あなたは、自分の心の声に耳を傾けていますか?
毎朝、満員電車が息苦しい。周りの期待に応えなきゃいけない。プライベートを充実させたいのに、仕事疲れでそれどころじゃない……。忙しすぎる日々のなかで、自分と対話する時間を見つけるのは難しいかもしれません。
でも、ふと、立ち止まったとき。
モヤモヤして落ち着かない。
理由も分からずに不安や焦りを覚える。
そんな、何らかの“違和感”を感じたのだとしたら。
それは、心が話を聴いてもらいたがっているサインかもしれません。
2019年11月から始まる、第3期『十人十話-JUNIN TOWA-』。自分の心と対話し、本音と向き合い、本当に望む生き方を見つける4ヶ月間。今回、具体的なプログラム内容と共に、開催に先駆けて行われたメンターによる対談の模様をお届けします。
自分と仲間との対話から見つける、心から望む生き方
4ヶ月、全5回で開催される『十人十話 – JUNIN TOWA-』。
今の仕事がしっくりこない理由はなに?
移住や転職に心が惹かれるのはどうしてなの?
そもそも、自分ってどういう人間で、これからどうしたいの?
連続するセミナー&ワークショップを通じて、さまざまな問いかけをしながら、自分の本心を探っていく。そして、心から望んでいる生き方を明らかにし、未来につながる道筋を見出していきます。
目指しているのは、過去から現在、未来につながる、あなただけの「物語」を紡ぐこと。「私はこんな人間だから、次はこうしたいと思っているんだ」と、言葉にできることを目指します。
そのために必要なのが「内省」と「対話」の時間。
仕事の忙しさに追われ、自分を抑えこんでしまいがち。そのような日々のなかで、本心に耳を傾けることはとても難しいのではないでしょうか。十人十話の「4ヶ月」は、自分と向き合うため、自分だけの時間を過ごすことができます。
とはいえ、自分ひとりだけで考えるのは簡単ではありません。
そこで、心の支えになってくれるのが、共通の葛藤や希望を持った十数名の参加者です。職場の同僚でもない、プライベートの友達でもない。自分の本音を安心して語り合えるつながりをつくることができます。プログラム期間中、一泊二日の京都合宿も予定。絆がさらに深まり、「参加者」が「仲間」へと変わっていきます。
▼第1期『十人十話』についてはこちら
▼第2期『十人十話』の内容と合宿1日目のイベントレポート
自分らしく生きるためのエッセンスを学ぶ
第3期の十人十話と並行して行われるのが、『Sustainable Life Talks(サステナブル・ライフ・トークス)』。10月、12月、1月に開催する、サステナブル(持続可能な)をキーワードにしたトークセッションシリーズです。
仏教の思想に詳しい僧侶、不安のない人間関係を紡ぐことに力を注いでいる経営者、新しい家族形態を模索しているアーティストをお招きして、幸せに生きる、豊かに暮らすためのエッセンスを学びます。
セミナーに参加したけれど、結局何も変わっていない。
そのような経験がある方も多いのではないでしょうか。良い学びを得たとしても、日常の忙しさに巻き取られがち。そのなかで、Sustainable Life Talksは「インプット」、十人十話は「アウトプット」の場と捉えることもできます。
トークセッションを手掛かりに、自分との対話を通して深めたり、仲間と気付きをシェアしたり、ワークショップで形にしていったり。学んだことを、学んだままにしない。次のアクションに踏み切るまでを実践します。
▼第1回(10月5日開催)の内容はこちら
十人十話&Sustainable Life Talks 特別対談
プログラムコーディネーターはどんな人?
どのような想いや考え方を持っているの?
十人十話とSustainable Life Talksのポイントは?
このような疑問に応える意味も込めて、今回、プログラムコーディネーター/メンターを務める2人の対談が行われました。京都移住計画の田村 篤史(以下、田村)と三浦 祥敬さん(以下、祥敬)の間で交わされた、対談の模様をお届けします。
【右】田村 篤史(たむら あつし)
株式会社ツナグム 代表取締役 聴き手
京都移住計画 代表1984年 京都生まれ。立命館大学在学中、別府にあるAPUへ交換留学、NPO出資のカフェ経営に携わる。その後休学しPRや企画を行うベンチャーにて経験を積み、卒業後は海外放浪の末、東京の人材系企業に就職し、人と企業のマッチングを行う。東京ではシェアハウスの運営を通じて、同世代の横のつながり作りや訪れた方のマイプロジェクトの支援を行う。2012年4月に会社を退職し京都へUターン。「人と人、人と場のつながりを紡ぐ」をコンセプトにした株式会社Tunagum.の共同代表になる。京都への移住者支援や商店街の活性化、シェアオフィスの企画運営などの場づくりの仕事に携わる。著書に『京都移住計画』(コトコト社)
【左】三浦 祥敬(みうら よしたか)
1991年お寺生まれ。京都大学卒。持続可能な世界へのトランジション(移り変わり)をリサーチするインデペンデント・リサーチャー。特に人の内面の世界が移り変わることへの興味から、内的なトランジションをサポートする 1on1 セッションの実施やプログラムの実施、哲学をはじめとした領域とのコラボレーションをおこなう。文化を継いでいく人たちがゆるやかな連帯を紡ぎ、ともに持続可能な継承を探求・実践するコミュニティ「Sustainable Succession Samgha」を運営している。共著に『トランジション 何があっても生きていける方法』(春秋社)。
働くことに偏重しがちな社会
田村:今回、十人十話のプログラム作りを祥敬と進めています。最初に話してみたいのが、「なぜ、十人十話が今の時代に必要なのか?」ということ。祥敬が生き方や幸福をテーマに仕事をしている理由にもなるかもしれないけれど、どう感じていますか?
祥敬:まず感じているのが「働くこと」に偏りがちだなということ。僕の実体験に基づいているんですが、前職の会社では、仕事の効率性を高めることに全力投球していました。食事のときも、移動のときも、インプットを怠らない。時間を無駄にしてはいけないと考えていました。
でも、結果として、働く気力が全く出なくなってしまったんですよね。それでも、プロジェクトには参加しないといけない。小さい組織だったので、基本的に拒否権はなし。何かを選べない環境や同じ場所・時間に通勤しないといけない状況がすごくストレスで、働くことから猛烈に離れたいと感じていました。
田村:祥敬のように、拒否反応が出ている人はたくさんいると思う。離れたいのに離れられない。頑張ろうとすればするほど、自分を犠牲にしている人が多いような気がしています。
祥敬:今年の5月に出版した『トランジション 何があっても生きていける方法』の共著である松本 紹圭(まつもと しょうけい)さんの言葉を借りると、「努力教」が蔓延しているなと思っています。
努力している人がえらい。真面目に自分を高めるために何かをし続けている状態が良しとされている。もちろん、それが間違っているわけではありません。でも、「周りの人が努力しているから、自分も努力しないといけない」と追い詰めて、考える隙間もないのが怖いところだなと。ひとつの信仰の形ですよね。
田村:考える隙間がないって、例えばどういうこと?
祥敬:例えば、最初は満員電車が嫌だなと思ったり、新しく入社した会社のやり方に疑問を持ったりするじゃないですか。でも、郷に入れば郷に従え、まずは慣れろという空気がある。自分の希望は横に置かれて、世の中の歯車に動かされてしまって。結局、自分の本当の感情が分からなくなっている人が多いような気がしています。
どこで、誰と、何をして生きていく?
田村:祥敬の話を聞いていて、僕自身の体験も重なる部分があるなと思います。西新宿にある会社で働いていたとき、ふと、通勤している人たちを客観的に見たら、各高層ビルに同じ色のスーツを着た群衆が吸い込まれていく感覚を覚えた。もちろん、自分もその一部なんだけど。
祥敬:ビルに入るではなく、吸い込まれていく。吸引力の強い表現ですね。
田村:そう、ある種の洗脳のようなものを感じた。僕は違和感を覚えて振り返って帰ろうとするんだけれど、隙間のない一方通行。「逆流することなんてできない」という感覚がありました。
その後、リーマンショックや東日本大震災が起こった。会社が自分の未来を作ってくれるわけではないことや都市の脆弱さを実感して、本当に大事にしたい生き方や働き方について考えるようになりました。
祥敬:東京に住まなくてもいいという本音が出てきたんですね。
田村:うん、僕の場合は、地元の京都で顔の見える相手のために仕事がしたいと思った。あとは両親の存在が大事だと感じたのも大きい。どうしても「どこで?」「誰と?」というテーマがおざなりにされがちだけれど、限りある人生、変わりゆくライフステージを考えたとき、結婚や家族といった、働くこと以外についてもちゃんと見つめる時間が必要だと思う。
祥敬:人生が変わるとき、見落とされがちなのが「心の動き」だと思うんです。僕は京都の鴨川がすごく好きだったけれど、東京には同じような景色がない。日常では気にしていないフリをしているけれど、心の中では、どこかで鴨川的なものを求めている自分がいる。なんだかモヤモヤとした違和感がある。そんなふうに、心の部分に自覚的であることが大事なことだと思います。
人生に正解も不正解もない
祥敬:今回、キーワードとして「サステナビリティ(持続可能な)」を掲げています。環境や自然を思い浮かべがちですが、この言葉には人の幸福や健やかさも含まれるんです。むしろ、いくら環境が良くなったとしても自分たちが辛いと持続できない。経済、社会、自分の幸福のバランスを取りながら、生き方を模索する時期なんだと思います。
田村:僕らがプログラムの場で取り扱いたいのは、大きな社会の流れに対して、「どうサステナブルであれるか?」ということ。自分にとっての心地よさや健やかさ、持続可能な働き方・暮らし方について、立ち止まって考える機会にしたいなと思っています。
最後に、参加者に向けて伝えたいことはありますか?
祥敬:人生に正解、不正解がないとしたら、自分のしっくりくる方向を模索し続けるしかないんだと思います。だからこそ、自分にとっての幸せを先延ばしせずに求めていけばいいんじゃないかな。十人十話とSustainable Life Talksはその機会でもあるし、自分が生きている感覚を取り戻せる機会でもある。その結果がどのような形であれ応援しています。人生、なるようになるので。
田村:祥敬の言葉を聞いて思うのは、違和感を見逃さないでほしいということ。何を感じているのか、何を大切にしているのかについて、立ち止まって考える空間と時間が十人十話です。正しさという漢字は「一度」「止まる」って書く。正しいかどうかは一回止まって確かめないと分からない。世の中的な正しさではなく、あなたにとっての正しさを見つける場を祥敬と作っていきたいと思っています。
自分だけの物語を紡ぐ旅
2017年に第1期、2018年に第2期。
そして、2019年に第3期としてスタートする十人十話。
これまで26名が参加し、そのうちの4名が東京から京都に移り住みました。でも、先に伝えておきたいのは「移住をゴールにしたプログラムではない」ということ。移住は幸せに生きるための手段であって目的ではありません。以下、前回の参加者の声をご紹介します。
「仕事に悩んでいたとき、十人十話の存在を知りました。参加者同士の対話を繰り返すことで、目に見えない“枷”が少しずつ解かれていく。プログラムを重ねるなかで見えてきたのは、学生時代から愛着があった『京都にいたい』という素直な気持ちでした。自分の欲求に気付いたことはもちろん、欲求を持つことが許されると分かったのが大きかったです。条件が重なり、今年の春に東京から京都に移住。それは年齢に関係なく、何を話しても受け止めてくれる、受け止めたいと思える大切な仲間に出会えたからこそ叶えられたことだと思います」
「十人十話に出会ったのは、子どもが小学校に入学する前。自分たちが納得して暮らせる場所について、改めて考えるきっかけになればと思って参加したんです。プログラムを通して、自分を見つめ直す機会をいただき、暮らす場所を探す前に、自分が本質的にどうありたいのかを深く考えることができました。十人十話は自分の気持ちを素直に表現でき、自分らしくありたいと思う仲間と共に望ましい方向へ歩んでいける場所。心の奥底にある悩みや想いに共感し、共有できる場所です。一方で、学生時代の集まりのようなノリやユルい雰囲気もあるので、楽しい思い出としても心に深く残っています」
大切なのは、本気で自分と向き合うこと。表層ではなく深層を覗きながら、心に耳を傾け、未来に向けての道筋を探っていくことです。普段、自分の声に耳を傾ける時間がない人にとっては、不安に思うかもしれません。でも、大丈夫。そっと支えてくれるメンターや仲間がいます。独りではありません。
また、先ほどの対談でも話されていたように、4ヶ月後の答えに「正解」も「不正解」もありません。むしろ、そこからが始まりですし、答えは常に変化するでしょう。いずれにしても、あなたが導き出したことが、たったひとつの真実です。
どこで、誰と、何をして生きていくのか。
自分だけの空間と時間のなかで。
一緒に立ち止まり、一緒に考えてみませんか。
プログラム詳細
<第3期> 十人十話-JUNIN TOWA-
〜生き方・働き方探求&実践プログラム〜
■日時:2019/11/2〜2020/2/16
■会場:東京都内にて調整
■定員:15名(最小催行人数10名)
■参加費:35,000円(学割 25,000円)
■応募締切:10月25日(金)24:00
▼詳細はこちら
https://10nin-10wa.peatix.com/view
執筆:山本英貴