募集終了2016.12.26

町家改修のパイオニア。若い力を進化の原動力に

オン・オフを問わず、たびたび遭遇する「接客」や「もてなし」の機会。好感度を左右する要素は多々ありますが、最も影響をおよぼすものをひとつ挙げるとすれば、はじめに出迎えてくれる「人」ではないでしょうか。

なぜこのような前置きをするかというと、今回ご紹介する会社のお仕事に「受付業務」が含まれているからです。いわば「企業の顔」ともいえる重要なポスト。そこに新たな人材を投じようとしているのは、一度求人記事としてもご紹介をした、京都市で建築・不動産業を営む株式会社八清です。

っl (15 - 15)

前回もお伝えしたとおり、八清という会社は、かつては「古家付き土地」などとしておまけ同然に扱われていた物件を改修し、そこに「京町家」という新たな価値を見出したパイオニア的存在。その後も、一棟貸しの旅館やシェアハウスといった新たな活用方法を提案するなど、時流を先読みし、様々なビジネスモデルを構築しています。

前回は3代目である現社長を父に持つ、専務取締役の西村直己さんに会社の歩みを語っていただくとともに、募集対象の「リーシングプランナー」の先輩方の声をお届けしました。

一方、今回は冒頭に触れた受付事務と営業事務を兼務する若手社員を求む!ということで、管轄部署にあたるサービスマネジメント部のトップ松本和也さんをはじめ、新卒で入社後、結婚・出産を経て第一線で活躍する先輩社員の小川直子さん、そして現在、受付や営業事務を担当している辻佳苗さんの3名にお話を聞きます。

っl (8 - 15)

「異常」なバブル期を経験して

最も勤続年数が長いのは松本さんで、入社29年目の超ベテラン。現在は総務・経理の責任者として経営にも関わっていますが、入社から15年間は営業畑一筋だったそう。バブル経済の激動期と重なるその時期を、松本さんはこう振り返ります。

っl (1 - 15)

「一言で表すなら『異常』でしたね。2日に一軒のペースで何千万もする土地建物が売れていくんですから。当時は二十歳そこそこで、何が起こっているのかよくわかっていませんでしたが、なんとなく、こんな状況が長く続くわけがないよな、という認識はありましたが、終わりのない繁栄が続くのではと錯覚をしておりました」

奇しくも松本さんの予感は的中します。1990年、国が金融機関に対して建築業や不動産業への融資を制限するよう通達(不動産融資総量規制)を出した途端、資金繰りに窮する業者が続出。このとき、地価の下落を察した八清の先代社長と現社長(当時 専務)は、いち早く所有物件の一斉放出を決断し、どうにか難を乗り切ります。ただ、景気低迷が長期におよんだため、会社存続のためリストラや事業縮小を余儀なくされた時期もあったそうです。

松本さんに転機が訪れたのは、そうした「我慢の時代」を乗り越えつつあった2003年頃。唐突に、営業から総務・経理へ異動する話を持ちかけられたのです。

「同じ会社とはいえまったくの畑違いですから、ちゃんと務まるのかという不安はもちろんありましたが、当時35歳で、そのままずっと営業として数字を追い続けていくことにも不安があって……思い切ってお受けしました」

っl (7 - 15)

最初の1年間は「把握するので精一杯」だったという松本さんですが、仕事を覚えていくにつれて、以前より広い視野で会社全体を見渡せるようになったといいます。

「会社のお金を預かる立場上、社長をはじめとした幹部との接触機会が増え、おのずと経営者目線で物事を考えるようになりました。町家へシフトチェンジをするかどうかを決める重要な局面にも立ち会ってきて、自分の意思で会社をよりよい方向に導いていける、変化を起こせるんだという手応えを感じました。大きな責任をともないますが、そのぶんやりがいも大きいですね」

っl (13 - 15)

社内に変化をもたらした専務の登場

経営陣の一人として会社を俯瞰する松本さんがいま、必要性を感じているもの。それが今回のテーマである「会社の顔」にふさわしいフレッシュな人材です。

っl (2 - 15)

「このところ中途採用が続いた影響もあって、社員の平均年齢がやや高くなっているんです。このままでは辻さんのような今いる若手社員が育っていきませんし、会社の活力も失われかねません。今後の変化に柔軟に対応してくれる、20代前半の若い人材を迎え入れたいと思っています」

松本さんが「今後の変化」を起こすキーパーソンとして挙げたのは、現在ともに経営に携わる西村専務でした。彼が加わったことで、すでに様々な変化が起きているといいます。

っl (12 - 15)

「社員の選び方ひとつとっても、ずいぶん変わりましたね。伝統的に『新卒中心・協調型』だったのが、ここ最近はすごくバラエティに富んできまして、いい意味で『八清らしくない人』が増加しています。服装も以前はスーツおよび制服で統一していましたが、役員からの発案で専務も大いに賛同し私服に変わりました。そうした変化の積み重ねで、社内の雰囲気も丸みを帯びてきたというか、専務の朗らかな性格が随所に反映されてきたように思います」

道標を立てた「社内一の異動経験者」

そんな松本さんの発言に深く頷いていたのが、勤続19年の小川直子さん。現在は、松本さんと同じサービスマネジメント部で、新規事業を取り仕切るプロデューサーとして活躍しています。しかし現在のポジションに行き着くまでに、実に6つもの部署を渡り歩いた「社内一の異動経験者」なのだとか。まずはその経緯について聞いてみました。

っl (3 - 15)

「入社当初は、まさに今回の募集職種である受付や営業事務をやっていました。本当はインテリアコーディネーターになりたかったんですけど、就職氷河期真っ只中だった上に外大出身ということで、目星をつけた会社にはすべて断られてしまって。それでも諦めきれず、転職情報誌で見つけた八清に『事務職でもいいから勉強させてほしい』とお願いして、採用してもらったんです」

入社2年後、小川さんは八清の建築部門である工務部へ異動。「夢に一歩近づけた!」と喜んだのも束の間、「現場で通用する知識が何もない」と気付かされます。そこで小川さんは、建築・デザインの基礎を身につけるべく、終業後に週2回、専門学校へ通うことに。すると、そのことを知った部内の同僚から、新築物件のクロス選びなどを任されるようになり、徐々に仕事の幅が広がっていきます。そして、2級建築士の資格取得後、設計監理部へ異動し、本格的に設計業務に携わるようになりました。

っl (4 - 15)

工務部異動時の挫折感をバネに、見事スキルアップを遂げた小川さん。そこからは順風満帆?かと思いきや、働く女性ならではの試練が待ち受けていました。

「2009年に結婚をし、その後子供を授かりました。八清では初めて産休を取得し、復帰後の体制も整えてもらったのですが、なんと、復帰の3ヶ月後に二人目の妊娠がわかって……。これ以上迷惑をかけるわけにもいかないので、辞職を申し出たところ、当時の上司が引き止めてくれて、二度目の産休取得と復帰が実現したんです」

復帰後の配属先は、事前の相談で決まっていた、営業部と設計監理部を統合した暮らし企画部。保育所のお迎えのため、9時から16時の時短勤務で再スタートを切りました。ご主人の理解と協力もあり、仕事と家庭の両立そのものは比較的スムーズに運んだそうですが……。

「休んでいる間に、組織再編があったり、新しい人が入ったりして、社内の状況がものすごく変わっていたんです。その変化になかなか追いつけなくて、溶け込むまでに1年くらいかかりましたね」

っl (9 - 15)

今年の組織改変にともない、現職に落ち着いた小川さん。大がかりな新規事業も任されて、「いま、入社当時に思い描いていた以上の仕事ができている充実感がある」といいます。紆余曲折があった中で、きょうまで続けて来られた理由を問いました。

「尊敬できる上司に囲まれてきたこと。それから、社員同士の関係性もさらっとしていて、私にはちょうどよかったですね。若いころ、『小川の仕事がしたい』という一心で仕事に突き進めたのは、そうした環境のおかげだと思います。でも、いま働き続けている意味は何だろうって考えると、自分がしたいことを叶えるためではなく、『八清のために自分ができることをしたいから』ですね。子供を持ったことも影響しているのかもしれません」

っl (10 - 15)

八清では小川さんの後に続くかたちで、別の女性社員も産休を取得、職場復帰を果たしており、結婚・出産後も仕事を続けることが、当たり前のこととして浸透しつつあります。また、小川さんのように自分の努力次第で、仕事の幅を広げていくこともできます。

小川さんご自身の出発点だった受付・営業事務の仕事を、これからどんな人に担ってほしいのか聞いてみました。

「月並みな表現ですけど、素直で明るい人、自分の仕事に誇りを持って働いてくれる人がいいですね。あと、うちの会社は社員に義務付けられている宅建のほか、業務に関連する建築士、ファイナンシャルプランナーなど所定の資格を取得する際、講習費用の一部負担や、その後もライセンス手当として給与に反映するライセンス制度があるので、それも活用しながら、たえず成長を続ける人であってほしいなと思います」

上京区神明町2

自分でつくった「顔」の仕事

小川さんが語った理想の人物像は、現在、受付・営業事務を担当している辻佳苗さんそのもの、といっていいかもしれません。辻さんは3年前、パート社員として八清に入社し、その働きぶりが評価されて3ヶ月後に正社員登用となりました。聞けば小川さんと同じく、インテリアコーディネーター志望で八清に入ったそうです。

っl (6 - 15)

「まさか正社員に登用されるとは思っていませんでしたが、3ヶ月の間に居心地のいい会社だなと感じていたので、すごく嬉しかったですね。はじめはインテリアコーディネーターと宅建の勉強を両立しようと試みたのですが、意外と難しくて、まずは社員に必須の宅建の取得に専念しようと。何年以内に取らなくちゃダメといった規則はないんですけど、正直いってあまり楽しい勉強じゃないので、先に済ませちゃおうって(笑)」

二度目の挑戦となった今年の試験は、発表待ちの状況ではあるものの、「おそらく大丈夫」と手応えを感じている様子。日々の業務では、どんなことを心がけているのでしょう?

「たとえば、アポイントのあるお客様がお見えになるとき、受付のベルを鳴らされる前にお出迎えするとか、適温のおいしいお茶をお出しするとか、些細なことばかりですが、その時々で何がベストかを自分なりに考えながら取り組んでいます」

_DSC9383

実際、今回お話を伺うために来社したときも、玄関ドアを開けたと同時に辻さんがすっと現れて、「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と気持ちよく出迎えてくれました。

しかし、仕事は来客対応だけではありません。電話応対のほか、各部署の人々から依頼される書類作成や英文メールの翻訳等、サポート業務が次々に舞い込んできます。それでいて辻さんには、多忙さを感じさせない「落ち着き」が備わっています。

「コツを挙げるとしたら、一つのことに集中しすぎないことですかね。何か作業をしている間も、周りの声などに気を配るようにしていると、『次はあれを頼まれるかも』と予測できるようになって、段取りをつけやすくなるんです。ある程度経験を積まないと難しい面もありますが、急な来客に早く気づくとか、できることから始めるのがよいと思います」

っl (14 - 15)

束縛しない、育て方

辻さんにはきっと、仕事の極意が他にもたくさんあるはずです。ところが、「あまり細かく言うつもりはありません」ときっぱり。「明らかに間違っているときなどは別として、基本的には自分で考えて工夫してほしい。私もそうやって支えてもらったおかげで成長できたので」と、本人の自主性を重んじる構えです。

っl (5 - 15)

「あとは小川も話していたような素直さや向上心を持っている人と働きたいですね。能力的なことでいうと、最近外国のお客様が多いので、語学力もあるとなおよいと思います」

「それから……」。辻さんは少し遠慮がちに続けます。「冗談でもいいので、たまに『さすが、辻さん!』って褒めてほしい。励みになるので」。辻さんの思いも寄らぬリクエストに一同大爆笑。クールな印象の辻さんのユニークな一面とともに、松本さんが「バラエティ豊か」と表現した社員の多様性を肌で感じることができました。

LWワークショップ1

せっかくなので辻さんに、先輩たちの話を聞いた感想と今後の抱負も語ってもらいました。

「私の知らない八清があるんだな、と改めて感じましたね。そんな中で『“受付はこうあるべき”とかはないから』と過去の例にとらわれず、自由にやらせてもらえたことをありがたく思います。でも、実は今までちょっと遠慮していたところがあったので、後輩ができるこの機会に、もう少しリーダーシップを発揮してみようかなと。インテリアコーディネーターになる夢を追いつつ、まずは受付を私色に染めるという密かな野望を叶えたいと思っています(笑)」

っl (11 - 15)

入社した時期も、世代も、たどってきた道のりも大きく違う3名ですが、自分の、あるいは会社の将来を見据えて、それぞれの持ち場でベストを尽くしている様子が伝わってきました。「会社の顔」といっても気負う必要などありません。みなさんが口にしていたとおり、第一条件は素直さや明るさ、向上心を携えていること。それらを如何なく発揮して、会社とともに成長していく人を、八清は待っています。

募集終了

オススメの記事

記事一覧へ