世界中から観光客が集まる伏見稲荷大社。そのふもとに、外国人旅行客がふっと肩の力を抜ける場所として、「Vermillion – espresso bar & info.」と「Vermillion – cafe.」があります。
オーストラリア・メルボルンのカフェ文化を取り入れたお店にはさまざまな国や地域から訪れた人たちが行き交い、スタッフとの何気ない会話やコーヒーを楽しんでいます。
Vermillionを運営するのは、伏見稲荷大社がある稲荷山で100年以上続く茶店を営む、薬力亭。9代目の木村茂生さんと妻・美和さんが、2012年に「Vermillion – espresso bar & info.」を、2016年に「Vermillion – cafe.」をオープンしました。
今回募集するのは、2025年にオープンしたばかりの3号店「Vermillion – station.」を中心に、Vermillionのフード全体を担うキッチンマネージャーと、全店舗を横断して活躍するバリスタ。
「Vermillionは未完成で、一緒に働く人次第」
そう語るのは、代表の木村茂生さん。京都にいながら世界とつながり、世界中の人を迎えながら日本の魅力を伝える。そんな環境で、仕事とプライベートのどちらも大切にしたい人を待っています。
外国人観光客に馴染みがある雰囲気で、食べ慣れた味を提供する
Vermillionのコンセプトは、「外国人観光客がほっとできるお店」です。18年間オーストラリアに滞在し、メルボルンのカフェ文化に影響を受けた代表・木村さんが目指すのは、「あえての雑多さ」だと言います。
木村
メルボルンのカフェはバリスタとお客さんの距離感が近いんです。常連さんが来た瞬間にコーヒーを作り始めたり、お客さんが椅子やテーブルを勝手に動かしたりと、カジュアルな雰囲気がある。そういうお店を地元の伏見稲荷でやりたいと思って、Vermillionを始めました。

Vermillionを始める前はオーストラリアで証券会社に勤めていた木村さん。18年滞在したオーストラリアを離れ、伏見稲荷でカフェをやろうと考えたきっかけは、「1日の終わりのおいしいビール」にありました。
木村
金融の仕事はエキサイティングでしたけど、体の疲れはないんです。だから忙しく体を動かした後に飲むビールに憧れがあったし、ホスピタリティの仕事が向いているだろうとも思っていて。当時は伏見稲荷に外国人観光客が増え始め、周辺の物件を外国人がどんどん買っていくことへの葛藤もあって、それなら僕がお店をやった方がええわと思ったんです。
伏見稲荷の人気に比例して、「Vermillion – espresso bar & info.」と「Vermillion – cafe.」の来店客も増加。今や両店舗を訪れる人の9割以上が外国人です。中には日本へ来るたびにお店を訪れる人も。

外国人観光客から支持される理由は、お店の人とコミュニケーションを取りながら、食べ慣れた食事を楽しめることにあると木村さん。
木村
言語が違う異国でのバカンスって、案外ストレスがかかるんですよ。日本人が海外旅行先で和食を食べたくなるのと同じで、食べ慣れたものが欲しくなる。そこにうちのメニューがハマっているんだと思います。外国人観光客にとって馴染みのある雰囲気で、普段の食事ができる。それが僕らの価値であり、評価を得ているところだと思います。

スタッフと来店客の距離感が近いお店を目指すからこそ、「とにかくお客さんと喋ってほしい」と木村さん。お店のルールを壁に貼る効率の良さよりも、「聞かれたら答える」スタンスを重視しています。
木村
英語は必須ですけど、完璧な英語を話せることよりも、人に興味があって話すのが好きなことの方が大事です。例えば、日本語を話す外国人のお客さんには日本語を使ってほしくて。ここはあくまで日本であり、お客さんは日本での経験を求めていますから。そういうコミュニケーション能力がある人が向いていますね。
必要なのは、Vermillionの柱になれる人
今回募集するポジションは、キッチンマネージャーとバリスタです。今後のVermillionを考えたときに、「柱となる人が必要」と木村さんは募集の背景を説明します。
木村
僕は現場に立つのが大好きなんですけど、そうすると「僕のお店」になってしまって面白くないし、組織もこれ以上大きくなりません。だから今は店舗に立つのを我慢していて、僕の代わりに柱となってくれる人を求めています。
現在、3店舗とも夕方に閉めていますが、将来的には夕方から夜にかけてお酒が楽しめるダイニングカフェとして営業することも検討中です。
木村
今は昼間のブランチだけですが、夜営業をやりたいという人も歓迎です。シフトを早番と遅番に分けて、朝から晩まで賑やかにするのが経営者としては理想ですから。とはいえ、従業員のみんなにはプライベートも楽しんでほしいから、やっぱり人を増やさないといけないですね。
「仕事以外の時間もひっくるめた、ライフスタイルを楽しんでほしい」と、共同創業者の木村美和さんも働き方への思いを語ります。
美和
飲食業が好きで、たくさん働くのも素敵だけど、根詰めて仕事をして休日が寝るだけで終わってしまうのは残念な気持ちもあって。ライフスタイル全体を想像したときに、「京都のVermillionで働きたい」と思ってくれる人に来てほしいですね。

「いい会社やな」と冗談混じりに話す木村さん。従業員のワークライフバランスを考えるのは、Vermillionが終身雇用を前提としていないからでもあります。
木村
みんなが一生Vermillionにいるとは思ってないんです。僕らは従業員の人生に責任を取れないですし、どこかで抜けていく人の方がモチベーションがあって、成長しますしね。だから独立したい人は応援しますし、ノウハウも教えます。 実際にうちで働いてた子は、飛騨高山に店を出したんですよ。「最初からオリジナルはできへん。完コピから始めや」ってアドバイスしたら、ほんまにその通りにしよった(笑)
美和
独立した人たちのお店に行けるのはうれしいですね。どうしても日常は繰り返しになってしまうので、独立に限らず、「やってみたい」ことがある人を応援したいです。人生の中継点として、Vermillionの仕事を楽しんでほしいなと思います。

キッチンマネージャーに必要なのは「より良くしたい」気持ち
2025年には京都駅から徒歩10分、東本願寺の斜向かいに3号店「Vermillion – station.」をオープン。Vermillionでは店舗ごとではなく、全店舗を循環するようにシフトを組んでいますが、今回募集するキッチンマネージャーは、同店舗をメインで担当します。


キッチンマネージャーはメニュー開発や調理の他、スタッフのマネジメントなど、管理系の立場から店舗のフードを一手に担います。「Vermillion – station.」はオープンから約1年がたち、ようやく「この店らしさとは何か」を考える余裕が生まれた段階。まだまだ手探りが必要であり、その分高い自由度があります。
そうして最終的には「3店舗全体のフードを管轄してほしい」と、共同創業者の木村美和さんは期待を語ります。Vermillionとして一貫したものがありながら、各店舗に合った食事を出すのが理想です。
美和
現在Vermillionとして確立しつつあるのは、ブランチです。海外から来た方が故郷で食べているような、どこか安心できるメニュー。基本的には見た目で味が想像できるものであってほしいですが、そこに店舗ごとにどうプラスアルファを乗せるかは、ぜひ現場と話し合いながら模索してほしいです。
「Vermillion – station.」でキッチンマネージャーを務めるのが、2025年に入社した藤田アンナさんです。パティシエとしてお菓子を管轄しながら、シフト作りやスタッフ管理などのマネジメント業務を行っています。

季節によって入れ替わるお菓子のメニュー開発も藤田さんの担当です。
藤田
お店は自然素材を多く使った内装なので、お菓子もナチュラル素材で作っています。抹茶ブラウニーなど、海外で人気のお菓子に抹茶や黒ごまといった和の食材を合わせることが多いですね。季節のフルーツを使ったり、クリスマスなどのイベントに合わせたりと、新しいメニューを考えるのは仕事の中で一番楽しいです。
来店客の9割が外国人である伏見稲荷の店舗と違って、「Vermillion – station.」は日本人も訪れるお店です。ゴールデンウィークなどの連休には日本人が増え、平日は外国人が多い傾向にあり、時期によって客層が異なるからこそ、味のバランスに難しさがあります。
藤田
外国人は甘味とバターが多い味付けを好みますが、それだと日本人には重すぎます。最終的な味をどこに持っていくかはまだまだ試行錯誤中ですが、そのプロセスも楽しいですね。


キッチンマネージャーに向いているのは「より良くしたい気持ちがある人」と藤田さん。ポジティブに日々学びながら成長できることが大事だと続けます。
藤田
例えば、空気の乾燥によってパウンドケーキが固くなりやすい季節は、豆乳ヨーグルトを使ったり油を増やしたりと対策を考える。そうやって前日の自分を少しでも超えようとする意識が大切です。ヴィーガンやベジタリアンのお客さまも多いので、今後はそういう方に向けたお菓子も学んでいきたいと思っています。
お店で一緒に働きたいのは、周りへの気配りができる人。チームワークが必要であり、周囲を見ながら行動することが大切だと言います。
藤田
チームは困ったことをオープンに相談できる雰囲気です。何かあったらすぐに言う感じは海外っぽいかもしれません。私もドイツ育ちですし、海外経験がある人も多いので、価値観は似ている人が多い気がします。
チームワークはありつつも、それぞれがマイペースで、自立している雰囲気を感じます。メンバーのバックグラウンドが異なるからこそ、各々のペースを尊重する風土があるようです。

文化や背景が異なる来店客一人一人に、最適な対応を
今回募集するもう一つのポジションが、バリスタです。シフトに応じて3つの店舗を巡回しますが、コーヒーの提供を中心に、ホール業務や軽食の調理も行うのが基本業務です。
2019年に入社したバリスタの村石雄太さんは、元々は飲食未経験。以前は香港の日系企業で働いていましたが、コーヒー好きが高じてバリスタへの転身を決意しました。
村石
趣味とは違って、仕事では10杯中10杯をベストな状態で出せる技術が求められます。同じ値段のラテなのに、片方はふわふわで、もう片方がボソボソだったらお客さんは納得しません。特に伏見稲荷の店舗は混むので、スピード感と再現性が重要です。

入社後はホール業務からスタート。コーヒーへの理解度や技術レベルに応じたトレーニングを行い、約3カ月で一人でバリスタの仕事ができる状態を目指します。コーヒーの知見や技術はもちろんですが、「カフェ文化への理解があるといい」と村石さん。
村石
Vermillionはメルボルンのカフェ文化に影響を受けたお店です。日本の喫茶店の静かな空間で渋くコーヒーを淹れる空気感よりは砕けていて、もう少し動きがある。お客さんに対してもフレンドリーですし、海外の人が思う「アットホームなカフェ」の理解があると、スムーズに馴染めると思います。
オーストラリアや欧米、アジアの他、あまり耳馴染みのない国の人もお店を訪れます。日本らしからぬ空間で働けるのが面白さですが、一方で来店客それぞれの文化的な背景が異なる難しさも。
村石
外国人のお客さん全員に対してフレンドリーに接すればいいわけではなく、お客さんの雰囲気に応じた対応が必要です。例えばスペインやイタリアの人にとって、コーヒーはパッと飲むもの。会話を楽しむよりも、サッと商品を用意することが好まれます。そういう空気を読む力は求められると思います。
京都は、コーヒー文化が根付く街でもあります。他の場所と比べて「京都のコーヒー文化は独特」と、村石さんは表します。
村石
京都の人はコーヒーにこだわりがある人が多いように感じます。お気に入りのお店がある感じは、ヨーロッパっぽさもあるなと。また、「コーヒーとパン」「コーヒーと本屋」など、さまざまな組み合わせの業態があって、コーヒービジネスの広がり方にも他の地域との違いを感じます。伝統ある歴史的なものと、コーヒーという比較的新しい文化が共存しているのがユニークですね。

Vermillionは未完成で、未来は働く人次第
伏見稲荷と京都駅で、全3店舗を展開するVermillion。木村さん夫妻に今後の展望を聞くと、「集まってくる人次第」という答えが返ってきました。
木村
ウォルト・ディズニーは「ディズニーランドは永遠に完成しない」と言いましたが、Vermillionも常に未完成です。伸び代しかない分、自由度は相当高いので、これから入社する人と一緒にお店を作っていきたい。僕の言う通りにしてほしくないので、自分で考えて、説得力のあることをしてくれたらええなと思ってます。
未完成で、お店の未来は働く人次第。「世界中から人が集まる京都のカフェ」という特色を生かしてできることはたくさんありそうです。
木村
海外から日本に人が来るのは、やっぱり魅力があるから。そして、伝えきれてない魅力はまだまだたくさんあります。例えば、自動車やビール、デニム、ラーメンなど、外から入ってきた文化を独自に加工する日本の力はすごいなと思っていて。そういう日本の良さを伝えたいっていうプライドは強くあります。


100年以上続く茶店をルーツに持ちながら、メルボルンのカフェ文化を取り入れ、世界中の人を迎えるVermillion。その姿は、古いものと新しいもの、多様な文化が混ざり合う京都という街にもどこか重なります。
そして、この先は働く人次第。目の前の一杯や一皿、お店を訪れる人たちと向き合う日々の積み重ねが、Vermillionの次の景色をつくっていきます。未完成だからこそ、できることはたくさんある。そんな余白を楽しめる人が、この場所には似合いそうです。




執筆:天野 夏海
撮影:小黒 恵太朗
編集:北川 由依
求人募集要項
| 企業名・団体名 | 株式会社薬力亭 |
|---|---|
| 募集職種 | ①フードマネージャー ②ホールマネージャー・バリスタ(店舗運営管理責任者候補) |
| 雇用形態 | ①、②共に試用期間6か月。 面接後のトライアル勤務時は時給¥1200、交通費実費(1日上限¥1000) 採用後、試用期間中・本採用後の勤務条件に変更は無し。 |
| 仕事内容 | ① オーナーの直属のフード統括マネージャーとして、Vermillion3店舗のフード部門統括、各店舗にあったメニュー開発・調理を含む運営業務、スタッフマネジメント(パティシエを含むキッチン社員3名とパート・アルバイト5名)を担っていただきます。 昨年オープンしたばかりのVermillion - station.とVermillion - cafe.にて、フード設備を活かしたランチメニューの拡充と運営体制の強化が目標です。 ② ドリンクや軽食の提供、バリスタ業務(エスプレッソマシン・ハンドドリップ)※トレーニング有。 接客(国内外のお客様対応)、店舗清掃・衛生管理・在庫管理・発注など日々の店舗運営業務をお任せします。 アルバイト・パートスタッフの採用・教育も担っていただき、将来的にはより経営に関わる仕事もお任せします。 |
| 給与 | ① ・基本給33万円~(経験・スキル次第で提示給与が変わります) ・残業代別途支給(法定通り) ・半年ごとの人事考課により昇給あり(会社実績・個人の成果を評価) ・交通費支給(実費で1日上限1000円、1か月分の定期代を支給) ② ・基本給:25万円〜(経験・スキル次第で提示給与が変わります) ・残業代別途支給(法定通り) ・半年ごとの人事考課により昇給あり(会社実績・個人の成果を評価) ・交通費支給(実費で1日上限1000円、1か月分の定期代を支給) |
| 福利厚生 | ①、②共に社会保険完備 |
| 勤務地 | シフトにより、複数店舗での勤務をいただきます。 ① Vermillion - cafe. 京都市伏見区深草開土口町5‐31 Vermillion - station. 京都市下京区廿人講町15 ② Vermillion - cafe. 京都市伏見区深草開土口町5‐31 Vermillion - espresso bar & info. 京都市伏見区深草稲荷御前町85 Vermillion - station. 京都市下京区廿人講町15 |
| 勤務時間 | ① 午前6時~午後2時・午前7時~午後3時 ※店舗の営業時間により1時間程度前後します 勤務時間8時間(休憩を含む) ② 午前6時半~2時半 / 7時半〜午後3時半 / 午前8時~午後4時 ※出勤店舗の営業時間による 勤務時間8時間(休憩を含む) |
| 休日・休暇 | ①、②共に月9日公休 |
| 応募資格 | ① <募集要項> ・調理の知識とスキルを持ち、少なくとも5年以上の職務経験があること ・飲食店でのマネジメント経験がある方 <求める人物像> ・食べること、創ることに喜びを感じる方 ・思いやりをもってコミュニケーションがとれる ・リーダーとしてチームの力を引き出し、よりよい成果をだすことに尽力できる ・実行力・問題解決力がある ・異文化に興味のある方、海外就労・滞在の経験がある方歓迎 ・将来的なキャリア形成の中に独立も視野に入れているが、少なくとも3年以上はVermillionを牽引する主要メンバーとして活躍いただきたい ② <募集要項> ・飲食店やホスピタリティ、観光業での職務経験 ・異業種でもマネジメント経験のある方でキャリアチェンジを考えている方 ・バリスタ経験者優遇(未経験でも学意欲のある方歓迎) <求める人物像> ・日本語、英語対応ができる方(海外生活経験者優遇) ・チームワークを大切にできる方 ・Vermillionの理念やカフェ文化に共感する方 |
| 選考プロセス | 京都移住計画の応募フォームから応募 ↓ 書類選考 ↓ 1次面接(オンライン又は対面) ↓ 現場でのトライアル勤務・最終面接 ↓ 内定 |
| 面談場所 | 書類選考後、1次選考について、遠方にお住まいで対面が難しい場合、オンライン面接可。 |
| 参考リンク | https://www.vermillioncafe.com |


