京都移住計画での募集は終了いたしました
睡眠は人間が生きていくうえで欠かせないもの。しかし、「寝つきが良くない」「途中で目が覚めてしまう」など、睡眠に関する悩みを抱える人は少なくありません。人生のおよそ3分の1は睡眠時間が占めており、良質な睡眠をとることは生活の質を向上させることにもつながります。
京都には「快眠とくつろぎで世界を元気にする」をミッションに掲げ、お客さまの睡眠環境の改善に取り組む老舗の寝具メーカーがあります。それが大東寝具工業株式会社(以下、大東寝具)です。
前回の記事では、大東寝具が歩んできた歴史や現場で働く社員のみなさんの働き方についてご紹介しました。
約1年半が経ち、大東寝具では新たに接客・店舗運営に携わる仲間を募集することになりました。今回は2024年1月にオープンした四条烏丸店のお話を中心に、現在の大東寝具が見ている景色と、これから描いていく未来について伺います。
創業100周年を迎える老舗寝具メーカーの挑戦
1925年11月に「大東ふとん店」として創業し、布団の製造・販売を生業としてきた大東寝具。培ってきたものづくりの技術を活かし、寝具以外にもオリジナル商品の製造・販売を行ったり、海外にもオンラインショップや卸販売を展開したりと、「眠りとくつろぎ」にまつわるさまざまな事業に取り組んでいます。
そんな大東寝具は、2025年11月に創業100周年を迎えます。節目の年を迎えることについて、専務取締役である大東悠太(おおひがし・ゆうた)さんは「お客さまや従業員がいてこそ、ここまで続いた」と語ります。

悠太さん
前回、社長が話していた「三方よし、四方よし」。その「売り手よし、買い手よし、世間よし、未来よし」の方向性がひとつでも欠けていたら、今の大東寝具は無かったと思います。今後はますますお客さまや従業員みんなのために、という考え方を持たないと生き残れないだろうと感じています。
創業100周年を機に、さらに多くの方に大東寝具のことを知ってもらいたいと話す大東さん。2024年12月から2025年11月にかけて、お客さまの声をもとにした100周年限定アイテムや京都の老舗企業とコラボレーションした記念アイテムなどを開発し、会社全体で節目の年を盛り上げているのだそう。

大東寝具では枕や布団をはじめとした寝具だけでなく、パジャマやホームウェア、クッションなど「ねむりとくつろぎ」にまつわる商品を展開しています。直営店「ねむりの蔵」は、本社・工場が直結している京都伏見本店と、2024年1月にオープンした四条烏丸店の2店舗があります。
今回募集するのは、主に四条烏丸店の接客に携わるスタッフです。四条烏丸店は「京都伏見本店よりも交通アクセスが良く、気軽に立ち寄れるお店を作りたい」という想いから立ち上げられました。
築140年の京町屋をリノベーションした店内に一歩入ると、清潔感のある白を基調とした空間が広がります。2階には京町屋スタイルの寝室が再現されており、寝具のフィッティングができるようになっています。


悠太さん
ここに来たらなんだかホッとして、眠りの悩みを相談して元気になれそうだな、と思っていただける店にしたくて、内装にもこだわっています。床・壁の素材から窓、照明、温度、湿度など、空間全体をくつろげる環境に整えているんです。
当初、2階に置いていたベッドは1台だけでしたが、寝具の販売にもさらに力を入れていきたいとの想いから2台に増やしたのだそう。AIが姿勢解析技術で寝具のフィッティングを行う「fit Sleep(フィットスリープ)」システムもリリースして、より気軽に寝具選びができるようになりました。

悠太さん
大東寝具では、睡眠健康指導士の資格を持った“睡眠のプロ”が一対一でお客さまに向き合い、体に合った寝具をご提案します。「ここで選んでもらったんだから間違いない」と思っていただけるように、私たちもしっかりと知識を吸収し続けなければなりません。
四条烏丸店オープンから1年、さらなる展開を描く
四条烏丸店のオープンからは1年が経ち、お店の様子や業務の内容も少しずつ変化しています。この1年間について、大東さんはこう振り返ります。
悠太さん
良かったこととしては、海外からのお客さまが想定よりとても多く来てくださったこと。アクセスの良いところに出店したおかげで、来てくださる方が増えたと感じています。ただ、スタッフ全員が英語や中国語を話せるわけではないので、言語の壁は今後の課題になっています。

国内外からさまざまなお客さまが訪れる四条烏丸店。今は海外からのお客さまが半数を占めていますが、地域の方にも大東寝具のことをもっと知っていただきたい、という想いがあります。
悠太さん
準備が整ったら、「眠りのお悩み相談会」というような形で睡眠のワークショップを定期的に開催したいと思っています。イベントはお客さまの声を直接お聞きする機会になりますし、「あそこに行くと眠りの悩みが解消されるよ」と口コミで広げていただけたら、それが一番の集客につながります。そこはまだまだ力を入れていかなければならない部分ですね。

悠太さん
大東寝具のブランドアイテムも増やしたいですね。「京和晒綿紗(きょうわざらしめんしゃ)」シリーズやビーズクッション「tetra(テトラ)」など長く愛され続けているアイテムもありますが、もっともっとお客さまのお悩みを解決できるアイテムを作りたいんです。


実は、大東寝具には商品開発専門の部署は無いのだそうです。そんな中で、新商品のアイデアはどのようにして生み出されてきたのでしょうか。
悠太さん
自分たちが欲しいと思うもの、これがあったら楽だろうなと思うものが一番。お客さまに「こういうの作れない?」と言われることもあります。大東寝具の強みの1つは、そういったアイデアをすぐに形にできる職人さんがいて、自社工場があること。作ってみようとなったら開発チームを立ち上げ、形にしていきます。

こうして試行錯誤を繰り返して生まれたのが、いま店頭に並んでいるオリジナル商品たちです。大東さんは「もっと柔軟に商品開発ができる体制を整えていきたい」と続けます。
悠太さん
“快眠とくつろぎで世界を元気にする睡眠のプロ集団”として、さまざまな角度からお客さまのお悩み解決のご提案ができるよう、さらに展開を広げていきたいんです。そのためにはやはり、大東寝具のビジョンに共感してくれる仲間づくりが欠かせません。

悠太さん
大東寝具は少人数で製造から小売、卸販売まで担う小さい会社です。だからこそ、店舗や部署の垣根を越えて、日頃からしっかりコミュニケーションを取る必要があります。これから入社される方も、自分の担当業務の枠だけに留まるのではなく、社内を広い目で見て“架け橋”になれる人に来てもらえたら嬉しいですね。
なお、正社員として入社される方には「ゆくゆくは店長として四条烏丸店をお任せしたい」と考えているのだそう。
悠太さん
もちろん、すぐに店長の仕事をお任せするわけではありません。まずは商品や睡眠に関する知識を身に付けて、大東寝具のビジョンをしっかりと理解していただくことが大切です。その上で店舗運営をお任せできたらと思っています。
自分が感じたことを、自分の言葉で話す
四条烏丸店で働くスタッフのみなさんは、オープンからのこの1年でどのようなことを感じてきたのでしょうか。ここからは、四条烏丸店で接客や店舗運営に携わる藤橋(ふじはし)さんにお話を伺います。

藤橋さんは四条烏丸店のオープンと同時期に入社し、パートとして週5日勤務する中で、接客や店舗の備品管理などを担当しています。以前はカフェでの接客や、お茶を取り扱う会社で茶器の販売をしており、寝具に関わる仕事は初めてなのだそう。
藤橋さん
日本製の素材や手づくりにこだわった商品を作っている会社で働きたいと考えていて、そのときに出会ったのが大東寝具の求人でした。面接に行くととても温かく迎え入れてくださって、リラックスしていろいろお話しできたのが印象的だったんです。社内の雰囲気もすごく良くて、ここで働けたらいいなと思ったんです。
実際に入社した後もその印象は変わらず、むしろ想像以上にアットホームで温かい会社だと感じているのだとか。気軽に声をかけ合えたり、席を外して戻ってくるとデスクにそっとお菓子が置いてあったりして、「会社の同僚というよりも家族のような雰囲気がある」と藤橋さんは微笑みます。

以前は寝具類にはあまり興味が無かったという藤橋さんですが、今ではお客さまに大東寝具の商品の魅力を伝える接客・販売のお仕事をしています。そのコツを伺うと「自分で使ってみて感じたことを、自分の言葉で話すこと」だと話してくれました。
藤橋さん
こういうときに使いやすいとか、こういう特徴があるから心地良く使えるとか、日頃使っていて気付いたポイントをお伝えするとご理解いただきやすいですね。お客さまに「あのお店良かったね」と思い出していただけるような、大切な記憶の一部になれたらいいな、と思いながら接客しています。
藤橋さんに四条烏丸店で働く面白さはどのようなところにあるのかと尋ねてみると、こんな答えが返ってきました。
藤橋さん
海外をはじめ、遠方から来られるお客さまもいれば、ご近所の方が立ち寄ってくださることもあります。お客さまの年齢層も幅広いですし、日々いろんな方とお話ができて面白い場所だと思います。四条烏丸店は今、より良い方向を目指して少しずつ変化している途中です。だからこそ、柔軟な考え方を持ってフットワーク軽く行動できる人なら、ここでのお仕事も楽しめるのではないでしょうか。
海外への展開も広げていきたい
続いて、四条烏丸店と京都伏見本店を兼任して接客を担当しつつ、海外向けのオンラインショップや卸販売事業にも携わる徐(じょ)さんにもお話を伺いました。
台湾出身の徐さんは京都の日本語学校へ留学し、学校の先生からの紹介で大東寝具へ入社しました。「老舗の布団屋と聞いて調べてみたら、京都っぽいところだしすごく良い会社」だと感じたそうです。

徐さん
台湾ではライターや編集者の仕事をしていましたが、日本で同じ仕事をするには日本語のレベルがまだ足りなくて。他にどんな仕事がしたいかな、と考えてたどり着いたのが、自社商品を販売する会社で働くことでした。ライターの仕事とはまた違った形で、自分が良いと感じた素敵なものを人に伝える、そういう仕事ができたらと思ったんです。
2024年4月から新卒として入社し、約1年が経つ徐さん。この1年間で日本語の勉強を続けながら仕事の知識まで身に付けていくのは「正直、とても大変でした」と笑います。
徐さん
本社の倉庫で商品を実際に触ったり、先輩方が接客するのを横で聞いたり、パジャマやタオルのたたみ方も覚えなければなりません。お客さまへのご説明の仕方は、英語と日本語でメモを作って先輩方にチェックしていただき、それを見ながら覚えています。とにかくいろんな方法で知識を頭に入れていきました。

徐さん
でも、先輩方がとても優しいので、そんなに大きな苦労は感じていないんですよ。分からないことがあるとサポートしてくださって、質問にも何度でも答えてくださいます。日本語で接客するときは敬語が難しいですが、先輩方の話し方を聞きながら学んでいます。
大東寝具にはさまざまなオリジナル商品がある中、徐さんが特に気に入っているというのが「京和晒綿紗」シリーズのアイテム。伝統的な和晒製法で作られた布を使用した、ガーゼ生地のパジャマやタオル、寝具、ベビーグッズなどが販売されているシリーズです。

徐さん
パジャマの中にも色落ちしにくいカラーがあったり、ガーゼ生地が二層のものと三層のものがあったりしますので、お客さま一人ひとりに合ったものをおすすめしています。ビーズクッションの「tetra(テトラ)」もカバー生地の種類がたくさんありますので、お客さまのお住まいの環境を伺って、最適だと思うものをご提案します。私の説明で納得してお買い上げいただけると、達成感がありますね。

最後に、徐さんのこれからの目標について伺いました。
徐さん
私の目標は、母国である台湾に大東寝具工業の支店を開拓することです。国の調査によれば、日本を訪れる台湾の人の数は、他国の人の数と比べてかなり多いそうです。でも、お店に来られるお客さまや、オンラインショップ利用者の中には、台湾の人はすごく少ないんですよ。だからこそ、台湾で大東寝具のブランドの知名度を高めていくことに挑戦したいと思っています。
世界を元気にすることは、目の前のお客さまに向き合うこと
大東寝具のミッションは「快眠とくつろぎで世界を元気にする」ことです。世界を元気にするというと、なんだか果てしない夢のように聞こえます。しかし、その一歩一歩を紐解いてみると、目の前のお客さまに真摯に向き合い、眠りのお悩みを解消するために力を尽くす社員の皆さんの姿が見えてきました。
創業100周年を迎え、また新たなステージへと向かって歩みを進める大東寝具。その未来に興味を持った方は、“睡眠のプロ”としてお客さまの快眠とくつろぎをサポートし、世界を元気にするお仕事に挑戦してみませんか。

執筆:鶴留 彩花
撮影:進士 三紗
編集:北川 由依




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