募集終了2023.02.06

だれかの「おいかぜ」になるために。領域を横断しながら、Web・デジタルで表現するデザイナー

「だれかのおいかぜになる」という理念を掲げて20年。京都・西院にある株式会社おいかぜは、Webサイトやグラフィックの制作をするプロダクション事業、サーバーやネットワークの構築・運用・管理などを行うプラットフォームソリューション事業を手がける会社です。

京都移住計画では、これまでプロダクション事業プラットフォームソリューション事業、そして20周年に向けての広報について、取材を重ねてきました。今回の記事では、Web・デジタル領域をさらに強化するため、Webデザイナーとして仲間に加わるメンバーを募集します。

デザインを広義で捉え、領域を横断する

「おいかぜは、僕がもともとサーバーエンジニアだったこともあり、エンジニアリングが強い会社です。プラットフォームソリューション事業からスタートし、10周年を迎える頃にプロダクション事業を立ち上げて、デザインにも力を入れてきました」

そう語るのは、代表取締役の柴田一哉(しばた・かずや)さんです。今回、Webデザイナーを募集することになった背景について、柴田さんはこう説明します。

「プロダクション事業が始まった当初は、グラフィックデザインの文脈でWebデザインにアプローチしていました。でもグラフィックとWebのデザインは、デザインという意味では同じだけれど、それぞれアプローチの仕方が違うと思うんです。だから今回は、Web・デジタル領域に特化してデザイナーを募集したいと考えています」

グラフィックデザインとWebデザインの違いを、柴田さんはどのように捉えているのでしょうか。

「デザインする上で大切なのは、顧客理解と情報設計です。だから、紙とWebで共通する部分ももちろんありますが、Webデザインでは実装のことも理解していないとダメなんですよ。Web制作は、コンポーネント化とテンプレート化。つまり、パーツと型を作ってどう装飾するか。例えば、どのパーツが共通化されるのか、リピートされるのか、といったことを理解していないと、デザインが成り立たないんです」

こういったことを、ディレクター、デザイナー、エンジニアがそれぞれの立場で理解した上で、デザインにアプローチしていく必要がある。そう考えている柴田さんは、社内の分業について、次のように語ります。

「ディレクターがデザイナーにワイヤーフレームを渡す時には、ある程度の情報設計ができている。だからデザイナーがワイヤー通りに作るだけだと、作業に近いような仕事になってしまって、デザイナーが力を発揮しきれないですよね。つまり分業が進むと、領域の横断がうまくいかなくなって、セクション化してしまう。そこからどう脱却するかが、今の会社のテーマなんです」

個々の負担を軽減するために、仕事を属人化せず、なるべく分業していきたい。しかし、分業が進むと役割が固定化してしまう。そんなジレンマを抱えながらも模索しつづけているのは、「はたらく」をデザインし、経営者や働く人たちの「おいかぜ」になることを目指してきた会社だからこそなのでしょう。

「そもそも新しいビジネスが生まれる時は、領域なんてない状態で生まれてくるじゃないですか。Webの黎明期もそうだったと思うんです。これからは、黎明期の良さをいかにして組織で作っていくか。分業しながらも領域を横断できるような働き方にしていくために、良い意味で領域をあまり意識せず、デザインを広義で捉えられるような人に仲間に加わってもらいたいと考えています」

Webデザイナーとして新たにメンバーを迎えることで、今後のおいかぜがどうなっていくことを期待しているのでしょうか。

「おいかぜのみんなは、とにかく純粋に『いいものを作りたい』と思っている人ばかり。僕はその気持ちに応えたいんです。

結局、いいものを作ることが一番の営業でもあるし、いいものを作ってお客さんに満足してもらうことがすべてかなと思いますね。お客さん自身が思っていたけど言語化やビジュアル化ができていなかったことを、しっかりと表現していけるような仕事をしていきたいです」

他職種とのコミュニケーションで、より良いものを

ディレクター、デザイナー、エンジニアがお互いの領域を横断しながら、より良いものづくりを目指していく。そんなこれからのおいかぜについて、現場でディレクター、エンジニアとして働く皆さんにもお話を伺います。

取締役事業部長としてWebエンジニアチームをまとめる佐野譲(さの・ゆずる)さん、Webエンジニアであり佐野さんのマネジメント業務のサポートも務める山本聡(やまもと・さとし)さん、そしてディレクターの樋口紗季(ひぐち・さき)さん。3人のおいかぜでの社歴は約5年、ほぼ同時期に入社して一緒に働いてきたメンバーです。

(右から)柴田さん、佐野さん、樋口さん、山本さん

3人はこれまで、どのようにデザイナーと関わってきて、どんな課題感を持っているのでしょうか。

佐野さん:エンジニアとディレクターとの橋渡しをするのが私の主な役割なので、これまではディレクターを介してデザイナーとやり取りすることが多かったです。でも、そこを見直したいと思っていて、最近はデザイナーとのやり取りも増えてきました。Webの世界では新しい技術が次々と生まれていくので、エンジニアとデザイナーがそれぞれ持っている知見を共有しながら、実装面を詰めていく必要があるんです。

山本さん:OSやソフトウェアのアップデートが頻繁にあるので、それに伴ってデザイン面で表現できることが増えたり減ったりすることもよくあるんですよね。そういったことは我々エンジニアのほうがキャッチアップしていることが多いかもしれないですが、デザイナーにももちろんキャッチアップしてほしいし、お互いに助け合ってやっていけるといいなと思いますね。

樋口さん:エンジニアさんだけでなくデザイナーさんにも技術面に興味を持ってもらえると、デザインする時にこんなことも試してみたいとか、新しいアイデアが生まれるかもしれない。プロジェクトが元気に進んだり、良い提案ができたり、お客さんに喜んでもらえたりすることにもつながるのかなと思いますね。

樋口さんの言葉を聞いて、「デザイナーの意図が伝われば、エンジニアから『こういう方法もあるよ』と提案もできる。コミュニケーションの中で、互いに歩み寄って良い着地ができるといいですよね」と付け加える山本さん。3人のお話から、より良いものを作るために領域を越えてコミュニケーションを深めていける土壌があることが伝わってきます。

「おいかぜになる」ために、チャレンジしつづける

領域を横断するコミュニケーションによって、おいかぜでは実際にどんな制作物が生まれているのでしょうか。具体的な事例について尋ねると、山本さんは大学のWebサイトを挙げてくれました。

立命館大学 大学院 社会学研究科 特設コンテンツ「つづく つながる 社会学」

山本さん:ディレクター、デザイナー、エンジニアが早い段階から顔を寄せあわせて一緒に作っていったサイトですね。デザイン面に対する意見もお互い出しながら最適な表現や方法を見つけていったので、理想的な形の一つだと思います。それぞれが保守的にならずにお互いの領域に踏み込んで関わりつづけていた印象がありますね。

社会学の研究の多様さを表現するために、抽象的で動きのあるデザインを提案したというこのサイト。樋口さんも「ふよふよと動く背景の質感にすごくこだわっていましたよね。3人が集まって画面を見ながら『そのふよふよは早い!』とか言っているのをよく見かけました」と笑います。

もう一つ、事例として話題に挙がったのは、理系の研究室のWebサイト。このサイト制作では、クライアントとの打合せに初期段階からデザイナーも同席し、文献を読んで研究内容を自分なりに理解した上でデザインに取り組んだそうです。

京都大学 生体高分子化学分野 菅瀬研究室 Webサイト

「デザイナーがそこまで踏み込むのは、本来は当たり前のことなんですけど、でもそれができる人って意外と少ないんですよ」と柴田さん。「他職種が混ざって一緒に考えるといいものができるっていう好例ですよね。アニメーションで使っている技術も選択肢として最適なものを選べたので、それも職種間でのコミュニケーションが生んだ成果だと思います」と佐野さんもつづけます。

ちなみに、前述の「つづく つながる 社会学」のアニメーションはエンジニアが担っている部分が多く、この菅瀬研究室のサイトではデザイナーがアニメーション制作まで担当しているのだとか。デザイナーとエンジニアの作業分担は、案件によってさまざまです。

山本さん:アニメーションを作る技術は、グラフィックデザイナーの職能としてはないものだし、Webデザイナーでもみんなができることではないですが、菅瀬研究室のサイトを担当したデザイナーは、新しい技術や表現に対してとてもポジティブに取り組んでいましたね。

新しいチャレンジと言えば……とさらに話題に挙がったのは、SNS向けの動画の事例。

樋口さん:あるお客さまからPR動画のご相談をいただいて、1分ほどのアニメーションを制作することになりました。おいかぜでは前例のない仕事でしたが、私とデザイナーで『やったことはないけど面白そう!やってみよう』と盛り上がって(笑)。おいかぜはチャレンジがすごく歓迎されている場所だなと思いますね。

樋口さんの言葉を受けて、「新しい領域にチャレンジしていくことは、『だれかのおいかぜになる』という理念にも通じる」と柴田さんがつづけます。

柴田さん:お客さんにとっては、SNSのショート動画を作ることとWebサイトを作ることは、自分たちのビジネスをPRするという意味ではあまり違いはないはず。だから、『それはうちではできません』とは言いたくないし、お客さんの要望になるべく応えたいんです。その思いは、おいかぜの社名にも『だれかのおいかぜになる』という理念にも表れていますし、僕がすごく大事にしたいことですね。

創業時のプラットフォームソリューション事業から、プロダクション事業へと領域を広げてきたことも、これからWeb・デジタル領域をさらに強化しようとしていることも、すべては「だれかのおいかぜになる」ため。そんな揺るぎない軸があることが伝わってきます。

雇用を生むことが、地域貢献につながる

おいかぜで仕事をしてきた皆さんは「おいかぜらしさ」をどんなふうに捉えているのでしょうか。

佐野さん:前例がない仕事でも、『やったことがないからやめておこう』じゃなく『やってみよう』と楽しめる土壌がある。チャレンジを後押ししてくれる会社なので、『やってみたいです』と言い出せる空気がありますね。

山本さん:否定から入る人がいないですよね。だから新しいことにも挑戦しやすいし、それが社風になっているのかなと思います。

樋口さん:上の人に相談しやすい空気があることも大きいかもしれません。困った時はすぐ相談してフォローしてもらえるからこそ、安心してチャレンジできるのかなと思いますね。

そんな言葉を聞いて、「柴田さんも僕たち役員も、いつもその辺にいますもんね」と佐野さんが笑うと、「社長がこんなに現場に出てくるんですねって言われます」と柴田さん。おいかぜのフラットで風通しの良い空気が感じられます。

2023年9月に創立20周年を迎えるおいかぜは、今改めて原点に向き合っています。

柴田さん:次の10年、20年に向けて、『だれかのおいかぜになる』『はたらくをデザインする』というステートメントをどう体現していくか。周年に合わせてサイトリニューアルや社内報の準備は進めていますが、基本的には何か大きなことをやるというよりも、言語化や整理をしっかりやっていきたいですね。

原点をしっかりと見据えた上で、「これからも雇用を生みつづけたい」と柴田さんは今後の展望を語ります。

柴田さん:僕の中で、雇用が一番の正義だと思っているんです。やっぱり雇用が生まれないと、そこで暮らす人も生まれないし、そこで遊ぶこともできない。だから雇用を生みつづけたいし、みんなの生活を支える存在になりたいんですよね。それが僕にとっての地域貢献であり、京都への恩返しなのかなと思っています。

今回だけでなく、これまでのおいかぜの取材でもたびたび登場した「京都」や「暮らし」といったキーワード。おいかぜの皆さんは、働くことと暮らすことを行き来しながら、京都に深く根を下ろしている印象があります。京都へのUターンやIターンを考えている人にとって、きっと共感できるところがあるのではないでしょうか。

最後に、Webデザイナーとして仲間に加わる人に期待することを皆さんに伺いました。

樋口さん:物事を俯瞰する力を持っている人だといいですね。ディレクターが情報設計したものに対して、批判的に見てくださる視点があると、さらにブラッシュアップできるかなと思います。

山本さん:新しいツールがどんどん生まれて、業界のトレンドも移り変わっていくので、新しいもの好きというか、新しいものにポジティブに取り組んでいける人だとうれしいですね。

佐野さん:他職種で意見を出し合う場面が多いので、物怖じしない人がいいのかなと思います。知識は現場で身に付くものですから、まずは興味を持つことや、意見を伝えられることが大事。他職種間の橋渡しをしながら、根拠ある実装、根拠あるデザインができるようになっていってもらえたらいいですね。

柴田さん:おいかぜの強みはやっぱりエンジニアが多いことなので、領域を横断したいとか、将来自分で何か事業をやりたいと思っている人にとってすごく良いフィールドだと思います。極端に言えば、『5年後に独立したい』くらいのやる気のある人に来てもらえたらうれしいです。

「だれかのおいかぜになる」ために、Web・デジタル領域でさらに力を注いでいく。そのためにも、領域を横断しながら、より良いものづくりに一緒に向き合っていける仲間に巡りあいたい。今回の取材で伺ったお話は、20周年の節目を迎えるおいかぜの皆さんの決意表明のようにも受け取れました。

おいかぜの思いに共感し、一緒にチャレンジしてみたいと思ったら、ぜひ一歩足を踏み出してみませんか?

編集:北川由依
執筆:藤原朋
撮影:岡安いつ美

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