募集終了2023.09.29

良い環境が良いアウトプットを生む。100年先を見据えたものづくり

京都・西陣にある、緑豊かな公園に面した一棟のビル。1階・2階はカフェになっています。

階段で3階へと上がると、キッチンスペースで何やら楽しそうに料理をしている人たちがいます。

彼らはカフェのスタッフではなく、実はデザイン会社で働く人たち。みんなで食べるためのお昼ごはんを準備していたのです。

株式会社マーブルは、グラフィックデザインを軸に、企業や店舗のブランディング、印刷物やWebなどあらゆる制作物を手がける会社です。カフェの運営やショッププロデュースも行っています。

このビルには、地下1階から3階までマーブルの自社店舗が入っていて、4階がオフィスになっています。現在マーブルでは、ここで一緒に働くWebエンジニアとグラフィックデザイナーを募集しています。

「社員のため」から始まった、多岐にわたる事業

マーブルの創業は1999年。代表取締役の長井秀文(ながい・ひでふみ)さんが大学院生の頃に、仲間と共にスタートしました。

長井さん

所属していたグラフィックデザインの研究室の一角を事務所代わりにして、「Marble T-shirt Factory」を立ち上げました。オリジナルTシャツを制作してオンラインで販売しているうちに、デザインの仕事にも少しずつ声がかかるようになり、Webサイトや印刷物の制作も手がけるようになったんです。

大学院卒業後は、西陣の小さな町家に事務所を構えることに。2007年には事務所を仏光寺高倉に移転し、「cafe marble」をオープン。カフェの2階をデザインチームのオフィスとしました。カフェを始めた理由を、長井さんはこう語ります。

長井さん

スタッフが休める場所を作りたいなと思って。アイデアが湧く瞬間って、リラックスしている時が多いじゃないですか。だから事務所と一緒にカフェを作ったんです。

もともとは社員のために作ったお店だったものの、「cafe marble」はあっという間に人気店に。2012年には2店舗目となる「cafe marble 智恵光院店」もオープンしました。

cafe marble 智恵光院店

その後も、コーヒーショップや焙煎所、クラフトビールの醸造所、バクテー専門店、雑貨・家具屋など、次々と新たな店舗を作ってきたマーブル。飲食事業がここまで広がっていったのはどうしてでしょうか。

長井さん

自分でもよくわからないです。常に何か作っていないと死んじゃうんでしょうね(笑)。

そう笑いながら、長井さんは「新しい店舗を作る理由は一つではない」と説明します。

長井さん

例えば「cafe marble 智恵光院店」は、仏光寺店の混雑を緩和させたい、子ども連れの方がゆっくりできる場所を作りたいという思いで作りました。ここなら隣が公園だし駐車スペースもあるので、ぴったりだなと。「こんなことをやりたいな」っていうアイデアは常にあって、それに最適な物件が見つかったら始める。そうやって店舗が増えていったんですよね。

クラフトビール醸造所「Bighand Bros. Brewery」のビール
コーヒー焙煎所「DRIP & DROP COFFEE ROASTERY」

デザインだけでなく飲食事業も手がけることは、会社の安定した経営にもつながっています。

長井さん

生き物も一緒ですけど、多様性のない組織は弱いと思うんですよ。結果論ですが、マーブルが20年以上続いてきたのは、複数の事業を行ってきたからという面もあるでしょうね。

50年、100年先を見据えたデザインを

マーブルは、企業や学校、公共機関など、多岐にわたるクライアントの仕事を手がけています。制作物を見せていただくと、あれもこれもマーブルの仕事だったのかと思わず驚いてしまいます。

印刷物、Webサイト、パッケージ、オリジナルグッズなど、アウトプットの形も多岐にわたる

中でも特に多いのが、京都の老舗企業です。20年ほど前、ある企業との仕事がきっかけで広がっていったそうです。

長井さん

ある老舗企業の広報物の制作をさせていただいた時、担当者の方に言われたんです。「伝統とか格式とか、そういうのは要らないんですよ。うちにはもうあるから。そうじゃなくて、長井さんが面白い、新しいと思うものを作ってください」って。

その言葉を聞いて、長井さんは自分の先入観に気づいたと振り返ります。

長井さん

めっちゃ恥ずかしかったです。僕はその会社のことを上辺しか見ずに、「老舗だから高級感や格式のあるデザインを」と思ってしまったんですよね。でも、老舗と呼ばれる企業は、その時代の最先端のことを常にやってきたからこそ、何百年もつづいているんだと気づきました。この経験がなかったら、今のマーブルはなかったかもしれませんね。

その後、この企業はマーブルの長年のクライアントに。そして、老舗との仕事の実績ができたことが会社としての信頼にもつながり、歴史のあるさまざまな企業との取引が広がっていきました。

日本茶専門店「一保堂茶舗」、無添加おだしの「うね乃」など、京都の老舗企業の制作物を多数手がける

東京や大阪にも多くのデザイン会社がある中で、京都だからこそできることもあるのでしょうか。

長井さん

それは明確にあると思います。東京と京都では、仕事の時間軸が全く違う。東京で仕事をしていたら、数ヶ月の短いスパンで結果を出すことが求められます。でも京都では、この先50年、100年経っても評価されるのか、それだけつづく商売になるのか、という指標で考えるんです。そういう仕事ができるのは京都ならではだし、これだけ多くの老舗と仕事をしているマーブルならではだと思います。

多種多様な人たちが、楽しく心地よく働ける環境

複数の事業を展開していること、老舗の仕事を多く手がけていることの他にも、マーブルには大きな特徴があります。それはユニークかつ充実した福利厚生の制度です。

例えば、勤務中の食事代は全額支給。冒頭でふれたように、みんなで一緒に作って食べる場合もあれば、自社店舗はもちろん、他店で食べてもすべて上限なしで支給されます。

毎週火曜には、京都府北部の伊根町からオフィスに魚が届く

長井さん

例えば、懐石料理店の仕事をする時に、全く食べたことがなかったら話にならないじゃないですか。スタッフのみんなには、安いものも高いものも、なるべくいろんなものを食べてもらいたいので、上限は設けていません。

他にも、デザイン書だけでなく雑誌やマンガも好きなだけ購入できる制度や、お誕生日にプレゼントを手配してくれる「お誕生日コンシェルジュ」など、マーブル独特の仕組みがたくさん。なぜここまで福利厚生に力を入れているのでしょうか。

長井さん

スタッフから「やりたい」と声が挙がったら、全部採用しているだけです(笑)。みんなが楽しく働くため、職場環境を良くするためだったら、「経費は湯水のごとく使え」といつも伝えているんですよ。

もともとはスタッフのための場所としてカフェを始めたように、「みんなが楽しく心地よく働けること」を常に大切にしていることが伝わってきます。そんな長井さんに、どんな人と一緒に働きたいか、どんな人がマーブルに向いているのか、尋ねてみました。

長井さん

採用では、現時点での能力よりも伸びしろを重視しています。例えばデザイナーなら、クライアントの話を聞き取る力や理解する力、考える力があるかどうか。いわば国語力が重要だと思いますね。エンジニアは、デザイナーとのやり取りが多いので、デザインに興味があってニュアンスや行間を読んでもらえる人だとありがたいですね。

職種ごとに求める能力や資質はあるものの、会社全体としては「多種多様な人がほしい」と長井さんはつづけます。

長井さん

会社は多様であればあるほど良いと思っています。デザイナーも料理人も、バリスタ、焙煎士、醸造家も、みんなで一緒にものをつくっていく。毎日が文化祭の前日みたいな雰囲気が好きなんですよ。

一見するとマーブルは、いろいろな事業を展開している会社かもしれません。でも長井さんは、あくまで「ものづくりの会社」であることは一貫していると語ります。

長井さん

デザインも料理も、ものづくりの一つ。マーブルはものづくりの会社で、必ずアウトプットするのが大原則です。だからこれからも、自分たちがつくりたいものを躊躇なくつくれる会社でありたいなと思っています。

たとえ効率が悪くても、常に新たなチャレンジを

つづいてお話を伺うのは、「Marble T-shirt Factory」の頃から長井さんと共に活動してきた太田洋晃(おおた・ひろあき)さん。長井さんとは大学の同級生だったそうです。

太田さん

僕は大学卒業後、制作会社に就職しました。長井は大学院に進んで、知り合いも何人か大学に残っていたので、仕事が終わったら研究室に遊びに行く生活を送っていましたね。その頃からTシャツの制作や販売、デザインの仕事も一緒にやっていました。

1年ほど経って会社を退職し、その後は家業の手伝いをしながら、研究室兼事務所に通っていた太田さん。長井さんが大学院を卒業して事務所を構えたタイミングで、本格的にマーブルの一員として活動するようになりました。

デザイナーとしてマーブルの数多くの仕事を手がけてきた太田さんですが、最近はディレクターとして関わる仕事が増えたと言います。チームを運営する際、どのようなことを心がけているのでしょうか。

太田さん

どの仕事でも、大なり小なり何かチャレンジをしたいと思っています。表現や技術の面で新しさを取り入れることもありますし、チームのメンバーの組み方や仕事の進め方で新しい挑戦をする場合もあります。

チャレンジをすることで、制作物のクオリティが上がったり、スタッフ一人ひとりの成長につながったりして、良いものが生まれると言います。

太田さん

毎回ゼロベースから始めるので、ある意味、効率は悪いかもしれません。でも、そこで得るものは大きいと思っています。だからスタッフには「今回、何をやりたい?」となるべく希望を聞くようにしていますね。

それぞれが自分らしいキャリアを築ける環境

ここからは、若手社員の2人にも加わっていただきます。お話を伺うのは、入社7年目の川崎杏菜(かわさき・あんな)さんと、入社3年目の林冠馨(りん・かんけい)さんです。

川崎さん

大阪の専門学校でグラフィックとWebを学び、新卒で入社しました。マーブルの作風が好きで、オープンカンパニーに参加したんです。オフィスを案内してもらって、会社やスタッフの方の雰囲気もいいなと思って応募しました。

川崎さん

林さん

私も新卒入社で、学生時代は台湾の大学と東京の専門学校でデザインの勉強をしていました。できるだけ新しいことをやってみたいと思っていたので、いろいろな仕事に挑戦できそうなマーブルへの入社を決めました。以前、京都の日本語学校に通っていて、もう一度京都に住んでみたいという気持ちもありましたね。

林さん

入社後はどんな仕事を経験してきたのでしょうか。

川崎さん

初めの頃は、デザインもコーディングも担当していました。でも2~3年経って、「どっちの成長も中途半端だな」と悩んでしまって。プロジェクトマネージャーに相談したら、「一度どちらかに決めてみたら?」とアドバイスをくれたんです。そこで、一旦コーディングをメインにすると決めたら、すごく心が楽になりました。以降は主にコーディングの仕事をしています。

川崎さんの話を聞いて、太田さんはこうつづけます。

太田さん

マーブルにはいろんな仕事があるので、その中で自分がうまくできることを見つけていってもらえたらいいかなと思います。川崎はデザインの仕事もした上で、コーディングの経験もかなり積んでいるので、引き出しはだいぶ増えているはずですよ。

川崎さんは他にも、採用担当やマンガ大臣、お誕生日コンシェルジュといった社内業務も担当しているそうです。

川崎さん

マンガ大臣は、スタッフからリクエストがあった本を購入したり、本棚を整理したり。お誕生日コンシェルジュは、スタッフの誕生日の1ヶ月前にメールを送って、プレゼント希望フォームにほしいものを書いてもらって手配します。それから、カフェの人と相談してケーキを用意して、プレゼントと一緒に渡してみんなでお祝いするんです。

全員分、毎回用意するのはけっこう大変では?と尋ねると、「楽しいですよ」と川崎さんは笑います。

川崎さん

人のリアクションを見るのが楽しいんです。サプライズのつもりが、全然バレていることもありますけど(笑)。自分が祝ってもらうより、人を祝うほうが好きですね。

自由な表現を育み、受け止める懐の深さ

林さんはこれまでどんな仕事を経験してきたのでしょうか。

林さん

紙・Webにかかわらず、さまざまなデザインを担当してきました。昨年は、バレーボールチームのマスコット制作に関わることができて、すごく楽しかったですね。ゼロからキャラクターをデザインして、着ぐるみまで作りました。

「試合を見に行くと最後にこの子が現れるんですよ!」とうれしそうに話す林さん。他には、マーブルが今年オープンしたバクテー専門店の仕事も担当したそうです。

林さん

Webサイトのデザインだけでなく、お店で使う器選びなどにも関わりました。入社する前は、店舗づくりに携わることは全然想像していませんでしたが、とても良い経験でしたし楽しかったです。

太田さん

店舗づくりはデザイナーにとってすごく勉強になると思いますね。自社店舗だからこそ、若手が自由に表現できる機会にもなっています。

バクテー専門店「BOO BOO BAKKUTTEH」(提供:マーブル)

いくつか制作事例が挙がったので、マーブルらしい事例について改めて3人に尋ねてみると、京都の日本茶専門店「一保堂茶舗」のWebサイトリニューアルの仕事を挙げてくれました。

太田さん

前のサイトもマーブルで制作していて、一昨年、約10年ぶりにリニューアルしました。Shopify というECプラットフォームを使っていますが、なるべく堅苦しい感じを出さないように作っています。Webではある程度決まった組み方やセオリーがあるんですけど、少し外したりずらしたりするのは意識しています。

「一保堂茶舗」のWebサイト

太田さんの話を聞いて、「特に林さんのデザインはめっちゃ自由ですよね」と川崎さん。「自由過ぎて……」と林さんが笑うと、太田さんと川崎さんが楽しそうに頷きます。3人のやり取りから、デザインチームの和気あいあいとした空気感が垣間見えます。

マーブルでは、紙のチームとWebのチームを分けておらず、デザイナーがどちらも担当しているからこそ、自由度の高い表現も生まれやすいのでしょう。

最後に、新しく仲間に加わる人に期待することを聞いてみました。

太田さん

エンジニアは、自由なデザインを受け止めてくれる懐の深い方だとうれしいですね。あとは、サーバーやシステムに強い方に来ていただけたら、社内の仕組みも一緒に整えていきたいと思っています。デザイナーもエンジニアも、楽しみながら新しいことにチャレンジできる方だとありがたいです。

川崎さん

新しい技術にも興味のあるエンジニアさんに来てもらえたら、コーディングの幅も広がりそうだなと思いますね。

デザイナーについて、何か付け加えることは?と尋ねると、「楽しい人、話しやすい人。一緒にお昼ごはんを食べるのが嫌いじゃない人」と林さん。すると川崎さんも「マーブルは家族的な付き合いになるので、それが苦じゃないというか、楽しめる人がいいですね」と笑顔で話してくれました。

マーブルの皆さんは、ただ仲が良いというだけでなく、お互いに思いやりを持って、楽しく心地よく働ける環境をみんなで作っているように感じます。そんな気遣いが、川崎さんが「家族的」と表現した雰囲気につながっているのかもしれません。そして、職場環境が良いからこそ、質の高いアウトプットを生み出しつづけられるのでしょう。

マーブルの皆さんのお話に共感し、ここで一緒にものづくりに携わっていきたいと感じた方は、ぜひチャレンジしてみてください。

編集:北川 由依
執筆:藤原 朋
撮影:岡安 いつ美

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