募集中2025.10.14

京都の酒場で「やりたい」をかなえる。酒八に根付く「自由」の在り方

「日本のクラフト酒類を世界へ」を掲げ、京都と東京を拠点に店舗を運営し、国内外から仕入れたクラフトビールと全国の日本酒を提供する酒八。同社では決められた仕事をこなすことよりも、自分の得意や興味を武器に「こんなお店にしたい」というこだわりを持つことが尊重されています。

そんな酒八では、京都を拠点に新しい挑戦を広げる仲間を募集中。代表の大東赳彦さんと「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」、レコードショップ&バー「Hachi」で働く社員のお二人にお話を聞いていくと、やりたいことを自由に描ける酒八のカルチャーが見えてきました。

客層や雰囲気は「働く人」で決まる

酒八のルーツは日本酒の蔵元です。約10年前に6代目の大東さんが屋号を継いだタイミングで株式会社化。日本酒とクラフトビールを提供するお店として、「before9」をオープンしました。

今は京都と東京にそれぞれ3店舗、合計6店舗を展開中です。「DIG THE LINE」として、ヨーロッパからのクラフトビールの輸入及び卸売販売を手掛け、オンラインストアも開設しています。

各店舗について、大東さんは「それぞれの個性がはっきりしている」と評します。その要因こそが店舗で働く「人」の存在です。

大東

飲食店舗はお店に立つ人の影響が大きいと思っています。カジュアルな空間ほど「この人が勧めてくれるなら飲んでみたい」と思えるような関係性が重要であり、働く人によってお客さまの層や雰囲気も変わってくる。酒八では幸いにもスタッフに恵まれ、一人ひとりが個性を生かしてお店をつくってくれていますね。

人と同じく、空間づくりも大切な要素。長く、その場所に根づいてほしいという願いを込め、「ここでしかできない体験」の提供を目指しています。

大東

各店舗が異なる空気感を持っているので、お客さまもそれぞれの店舗で違った楽しみ方をしてくださっているようです。東京のお客さまが京都の店舗に、京都のお客さまが東京の店舗に来てくださることもあり、そういう流れができているのは面白いなと思います。

「before9」はカウンター席とテーブル席に加え、カジュアルに座れる場所やスタンド席も用意。気軽にお酒を楽しめる。「ビールも日本酒も同じ醸造酒。『ビールの手軽さを取り入れた店舗で日本酒とクラフトビールを提案したら面白いのでは』と思ってできたのが、このお店です」(大東さん)

店舗スタッフは接客や調理といった一般的な飲食店業務に加え、店舗でのイベント企画も行います。それもまた「人」によって店舗のカラーが変わる理由の一つ。

例えば、「before9」では普段8つのタップで複数ブルワリーのビールを提供していますが、特定のブルワリーだけのビールを出すイベント「タップテイクオーバー」を毎月行っていました。

大東

ブルワリーの方にも来ていただいて、お客さまとみんなで楽しめるイベントでしたね。7年ほど続ける中で、私たちとブルワリーとの付き合いも深まりました。こういったイベントは現場主導で企画、実施できますので、個人の得意分野を生かし、今後もどんどん打ち出してほしいと思っています。

必要なのは「やりたいこと」を継続できる力

今回の採用は、店舗拡大による増員です。配属は採用人数や本人の特性、希望の働き方次第ですが、基本はまず「before9」で経験を積み、その後は「経営に近いポジションを担ってほしい」と大東さんは期待を明かします。

大東

現在は私が京都と東京を行き来しながら両方を見ていますが、今後は京都で幹部候補として横断的に動ける人材を1〜2人育てる予定です。組織づくりに興味がある人や、自由な発想で新規事業をやりたい人と出会い、ガバナンス面を厚くできると会社も安定すると考えています。私は京都の人間ですし、会社も京都から始まったので、地域に根ざしながらも違う視点を持つ人と巡り合えるといいなと思っています。

現状、経営に近い立場で全体を見るマネジャーは2人いるものの、どちらも拠点は東京です。だからこそ「チャンスは多い」と大東さん。

大東

今後は既存店を強化した上で、店舗展開も進める見込みです。既存店は全て私が企画しましたが、これからは社員に任せることも考えていますので、新規出店をマネジメントレベルで推進するチャンスもあると思います。そのためにも、まずは既存店で周囲を納得させられるだけの結果を出していただきたいですね。

現在はクラフトビールと日本酒を提供する飲食店舗を中心に展開していますが、中にはレコードショップ&バー「Hachi」といった毛色の違うお店も。店舗展開と一言でいっても、やれることの幅は広そうです。

大東

「Hachi」の場合、空間の居心地は音楽に大きく左右されるという考えから、音楽をデザインの一要素として店舗に落とし込んでいきました。それはお客さまに喜んでいただく工夫の一つ。ただお腹を満たしたい人、会話を楽しみたい人など、同じ「食べる・飲む」という行為にも人によって異なる体験がありますので、自分の興味や得意分野をお店に組み込む余地はたくさんがあると思っています。

酒八の6つの店舗は、それぞれ業態やカラーが異なります。それは各店舗のスタッフが得意なことを発揮し、自分の店舗に責任を持って運営しているから。だからこそ酒八では「やりたい」という意思を重視しています。

大東

与えられた環境を楽しむ主体性のある人にとって、酒八は面白い環境です。私がトップダウンで何かをすることはほとんどなく、基本的に店舗での日々の動きを随時報告してもらい、それを受けて対応するかたちです。なので遠慮せず、積極的に意見を言ってくれる人の方が向いていると思いますね。

自由な発想で仕事ができる環境を最大限に生かすには、責任感と継続も重要です。

大東

やりたいことがある人は多いですが、そこに責任を持ち続けられるかどうかは本人次第。私は失敗に対して怒ることはありませんが、「やると言ったのにやらない」ことについては強く言うかもしれません。結局のところ、継続して出力を出せる人間が最終的に経営に近い立場に立つのだと思います。

お互いの信頼関係があるから、やりたいことが自由にできる

自由な発想で、やりたいことを実現できる。そんな大東さんの言葉を裏付けるのが、実際に現場で働いている皆さんです。

今回取材したのは、ボトルショップとバーを併設した「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」で調理を担当する西森紗代さんと、レコードショップ&バー「Hachi」の店長を務める神谷勇人さん。

まずは「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」の西森さんにお話を聞きました。

西森さんは調理師の専門学校を卒業後、地元滋賀県の小料理屋などで経験を積んだのち、調理師学校の講師の助手として勤務。「再び現場に戻りたい」と思っていたところ、「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」のオープニングスタッフ募集を見つけ、2020年4月に入社しました。

西森

一からお店づくりに関わってみたかったですし、クラフトビールも面白そうだなと思いました。ただ、応募した当時は「アルバイトでいいかな」くらいの気持ちだったんです。それなのに居心地が良くて、気づいたら5年もたっていました(笑)

思いがけず長く働いている大きな理由の一つが、自由度の高さです。お店ではグランドメニューとは別に、17時から「本日のおすすめ」を提供しています。

西森

「本日のおすすめ」では主に常連さんに向けて、その日の自分が作りたい料理を出しています。「良い魚が入ったから使おう」「そういえば〇〇さんが食べたいと言っていたな」という感じでメニューを決めていて、完全に私の趣味ですね(笑)。「今日は何があるんだろう」と楽しみに来てくださる常連さんも多くて、うれしいです。


現在の主な客層はインバウンドを中心とした観光客と、地元の常連客。グランドメニューはクラフトビールに合う料理を中心に、フィッシュ&チップスや唐揚げなど外国人観光客向けの定番メニューも多い

料理のテーマやコンセプトは「全くない」と西森さんは笑顔を見せます。

西森

私は飽き性で、同じことをずっとやるのが苦手なんです。だから毎日いろいろなジャンルの新しい料理を作れるのはありがたいですね。もちろん会社として利益や原価率は考えていますが、おおらかな店長のおかげで楽しくやらせてもらっています。お互いの信頼関係があるからこそ、料理のことは任せてもらえているなと思います。

「自分がやりたいことを形にできるのが一番の魅力」と西森さん。それは「DIG THE LINE BOTTLE & BAR」だけでなく、酒八のお店に共通することだと言います。

西森

「これがやりたい」という気持ちが強くあれば、実現の方法はみんなで考えます。例えばもう一人いるキッチンスタッフは調理未経験でしたが、一通り仕事を覚えた頃に「パスタをやりたい」と言っていて。そうしたらイタリアン出身の店長が「教えようか?」となり、今では金曜日が「パスタの日」になっています。

西森さんが今後やりたいことは、お弁当とお寿司。「もともと和食をやっていたので、イベントとしてカウンターでお寿司のコースを出す日をつくれたらいいなと思っています。和食と合うビールもあるので、ペアリングも面白そうですね」(西森さん)

そして、コミュニケーションを楽しめることが大切だと続けます。

西森

うちのスタッフはみんなフレンドリーです。だから料理や飲食の経験よりも、「一緒に楽しく働けるか」が大事かな。常連さんはもちろん、そうじゃない方もカウンターから話しかけてくださることが多いので、元気で明るいとか、人と話すのが好きとか、そういう人が合っていると思います。

こだわりと説得力があれば、大抵のことが実現できる

次にお話を聞いたのは、レコードショップ&バー「Hachi」の店長を務める神谷勇人さん。横浜の大手レコードショップで約7年間働いたのち、2022年に京都へ移住。一人の顧客として「Hachi」を訪れたのが、酒八との最初の出会いでした。

神谷

横浜で通っていたお店や友人からおすすめのお店として「Hachi」の名前を聞いていて、最初はお客さんとしてお店に行きました。当時の店長に「今無職なんですよ」「前はレコード屋で働いていて」なんて言っていたら、ちょうどレコードを扱っていたスタッフが辞めるタイミングで。「それなら手伝ってよ」と誘われたのが、入社のきっかけです。

東京と京都の違いは「街のスピード感」と神谷さん。「東京や横浜では『話題にならなければ』という感覚が強く、求められるものも多い気がします。一方、京都は落ち着いていますね。最近は東京へ行っても『早く京都に帰りたい』と思うようになりました(笑)」(神谷さん)

「Hachi」は8畳ほどの小さなお店で、1階がバー、2階がレコードショップになっています。バーを切り盛りしながら、レコードのセレクト、仕入れ、販売を行うのが神谷さんの日常業務です。

神谷

前職のレコード屋では幅広い音楽を扱っていましたが、「Hachi」は規模が小さいので絞って取り扱わざるを得ません。僕はジャズが好きなので、今はジャズが多くなっていますね。お客さんとの距離も近く、「おすすめを教えて」「今流れている曲、買える?」みたいなやり取りも多いです。

(提供:酒八)
河原町五条に位置する「Hachi」。旧遊郭の余韻を残しつつ、近代洋館の意匠を纏った不思議な佇まいの京町家を改装した(提供:酒八)

酒八で働く面白さについて、神谷さんは「自由度が高くて、それを面白がってくれる環境」と話します。

神谷

会社のことはそれほど意識せず、「自分が作りたい空間を作る」ことをやらせてもらっている感覚です。それを面白がってくれるところが魅力ですね。裁量はかなり大きく、一般的にダメそうなことでも割と受け入れてもらえる印象です。

店舗を運営する上で数字の管理などやるべきことはあるものの、細かいオペレーションの指示などは「ない」と神谷さん。自分で考える範囲はかなり広く、意見も言いやすい雰囲気です。

神谷

コミュニケーションは取りやすいですね。やりたいことだけでなく、やりたくないことも伝えやすいです。もちろん大東さんにも譲れない部分はあると思いますが、僕も店に立つ人間としてやりたくないことはある。だから大東さんからの提案に「嫌です」と言うこともありますね。お店のことを考えたら、僕が健やかであることが何より大事だと思っているので(笑)

大東さんとは月に1回程度、現状報告を兼ねたミーティングを行う。「神谷は音楽やレコードに強みがあり、今は新店舗の音楽アレンジも任せています」(大東さん)

アイデア次第で何でもできる環境ですが、アイデアを実現するには「こだわりと説得力が必要」だと続けます。

神谷

各店舗に個性がある分、「そのお店でやる意味」が必要です。「こういうお店にしたい」というこだわりを持って、その必要性を説明する。それができれば、半ば独立しているような感覚で、いろいろなチャレンジができる会社だと思います。よほど無茶苦茶なことでない限り、「会社の考えに縛られて何もできない」なんてことはまずないですね。

例えば「Hachi」では「通常営業に注力したい」というこだわりから、これまで定期的に行っていたDJイベントを止めました。

神谷

売上や話題づくりの面で言えばイベントをやった方がいいのは分かっていますが、たまたまイベントの日に初めて来たお客さんにとって、翌日お店の雰囲気が全然違うのはあまり居心地が良くないと思うんです。常連さんを大切にするのはもちろんですが、初めて来た人も気兼ねなく過ごせるお店にしたいと思って、今は「イベントをやらない」という選択をしています。

実は、音楽バー発祥の地は日本。音楽好きの外国人旅行客にとって日本の音楽バーは観光コンテンツの一つであり、「寝る前や食事の前後に立ち寄ってくれる外国人のお客さんも多い」のだとか

各店舗のスタッフが「こういうお店にしたい」というこだわりを持ってお店を運営する。それが回り回って酒八全体の「らしさ」を形成しています。

神谷

例えば「Before9」から紹介されて「Hachi」に来た人の中には、雰囲気の違いからミスマッチを感じる人もいると思います。それは各店舗の個性がきちんと立っている証拠。同じ会社なのにそれだけ個性がバラバラなお店を展開しているのは、結構珍しいと思いますね。

京都だからこそのチャンスも

酒八で働く魅力として「自由度の高さ」を挙げた西森さんと神谷さん。会社員でありながら独立してお店を運営する人と同じような仕事をしている二人は、「独立を考えることはある?」という質問に対して、「独立する理由がない」と口をそろえます。

そんな環境だからこそ、酒八で問われるのは主体性です。自ら意思を持ち、積極的に動ける人にとって、「日本のクラフト酒類を世界へ」を掲げる酒八でやれることはたくさんあります。

そして、「京都だからこそのチャンスもある」と大東さん。

大東

事業を進めるにあたって、海外とのパイプを広げることも重要です。自分が常に店舗にいなくてもいい体制を築ければ、ヨーロッパなどへの出張を任せる可能性もありますし、京都という街の強みを生かして海外からゲストを招くこともできるでしょう。海外のビールシーンに詳しい人間もいますので、自分次第でいくらでも知見を身に付けられるはず。自分のやりたいことに全力を尽くせる人にとって、楽しい職場だと思います。

大東さんは「いつかは自社製品を持つことにもチャレンジしたい」と今後の展望を語ります。それは日本酒かもしれないし、あるいはクラフトビールかもしれません。

新しい店舗、海外との仕事、自社製品……と、既存店舗でのチャレンジはもちろん、今後新たな展開がいろいろありそうな酒八。クラフトビールや日本酒をキーワードにやりたいことをイメージできる人にとって、既存事業に止まらない自由な未来が描けそうです。

執筆:天野 夏海
撮影:進士 三紗
編集:北川 由依

求人募集要項

企業名・団体名株式会社酒八
募集職種店長候補・幹部候補
雇用形態正社員
試用期間:2〜3ヵ月試用期間内の月給(手当含む):28万円〜
*本人の能力や経験によって判断します
仕事内容・店舗運営業務全般をお任せします。
・所属店舗でのイベント企画業務
・将来的には、京都エリアマネージャーや新規事業へ関わっていただくことを期待します。
給与月給:300,000円〜500,000円
(残業代は、固定深夜残業代・固定深夜代として総額に含む)
内訳:30万円の場合(基本給 232,660円、固定深夜残業分(20時間)40,380円、固定深夜分(80時間) 26,960円)
*超過分については残業時間に応じて残業代を支給。
福利厚生各種社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)
昇給/店舗の実績による
交通費全額支給
研修制度あり
まかないあり
私服OK(個人のパーソナリティを尊重します)
染髪OK・髪型自由

入社時サポート:引越し費用や初期費用の補助・立替あり(社内規定あり)
社員旅行・訪問研修:国内外のクラフトビール醸造所や日本酒の蔵元への訪問あり
【例】2024年11月実施:東京スタッフで福知山や京都市内のクラフトビールを訪問
勤務地・京都
・東京の各拠点
https://sakahachi.jp
*ご希望を伺い、勤務地を決定します。
勤務時間8時間以上1時間の休憩(法定)
休日・休暇月8日休み(シフト制)
年末年始休暇
有給休暇
慶弔休暇
応募資格・店舗クライアント(お客様)へのホスピタリティのある方
・ご自分の裁量で自由に企画立案をしてみたい方
・主体的に周りを巻き込みながら、ご自分の仕事や生活を楽しんでいける方
・空間(店舗)を作っていくことや商材(食や酒)への情熱がある方
選考プロセス京都移住計画の応募フォームから応募

書類選考

1次選考

最終選考

内定

・面接当日はカジュアルな服装でお越しください。
・オンライン面接可
面談場所オンライン面接可能
参考リンク公式サイト

求人への応募・お問い合わせ

募集要項を見る

オススメの記事

記事一覧へ