募集中2024.11.12

食育を軸に、子どもたちの生きる力を引き出す保育園

閑静な住宅街が広がる北山エリアにある焼肉店「南山本店」。敷地内に建つ自社ビルからは、子どもたちの元気な笑い声が聞こえてきます。

ここは、1971年創業の株式会社きたやま南山(以下、南山)が運営する「さとのやま保育園」。企業主導型保育園として、2018年4月に開園しました。京都移住計画では2018年2月の記事で、保育園の開設に至った経緯や、開園準備を進めるスタッフの皆さんの思いを取材しました。

開園7年目を迎える今年、さとのやま保育園では保育士と食育スタッフを募集しています。食に関心のある人、従来の保育の枠にとらわれずにチャレンジしてみたい人は、ぜひ読み進めてみてください。自分らしくいきいきと働ける場所が見つかるかもしれません。

みんなで一緒に子どもを育てる場づくりを

南山の代表取締役の楠本貞愛(くすもと・ていあい)さんは、6人の子どもを育てた自身の経験から、「孤独な子育てではなく、みんなで一緒に子どもを育てる場を作りたい」とさとのやま保育園を開設しました。

開園時には11人だった園児は、今では46人に。3階には4・5歳児クラスと3歳児クラス、4階には0・1・2歳児のそれぞれのクラスがあり、園内には子どもたちの元気な声があふれています。

貞愛さん

保護者の方が2人目3人目を出産されたり、口コミが自然に広がったりして、外部向けの広報はほとんどしていないのに園児が増えていきました。それはきっと、「子育ては楽しい。大変だけど面白い」という文化がこの場所で育まれたからだと思います。

1年目は鹿児島県霧島市にある「ひより保育園」の姉妹園としてスタートしましたが、2年目からは独立して運営するようになり、スタッフと子どもたちと保護者の方たちがみんなで保育園を作り上げていったと話す貞愛さん。開園準備の頃から園長を務める「えんちゃん」こと遠藤久子(えんどう・ひさこ)さんも、これまでを振り返ってこう語ります。

遠藤さん

私たちの園は歴史も浅いですし、「保育園はこうあるべき」みたいな概念もないので、日々挑戦しながら他にはない保育園を作っていけたらいいなと思っています。子どもにとって何が最善なのか、その都度みんなで意見を交わしながら模索してきましたし、今もそうやって作り上げている最中なんです。

日々の生活の真ん中に「食」がある

「安心・安全で本当に自信のあるものだけを食べてほしい」という信念のもとで運営されている南山を母体に持つさとのやま保育園。「食べることは生きること」をコンセプトに、食育に力を注いでいます。

春は味噌づくり、夏は梅干・梅シロップづくりといった季節の手仕事のほか、日々の保育の中でのクッキングや野菜の栽培など、食の楽しみにふれる機会がたくさん。生活と遊びの延長線として保護者を加えてクッキングの様子をみてもらう『さとのやまライブクッキング』は、コロナ禍は中止していましたが、今年は5年ぶりに開催されました。

取材の日には、子どもたちが一生懸命お芋の皮をむいていました

「さとのやま保育園では、食が真ん中。だから給食室も真ん中」と遠藤さん。その言葉の通り、3階の中央にはフロアの約半分を占める大きな給食室があり、食育スタッフの皆さんが給食もおやつもすべて手づくりしています。

遠藤さん

給食室がすぐそばにあるから、子どもたちと食育スタッフとの距離感も近いです。ビルの地下に行けば大きな骨付きのお肉が吊されているのが見えるし、併設されているストアで買い物をして帰る保護者さんも多い。生活の中に自然に食が組み込まれているというか、「建物全体が食育の空間」なんです。

さとのやま保育園への入園を希望する保護者は、食育に強い関心を持つ人が多いのだとか。南山が長い年月をかけて真摯に食に向き合ってきたことも、保育園の安心感につながっているのでしょう。しかし一方で、「さとのやま保育園の魅力は食育だけではないんです」と貞愛さんと遠藤さんは口を揃えます。

貞愛さん

子どもたちが作ったり食べたりすることを心から楽しんでいるのは素敵だし、すごく誇らしい。だけど、それだけじゃない。「生きること」と「人と一緒にいること」を楽しめる保育園でありたいと思っているんですよ。

遠藤さん

食だけでなく、制作や音楽が得意な先生など、個性豊かな保育士さんがいるのもこの園の魅力。歌の時間にピアノではなくウクレレやギターを演奏する先生もいます。子どもたちの声を拾い上げて、どうやって活動として広げてあげられるのか、一人ひとりが得意を生かして試行錯誤しながらチャレンジしています。

子どもたちを尊重し、信頼関係を築く

遠藤さんが「個性豊かな」と表現されたように、さとのやま保育園にはさまざまな経歴を経て保育士になった人たちがいます。副園長を務める山本耕平(やまもと・こうへい)さんもその一人。前職は三重県の酒蔵のスタッフだったそうです。

山本さん

酒蔵で勤めていた頃は、地元の農業高校の生徒たちと一緒に月1回のカフェを運営したり、イベントに出店したりと、食にまつわる活動をしていました。その頃に知り合った貞愛さんから、食育を軸にした保育園を始めると聞いて、すごく面白そうだなと思って、事務長として立ち上げから関わることを決めました。

事務長だった山本さんが、どうして保育士に転向することになったのでしょうか。

山本さん

当初は事務室と保育室がすぐそばにあって、子どもたちとの距離が近かったんです。子育て支援員という民間資格を取って、朝や夕方の忙しい時間帯に保育の仕事を手伝っているうちに、園長から「良かったら保育士をやってみませんか」と声をかけてもらって。働きながら勉強して保育士資格を取りました。

実は高校生の頃に保育の専門学校への進学を考えたこともあったほど、もともと子どもと関わる仕事に興味を持っていたという山本さん。ごく自然な流れで保育士の道を歩みはじめたのがよくわかります。

山本さん

ずっと食に関わってきて、自分自身も丁寧に暮らしたいという思いがあるので、季節の手しごとなど暮らしに根付いた食育を通じて、自分が大切にしたいことを子どもたちに伝えられるのはとてもやりがいがありますね。これまでの経験が全部つながってきていると感じます。

子どもたちと関わる中で、印象に残っているできごとは?と尋ねると、こんなお話を聞かせてくれました。

山本さん

子どもに注意しないといけないとき、「なんで先生がこれを言うのか、それはあなたができるって信じているからだよ」「○○くん、信じてるよ」ってよく言っていたんです。そしたら、あるとき「耕平先生、信じてるよ」って、子どもが「信じてる」を使いはじめて(笑)。信じるという言葉の意味を、 なんとなくでも感じてくれていることに、子どもたちと自分との信頼関係が感じられてうれしかったですね。

さとのやま保育園では、大人の都合を決して押し付けず、子どものペース・気持ち・やる気・選択を大切にしているそうです。一人ひとりを尊重していること、そしてそれが子どもたちにも伝わっていることが垣間見える素敵なエピソードを聞いて、温かな気持ちになります。

企業主導型だからこそ生まれる、多彩な活動

つづいてお話を伺うのは、開園の年から働いている保育主任の北村萌(きたむら・もえ)さん。北村さんは、大学卒業後にアメリカに留学して幼児教育を学び、現地の幼稚園でインターンを経験。帰国後は、古着屋さんで働きながら保育士資格を取得しました。

北村さん

正社員で働ける食育をやっている保育園を探しているときに、さとのやま保育園に出会いました。面接で園長とお話して、ここなら自分らしく働けそうだなと思ったんです。

さとのやま保育園では、担任と副担任の保育士さんが相談して、子どもたちが興味のあることを盛り込みながら、週ごとにクラスの活動内容を決めています。

北村さん

今こういう種を蒔いたら子どもが興味を持ちそうだなって想像しながら、活動を考えるのが楽しくて。例えば『からすのパンやさん』という絵本を読んで、「パンを作りたいね」と子どもたちが話していたら、カラスから手紙とレシピが届いて、「じゃあこのレシピで作ろう!」みたいな。手紙は私たちがこっそり用意したんですけど(笑)。そうやって絵本からクッキングや制作へと活動が広がっていくことは多いですね。

こんなふうに保育士さんから仕掛けることもあれば、子どもたち発信で思わぬ形で活動が展開することもあるそうです。

北村さん

あるとき、保護者の方から無農薬のレモンをたくさんいただいたんです。「これ、どうする?」って子どもたちに聞いたら、「このレモンで何かを作って売ろう!」って言われてびっくりして(笑)。「子ども大人会議」と題して、何度も話し合って試作を重ねて、最終的には南山でレモンジュースとレモンケーキを販売しました。しっかり全部売れて、追加も作ったんですよ。子どもの力ってすごいな、大人はちょっと手助けするだけでいいんだなって思いましたね。

子どもから「売ろう!」というアイデアが飛び出すのも、お店での販売が実現するのも、南山が運営する保育園ならでは。「レモンジュースいかがですか」「これ僕たちが作ったんです」とお客さんに果敢に声をかけていたと聞いて、子どもたちのたくましさに驚かされます。

保護者や南山のお客さんが購入してくれ、見事売り切れたそう!売上は子どもたちで話し合い、京都鉄道博物館への遠足と、みんなで南山でランチをする費用に使ったのだとか(写真提供:さとのやま保育園)
子どもたちの手書き文字とイラストが可愛いレモンケーキ(写真提供:さとのやま保育園)

北村さんは育休・産休を経て、お子さんをこの園に預けながら働いています。0歳5ヶ月で入園したお子さんは、今ではもう3歳に。子どもの近くで安心して仕事ができるのも、企業主導型保育園ならではの魅力です。

北村さん

ときどき様子を見られるし、担任の先生からすぐ話を聞けるので安心ですね。離乳食を始めるときも、よく相談に乗ってもらっていました。子どもと一緒に出退勤するので、他の園で働くよりも長く勤務できるのもありがたいです。

北村さんのほかにも産休・育休を取っている人が多く、「ここに子どもを預けながら働く人がもっと増えればうれしい」と園長の遠藤さんも後押ししているので、将来的には子どもを持ちたいと考えている保育士さんにとって心強い環境です。

子どもとの距離が近い、フロアの真ん中の給食室

つづいて、食育スタッフの児玉朱音(こだま・あかね)さんにもお話を伺います。児玉さんは、食品会社で工場の品質管理の仕事を経て、2023年にさとのやま保育園に入社しました。

児玉さん

子どもが好きなので、管理栄養士の資格を生かして保育園で働きたいと思って探していたところ、食育に力を入れているこの園に出会いました。見学に来たときに、子どもたちが話しかけに来てくれて、すごく距離が近いのを感じて。のびのびとした雰囲気もいいなと思いました。

児玉さんは現在、給食やおやつの下準備から調理、盛り付け、配膳、片付けのほか、献立づくりや食材の発注も行っています。季節ごとの食の行事には、保育士さんだけでなく食育スタッフが参加することも。子どもたちと作った味噌や梅干は、給食でも使っているそうです。

給食室がフロアの真ん中にあり、子どもたちと接する機会も多い環境ですが、児玉さんはどんなときに仕事の魅力ややりがいを感じているのでしょうか。

児玉さん

子どもが「おいしかった」と言いに来てくれたり、おかわりをたくさんしてくれたりすると、やっぱりやりがいを感じますね。どうやったらもっとおいしく食べてもらえるか、月1回の給食会議で話し合って試行錯誤しているのですが、野菜の切り方や炒める順番など、ちょっとした工夫をしたときに「今日のは食べやすかった」と言ってくれることがあって。気付いてくれたんだなとうれしくなります。

実はここで働くまでは、自宅ではほとんど料理をしていなかったと笑う児玉さん。「だから私と同じような人も安心して来てください。新しいことに挑戦しやすい環境なので、いろんなことをやってみたい人は楽しく働けると思います」と朗らかに話してくれました。

取材の日の給食メニュー。園の給食は、子どもたちはもちろん保育士さんからも大人気

全世代へと広がっていく、食と農と子育ての輪

さとのやま保育園の開園から、もうすぐ丸7年。南山の「食と農と子育て」の取り組みは、今も広がりつづけています。貞愛さんは、2022年に「一般社団法人 はぐくみ共同体nalba」を設立し、ビル2階に「子ども第三の居場所 自学自炊コミュニティnalba」を開所。保育園からさらに年齢の幅を広げて、子どもの居場所づくりに取り組んでいます。

遠藤さん

nalbaには卒園児も何名か通っています。小学生になっても通える場が同じ建物にあるのは安心ですよね。すべてが食につながっている、そして人のつながりもずっとつづいていく、こんな場所が他にあるだろうかって思います。これからも無理せず格好つけず、自然にやっていけたらいいですね。

貞愛さん

保育園に通う園児、nalbaに通う小学生、ボランティアで来てくれている中高生。社会に出るまでの全世代の子どもたちが、この建物に揃っているんですよ。そして、食と農と子育て、いのちの循環を担う人たちがここにいる。全世代が一緒に育つ場になっていくための土壌を作っていると思ったら、もうたまらなく楽しいですよ。

「5年後10年後はどうなっていくのか楽しみですね」と投げかけると、「そう思ってもらえたらうれしい。私もめちゃくちゃ楽しみです」と貞愛さんはとびきりの笑顔で応えてくれました。

取材させていただいた皆さんに「これからどんな人に仲間に加わってほしいですか?」と尋ねたところ、「なんでも楽しめる人」「子どもと一緒に学んで成長したい人」「いろんなことにチャレンジしたい人」といった言葉が共通して出てきたのが印象的でした。

子どもたちも、保育士も食育スタッフも、みんながいきいきと過ごしているさとのやま保育園には、初めて訪れた人も不思議と居心地よく感じられるような、気持ちのいい空気が流れています。興味を持った方は、まずは見学に訪れてみてはいかがでしょうか。

執筆:藤原 朋
撮影:小椋 雄太(あかつき写房)
編集:北川 由依

求人募集要項

企業名・団体名株式会社さとのやま保育園
募集職種保育士(正社員・常勤パート)
管理栄養士(正社員)
調理師(正社員)
調理スタッフ(常勤パート)
雇用形態入社より3か月はトライアル期間とし、4か月目に正式雇用契約を結ぶこととします。(試用期間前後の勤務条件の変更項目はなし) 

・保育士(正社員・常勤パート)
・管理栄養士(正社員)
・調理師(正社員) 
・調理スタッフ(常勤パート)
仕事内容保育士:0歳から5歳児までの保育業務、48名定員、企業主導型保育事業  

管理栄養士:0歳児から5歳児の給食の献立作成、栄養管理、食材発注、調理、関連業務(離乳食、アレルギー食対応あり)

調理師:0歳児から5歳児の給食調理、食材発注、関連業務(離乳食、アレルギー食対応あり)

調理スタッフ:0歳から5歳児までの給食調理、食材在庫管理、関連業務(離乳食、アレルギー食対応あり)
給与保育士
・正社員:190,000円~ ※賞与年2回(決算賞与業績に応じて支給)
・パート:1,060円~ 

管理栄養士
・正社員:190,000円~ ※賞与年2回(決算賞与業績に応じて支給)

調理師
・正社員:170,000円~ ※賞与年2回(決算賞与業績に応じて支給)

調理スタッフ
・パート:1,060円~ ※残業代(残業時間に応じて支給)
福利厚生交通費支給、保険加入(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)、給食(1食300円)、健康診断
勤務地京都府京都市左京区下鴨北野々神町19-6 南山ビル3階・4階
勤務時間保育士:7:30~18:30の間のシフト制、実働8時間(休憩1時間) 
管理栄養士・調理師・調理スタッフ:8:00~17:00、実働8時間(休憩1時間)
休日・休暇年間休日115日、週休2日、夏季・冬季休暇、特別休暇、慶弔休暇、有給休暇(入社6か月経過後に付与)、産前産後休暇、育児休暇
応募資格保育士(正社員・常勤パート):保育士資格
管理栄養士(正社員):栄養士資格
調理スタッフ(正社員・常勤パート):調理師免許をお持ちの方歓迎します
選考プロセス京都移住計画の応募フォームから応募

面接

保育園1日体験

最終選考

内定

※職場見学可能
※カジュアル面談も可能
面談場所京都府京都市左京区下鴨北野々神町19-6 南山ビル2階事務所
参考リンクHP:さとのやま保育園
Instagram:
さとのやま保育園
さとのやま給食日記

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