募集終了2024.03.08

お坊さんが立ち上げた電力ベンチャーで、世の中を「ほっ」と照らす電気を届ける

京都に拠点を置く電力会社「テラエナジー」は、お坊さんが創業したベンチャー企業。環境問題の観点からも再生可能エネルギー由来の電力を取り扱い、寄付つきの電力事業を行う裏側で、つらい気持ちを抱えた人たちを支える居場所づくりに力を注ぐ、ユニークな会社です。

主力事業では、2016年の電力自由化に伴い、市場に新しい動きがもたらされた新電力(小売電気事業者)ならではのビジネスモデルで、一般家庭や法人向けに「応援する喜び」を実感できる寄付つき電気を販売。ヨーロッパの先駆的な事例を参考にして、ソーシャルグッドな循環を生み出す電力事業をおこなっています。

今回は、最先端の技術を取り入れた新規事業での法人営業職と、テラエナジーの電力を使用しているお客様に対応するカスタマーサポート、2つの職種を募集することになりました。

世の中を「ほっ」と明るくする仕組みをつくるテラエナジー

雪の舞う景色がよく似合う、京都河原町駅近くの京町家。ここは、テラエナジーのメンバーの一人がオーナーを務めるレンタルスペースで、シェアオフィスとして利用しているのだそうです。

お互いのことを「本人が呼ばれたい名前で呼ぶ」というテラエナジー。まずは、代表取締役の「たけさん」こと竹本了悟(たけもと・りょうご)さんに、会社概要をお聞きします。

テラエナジーは、環境問題や居場所づくり、コミュニティづくりに関心を持っていた、3人のお坊さんによって立ち上げられました。背景には、それぞれの活動のなかで感じていた、非営利団体運営の課題があったのだそうです。

竹本さんは以前から、僧侶としての仕事の傍らで認定NPO法人「京都自死・自殺相談センターSotto」を運営してきました。

「Sottoでは『死にたいくらいつらい気持ちを持つ方の心の居場所づくり』をおこなっています。私自身も小学校3年生のころにいじめに遭い、『なんのために生きるんだろう』という思いを抱いていた経験が、活動を始めたきっかけのひとつです」

Sottoは、限られた広報活動しか行っていないにも関わらず、電話やメール相談はパンク状態。「死にたい気持ちを抱えた方」が集まり、お話しや食事などをおこなう場である「おでんの会」も、毎月の受付開始後すぐに満席という状況が続いているのだそう。

こうしたつらい気持ちを抱えた人々の心の支えになりたいと、運営に携わるボランティアたちの想いも強い一方で、非営利での活動は資金面の壁によって、活動の頻度や場が限られてしまっていました。

そんな時、竹本さんがある勉強会をきっかけに知ったのが、電力自由化が進んだドイツ発の「シュタットベルケ」という取り組みです。シュタットベルケは、継続した収入源となるインフラ事業で収益を得て、その収益を街づくりや地域の人が喜ぶサービスに還元するという方法で運営されています。

「例えば、路線バスが赤字で廃止になり、高齢者の交通手段がなくなり困っていた地域では、まちの人が電力会社を起業し、その収益を路線バスの復活に使って、今では無料でバスを走らせているんです。日本でも電力自由化が始まったタイミングだったので、この仕組みを活用すれば、非営利組織を資金面で支えられるのではないかとひらめきました」

日本では2016年にスタートした「電力自由化」。それまで各地域で特定の電力会社からしか購入できなかった電気を、新電力とよばれる小売電気事業者からも購入できるようになり、消費者は自身の価値観やライフスタイルなどにあわせて電力会社を選択できるようになったばかりのタイミングでした。

「この新たな制度を活かすことができれば、非営利組織を応援することができるのでは」と考えた竹本さんたちは、2018年、テラエナジーを創業。一般家庭や法人向けに、電気を販売する“新電力”として「テラエナジーでんき」のサービス提供を開始しました。

お客さんは、テラエナジーと提携する団体を意味する「ほっと資産」のなかから、応援したい団体を選ぶことができ、事業の収益から2.5%が選択した団体の活動に寄付される仕組みです。
また、温室効果ガスであるCO2をできるだけ出さないエネルギーを使うことが電力会社の責務だと考え、再生可能エネルギー由来の電気にこだわっています。

これまでの大手電力事業者のあり方とは異なる方法で、新しい時代の潮流を見据えながら事業を推進するテラエナジー。竹本さん、テラエナジーの目指す未来に、どういったビジョンを描いているのでしょうか。

「やっぱり、想いは変わらず『居場所づくり』ですね。僕自身は起業するとも思っていなかったし、まさか電力事業をやるとは思ってもいませんでした。非営利であっても価値のある活動を行う団体を支える手段として今の形があります。今までもこれからも、つらい思いを抱えた人がいつでも引き込もれるような場所を用意していきたいと思います。従業員のみんなにとっても、テラエナジーがのびのびとして居られる場所であったらいいですね」

新たな市場を開拓する法人営業と、テラエナジーのファンをつくるカスタマーサポートを募集

つづいて、今回の2つの求人募集について詳しくお聞きします。

まずは法人営業について。世界的に電力市場の改革が進むなか、日本でも2024年4月から法人間で「電力需給のバランスを維持したり周波数制御を行ったりするのに欠かせない電気の『調整力』を売買する『需給調整市場』」が本格化。この動きにあわせ、テラエナジーは先進技術を用いた新規事業に踏み込むため、メンバーを拡大します。

法人営業担当は、どのような業務を担うのでしょうか。

「法人営業は、基本的に新規に法人契約していただく企業やお寺を対象に、見積もりから契約締結、さらに締結後のフォローまでを一貫して担当します。既存顧客へのフォローも契約を続けていただくための大切な役割です。さらに今後は、新たに始まる需給調整市場の最前線で事業を開拓していきます」

「ここでは専門的な情報は割愛しますが、大規模な工業機器・冷蔵施設・蓄電池などを持っている企業が、関西電力送配電や、東京電力パワーグリッドなどの送配電事業者を通じて、エリアで不足している電気の調整力を提供することで、日本全体での電力供給がより安定します。火力発電と比べて安定性が低くなってしまう再生可能エネルギーの利用を増やしていく上で、この技術はとても重要です。このスキームの導入支援を、技術開発が進む欧州アイルランド系のITテクノロジー企業と協業して推進していきます」

これまで「買うだけ」であった電気が、電力事業者以外の法人も売り買いができるようになる、まったく新しい市場が開かれていくのだそう。日本ではまだ前例のない制度を活用した、最先端の技術を用いた事業。欧州企業との連携や、電力会社・官公庁とのコミュニケーションも担うポジションで、スケールの大きな営業活動を担います。

つづいて、カスタマーサポートの業務内容を紹介します。

「カスタマーサポートでは、テラエナジーでんきを一般家庭や法人でご利用のお客様への対応をおこないます。新規契約をご検討中のお客様や、すでにご利用いただいているお客様からのお問合せにお答えするということがメインの業務です」

テラエナジーは小売業者という立ち位置のため、お客さんが困っているときに一対一で丁寧にフォローし、信頼してもらえるような関係づくりを大切にしています。

新しく入社される方にはどんなことを期待されているのでしょうか。

「楽しみながら人とコミュニケーションをとりたいという姿勢があるといいですね。例えば、トラブルが発生したときも、お客さんにファンになってもらえるチャンスと捉えるようなマインドを持ってもらえると嬉しいです」

テラエナジーの理念や価値観に共感する方であれば、電力事業の業界未経験であってもまったく問題はないとのこと。

「特殊な業種なので専門用語も多いですが、慣れるまで時間がかかることも理解しています。どちらの職種もしっかりとサポート体制をとっているので、電力事業の知識がなくても入社後に勉強していけば大丈夫です。
新しい制度や最先端の技術を活用しながら、環境や社会によりよい仕組みづくりを実現していきたいという方に、ぜひおすすめしたいです」

一般家庭も法人も、テラエナジーの想いに共感した人々のクチコミがベースで広がっているため、飛び込みやテレアポなどは一切行っていません。

今回の募集は顧客対応などの際に京都への出社ができる方が対象ですが、基本はリモートワーク。法人営業の場合、関西圏外の企業とのお取り引きは、用件に応じてオンライン会議と出張訪問とを柔軟に組み合わせながらの対応を行っています。出社時は、取材場所にもなったシェアオフィス「ソイコレ」か、西京極の本社へ勤務することになります。

「未来のためにできること」と日々向き合える仕事

つづいて、法人営業マネージャーの東(ひがし)さんにお話しを聞きます。

東さんは、損害保険会社で営業事務として勤務後、専業主婦を経て2019年にテラエナジーへ入社。電力事業や営業担当は未経験でのスタートでした。

「息子が小学校6年生のとき、少子高齢化や気候変動についてのテレビ番組を見て『未来が明るく思えない』という言葉をこぼしました。子どもたちにそのように思わせてしまっていることに衝撃を受け、『自分たちの世代の問題意識が低く、解決へ向けて十分に動けていなかった結果だ』と感じたのが最初のきっかけだと思います」

エコバックやマイボトルの使用といった家庭でできる活動のほかに、もっと社会の役に立てる方法はないだろうかと思いながら過ごしているなかでテラエナジーを知ったのが、入社のきっかけになったのだそうです。

「再生可能エネルギーを使用していることや、寄付つきの電気ということへの共感と、お坊さんが事業をやっているということへの驚き、自宅から近かったのもあり、勝手に運命を感じて応募しました」

書類選考に通ったものの、事前課題を用意するためのパソコンスキルにも自信がなく、諦めかけていたときに、「やる前に諦めるの」と資料作りのアドバイスをして、背中を押してくれたのも、当時高校生になった息子さんでした。

その甲斐もあって入社に至り、はじめはバックオフィス担当として勤務。体制変更などを経て現在は法人営業のマネージャーとして、企業やお寺の新規契約や既存顧客の対応を担っています。

「テラエナジーでは、企業から電力切り替えのお問合せをいただくことが多いです。その際は、オンライン会議や訪問を通じて事業紹介をしたうえで、見積もりのご説明をし、契約の手続きまでを担当しています。その他、既存顧客からの電力使用や請求書に関するお問合せの対応、請求や契約の窓口も担当し、必要に応じてバックオフィスのチームへ繋ぐというフローになっています」

テラエナジーの理念に共感した企業が、社会貢献の取り組みの一環として契約に至ることが多く、このことは東さんにとっても大きなやりがいに繋がっているそうです。

入社当初は「新電力」という概念もほとんど認知されていない時期。以前勤務していた大手企業とは異なるベンチャーならではの変化も経験してきました。

「テラエナジーは、電力業界であっても、安定というよりは冒険や変革を目指す企業です。経営面でチャレンジングな時期や、個人的にも大手とベンチャーのギャップに苦しんだ時期がありました。制度面の変化にも柔軟に対応する必要があり、難しさを感じたこともあります。それでもやっぱり、『再エネ』で『寄付つきでんき』というところに強く共感しているし、つながりが広がっていく未来を作っていきたいという想いは、揺るがず持ち続けています」

「これからも革新的な新規事業がスタートします。私自身も、ずっと自信があったわけではないけれど、『なんとかなってきた』と感じます。知識はこれから得ていけることだと思うし、みんなで支援しあえる環境です。『ちょっと面白そう』『ちょっとやってみたい』という共感が芽生えた方にぜひ、チャレンジしてもらえたら嬉しいです」

一歩一歩、いい未来になっているというやりがい

最後に、神島(かみじま)さんにお話を伺います。

神島さんはシステムエンジニアからキャリアチェンジし、テラエナジーに入社。今はプロジェクトマネージャーとして、京都市と共同で「神社仏閣の脱炭素化」を進めており、テラエナジーのカスタマーサポートの育成も担当しています。

もともと東京や栃木を拠点に働いていましたが、テラエナジーへの入社をきっかけに京都へ移住したそうです。

「コロナ禍もあって東京から地元の栃木に戻ってきたのですが、フルリモートで一日中パソコンの前で仕事をすることに、だんだんワクワク感がなくなってきてしまって。『自分の仕事は誰の役に立っているんだろう』という疑問を感じ、転職を考え始めました。そのころに偶然、東さんのインタビュー記事を読んで、私も誰かのためになる仕事・未来に繋がる仕事をしたいと感じたことや、私も実家がお寺なので、お坊さんが立ち上げた会社だということにも魅力を感じ応募しました。『ここで働きたい!』という気持ちが湧き出て、京都へ移住することも未知の世界に飛び込むようでドキドキワクワクしましたね」

カスタマーサポート職で入社した場合、どのように仕事を覚えていくことになるのでしょうか。

「基本はマンツーマンでレクチャーしながら覚えていただきます。最初のうちはできるだけ対面でサポートしながら、試用期間の3カ月ほどで業務の全体像を覚えていただくことを想定しています。慣れていただいたら自宅でのリモートワークなども増やしつつ、困ったことがあれば適宜コミュニケーションをとりながら業務を進めてもらいます」

丁寧なレクチャーと実践を重ねながら、未経験の方も安心してカスタマーサポート対応に臨むことができます。

「テラエナジーでんきのお客さんは、理念や価値観に共感してくださっていることもあり、優しい方ばかりです」

入社2年が経った今、神島さんは、どのような時に仕事の面白さを感じているのでしょうか。

「『仕事をしていて楽しいという気持ちを大事にしたい』と思っています。この仕事はメンバーも仕事内容も常にワクワクや楽しさであふれているし、仕事を通して未来に貢献できている実感があります。新しいことや変化が楽しめる人におすすめしたいです」

写真提供:テラエナジー
写真提供:テラエナジー
新しい古着の循環の仕組みを広げるリユースの祭典「循環フェス」や、京北で開催されるアート・クラフト・世界の音楽会「ツクル森」では、アート体験・太陽光でスマホ充電・手回し発電体験などを出展しました(写真提供:テラエナジー)

神島さんに、テラエナジーの社風についても聞いてみました。

「一緒にご飯に行くことや、イベントごとに集まるのが好きな人が多く、『行きたい人はみんないこー! 行きたくなかったらいいよー!』という感じで、一体感はあるけれども、適度な距離感もあるという社風です。一人でいることも認めてくれるし、一緒にいたいと思った人のことも尊重してくれるのは、安心感があります」

お互いに自然体で、それぞれの選択を尊重する文化。個々人が主体性を持ち、お互いの意見を否定することはなく、尊重しながら対話で決めていくということを大切にしています。

「電気」から始まる、やさしさの循環をつくりませんか?

私たちの生活を支えるインフラ事業で、地球環境を守ることに貢献しながら、志ある団体の活動を支えるテラエナジー。

そこには、これまでのビジネスの在り方や制限にとらわれず、温かい心とクリエイティブな発想で、さまざまな課題を解決していくチームの姿がありました。社内でも、お互いを尊重し合える居場所づくりのために、一人ひとりが主体性と思いやりの両方を大切にしています。

再生可能エネルギーや環境問題への関心がある方、IT技術を使った革新的なビジネスへの取り組みや、「仕組みをつくる」ことで人と人とのつながりを生み出すことに興味を持った方。

京都から、これからの時代を「ほっ」と照らす、あたたかい価値を広める仲間になりませんか?

編集:北川 由依
執筆:弓削 智恵美
撮影:中田 絢子


募集終了

オススメの記事

記事一覧へ