京都移住計画での募集は終了いたしました
20年以上に渡りNPO支援活動を行う中間支援NPOから、地域イノベーションに関わる領域で独立してできた「有限事業責任組合まちとしごと総合研究所(以下、まちごと)」。
まちづくり・仕事づくりを専門に、「地域のための民間・市民シンクタンク」としての活動の幅を広げながら、今年で10周年を迎えました。
そんなまちごとが担う事業のひとつに、京都市による市民活動向け施設のひとつ「伏見いきいき市民活動センター(以下、伏見いきセン)」の施設管理・運営業務があります。今日はこの伏見いきセンで、まちごとの新たな仲間の募集についてお話を伺います。


一人ひとりが生き生きと暮らし・働ける地域を目指し、クリエイティブに事業をおこす
まずは、まちごとの立ち上げメンバーである、三木さん・東さんにお話を伺います。

東 信史(ひがし のぶふみ)さん
佐賀県出身。福岡で働いた後転職し、28歳の時に京都へ移住。まちとしごと総合研究所では、住民の方々がまちづくりに関わっていくプロセスづくりや、地域課題解決の活動を起こすためのワークショップなどの活動を行っている。
三木 俊和(みき としかず)さん
長野県出身・京都伏見在住。大学在学中京都の中間支援NPO法人に所属し、大学とNPOの民民連携による市民活動センターの運営をスタート。コミュニティ・ラーニング・センターをコンセプトに、学び手の気づきと地域づくりをつなげ、地域社会の再デザインと若者の次のフェーズを目指したプロジェクトを手掛ける。
まちごととは、どんな組織なのでしょうか?

三木さん
まちごとは、「地域の豊かな資源を活かしたまちづくり・仕事づくりを専門とする地域のための民間・市民シンクタンク」で、「人口減少時代における縮退する地域を対象に地域特性を活かした多様な仕事・事業創出を通じて一人ひとりが生き生きと暮らし・働ける次世代の豊かな地域社会を提起する。」というミッションを持っています。地域住民「一人ひとりの暮らし」を起点にまちのあり方を考えていくことがベースにあり、後ほど紹介するいきセンの運営など、地域で活動する団体の支援なども展開しています。

東さん
まちごとはもともと、中間支援というNPOを支援するNPOの中から独立してできた組織体です。2014年にスタートしたので、今年で10周年ですね。近年ではクライアントも多様になり、高校や大学、社会福祉法人、住宅にまつわるサービスや団体の活動資金を助成する事業まで事業の幅が広がりました。組織体制としては、現在私たちを含む3人が代表組合員として経営を担い、それぞれのチームを持っています。
三木さん
今回は、私のチームに所属するメンバーの募集です。私が担当するまちごとの事業に、伏見いきセンや下京いきセンの運営管理業務があります。いきセンとは市民活動や公益活動を幅広く支援するために、京都市から運営を委託されている指定管理施設です。

まちごとは、いきセンの施設管理のほかにも、地域住民の暮らしに寄り添ったさまざまな活動の企画提案や実施を行っています。
三木さん
例えば、2018年にはインクラインファンド(京都探究学習支援基金)の立ち上げをおこないました。これは、京都市内および京都府南部地域に所在する高校等に所属する生徒・学生による、「探求したい気持ち」「将来の夢」「ワクワクする未来」「誰かの困りごとをほっとけないという思い」へ向けた取り組みを応援する助成金です。
従来の高校生への資金的な支援では、「公募期間と高校生の授業スケジュールがあわない」「提案だけでなく実際にやらせてあげたいが、自由に活用できる活動経費がない」といった課題があったため、まちごとはその解決の一手として、住民からの寄付による助成金の仕組みをつくったのだそう。
昨年は、高校の科学部による、荒廃農地の再利用・ムラサキウニの蓄養を目指す取り組みや、チアリーダー部の女子高校生グループによる、食品ロスの課題を持つ酒粕を用いた美容や健康を志向したスイーツの開発など、ユニークなプロジェクトが採択されています。

三木さん
そのほか、市営住宅の自治会の担い手不足を解消するプロジェクトとして、学生が伏見いきセン近隣の市営住宅に居住しながら自治会に参加するプロジェクトも継続しています。
自治会運営をサポートするだけでなく、実際に住むことで見えてくる楽しみや、人付き合いの難しさなど、世代を超えたまちづくりに欠かすことのできない経験を得られるものになっています。

2019年の取材から5年、まちごとが誕生してから10年が経過しました。個人として、組織としてどのような変化があったのでしょうか。
三木さん
前回の取材時は私がセンター長でしたが、若手スタッフとして紹介した藤本さんがセンター長になりました。スタッフはいきセンに関係する事業に留まらず、多様なプロジェクトに参画しています。これから一緒に働く方も、まちづくりの領域でこのようにキャリアを積めるというイメージをも持ってもらいやすいかなと思います。
三木さん
キャリアは積み上げるだけのものではないと思います。まちごとでは、ライフスタイルに合わせて、時短勤務などを含めた柔軟な勤務形態を取り入れながら、自分自身の暮らしと仕事とのバランスをとってもらえるような組織体制も整ってきました。
東さん
以前はいきセンなどの公共施設が私たちの主な活動拠点でしたが、いまは中学・高校・大学と地域の教育機関との連携も当たり前になってきましたね。外部プログラムとしてだけではなく、ありがたいことに授業のカリキュラムにも組み込まれ、もう一段階深く踏み込めるようになってきました。
伏見の地域住民がいきいきと暮らすための居場所で、センター長を支える「事業コーディネーター」のお仕事
そんなまちごとが今回募集するのは、事業コーディネーターのポジションです。
三木さん
まちごとも10周年を迎え、「変わらないために変わり続けていく」ことをより一層重視しています。続けてきたからこそ、地域から信頼していただき、相談してもらえることも増えてきました。次のフェーズに向けて、これまでのやり方を今一度問い直したり、新たな道を模索する必要があると感じています。もっとチームが良くなっていく、ワクワクできる仲間を増やしたいという想いが強くあります。

事業コーディネーターの方はどのような役割を担うことになるのでしょうか。
三木さん
いきセンでの活動が中心となる予定ですが、活動の領域は施設内だけにとどまらず、地域住民の方の「願い」から形にするさまざまな活動の企画提案や実施に関わっていただきます。
ルーティンとしてセンターの施設運営業務を行いながら、業務中や日々の暮らしを通じて地域住民のニーズを汲みとり、地域ぐるみの催しとして形にしてみたり、学校教育の中に持ち込んでみたり、という事業活動も担います。
東さん
事業活動では特に、地域住民のちょっとした一言からニーズを見つけてきて、形にしていくことも少なくありません。そんな声は、いきセンでの窓口業務で受け取る要望だけでなく、自分たちの日々の暮らしのなか、居酒屋や喫茶店、子どもたちの通う学校、病院の待合室など、何気ない場所で見つかることもあります。業務内外を問わず、リアルな暮らしのなかへ積極的に足を運び、まちづくりへ活かすということを楽しめる方にはぴったりだと思います。
まちづくりを担う組織のなかでも、まちごとならではの特徴はありますか?
三木さん
大きな特徴は、まちづくりに自分のカラーを活かすことでしょうか。基本的な点は先輩スタッフから知見を共有しますが、その上で載せていくカラーはひとそれぞれ。ご自身の特性を活かし、個性を発揮してもらえるようなプロジェクトづくりをおこなっています。「この事業はこの人がいなくなったらできない」ということもありますが、また別の人に引き継いだときにどう変化させていけるかという視点でとらえている、有機的なプロジェクト形式です。

まちごとでのキャリアステップや、まちごとで働くうえで大切なスキルについて教えてください。
三木さん
まずは事業コーディネーターとして、センター長とともにいきセンのスタッフをまとめる仕事を担当いただき、次のステップとしては10人規模の各拠点の長であるセンター長という役職があります。さらに希望に応じて、組合員として半分経営・半分チームに所属するというような形で関わっていただくことも可能です。

三木さん
素養としては、実際に外に出てまちを観察すること、そしてそこから事業の種を見いだすことを主体的に楽しめることが、なによりも重要だと思います。
まちづくりは異業種からのチャレンジでも活かせるスキルが多くあります。地域住民に寄り添うという点では、福祉関係や教育・学習塾関係などでの経験もマッチするかもしれませんね。
東さん
事業コーディネーターのポジションだけでなく、私たちは「EKKYO(越境)」という採用枠も設けています。副業採用に近いですが、まちづくりとは直接的に関係のないような面白い仕事経験がある方も含め、気になった方は遠慮なく応募してもらえたらと思います。
それぞれの分野でユニークな経験を積んだ人が、自分のスキルや経験をまちづくりに活かしてもらえると嬉しいですね。

変わらないために変わり続ける「伏見いきいき市民活動センター」で、地域の暮らしに寄り添い働く
つづいては、伏見いきセンでセンター長を務める藤本さんにお話を聞きます。先ほどもお話にあがったように、以前の取材でもインタビューにご協力いただいた藤本さんは、事業コーディネーターを経て、9年目の現在はセンター長を務めています。

藤本 美智乃(ふじもと みちの)さん
伏見いきいき市民活動センター/センター長
入社9年目。大学生の時からNPO活動やまちづくりに興味があり、新卒で「伏見いきセン」に入所。2022年4月からセンター長を担う。
改めて、伏見いきセンとはどんな施設なのでしょうか?
藤本さん
伏見いきセンは、京都市の公共施設として、13部屋の会議室をさまざまな団体さんに貸し出しています。太極拳や吹奏楽など、それぞれの趣味や特技、スキルのある方が利用されているので、そこから地域のイベントや行事の企画にお繋ぎすることもあります。
いきセンという施設を拠点にしながら、施設外の地域でも幅広く、一人ひとりがいきいきと過ごせる居場所づくりを目指しています。


いきセンのスタッフがリードする活動は、日々の施設管理やイベント運営から、いきセンの利用団体と地域を繋ぐ活動まで、多岐に渡ります。近年では、施設外での活動にも注力してきました。その一つが「伴走支援事業」です。
藤本さん
困りごとを抱える団体さん向けに、1年間の伴走支援を実施しています。例えば、自分の団体のなかで話し合っただけでは解決できない物事に対し、先進的に活動されている別団体さんや専門家からアドバイスがもらえるような意見交換の場を設け、それを踏まえて、支援団体さんにはどのように取り組んでいくのかを考えてもらい、活動の変化を追います。話を聞くだけではなく、その先まで団体さんと一緒につくっていきたいんです。

また、コロナ禍を機に「マッチング事業」にも取り組み始め、センターの利用団体と地域を接続する動きも力を入れています。
藤本さん
コロナ禍で駆けつけられない、会いに行けない中で、いきセンとしての支援のあり方を再考しました。何かあった時に駆けつけるだけではなく、今までとは異なる課題に対してのサポートや新しい取り組みづくりを一緒にやっていく必要があるのではと考えたんです。活動団体や地縁団体では担い手不足や高齢化が課題になっています。頼り先の一つとしてセンターに相談してもらえたらって。

藤本さん
コロナが落ち着いて、自治会さんから久しぶりの行事再開でいつもと違う取り組みをしたいと相談があった際には、活動の機会が減少した利用団体をお繋ぎしました。地域からは「今までとは少し変わったかたちで開催できてよかった」、利用団体からは「日々の活動を披露することができよかった」という声を頂きましたね。

また、地元大学である龍谷大学との関わりも深く、地域の課題を自ら掘り起こし、解決へ向けた取り組みを行う実践的なプログラム「Ryu-SEI GAP」などを推進。伏見いきセンとしても、「コミュニティ・ラーニング・センター」をコンセプトに、学生のような学び手だけでなく、地域でのいろいろな気づきを持った方が解決へ向けた行動につなげていける環境づくりを目指しています。

今回募集する事業コーディネーターは、この伏見いきセンで、センター長である藤本さんをサポートしながら、いきセンを拠点とした活動を幅広く担うポジションです。

藤本さん
いまは10人のスタッフがいて、半分がアルバイトの学生さん、もう半分が40代から70代の方まで幅広く在籍されています。施設貸し出しの窓口や電話対応、事務作業のほか、皆さん一人ひとつは事業も担当してもらっています。事業では、利用団体と地域を繋ぐ活動や、SNSなどの情報発信など、それぞれのシフトや働き方に合わせて役割分担をしています。
伏見いきセンスタッフの様子を伺うと、事務経験のない学生さんたちには大人たちがやさしくやりかたを教え、学生さんも素直に取り組んでいる様子をよく見かけるのだそう。「関係性も素敵だと感じます」と藤本さん。
そんな伏見いきセンで、藤本さんはどんな人と一緒に働きたいと考えているのでしょうか。
藤本さん
まちづくりの仕事に関わるうえでまず大切なのは、地域のことを知りたいと思い、知ろうとする姿勢を持っていることですかね。私自身は伏見に住んでいて、生活圏内と職場が一緒なので、日々の暮らしで巡り合う出来事や発見が仕事につながることもあると感じます。自分の日々の暮らしの延長として、仕事の場でのまちづくりを楽しめる方には、やりがいがあるのではと思います。

藤本さん
それから、待ちの姿勢ではなく、自分から提案してくれる人と一緒に働きたいですね。例えば、同じ課題に対しての解決策のアイデアも、複数人で考えると色々な手が浮かびます。そんな積極性を持っている方となら、やれることの幅ももっともっと広がりそうで、楽しみです!
まだ言葉にならない地域の願いを叶える「まちごと」で、自分の夢だった「場づくり」を叶えていく
続いては、まちごと本部のスタッフとして働く下尾さんにお話を伺います。
現在は配属先のまちごとの本部業務をメインに担当しつつ、伏見いきセンのサポートも行っています。

下尾 彩加(しもお あやか)さん
まちごとスタッフ
新卒で教育業界で勤務。2022年、大学時代に興味があった場づくりに関する事業に携わるためにまちごとに入社。
下尾さん
まちごとを知ったのは、京都移住計画のインタビュー記事でした。東さんと三木さんのインタビューを読んで、地域住民の言葉にならない願いを大事にしているという話に共感し、そんな働き方ができたら素敵だなと思ったんです。
下尾さんの前職は塾の営業。子どもやその親御さんに勉強の悩みをヒアリングし、無料体験へと繋げる部門で働いていました。
下尾さん
実際に授業を担当するのは別の部門だったので、私の声かけでやる気を出してくれた子どもたちや、信頼しようと決めてくれた親御さんと、その後関わりを持てないことに違和感を持ちました。一度きりではなく、もう少し長い時間をかけ、一人の成長を支援できる方法はないのだろうかと感じていました。

そのころ、学生時代の経験をもとに「場づくり」「コミュニティスペース」をキーワードに、働き方を調べていたのだそう。
下尾さん
学生時代に大学の近くのコミュニティスペースを利用していたのですが、同世代の仲間や、そこで出会う大人たちに本当に助けられました。目標や挑戦したいことのある学生はみんなが応援してくれるし、逆に「ただ、いるだけ」でもいい。私自身も、挑戦したいときも、ゆっくりしていたいときも、どちらの自分でもいられたんです。そんな場づくりがしてみたいと思っていたときに、たまたままちごとのインタビューにたどり着きました。
下尾さんは、まちづくり領域未経験からの採用。どのように仕事を覚えてきたのでしょうか。
下尾さん
三木さんの打ち合わせに同行しながら、実務を通してOJT形式で覚えていきました。どう話しているのか、どのように企画をつくるのか、実際の業務を通じて見ては真似をして、フィードバックをもらいながら徐々に学んでいきましたね。
下尾さんは現在、3L APARTMENTを担当しています。自治会長さんとのコミュニケーションを取りながら、大学で新入居生の募集を担当。対象の学生はどんな授業を取っていそうかを分析したり、その仮説を元に説明会や相談会を開いたりと、まさに企業の採用活動のような企画や実践も担っています。
下尾さん
入社して3年目になり、三木さんのやり方をなぞるだけでは不十分だということもひしひしと感じ始めました。入居する学生や住民の思いも変わるので、そのときどきの状況に合わせながら、自分なりの仕事の進め方を見つけていきたいと思っています。

下尾さん
以前、結論を急ぎすぎてしまい、もっと関係者の想いを汲むべきだったな、と反省したことがありました。事業を進めることも念頭に置きながら、事務局として各関係者の想いを取り持つことのバランスを大切にしたいと思っています。地域住民の皆さんとの関係性を大事にしながら、寄り添いながらということを、最近は改めて意識していますね。
まちづくりの仕事は、関係性の積み重ねによって少しずつ動いていきます。日々の調整に難しさがあるからこそ、そのことに面白さを感じています。

今後、どのような方と一緒に働きたいですか。
下尾さん
まちは地域住民の方のペースで進む事も多いので、こちらの思いだけで急いで変えようとするものでもありません。 時間はかかりますが、日々のモヤモヤもおもしろがる気持ちで、チームで相談しながら一緒にやれる人と働けるといいなと思います!
地域の「願い」を、「願い」のままで終わらせず、形にしていく仕事
日常的な活動の場の提供から、地域の困りごとを解決するような場づくり、ハレの日のイベント企画や実施まで、地域に密着し、形にしていくお仕事。
さまざまな立場の人をつなぐまちづくりの仕事は、一筋縄ではいかないこともありますが、「地域住民のまだ言葉にならない『願い』を見つけて叶えていく」という言葉や、皆さんの姿勢がとても印象的でした。
課題を一緒に目に止めて、変わりゆくまちの「今」に寄り添いながら、解決の仕組みをつくっていくまちごと。10周年を迎え、よりクリエイティブに活動の幅を広げる組織のメンバーとして、次なる10年のまちづくりに関わってみませんか?

執筆:弓削 智恵美
撮影:中田 絢子
編集:北川 由依
京都移住計画での募集は終了いたしました