渡月橋、天龍寺、竹林の小径。国内外の人々で賑わう嵐山の観光エリアから、さらに北へと進むと、愛宕山の麓にある嵯峨鳥居本(さがとりいもと)と呼ばれる地域にたどり着きます。
この地に2025年7月にオープンした「ADASHINO HOUSE(あだしのハウス)」は、1964(昭和39)年の創業以来、和紙製品を企画・販売してきた株式会社尚雅堂(しょうがどう)による初の直営店です。伝統的建造物群保存地区の一角にある、およそ築100年の町家を活用した建物で、和紙商品の展示・販売を行っています。


京都移住計画では、2023年に尚雅堂の皆さんを取材し、これまでの歩みや新たなチャレンジについてお話を伺いました。あれから約3年。若い世代のメンバーが増え、2代目から3代目への事業承継も徐々に進む中で、今回は営業職と店舗スタッフとして働く仲間を募集します。
思いを継ぐ次世代が加わり、事業がさらに拡大
色紙短冊・和本帖の卸問屋として創業した尚雅堂。しかし、時代の流れと共に需要が減っていくことに危機感を抱いた2代目社長・松尾安浩(まつお・やすひろ)さんは、伝統的な技術や素材を生かしながら、現代の暮らしに溶け込むデザインの和文具を展開し、試行錯誤しつつ事業を拡大してきました。
その姿を見て育った長男の松尾洸太朗(まつお・こうたろう)さんは、2024年に尚雅堂に入社。営業を中心に、商品企画や事業づくりにも広く携わっています。

洸太朗さん
子どもの頃、母が用事で出かけるときに、会社に預けられる機会がよくあったんです。だから、自分にとって尚雅堂はいつも生活圏内にある身近な存在でした。祖父が創業者で、長男が父、その長男が僕なので、会社を継ぐことは生まれたときから決まっていたようなもので(笑)。祖父にも昔から言われていましたね。
大学卒業後は、東京で就職した洸太朗さん。「いずれ家業に入ったときに、掛け算になるようなスキルを身に付けたい」と、IT系企業2社で経験を積み、京都に帰ってきました。
洸太朗さん
結婚して子どもが生まれ、東京での子育ては難しいなと感じて、コロナ禍に京都に引っ越しました。その後、祖父が亡くなったのがきっかけで、家業に入ることになりました。
同じ頃、妹の菜々子さんも関東から京都に戻り、尚雅堂の仕事に深く携わるように。その前年に営業職として入社した鷲尾大輔(わしお・だいすけ)さんも含め、若い世代のメンバーが増えつつあります。

この数年、会社の業績は右肩上がりで、昨年は過去最高益を記録しました。その背景には、ブランディングを目的とした新規開拓営業と、裾野を広げるための問屋とのコミュニケーション強化があります。
洸太朗さん
僕と鷲尾の2人で、僕らが「かっこいい」と思うお店に置いてもらうための営業に力を入れています。ただ、それはブランディングが目的であって売上自体はそれほど大きくないので、町の文具店や書店に裾野を広げていくために、全国の問屋さんとのコミュニケーションも強化しています。また、父が始めたホテルや美術館からのOEMも順調で、収益につながっていますね。

2025年に「ADASHINO HOUSE」をオープンしたことも、この数年の間の大きな変化の一つ。初の直営店はどのような意図で生まれたのでしょうか。
洸太朗さん
尚雅堂には膨大なラインアップがあり、展示会やイベントに出展しても、ごく一部の商品しか並べられません。出展できるタイミングも年に数回程度です。だから、常時開設しているショールームとしてこの場所を作りました。あわせて一般向けのショップとしての機能も持たせています。
さらに、今年から新商品として友禅和紙を使ったペンダントライトを展開するなど、文具や雑貨だけでなく領域を広げつつあります。
洸太朗さん
伝統的な技術や素材を生かして、インテリアやアパレルなど新たな領域でも商品企画やコラボレーションをしていけたらと考えています。これから入社する方は、そうやって事業が広がっていくプロセスにも携わってもらえるので、きっと面白いんじゃないかなと思いますね。

伝統を未来につなぐ。その思いに共感する人と働きたい
こうして事業が拡大していく中で、今回の人材募集に至ったと話す洸太朗さん。ITインフラの整備など、テクノロジーによるリソース不足の解決も試みているものの、「人がいればもっとできるはず」と思う場面が多いと言います。
洸太朗さん
例えば問屋さんとのコネクション強化については、地方の問屋の営業担当の方に同行して一緒に店舗を回る活動を1年ほど前から始めていて。問屋さんとのコミュニケーションを増やすことで、尚雅堂の商品をお店にプッシュしてもらえる機会が増えるなど、着実に成果が出ています。だから営業のメンバーを増やして、もっと力を入れていきたいんです。
営業職に求めるスキルや経験について尋ねると、メールや電話、PC操作、資料作成といった基本的なビジネススキルがあれば、経験は問わないとのこと。
洸太朗さん
僕も鷲尾も営業経験はなかったので。苦手なことがあってもいい、失敗してもいいので、トライできる人に来てもらえるとうれしいですね。僕たちのように規模が小さい会社では、何か1つに特化するよりオールラウンド型の働き方が求められます。そこに対する拒否感がなく、何でもチャレンジする姿勢が重要だと思っています。

営業職とあわせて、店舗で接客販売を担当するアルバイトスタッフも募集しています。現在は社員のメンバーで店舗業務を分担しているため、新たにスタッフを採用することで、営業にもっとリソースを割きたいという背景があります。店舗スタッフとしてはどのような人を求めているのでしょうか。
洸太朗さん
店舗のお客さまは約9割が外国人なので、日本語+第2言語を話せる人だとありがたいです。さまざまな国の人がいるので英語以外でも構いませんし、「今は流暢に話せないけど、ここで働くことを成長の機会と捉えて頑張りたい」という人でも大丈夫です。

営業職も店舗スタッフも、商品やデザイン、伝統文化に関心を持っていることはもちろん、表層的な部分だけではなく、「尚雅堂の思いや価値観に共感する人に来てもらえたら」と洸太朗さんは続けます。
洸太朗さん
伝統文化を現代にフィットするものとして編集しなおしている尚雅堂は、昔と今をつなぐ回路のような存在です。お客さまにはあくまで「かっこいい」「かわいい」という感情で商品を手に取ってもらって、その結果として伝統文化が残っていってほしい。そうやって伝統を未来につなぐことが、尚雅堂の存在意義だと思っています。その考え方に共感してくれる人と一緒に働きたいですね。
仕事を通じて、自身の暮らしもより豊かに
ここからは、洸太朗さんと共に営業の仕事に携わっている鷲尾大輔さんにもお話を伺います。前職ではシステムエンジニアだった鷲尾さんは、京都移住計画の記事で尚雅堂を知り、2023年に入社しました。
鷲尾さん
以前はエンジニアとして、公共機関や中小企業のシステム提案などを担当していました。でも、自分が力になりたいと思う企業に入って、事業に関わりながらシステムの仕事もするほうが楽しく働けるのではないかと考え始めて。そんなときに尚雅堂を知り、「こんなかっこいい商品を作っている会社があるんだ!」と興味を持ちました。記事を読んで、どんな人たちとどんなふうに働くのか想像できたことも、応募の後押しになりました。

営業職に対して、ノルマに追われるイメージがあったという鷲尾さん。しかし、面接で松尾社長と話した際に、印象ががらりと変わったと話します。
鷲尾さん
社長から「売上も大事だけど、まずはファンを増やしてほしい。尚雅堂のファン、鷲尾くんのファンが増えたら、おのずと数字は付いてくるよ」と言われて。その考え方が素敵だなと思って入社を決めました。
現在、鷲尾さんは営業職として、取引先のバイヤーとのやり取り、OEM製品の制作進行管理などを担当しています。並行して、勤怠管理ツールやチャットツールの導入など、ITスキルを生かした業務も担っています。

鷲尾さん
営業の仕事で特に多いのは、新店やポップアップの売り場づくりです。お客さまの要望をヒアリングし、取り扱う商品のラインアップやディスプレイを提案します。一度納品して終わりではなく、売れ行きを見ながら継続的に調整も行います。
OEMに関しては、鷲尾さんは昨年、京都のプロスポーツチームのグッズ制作を担当。今までは松尾社長が主に受け持っていたOEM案件に、自ら手を挙げて挑戦したそうです。
鷲尾さん
商談会でスポーツチームのグッズ担当の方と知り合ったことがきっかけで、チームカラーを友禅和紙で表現したオリジナル御朱印帖を制作することになりました。何度も打合せを重ねて、ヒアリング、製造先の選定、サンプルづくり、製造、納品まで、商品づくりの一連の流れを初めて経験でき、とても達成感がありましたね。

他にも、印象に残っている仕事として、新規開拓営業がきっかけで商品開発につながったケースも挙げてくれました。飛び込み営業をしたお店で、仕入れ担当者とコミュニケーションを取り、ポップアップなどを通して関係性を築いていくうちに、先方から商品の提案があったと言います。
鷲尾さん
ある日、担当の方から「尚雅堂さんの友禅紙でシステム手帳のインデックスを作ったらどうですか?絶対売れますよ」と言われて、端材をお渡ししたら自らサンプルまで作ってくれて。実は、社内には手帳ユーザーがいなくて、最初はみんなピンと来なかったんです(笑)。でも、そのサンプルがめっちゃかわいかったので、社内会議ですぐに商品化が決まりました。

「伝統文化を現代の暮らしの中に」という尚雅堂の思いを、担当の方が理解した上で提案してくれたことがうれしかったと笑顔で話す鷲尾さん。お客さまとしっかりコミュニケーションを取ってきたからこそ生まれた商品であることがよくわかります。
鷲尾さん
この仕事がきっかけで、僕もシステム手帳を使い始めたんです。スポーツチームのグッズを作ってからは、そのチームの試合をよく見に行くようになりました。そうやって仕事の影響で生活が変わったり、興味の幅が広がったりするのが、すごく楽しくて。尚雅堂で働く魅力の1つだなと思いますね。

暮らしに溶け込む伝統文化を自ら体現しながらいきいきと働く鷲尾さんに、今後について尋ねると、こんなふうに思いを語ってくれました。
鷲尾さん
僕は金沢出身で、伝統文化を身近に感じて育ちました。尚雅堂で働く中で、職人の高齢化や後継者不足といった問題の深刻さを実感しています。尚雅堂のブランド力が上がり、適正な価格で販売できれば、職人さんにも還元できるし若い世代も育っていくはず。この仕事を通して、自分なりに伝統文化に貢献していけたらと思っています。
自分の得意や興味を生かしてチャレンジできる場
続いて、洸太朗さんの妹の松尾菜々子(まつお・ななこ)さんにもお話を伺います。学生の頃から尚雅堂の仕事を手伝っていたという菜々子さんは、大学卒業後、関東での約1年の会社員生活を経て京都に戻り、現在は別の仕事と掛け持ちしながら週の半分ほど尚雅堂の業務に携わっています。

菜々子さん
学生時代からずっと、商品のピッキングや展示会での接客を手伝っていて。徐々に関わりが増え、今の働き方になりました。もともと雑貨が好きで、大学生のときにアルバイトしていた雑貨店でも尚雅堂の商品を扱っていたので、いつか家業に入ろうと思っていたというより、家業に関わらない未来はあまり想像できなかったという感じですね。
現在は、週に1回ほど店舗での接客を担当しながら、商品撮影やSNSなど幅広い業務を担っている菜々子さん。「ADASHINO HOUSE」ができてからの尚雅堂の変化について、どのように感じているのでしょうか。

菜々子さん
これまでは展示会で「お店はどこにあるんですか?」と聞かれても、お取引先の文具店や書店を案内することしかできなくて。全商品を見ていただける場所ができたことで、お客さまとの関わりが広がったのが良かったなと感じています。お店のオープン日には、横浜からわざわざ来てくださった方もいたんですよ。タッチポイントを増やし、ファンづくりにつなげていくという意味でも重要な場所だと思います。
ヨーロッパの人には伝統的な柄が人気で、アメリカやアジアの人たちからはネオンカラーを用いた商品が好まれるなど、店舗での接客を通じて国や地域による違いも見えてきたのだとか。「お客さまについて知る場所でもあり、ここでの気づきは海外展開の提案にも生かせるはず」と話します。

今回募集する店舗スタッフの主な仕事内容は、接客やレジ、品出し、ラッピングなど。基本的な業務に慣れてきたら、季節ごとの企画・ディスプレイや売上分析、お店のSNSなどにも一緒に取り組んでいきたいと考えているそうです。
菜々子さん
私も学生時代のアルバイト先で、自分が担当する棚の商品のセレクトや発注、ディスプレイ、売上分析まで行っていました。この経験は、その後の就活や仕事でも生かされたと私自身も感じているので、学生さんに楽しみながらチャレンジしてもらえるといいなと思っています。
決まった業務をただ行うのではなく、多岐にわたる挑戦ができる職場。文具や雑貨、デザイン、伝統文化に関心のある人は、きっと大きなやりがいを持って働けるはずです。
菜々子さん
京都の小さな会社だからこそ、伝統工芸の職人さんや第一線で活躍するデザイナーなど、さまざまな人と関わりを持てる可能性があるのも魅力だと思います。パートで働いている人たちの意見もどんどん取り入れているし、すごく風通しの良い会社だと思うので、これから仲間に加わる方にも自分の強みややりたいことを生かして楽しく働いてほしいですね。

伝統文化を現代の暮らしの中に。そんな松尾社長の思いが、次世代に受け継がれ、さらに発展していることがしっかりと伝わってきた今回の取材。これから仲間に加わる人が、事業成長のプロセスに主体的に関わっていける、今の事業フェーズならではの魅力も感じられました。
デザインや伝統文化に関心のある人ならきっと、尚雅堂での仕事を通して、自分自身の暮らしも豊かに彩られていくことでしょう。尚雅堂の皆さんの思いに共感した人は、ぜひチャレンジしてみてください。




執筆:藤原 朋
撮影:小黒 恵太朗
編集:北川 由依
求人募集要項
| 企業名・団体名 | 株式会社尚雅堂 |
|---|---|
| 募集職種 | ①営業 ②直営店 販売スタッフ |
| 雇用形態 | ①正社員(試用期間3ヶ月:雇用条件に変化なし) ②アルバイト・パート |
| 仕事内容 | ①尚雅堂のオリジナル製品(和紙小物、文房具、雑貨など)を、日本全国、そして世界へ広める役割です。 ・既存取引先(百貨店、セレクトショップ、ライフスタイルショップ等)への提案・フォロー ・新規販路の開拓 ・展示会の企画・運営・接客 ・お客様の声をもとにした、商品企画へのフィードバック ② 店頭での接客・レジ対応 商品の陳列・補充、売場ディスプレイ 商品の包装・ラッピング対応 店内清掃・開店/閉店作業 SNS用の簡単な写真撮影・投稿(希望者) 商品知識の習得(友禅紙・和文具など) |
| 給与 | ①年収:320〜500万(基本給:22万円〜) ※これまでの経験、スキル、前職の給与などを考慮し、面談の上で決定します。 ※試用期間あり(3ヶ月:その間の待遇に変動なし) 昇給: 年1回(8月) 賞与: 年2回(夏・冬) ※業績による 諸手当: ・残業手当(全額支給:残業時間に応じて1分単位で計算) ・通勤手当 ・出張手当 ・宿泊費補助 ②時給 1150円 |
| 福利厚生 | ① 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険) 交通費支給(上限あり:月額2万円まで ※要確認) 残業手当(全額支給。1分単位で計算します) 社員割引制度 ② 交通費支給(店舗規定による) 社内割引制度 あり |
| 勤務地 | ①本社(京都府京都市右京区太秦門田町 4-1) ②直営店 ADASHINO HOUSE(京都府京都市右京区嵯峨鳥居本六反町 18番地) |
| 勤務時間 | ①勤務時間:9:00~18:00 休憩時間:12:00~13:00 ②勤務時間 10:00~17:00(1日4~6時間) 休憩時間 内1時間 曜日・時間応相談 |
| 休日・休暇 | ① ■週休2日制(土・日)、祝日 ■休暇制度: ・夏季休暇(お盆休み) ・年末年始休暇 ・有給休暇 ・慶弔休暇 ・産前産後休業 ・育児休業 ■備考: 展示会やイベント、直営店(ADASHINO HOUSE等)の応援などで休日出勤が発生する場合があります。その際は、必ず平日に振替休日を取得していただきます。 ② ■週休2~4日(シフト制) ※土日祝に勤務できる方歓迎。 ※希望休の相談も可能です。 |
| 応募資格 | ① 〈Must:必須条件〉 ・尚雅堂の理念への共感: デザイン、アート、ものづくりに深い興味がある方 ・基本的なPCスキル: Word、Excel、メール送信(報告書や見積作成ができるレベル) ・社会人マナー: 礼儀正しく、誠実なコミュニケーションができる方 ・主体性: 決められたことだけでなく、自ら考え動ける方 〈Want:歓迎条件〉 ・Google Workspaceの実務経験 ・Canva等を用いた、簡単なデザインスキル ・法人営業、または接客販売の経験 ・企画、制作、ディレクション経験 ・語学力(英語・中国語など) ・普通自動車免許 ② <歓迎する人物像> 人と話すことが好きで、丁寧な接客ができる方 英語をはじめとした外国語での簡単な接客ができる方(話せなくても学ぶ意欲があればOK) 文具、デザイン、和紙、工芸などに興味がある方 販売・接客経験のある方歓迎、未経験でも丁寧にサポートします 観光地での接客に興味がある方 チームワークを大切にできる方 <学生さんも働きやすい環境です> 授業やテスト期間中はシフトの相談OK 学業との両立を応援します 観光地での仕事を通じて実践的な語学力も伸ばせます <求める勤務スタイル> 土日祝に勤務できる方は特に歓迎 1日4〜6時間、週2〜4日程度から相談可能 |
| 選考プロセス | 書類選考 ↓ カジュアル面談(オンライン) ↓ 最終選考 ↓ 内定 |
| 面談場所 | カジュアル面談:オンライン 最終選考:本社 |
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