネスが始まった!と感じることができたのです。」

歯科事業の拡大に伴い、それ以外の一般ユーザー向けにも売上が拡大し軌道にのりましたが、それまでは興味があることを並べ、1つ1つ片っ端から行動して、とにかく試していく日々だったそうです。「本当に、あぁもうダメだ!と思いました。」と、中島さんは当時を振り返りながら、ほんの少し苦々しさが混じった安堵の笑顔を見せていました。

「僕は大学を休学したままですし、創業メンバーがそれぞれ個性的で新しいものが好きなので、今もやりたいことは沢山あるけれど、これからもひとつだけ絶対に揺るがないものは“ものづくりに関わること”です。どんな形であれ、ものづくりを支援していきたいと思っています。」

ものづくりへの信念を忘れずに行動し続けていたことがようやく実り始めたと実感でき、今年も売上成長が見込めるようになり、いろんなことを整理できる時になったので、YOKOITOの主事業となっている歯科事業を今後も拡張すべく、サポートしてくれる人材を今回募集する運びとなったそうです。

ここが自分の居場所だと感じられる幸せ

同世代で果敢に挑戦する彼らに影響を受け、20175月に入社されたばかりの三田地博史さんにお話を伺ってみました。

三田地さんは、大学院卒業後、主にセンサーを開発する企業のインハウスデザイナーとして、2年間ほどグラフィックユーザーインターフェイス(=GUI)や、プロダクトデザインそのものにも関わるなど、幅広くデザイナーの基礎を積んでおられました。

「大企業に入って分かったことですが、自分が担当する商品の全体像が掴みづらいし、どういう使われ方をするか見えないんですよね。商品をつくる楽しさに憧れていたはずなのに、違和感を感じていました。」

会社員時代はなかなか時間を割けなかったので制作活動をあまりできなかったという三田地さん。大学院時代に勉強していたArduino(アルディーノ)と呼ばれる開発環境を使って電子工作をしていた当時の作品を見せてもらいました。

「これは、自分が登山したルートを立体的に把握できるデバイスなんですけど、GoogleMaps等では自分の位置って平面しか分からないと思うんです。でも、自分の辿ってきたルートを立体で知れたら、どんだけ険しい道だったかなど想像が膨らんで面白いんじゃないかな、と思って作りました。」

大学時代からYOKOITOのメンバーと繋がりがあり、その縁で入社したという三田地さん。このまま大企業の古い体制に馴染んでしまっては、自分の理想とする商品開発ができそうにないという危機感を感じていたところに声をかけられたそうです。

「自分の商品を世の中に出したいという点が合致して、転職を決意しました。大企業と違って、誰からも指示を受けることができないので、全て自分で考えて動かなければいけないというのはありますが、変化の激しいものづくりの世界から取り残されてしまうことのほうが不安でしたので。」

現在は、YOKOITOの歯科事業ブランドのビジュアル周りの立ち上げや、パンフレットやWEBなどの販促物などを作る仕事を主軸にしつつも、近所で開催される地蔵盆をテーマにしたオリジナルゲームを子供達に見せたりするなど、同じような毎日だった頃とは全く違う刺激的な毎日を送っていると言います。

「大企業から少人数のベンチャー企業に移り、一番最初に感じたギャップは統率がとれていなかったことです。大学生で創業したメンバーは、当然社会人経験がないため、定例会議がなく、意思決定のシステムもありませんでした。そこを少しずつ改善して馴染んできたという感じですね。YOKOITOが描くビジョンは、まだまだ伝えきれていない部分が多いので、そのビジョンをどう伝えていくかを考えなければならないと考えています。」

創業してからまだ約4年のYOKOITOが世の中にどういう形でフィットしていくのか、一緒にYOKOITOの未来を見ていきたいと語る三田地さん。

自分の居場所はここだ、と感じることができるのが嬉しいと語られていたのが印象的でした。

ものづくりというキーワードで繋がる京都の街と人

実は、この2人の取材をさせて頂いたのは、以前京都移住計画の求人記事でも取り上げたことのある「N5.5」という、ギャラリー併設シェアスペース。

京都に住むオモシロイ人たちを辿っていくと、業種が全然違っていても蜘蛛の巣のように共通のネットワークが広がっていくことが多々有ります。

このように、人だけでなく街ごとに繋がる出会いによって偶発的に起こる化学反応のような面白さは、伝統と革新が同居する場所でもあり、都市圏が狭い京都ならではのものかもしれません。

今度は、YOKOITOの事務所機能のあるオフィスに移動してきました。こちらでは、今回募集する業務に近い仕事をされている2人にお話を伺います。

販売した3Dプリンターのテクニカルサポートを担当する峯崎さんは、201710月にこちらで働き始めたばかり。

これまで20年間、半導体メーカーで製造ラインオペレーターなど設計・評価部門など一通りの経験を積んでこられた峯崎さん。3Dプリンターなどの輸入販売会社でのテクニカルサポートを担当していたことがYOKOITOとの出会いがきっかけだったと言います。

機械いじりが好きだという峯崎さんは、輸入業務も担当しなければならない状況になり始めたことに行き詰まりを感じ、技術だけに専念したいという思いを抱えておられました。

「年齢的にも保守的になりそうだった時に、YOKOITOの環境なら、もっと自由に小回りが効くと思ったんです。少人数で若いのに、戦略をちゃんと練って業績が成長しているのも分かっていたので、見習うべき所があると思いました。ここでは会社の全体像を見ようと思いさえすれば、いくらでも見ることができます。全て分かっていた方がいろんなアイデアが出せると思うし、仕事は楽しくなっていくと思います。」

1番大事なことは、プリンター愛

峯崎さんは、ボストンでForm2のメンテナンス教育の認証資格に合格されています。これはまだ、国内でも数社しか取得されていないそうです。正式な代理店として責任を持って、販売した3Dプリンターの設置・導入研修、ユーザーのアフターフォローやプリンターの修理をメインの業務として担当されています。

今回の募集のひとつは、峯崎さんと同じエンジニア職での募集ということで、1日の仕事の流れとエンジニア職に求める人物像を聞いてみました。

「その日によりけりですが、午前中は夜間にアメリカのメーカーから届いたメール確認、現在着手している修理の進捗確認・工程整理をしています。午後は実際にプリンターを稼働させてサンプルを造形したり、機体の分解を伴う修理作業などですね。一日を通しては、電話やメールなどで、ユーザーからのトラブルシューティングを都度行っています。」

「器用さや特別なスキルはいりません。文系でもネジさえ回すことができて、英語への拒絶反応さえなければ何とかなります。予備知識はあったものの、私もForm2の仕組みはゼロから覚えました。順調に動いているように見えても、急に機嫌を損ねて動かなくなったりしますし、それを愛せるかどうかだと思います。」

毎日が、ここはこう対応すればよかったという発見と試行錯誤の連続だそうです。

「トラブルには傾向があるため、怖がらずに半年間くらいで発見の積み重ねから勘やコツをつかみ、“プリンター愛”さえ忘れずに持っていれば大丈夫!」と、峯崎さんは語ります。

峯崎さんも、先ほどの三田地さんと同じく、最初は大企業との違いを端々に感じたそうですが、毎日自分の裁量で仕事ができることにやりがいを感じていると言います。

最初は、ちゃぶ台の上に3Dプリンターがおいてあったり、技術だけに専念したいと言っていたはずなのに、物置小屋状態だったオフィスを整えることから始めなければならかったという大変な思い出も楽しそうに話されていました。

現在のオフィスは、Form2momentなどの3Dプリンターが整然と並び、コーヒーの美味しそうな匂いが漂ってきそうな広々としたキッチンがあります。

しかし、現在の状態までオフィスを整えるには、カスタマーサービスマネジメントを担当されている中川葵さんの協力が不可欠だったと言います。

攻めと守り、真面目といい加減さを楽しむバランス

中川さんは、前職でカフェを併設したクリエイティブラウンジの立ち上げに関わりながら、当時からYOKOITOとはパートナーとしてお仕事をされいたそうです。

「もともとテクノロジーやデザインなど新しいものが好きだったんです。そんな場所を育てるというチャレンジが自分の中で完結したと感じ、次の新しいことにチャレンジしたいと思っていたタイミングでYOKOITOに参入しました。ですが最初は、コーヒーを淹れたくてもキッチンが物置になっていて何もできない状況だったので、峯崎さんと一緒に試行錯誤しながら社内環境を整えていきました。」

今回のもうひとつの求人は、中川さんが担当する業務の一部を切り離し、流通に関する発送業務やバックオフィスの機能を強化していくための人材を募集されます。

では、中川さんがされているカスタマーサービスマネジメントとは、どのような仕事なのでしょうか?お話をお伺いしました。

「私の仕事は、お客さまとYOKOITOを繋ぐ仕事だと思っています。実際には、見積もりやメールと電話対応がメインですが、ケースに応じて必要なものを組み合わせていく必要があります。テクニカルの問題は峯崎さんとパートナーになって、お客さまの問題解決に取り組んだり。お客さまに対して、こういう事をしたらもっと響くんじゃないかという改善案を役員に提案したりしています。」

普通の企業の感覚だと、重役に何かを提案したり、電話を頻繁にかけたりすることは憚られるのが普通ですが、YOKOITOでは創業メンバーの個性が強く、その特性も見極めて自分から積極的に話しかけていかないと成り立たないのだと、峯崎さんと中川さんは口を揃えて話されていました。

「役員たちは普段あまりオフィスにいませんが、レスポンスは早くすぐ動いてくれるので、昨日困っていたことが、翌日には『こう改善しよう!』という具合に目の前の状況が、変化するのが楽しいです。新しい事に挑戦し続けることは役員がやってくれるので、経験を蓄積して物事を考えながら、新しいものも取り入れて考えていくというバランスを取れるのが良いですね。」

YOKOITOが扱っている商品が最先端のものであることからも、予期せぬ出来事が連続して起こることも多々あるそうなので、その都度思い詰め過ぎないように、バランスを取る工夫が必要になってくるのだと中川さんは言います。

ついこの間も豪雪が原因でプリンターが届かず、予定していた設置講習に間に合わないという事態が発生した時、オフィスにいる中川さんが軸となって、遠隔にいる役員や峯崎さんとリアルタイムで連携を取り、翌日には無事商品をお客様のもとに届けることができ、事なきを得たことがあったそうです。

「カスタマーサービスは基本的にはマルチタスクですし、突発的にタスクが発生する事も多いです。それでも、お客さまには常に真摯な態度で対応しなければなりませんし、コミュニケーションをどんどん取らなければ仕事になりません。バックオフィスとしても、言われるのを待つのではなく、気負いせず自分から質問や連絡ができる人が適しているかもしれません。」

現在、商品の発送業務は1階で作業されているそうで、1日平均10件程度の発送があると言います。3Dプリンターの機材は13kgほどあるので、それなりの力仕事も必要になってきますが、中川さんや峯崎さんと協力して一緒に試行錯誤しながら、良い環境を作っていけそうな地盤があると感じられました。

しかしながら一方で、役員の中島さんは、この環境の先を見据えていきたいと語ります。

「これまではポジションが決まっていながらも、自分の守備範囲を超えて臨機応援に対応をしていくことが求められていた時期かもしれませんが、今回の採用を通じて徐々にポジションを明確にしていき、個人はもとより組織の生産性をより一層上げていくようにしていきたいです。」

時に学生ベンチャーや若いメンバーで組織が形づくられる場合には、サークルのような居心地の良さが、ややもすると馴れ合いや惰性を生み出しかねないという点について、健全な危機感を持ち合わせている姿が印象的でした。

バックオフィスを担当される予定の方は、その業務の性質上、時間と勤務先が決まっていますが、撮影中も舞い込んでくる問合せに対応し続ける峯崎さんや、いつでもメモが取れるように付箋とペンを持ち歩く中川さん。東京や京都などそれぞれに拠点を置きつつ、次世代のものづくりの未来を描こうと攻め続ける中島さんや三田地さん達のように、YOKOITOでは基本的に自由な働き方が可能です。

これからも時代を切り拓こうと攻め続けていくYOKOITOを“ものづくりが好き”という共通の思いの糸でつながった仲間と共にサポートしていきませんか?

デジタルファブリケーションエンジニア(テクニカルユーザーサポート)、バックオフィスの二つの職種は募集終了しましたが、今回新たにMAKEスタッフの募集を開始しました。

デザイン・エンジニアリング・プログラミング・アートなど分野を横断してものづくりに関わる業務に広く携わるポジションとなりますので、“つくる人”としてYOKOITOに参画したい方は是非エントリー下さい。

京都移住計画での募集は終了いたしました

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