目の前をゆったりと流れる桂川。その向こうに広がる西山連峰。のどかな風景の中を歩いていると、「いちに!いちに!」と子どもたちの元気いっぱいのかけ声が聞こえてきました。
ここは京都市西京区にある「こぐま上野(かみの)保育園」。社会福祉法人 熊千代会が運営する幼保連携型認定こども園です。桂川沿いにある本園と、徒歩2分ほどの場所にある分園で、0歳から5歳の子どもたち約100名が過ごしています。

かけ声と共にきびきびと体操をする様子を見て、「運動会に向けて練習しているのかな?」と思っていると、「運動会シーズンだけでなく、毎日体育をしています」とのこと。しかも、すでに川沿いをマラソンしてきた後だと聞いて、さらに驚きます。

エネルギーに満ちあふれた子どもたちの姿が印象的ですが、熊千代会ではどんな思いのもとで、どのような保育や教育を行っているのでしょうか。園長先生やここで働く先生方に、お話を伺いました。
確立した教育メソッドで、子どもの力を伸ばす
熊千代会が設立されたのは2006年ですが、始まりは今から50年以上前。園長の熊本祐滉(くまもと・ひろあき)さんのご両親が、1973年に京都市北区に開室した「京都幼児教室」が出発点でした。

熊本さん
私の母は、もともと小学校の教員でした。小学校入学の時点で学習の習慣が身に付いていた子どもと、5分も机に向かっていられない子どもとの学力差は、縮めるのがなかなか難しい。「入学前に少しでも机に向かう習慣が付いていれば」という思いが募り、立ち上げたのが「京都幼児教室」です。さらに、週1回ではなく毎日お預かりして生活面から関わったほうが、子どもの力がもっと伸びると考え、1990年には認可外保育施設として「京都きらら学園」も開園しました。
熊本さんのご両親は、長年にわたって幼児教室や保育施設を運営する中で、「いつかは認可保育園を」という思いを持ち続けていました。その意思を継ぎ、熊本さんが園長となって2007年に開園したのが、こぐま上野保育園です。

現在、熊千代会が運営する保育施設は、この園も含めて4つ。京都市内で、3つのこども園と、学童保育を併設する企業主導型保育園1つを運営しています。熊千代会の特徴について尋ねると、熊本さんはこのように説明してくれました。
熊本さん
幼児教育には多くのメソッドがありますが、私たちは総合幼児教育研究会(略称:総幼研)という研究組織のカリキュラムを取り入れています。総幼研の特徴は、集団での保育・教育を行うこと。集団での生活によって共感性が育まれ、相手の気持ちを考えられるようになります。また、集団で活動する中で、「1人ではできないことも、みんなと一緒ならできる」と周りと協同する力や、「自分も○○ちゃんのようになりたい」という憧れがきっかけで、自ら努力する力も培われます。
総幼研のカリキュラムでは、人間がより良く生きていくための3つのエッセンスとして「動き/ことば/リズム」を大切にしているそうです。熊本さんは、特に「動き」はとても重要だと話します。

熊本さん
当園では体育とマラソンを毎日行っています。マラソンは、年中・年長さんは1.2kmくらい走ります。毎日やっていると、子どもたちがすごく変わっていくんですよ。体力がつくと、知力や気力も養われます。また、幼児期の運動習慣が生涯の体力の基盤となることや、運動が体力だけではなく学習能力にも影響することは、エビデンスもありますし、実際に卒園生を見ていても感じますね。
熊本さんが見せてくれたのは、新聞記事や写真の数々。陸上、野球、サッカー、柔道など、さまざまなスポーツで活躍する卒園生がいると、うれしそうに話します。卒園生が多方面で力を発揮していることはもちろん、10数年前に卒園した子どもたちの現在の様子を、熊本さんがよく知っていることにも驚きます。

「動き」以外の「ことば」「リズム」のエッセンスについても、カード遊び、俳句や詩の暗唱、発声や歌、ピアニカなど、多岐にわたる活動を行っています。
熊本さん
カード遊びや暗唱は、覚えることが目的ではありません。でも、毎日の繰り返しの中で、子どもたちは自然に覚えていくんです。そのときはあまり意味がわからなかったとしても、詩を通して日本の四季にふれたり、歌や楽器で音楽に親しんだりした経験は、その後の人生で何かにつながっていくはずだと思います。
自ら未来を切り拓いていく力を育てたい
熊本さんは、AIなどの科学技術が進化し、世の中が大きく変わっていくからこそ、「効率化の時代に非効率が価値を生む」という信念のもとで保育・教育を行っていると話します。
熊本さん
将来、どんな壁にぶつかったとしても乗り越えられるように、多くのことを体験して、さまざまな世界を知り、豊かな発想で未来を切り拓いていける人になってほしい。そのためにも、子どもたちが色々なことにチャレンジする機会をつくるように心がけています。

その言葉の通り、熊千代会が運営する園の年中行事は、とてもバラエティ豊か。山登りや川遊び、雪遊びといった自然体験、田植えや稲刈り、芋掘りなどの農業体験のほか、スイミングやスケートなど、スポーツにふれる機会も充実。運動会やマラソン大会、音楽リズム発表会など、日頃の努力を発表できる場も豊富です。
「子どもは自ら体験することで成長していく」と熊本さん。行事だけでなく、普段の生活の中でも、自ら考えて行動する子どもたちの主体性を尊重しながら、成長を見守っています。
熊本さん
例えば、服を着替えたり靴を履いたりするとき、先生や保護者の方はつい手伝いたくなってしまう。でも、そこで手伝うと子どもの成長の機会を奪ってしまうんです。子どもはできるようになると、自分でどんどん上を目指していきます。成長に限界がないんです。当園の体育では跳び箱をしますが、10段を跳んだら11段、11段を跳んだら12段を目指す。卒園の頃には13段を跳べる子が出てくるんですよ。

より良い保育・教育のため、働きやすさも重視
良い保育・教育を提供するには、保育教諭の先生たちが個人として充実していることが重要だと考えている熊本さん。そのため熊千代会では、一人ひとりのキャリア形成や働きやすい環境・仕組みづくりにも注力しています。
入職1年目の先生は、必ず総幼研の研修を受けるだけでなく、1~2年目の間に総幼研の加盟園の公開保育に行って勉強する機会を設けています。研修はすべて出勤日に行い、費用は園が負担します。
また、入職1年目には担任を持たずに補佐を担当し、2~3年目はステップステージ、4~7年目はミドルステージ、8年目以降はリーダーやマネージャーを目指すなど、キャリアステージが設けられています。面談の機会もあるため、個人の希望や適性に合わせてキャリアを積んでいくことができます。
学ぶ機会がたくさんあり、着実にキャリアを築いていける環境は、新卒や経験の浅い人にとって、とても心強いのではないでしょうか。実際に今、こぐま上野保育園で働いている正職員の先生たちは、全員が新卒・未経験からのスタートだったそうです。

仕事の充実はもちろん、ワークライフバランスにも配慮がされています。正職員とパート職員でシフトを組み、協力しながら仕事を分担しているため、残業はほぼなし。有給取得率は95%以上で、土日や祝日と組み合わせて連休が取れるようになっています。
熊本さん
こぐま上野保育園の開園から18年が経ち、全員が「すべては子どものため」という意識を持ちながら、協力し合える良い状態ができてきたと実感しています。少子化の時代に、園を良い形で維持し続けるために、子どもたち、保護者の方、職員、みんなに喜んでもらえる園でありたいと思っています。

子どもと共に、保育者自身も成長できる
ここからは、現場で働く先生方にもお話を伺います。1人目は、こぐま上野保育園が開園した年に新卒で入職し、現在は副園長を務める倉口さん。新卒が7割、経験者が3割という非常にフレッシュな状態でスタートしたと、開園当時を振り返ります。
倉口さん
経験者の先生も、総幼研のカリキュラムは初めてだったので、全員で一緒に研修を受け、ゼロからのスタートでした。新卒でもみんな担任を持ちましたし、今思えばなかなかハードだったと思いますね(笑)。

就職活動をする中で、この園で働きたいと思ったのは、「総幼研のカリキュラムを取り入れている園は、先生と子どもの関係性がしっかりしている」という印象を持ったことがきっかけだったそうです。
倉口さん
子どもが先生をあだ名で呼ぶようなカジュアルな雰囲気の園もありますが、私はきちんと「先生」として接したくて。だから、先生と子どもの関係性を築ける園で働きたいと思いました。それから、見学に行ったときにカード遊びを初めて見て、「私もやってみたい」と思ったことも決め手になりました。
カード遊びは、単語や数字、絵などが書かれたカードを高速で見せながら情報を記憶させるために使われます。しかし倉口さんは、子どもに対して「教え込む」ためのものではないと説明します。
倉口さん
子どもと一緒に楽しむことが第一。カードを通して対話をするようなイメージです。漢字が好きな子、国旗を覚えるのが早い子など、子どもによって反応はさまざま。「この子はこういうものが好きなんや」と知るきっかけになるんです。

妊娠出産を機に、一度退職した経験を持つ倉口さん。その期間に他の園でパート勤務をしたことで、改めて熊千代会の魅力に気づいたと話します。
倉口さん
子どもを中心に考えるがあまり、先生の就労時間が長くなってしまう園もあれば、先生主体で考えているために子どもとじっくり向き合えていない場面が見られる園もあって、どちらもちょっと違うなと感じて。熊千代会は、子どもの力をどうやって伸ばしてあげられるかを考えながら、先生たちの働きやすさも考慮されているところが魅力だと実感しました。
一度は離れた熊千代会に戻り、これまでに延べ15年ほど勤務してきた倉口さんに、長く仕事を続けてこられた理由を尋ねてみました。
倉口さん
私がこの園に戻ってきたときは、子育て中の先生はまだいなくて、私が第一号でした。子どもが小さいうちはメインの担任からは外してもらう、最初はパート勤務で子どもが大きくなってから正職員に戻るなど、その都度相談しながら、働き方を柔軟に対応してもらえたのが大きかったと思います。
今では、倉口さんの他にも子育て中の先生が数人いて、それぞれの事情をヒアリングしながら働き方を決めているのだとか。先輩たちが道を作ってくれているからこそ、これから出産・育児を考えている若い世代も安心して働けそうです。

現在は副園長として、担任は持たずに各クラスのフォローにあたっている倉口さん。これから一緒に働く仲間に向けて、こんなふうに話してくれました。
倉口さん
先生だって得意不得意があるのは当然。音楽や体育、英語は週1回来てくれる専門の先生もいますし、もし不得意な分野があっても、子どもと一緒に少しずつできるようになっていけば良いんです。子どもが好きで、子どものための保育をしたいという思いがあれば、それで十分。いろんなことに好奇心と向上心を持って取り組んでもらえたらうれしいです。
子どもたちの成長が日々のやりがいに
続いてお話を伺うのは、新卒で入職して今年で4年目になる内藤さん。大学卒業時に保育士資格を取り、働きながら幼稚園教諭の免許も取得しました。内藤さんはどのようにしてこの園への入職を決めたのでしょうか。
内藤さん
見学に来たとき、子どもたちも先生もとても元気で楽しそうで。特に子どもが自ら積極的に活動している様子が印象的でした。それから、総幼研のカリキュラムを取り入れている点もいいなと思いました。保育士になると、日案や週案など活動計画を考えるのが大変そうだという不安があったのですが、この園はベースとなるカリキュラムがあるので、未経験でも安心だと感じたんです。

入職1年目は2歳クラスの補佐を担当。2年目からは5歳クラスの担任を持ち、3年目は4歳、そして今年は持ち上がりで5歳クラスを担当しています。今担任を持っているのは、内藤さんが1年目に2歳クラスで担当した子どもたち。彼らの成長を見ることが、日々の喜びややりがいになっているそうです。
内藤さん
マラソンや跳び箱など、子どもがいろんなことに挑戦できる園なので、一緒に頑張ったり、達成できたときにみんなで喜べたりするのが楽しいですね。例えば最近だと、自分に自信がなくていつも尻込みしていた子が、「運動会でお母さんにいいところを見せたい」と頑張って、目標を達成できたんです。それがきっかけで、今までは自分から手を挙げるタイプじゃなかったのに、「やりたい!」と積極的に言えるようになって。「そんな自信がついたんや!」と驚いてうれしくなりました。

子どもの成長を楽しそうに話してくれる内藤さんですが、入職したばかりの頃は難しさを感じる場面も多かったと振り返ります。
内藤さん
初めはどうしても、みんなから遅れてしまった子をつい手伝いたくなったり、全員が揃うのをずっと待ってしまったり。こちらが手を出しすぎるのは良くないと思いつつ、ちょうどいいさじ加減をつかむのが難しかったですね。でも、困ったときは先輩に相談してアドバイスをもらい、少しずつ感覚をつかんでいくことができました。一緒のクラスを担当する先生はもちろん、他のクラスの先生たちも気にかけてくれるのでありがたいですね。
20~30代の同世代の先生が多く、「普段からよく話すし、相談しやすい雰囲気だと思います」と内藤さん。子どもたちと共に先生たちも日々学びや成長を重ねている様子が伝わります。
内藤さん
今はまだ2歳・4歳・5歳しか経験していないので、今後は他のクラスも担当してみたいです。子どもの成長過程をそばで見守りながら、自分の中で知識と経験を積み重ねていけたらと思います。

たくさんの体験を通じて成長していく子どもたちに関わりながら、自分自身も共に成長し、キャリアを築いていくことができる。熊千代会で働く魅力が、熊本さんと先生方のお話からしっかりと伝わってきました。熊千代会の保育・教育に共感し、興味を持った方は、まずは見学に足を運んでみてください。
執筆:藤原 朋
撮影:小黒 恵太朗
編集:北川 由依
求人募集要項
| 企業名・団体名 | 社会福祉法人 熊千代会 |
|---|---|
| 募集職種 | 保育教諭(正規職員の保育士) |
| 雇用形態 | 正社員 試用期間:あり(3ヶ月)、期間中の労働条件の変更なし(条件同一) アルバイト・パートでの勤務も可能です。 |
| 仕事内容 | 幼保連携型認定こども園での乳幼児(0歳から小学校就学前)の保育業務 【業務内容】 ①基本的な保育業務(受け入れ対応、遊びの見守り・促し、安全管理) ② 子どもたちの活動のサポート(排泄補助、食事介助、午睡の見守り) ③ 園内環境の整備(清掃、片付け、行事の準備補助) ④ 職員との連携・サポート業務(保育士の指示に基づく補助、子どもの様子の共有) 入社してすぐにお任せしたいこと:乳幼児の保育(おむつ交換、着替え・食事介助など)、連絡ノート・日誌の作成、保護者対応、遊び(工作・散歩・お絵かき・音楽)、園雑務(清掃など) |
| 給与 | 月給: ・大学卒:212,690円(基本給:201,190円 + 業務手当:2,500円 + 処遇改善手当:9,000円) ・短大・専修学校卒:195,640円(基本給:184,140円 + 業務手当:2,500円 + 処遇改善手当:9,000円) ※経験者の方はご経験年数に合わせて給与を決定します。 例:保育士10年程度の経験の場合:239,360円〜 残業代の支払い方: 時間外労働分は別途支給(月平均4時間:職員会議として) |
| 福利厚生 | ・昇給年1回(3.60%又はあり) ・賞与年2回(一般労働者の前年度実績:4.50ヶ月分、新規学卒者の前年度実績:3.00ヶ月分) ・社会保険:雇用、労災、健康、厚生、財形に加入 ・退職金制度あり(勤続2年以上)。退職金共済加入 ・住宅手当:5,000円~25,000円(条件有り)/扶養手当:5,000円~24,000円(条件有り)/奨学金返済手当:10,000円(卒業から3年間・他条件有) ・通勤手当:実費支給(上限月額30,000円まで)/共済会(退職金、映画・イベント・宿泊等)加入/ユニフォーム支給/リフレッシュ休暇(5連休)取得を推奨 |
| 勤務地 | 就業場所(こぐま上野保育園): 〒615-8007 京都府京都市西京区桂上野今井町124番7 阪急電鉄・上桂駅より徒歩15分 将来的に変更になる可能性がある勤務地(転勤範囲) ・こぐま保育園: 京都市中京区橋本町493 ・こぐま白雲北保育園: 京都市上京区新町通今出川上る元新在家町163-1 ・こぐま松尾キッズクラブ: 京都市西京区松尾大利町71番地1 |
| 勤務時間 | 変形労働時間制(1年単位) 主な勤務時間(シフト制): (1) 7時30分~16時30分 (2) 9時00分~18時00分 (3) 10時00分~19時00分 7:30~19:00間でのシフト制勤務(勤務地により一部異なる) 休憩時間:60分 |
| 休日・休暇 | 週休二日制(その他) 休日:日、祝、その他(土曜日は月2〜3回休み、年末年始など) 年間休日数:105日 年次有給休暇:6ヶ月経過後10日(2024年度の有給休暇取得率は95%以上) 育児休業取得実績多数あり |
| 応募資格 | 必須免許・資格:保育士もしくは幼稚園教諭の免許 求める人物像:知育、德育、体育とバランスのとれた保育内容を実践する意欲のある方、子どもの成長を楽しめる方 |
| 選考プロセス | 京都移住計画の応募フォームから応募 ↓ 書類選考(履歴書をお送りください) ↓ 面接 ↓ 適性検査(ピアノ試験なし) ↓ 内定 選考日時: 随時受付中(日時は申込み時に個別に決定) 職場見学: 随時実施、いつでも歓迎(予約のうえ当日朝10時開始、約90分) |
| 面談場所 | こぐま上野保育園(就業場所所在地と同じ) オンライン対応可 |
| 参考リンク | ホームページ:http://koguma-hoikuen.com |


