京都府の南西に位置する長岡京市。京都市内から電車で約10分、大阪から約30分という便利な場所にありながら、市の中心部から少し離れるとのどかな田園風景や住宅地が広がる住みやすいまちです。

今回ご紹介する株式会社シライは、この地で1957(昭和32)年に創業。「美しい仕事」を経営理念に掲げ、壁のクロス工事や床工事、窓周りのカーテンやブラインドといった内装仕上げ工事を手がけています。
シライでは現在、営業職と職人を募集しています。「業界を担う若い世代を育てたい」と未経験者も積極的に採用しているので、建築やインテリア、ものづくりに関心のある方はぜひ読んでみてください。

「美しい仕事」を実現する技術とチーム力
長岡京で65年以上にわたって事業を営んできたシライ。創業者である祖母、二代目の父から事業を継ぎ、三代目として代表取締役を務めている白井みな(しらい・みな)さんは、会社の成り立ちについてこう話します。
白井さん
私の祖母が自宅で布団の縫製業を営んでいたのがシライの始まり。その後、現在の場所に工場を構えた昭和32年を創業の年としています。昭和40年代になると、布団の生産拠点が中国に移って国内の生産量が減ってしまったため、先代社長の父と先代専務の叔父が「何か他の事業を」と考えて取り組んだのが、内装仕上げ工事でした。父の同級生に工務店を経営している方が多かったので、そのつながりで内装業を始めたようです。

現在、シライが施工を手がけるのは、新築のマンションやホテル、学校や図書館といった公共施設、病院や介護施設など、多岐にわたります。個人宅のリフォームを請け負うこともありますが、大規模な現場のほうが多いそうです。
白井さん
シライでは私を除いて社員9名が働いていて、うち2人は職人です。また、専属契約の職人が15人いるので、大きな現場を動かすことができます。また、営業担当が職人や現場監督と密にやり取りをして、責任を持って品質・納期管理をすることで、お客さまの負担を軽減できるのも強みです。

そして何より一番の強みは、職人の技術。シライの職人は「手がいい」とお客さまから言われることが多いと、白井さんは笑顔で語ります。
白井さん
私たちの仕事は、建物の内側のビジュアルを美しく仕上げること。建築工事の最後の工程を担うので、私は「メイクアップ」と表現することもありますね。シライは「美しい仕事」という言葉を経営理念に掲げています。そのためにみんなで頑張るし、だからお客さまから選ばれている。でも、「美しい」とはただ仕上がりがきれいだという意味ではありません。きれいで高品質な仕事をするのはもちろん、納期をきちんと守ることや、コミュニケーションを取ってチームで気持ちよく働くことも、私たちが目指す「美しい仕事」なんです。

より働きやすい会社を目指して社内改革を推進
自動車メーカー勤務を経てシライに入社し、先代社長の急逝をきっかけに2016年に代表取締役に就任した白井さん。祖母と父の思いを受け継いで「美しい仕事」を追求しながら、社内の改革にも精力的に取り組んできました。
白井さん
1日のうち、通勤時間なども含めると仕事に関わる時間って長いですよね。だから、みんなができるだけ気持ちよく快適に働ける環境を整えるのが、経営者の役割かなと思っています。代表就任後は、就業規則や人事評価制度の見直しなど、いくつもの改革に取り組んできました。例えば就業規則は、定年を60歳から65歳に引き上げ、再雇用も積極的に行うことにしました。
ESG経営や社会課題の解決を目指す企業を評価・認証する「ソーシャル企業認証制度(通称:S認証)」や、防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業省が認定する「事業継続力強化計画」を取得するといったチャレンジも。これらは対外的なアピールだけでなく、「社員が自分の会社に誇りを持つことやモチベーション向上につながれば」という思いで取り組んできたと言います。

また、先代が社内での情報開示をほとんどしていなかったことに疑問を感じていた白井さんは、代替わりを経て経営指針を改めて定め、経営状況や給与体系について社員に説明する場を設けるなど、情報の開示に努めてきました。すると、そんな白井さんの姿を見て、社員からの積極的な提案が増えていったそうです。
白井さん
社員から「情報を共有したいので営業会議をしてほしい」との声があり、月に1回集まって会議をすることになりました。先代の頃は、会議がない会社だったんですよ。今は会議の場で、各現場の進捗や職人手配の状況といった情報共有ができるようになりました。また、2024年7月から完全週休2日制に移行したのも、社員からの提案がきっかけ。「週休2日にしたほうが若い人が入社しやすくなるんじゃないか」という意見を聞いて決断しました。社員が採用のことを考えて提案してくれるなんて素晴らしいなと思って、すごくうれしかったですね。

白井さんのお話から、みんなで一緒に良い会社を作っていこうという社内の意識が高まっていることが感じられます。シライはこの先、どんな会社になっていくのでしょうか。
白井さん
目標は100年企業。社内が和気あいあいとした良い雰囲気なので、この雰囲気のままで会社がずっと続いていけばいいなと思っています。別に業態は変わってもいいんです。もし社内で「こんなことをやりたい」という声があれば、新規事業を始めてもいい。そうやって時代の変化に柔軟に対応していける会社でありたいですね。会社がずっと続いていって、それぞれが年齢やライフステージに合った働き方で仕事を長く続けられたら素敵だなと思います。
接客で培ったコミュニケーション力を営業職に生かす
ここからは現場で働く社員の方たちにもお話を伺います。1人目は、営業職で入社2年目の宮井孝浩(みやい・たかひろ)さん。飲食店でアルバイトをしていたとき、系列店で働いていた白井さんの息子さんと知り合って仲良くなったのが入社のきっかけでした。
宮井さん
そろそろ就職をと考えていた頃に、たまたま息子さんから聞いてシライの存在を知って。人の生活に不可欠な衣食住に関わる仕事がしたかったことと、建築の写真を撮るのが好きだったこともあって、シライの事業に興味を持ちました。飲食店で長く働いていて、次も人と接する仕事がいいなと考えていたので、営業職をやってみたいと思いました。

業種も職種も未経験からのスタートだった宮井さんですが、どうやって仕事を覚えていったのでしょうか。
宮井さん
まずは現場を知るのが1番だということで、先輩に付いて現場に行くところから始めました。清掃や整理整頓、材料の搬出入といったお手伝いをしながら、施工の流れを教わって。初めて自分で担当を持ったのは、入社して1年ほど経った頃。テナントビルの店舗の壁と床の施工をする現場でした。最初は先輩にも同行してもらいつつ、基本的には自分で考えて動いて、わからないことがあれば先輩に聞くという形で、なんとか最後までやり遂げました。

現在は、営業職としていくつかの工務店を担当している宮井さん。お客さまの予算や要望に合わせて施工や材料を提案して、見積書を作成、契約が成立したら材料や職人を手配し、施工現場を管理して完成後の引き渡しまで行うという一連の仕事を担っています。
「まだ慣れないので、なかなかスムーズにはいかないことばかりですね」と笑う宮井さんですが、現場でのこんなエピソードを教えてくれました。
宮井さん
僕は心配性なので「これで足りるかな。これも要るかな」と気になって、あれこれ用意するんです。あるとき現場で職人さんに「○○ある?」と聞かれて、「持って来てます」と答えると、「さすが、わかってきてるやん」と言ってくれてうれしかったですね。

何気ないやり取りから、宮井さんと職人さんとの信頼関係がしっかりと築かれていることが伝わってきます。職人さんや工務店の人たちとコミュニケーションを取る上で、何か心がけていることはあるのでしょうか。
宮井さん
特に気を付けていることはないです。いや、ないことはないと思うんですけど。飲食業で働いていろんな人と接していたので、そのクセで無意識に気を遣っているのかもしれません。
飲食業から内装業へ、全く違う業種への転職のように思えますが、接客で培われたコミュニケーション力は営業職でも生かされているのでしょう。「心配性」な性格も、各方面に配慮しながら円滑に現場を進めるためには大切な素質なのかもしれません。
グレーの世界に色が付いていく喜びと達成感
つづいて、入社5年目の稲田真弓(いなだ・まゆみ)さんにもお話を伺います。稲田さんは職人見習いとして入社し、現在は職人として働きながら営業や広報など幅広い業務を担当しています。
稲田さん
前職はホテルで接客の仕事をしていたのですが、「手に職を付けたい」と思って転職を考えていました。もともと私はDIYが好きだったので、「内装仕上げの仕事に合うかもしれない」と思った知人が白井さんを紹介してくれたんです。

入社後は、シライの専属として長年働いているベテランのクロス職人の弟子として現場へ。親方の作業をすぐそばで見て手伝いながら、パテを塗ってボードの継ぎ目を埋める作業、下地をペーパーで削って滑らかにする作業、クロスに糊付けして貼っていく作業など、一つずつ覚えていったそうです。
稲田さん
独り立ちできるまで1年半から2年くらいはかかりましたね。自分では何となくできているつもりでも、仕上がりの美しさとスピードを両立させてこそプロなので、そのレベルにはなかなか至らなくて。プロの仕事をとことん教えてもらったと思います。

マンションや公共施設はもちろん、お寺の納骨堂やユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションなど、特殊な現場も経験してきた稲田さんは、クロス職人の仕事について楽しそうにこう話します。
稲田さん
現場も毎回違うし、施工をしていると毎日景色が変化していくので、本当に飽きないです。クロスを貼ると、モルタルのグレーだった世界にどんどん色が付いていくんですよ。すごく達成感がありますし、個人宅のリフォームだとエンドユーザーさんから直接「ありがとう」と言っていただけるのもうれしいですね。
さらなるスキルアップを目指して、今年は壁装に関する「表装技能士2級」に挑戦し、見事合格。「試験のための勉強会では、素晴らしい職人さんにもたくさん出会えたんですよ」と目を輝かせて語る稲田さんから、努力を重ねてきたからこそ滲み出る自信が感じられます。

適性やライフステージに合わせた働き方を
3年ほど現場をしっかりと経験したあと、営業も担当するようになった稲田さん。「営業として携わることで全体の流れが理解できるようになり、その経験が現場でも生かされています」と話します。
さらに、1年ほど前からは広報業務として会社のインスタグラムの運用も担当することに。もともとSNSで発信するのが好きだったのかな?と思って尋ねてみると、意外な答えが返ってきました。
稲田さん
私はどちらかというとSNSには疎いほうで。インスタは、クロス職人の親方に勧められて個人のアカウントで発信を始めたのがきっかけなんです。親方は「女性の職人が働く姿を見たら、自分もやってみようかなと思う女性が増えるかもしれない」と思ったみたいで。私は「えーめんどくさい」って最初はしぶしぶだったんですけど(笑)。でもインスタがきっかけで全国の建築業の人たちとつながれたので、やってみて良かったなと思っています。
ちなみに、稲田さんは職人をしながら営業や広報にも仕事の幅を広げていますが、職人のキャリアパスにはさまざまな選択肢があります。シライの社員として職人を続ける道のほか、独立してシライの仕事を請け負う働き方も。専属契約の職人のうち3人は、シライで修業をして巣立った職人だそうです。
また、二児の母である稲田さんが活躍しているように、ライフステージに合わせた柔軟な働き方も可能。子どもの学校行事に合わせて休んだり早退したりと、時間の融通が利きやすいため、子育て中でも安心して働けそうです。

宮井さんも稲田さんも、異業種からこの業界に飛び込み、自分の興味関心やこれまでの経験を生かしながら、いきいきと楽しそうに働いている姿が印象的でした。社員の皆さんが良い表情で仕事をしているのはきっと、「みんなが気持ちよく働ける環境を整えたい」「業界を担う次の世代を育てたい」という白井さんの思いが少しずつ実を結んでいるからでしょう。記事を読んで内装仕上げ工事の世界に興味を持った人は、ぜひ一歩踏み出してみてください。
執筆:藤原 朋
撮影:小黒 恵太朗
編集:北川 由依




求人募集要項
企業名・団体名 | 株式会社シライ |
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募集職種 | ①営業 ②内装仕上げ職人 |
雇用形態 | ①正社員(試用期間6ヶ月、試用期間中は基本給のみ支給) ②正社員(試用期間6ヶ月、試用期間前後の勤務条件の変更なし) |
仕事内容 | ①営業 ・主に、既存のお取引先であるゼネコンや工務店に対して提案営業を行います。 ・施工方法の提案や、打ち合わせ、見積の作成、工事の手配、完成後のフォローを担当。 ★リピートや紹介のお客様が多いのでテレアポや飛び込みなどの新規開拓はありません。もちろんノルマもありません。 ②内装仕上げ職人 ・内装を仕上げる(空間をメイクアップしていく)仕事です。 ・大学やホテル、マンションなど様々な施設の壁紙を貼り、床材の施工を行い、美しい空間づくりを行います。 より詳細な仕事内容を知りたい方はこちら |
給与 | ①基本給 170,000円(経験に応じて最大250,000円) 試用期間終了後は、固定残業代11時間分15,000円(最大22,000円)、外勤手当10,000円、精勤手当(遅刻・欠勤のない社員)3,000円 ②基本給 170,000円~ 経験者の方は250,000円まで応談 |
福利厚生 | マイカー通勤可能、駐車場無料・ドリンクサーバー有(会社に戻ってホッと一息ついていただくために用意しました!)・健康診断(年1回) ・2024年12月1日よりベネフィットワンの福利厚生サービス |
勤務地 | 事務所:京都府長岡京市長法寺北溝口4-1(転勤はありません) |
勤務時間 | 8時30分~17時 休憩:90分(午前15分、昼休み60分、午後15分) |
休日・休暇 | ・完全週休2日制(土・日・祝日が休み) ※工事が休日に行われる場合は、出勤することもあります。 ・会社カレンダーによる(年末年始連続7日、夏期連続4日) ・6か月経過後の年次有給休暇日数10日 |
応募資格 | ①営業 ・営業未経験でも可能 ・接客業の経験者など、お客様とコミュニケーションを取ることが好きな方 ・誠実に仕事や人に向き合える方 ②内装仕上げ職人 ・DIYなど、ものづくりに興味がある方 ・手に職をつけて、美しい空間をつくることに興味がある方 ・誠実に仕事や人に向き合える方 ★当社では、試用期間終了後、社員一人ひとりに業務用の社用車を貸与しています。 ご自身でスケジュールを管理し、仕事を調整しながら働くことが出来ます。 |
選考プロセス | 京都移住計画の応募フォームから応募 ↓ 書類選考 ↓ 最終選考(面談) ↓ 内定 職場見学歓迎です。 |
面談場所 | 本社もしくは事務所での面接 (オンラインでの面談や面接も可能です) |
参考リンク | 公式サイト インスタグラム |