京都移住計画での募集は終了いたしました
(2021年6月8日更新)
「フリーランス」と聞いて思い浮かぶのは、「自由」「個人」「好きなことをしやすい」「場所を問わずに働ける」といったキーワード。正反対に、「お堅い」「組織」「安定」「決められたことをする」といったイメージがあるのが「公務員」です。
一見相容れないように思える、「フリーランス」と「公務員」。しかし、両方の良さをいいとこ取りした新しい働き方がはじまろうとしています。それが今回京丹後市で募集する「フリーランス行政マン」です。
「公務員として安定した収入を得ながら、フリーランスで自由な働き方を体現していただきたい」と語るのは、京丹後市の中山泰市長。フリーランス公務員(ふるさと創生職員制度)の仕組みを立ち上げ、みんなが笑顔に溢れ、生き生きと暮らせるまちづくりに取り組んでいます。
地方創生×移住×働き方改革の三方よしを実現
中山市長が「フリーランス行政マン」の施策を構想したのは、今から4年前。地方創生の流れの中で、移住や関係人口に着目したところからはじまりました。
「仕事がないと移住に至らないので、京丹後の魅力ある仕事をどこまでメニューとして提示できるかが、まちとして課題でした。それなら、市役所を職場の一つとして提供できないかと考えたのです。任期付きではありますが、常勤の正規職員と同様の待遇と仕事内容をプロジェクト形式でお願いできたら、地方創生と移住を両立させられるのではと構想しました」
そこに働き方改革の視点を加えることで生まれたのが、フリーランス行政マンの採用制度です。
「フルタイム雇用ではなく週3〜4日勤務にすることで、残りの時間は副業・兼業が可能になる。働き方改革の全国的な要請に応えながら、民間の経験や人脈を公務に取り入れれば、より創造的・効果的な展開を生めるのではないかと考えました。また、市役所職員のみなさんも、良い意味で触発されることがあるだろうと」
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、雇用が流動的になっている現在。「地方が受け皿になることで、働きたい人を支援する仕組みにもなる」と、中山市長はつづけます。
「公務で安定した収入を得て、残りの時間で好きなことをしていただきながら、京丹後の暮らしを楽しんでほしい。農業や漁業にチャレンジすることもできますし、都市部の仕事をリモートワークですることもできます。3年という期間にも、実は意味がある。そのまま定住していただけたら嬉しいですが、たとえ離れることになっても、京丹後にできた人や仕事の関係性によって、関係人口になってもらえるようにと考えてのものです。本事業は、まちと移住者の未来を創造する雇用制度になりうると期待しています」
地域おこし協力隊のように、地域のリソースをいかして事業を生み出す仕組みは全国的にあります。しかし、行政の中にあるリソースをいかした、ワークライフバランス型の採用制度は非常に先進的です。チャレンジの先に、まちとしてどのようなビジョンを描いているのでしょうか。
「目指すのは、みんなが笑顔で、生き生きと仕事や生活ができるまちです。京丹後市は2015年に『市民総幸福のまちづくり推進条例』を制定し、幸福を中心に置いたまちづくりを推進しています。多様な働き方のメニューを提案することで、一人ひとりの価値観に近いワークライフバランスを実現していきたいです」
人と人としての出会いの先にオープンイノベーションがある
つづいてお話をお伺いしたのは、市長公室として、フリーランス行政マンの仕組みづくりを担当する川口誠彦さんと服部忍さん。そして、市役所と共に企画段階から伴走してきた、有限責任事業組合まちの人事企画室 川渕一清さんです。
「半分は公務員、半分はフリーランス」という働き方はとても魅力的ですが、気になるのは仕事と暮らしのバランスの取り方。京丹後市で働きながら暮らす魅力は、どんなところにあるのでしょう?
「好きなことに時間を使い暮らしを楽しむことが、公務にもいきてくるのではないでしょうか。丹後には、海も山もあるし、グランピング施設などの遊び場もある。全力で遊んで楽しむからこそ、アイデアが浮かんでくることもあるんじゃないかって」(川渕さん)
「良い意味で遊ぶことは大切ですよね。京丹後はアクティビティな遊びには事欠きません。遊びを通じて京丹後の良さを再発見したり、遊びを通じて人とつながったりします。自分の中でこのまちの魅力を感じることができたら、きっと仕事へとつながります。そこから新しい価値や仕事、つながりが生まれるのではないでしょうか」(川口さん)
「遊びという言葉には、余白のニュアンスもある。自分のやりたいことにもチャレンジする余白の時間こそが、川口さんがおっしゃる新しい価値や仕事を生むことにつながっていく気がします。そういう意味で、今回募集する週3〜4日勤務の行政マンは、余白を楽しみやすい環境だと思いますね」(川渕さん)
役所に新しい風を吹き込む存在
フリーランス行政マンを求めるフィールドは、「地域の未来交通」「コミュニティデザイン」「ジェンダー平等」「2050年ゼロ・カーボンシティ」「デザイン×産業振興」「産業×ICT」「新観光地づくり」「山と海をつなぐ観光」「まち×文化×アート」「文化財×観光」の10の分野。それぞれ専門知識やスキルが必要ですが、今回はスキルや経験よりも、京丹後に思いのある方を採用したいと考えています。
「一番に求めるのは、京丹後にゆかりがあるとか町の風景が好きとか京丹後へ興味関心がある方です。その上で、チャレンジしたいことがある人に来ていただきたい。田舎暮らしを経験したいとか、自分で仕事をつくってみたいとか。なんでもいいんです」(川口さん)
「何かしらチャレンジの気持ちがあれば、職員も影響を受けたり新しい発見があったりするはずです。さまざまな人と交わることは、とても大切なこと。役所にいると人間関係が固定化されがちです。良い刺激を受けながら、これからのまちづくりを考えていけるのではないかと期待しています」(服部さん)
「人」の魅力で選ばれたきた京丹後
京丹後市は、2019年から地域おこし協力隊の枠組みをいかした「高校生と地域をつなぐコーディネーター」の採用をスタートするなど、役所としても積極的にチャレンジしてきました。また民間との連携も進め、移住支援や空き家活用などの取り組みを実施。Uターン含め移住者は5年間で214名・124世帯にのぼります。様々な施策が功を奏しているのは間違いありませんが、多くの移住者に選ばれる決め手となっているのは、「人と人のつながり」だと川口さんは考えています。
「海があって山があって。食が豊かで。この土地ならではの魅力もありますが、移住した一番の理由は人と人とのつながりだと言っていただいています。2013年に川渕くんがUターンしたあたりから、20代・30代のコミュニティが形成されはじめ、移住者同士や同世代のつながりが生まれ、地域にも溶け込みやすくなったんだと思います」(川口さん)
「役所の職員にも、京丹後の人が好きだからと移住してきた人がいるくらいです(笑)」(服部さん)
京丹後で出会ってきた一人ひとりの顔を思い出すように、川口さんは役所で働く魅力をこのように語ってくれました。
「役所にいると、市民の顔がよく見えます。困っている人がいたらなんとかしたいと思いますし、楽しく健康に暮らせるようにしたいと願います。そしてできることなら、京丹後が多くの人に選ばれるまちになりたい。そのためにはやっぱり、今住んでいる人が自信をもって良いまちだと言えることが大切で。簡単には変わらないけれど、役所としても新しいことにチャレンジして、自分たちが暮らすまちを肯定できる人を増やしていきたいです。僕らの一員となっていただける方に出会えるのを、楽しみにています!」(川口さん)
私は京丹後にゆかりがあるわけではありません。だけど、はじめて訪れた時に「いいまちだな」と思って、それから毎回訪れるのがすごく楽しみで。「あの人に会いたいな」「次はあそこへ行きたいな」とワクワクした気持ちを抱きしめながら、電車に乗ります。
いつだって「よく来たね」と暖かく迎え入れてくれる方々がいて、一言おすすめのお店を聞けば、役所の皆さんも次々とおすすめを教えてくれる。まるで親戚の家を訪れたときのような安心感と心地よい距離感がまち全体を包んでいるから、京丹後は人が人を呼ぶまちになっているのかもしれません。
そんなまちからはじまる、新しい働き方。自分らしい暮らしをつくる一歩として、チャレンジしてみませんか?
執筆:北川 由依
撮影:稲本 真也
イベントのお知らせ
「フリーランス行政マン」の働き方や仕事内容について、オンラインで話すイベントを開催します。
今年度の10のテーマの各受入部署の担当者との交流なども行います。
京丹後に興味関心をお持ちの方、地方公務員の新しい働き方にチャレンジしてみたい方など、お気軽にご参加ください。
日時:7月7日 19:00-21:00
場所:オンラインZOOM
申し込みはこちら:https://kyotangoevent0707.peatix.com
▼ふるさと創生職員リクルートサイト
https://www.open-innovation-team-kyotango.com/
京都移住計画での募集は終了いたしました