募集中2024.09.11

亡き人を想う「心」に寄り添って。時代に合った供養のかたちを提案する

故人の冥福を祈り、追悼することを意味する「供養」。以前は、お墓や仏壇に祀って供養するのが一般的でしたが、近年では従来の形式にとらわれず、さまざまな方法で供養ができるようになっています。

今回ご紹介する株式会社カン綜合計画・博國屋(ひろくにや)は、そうした時代の変化をいち早くとらえ、約20年前に「手元供養」という新しい供養のかたちを創造した企業です。
現在、手元供養と樹木葬の2本柱で事業を展開する同社では、原点である手元供養の商品をより多くの人に届けるため、マーケター人材を募集しています。

家族の死をきっかけに、此岸から彼岸へシフト

京都市役所にほど近い寺町通に本社を構える株式会社カン綜合計画・博國屋。1995年、大手ディベロッパー出身の山崎譲二(やまざき・じょうじ)社長がまちづくりコンサルタントとして独立・起業したのが始まりです。

まちづくりの会社がなぜ供養品や樹木葬を手がける会社に?素朴な疑問を山崎社長に投げかけると、こんな答えが返ってきました。

山崎社長

畑違いに見えるでしょうが、ずっと同じことをやっているんですよ。以前は「此岸」の家づくりとまちづくり、そして今やっているのは「彼岸」の家づくりとまちづくり。あの世かこの世かだけの違いです。

「彼岸の家はこれね」と差し出されたのは、やさしい笑みを浮かべる陶製のお地蔵さん。正確には、少量の遺骨が入るミニ骨壷を内蔵した、お地蔵さん型の納骨オブジェです。

ほかにも、ヒノキで作られた小さな骨壷、螺鈿細工を施した納骨ペンダントなどが揃い、「どれも素材選びからこだわり、職人の手で一点一点丁寧に作られたほんまもんです」と山崎社長は胸を張ります。

これらの“家”に遺骨を納め、身近に置いて供養することを「手元供養」と名付け、世の中に広めたのは、ほかでもない山崎社長です。きっかけは20年以上前、父親の死期が近いと悟った時だったと振り返ります。

山崎社長

父に対する悔恨の念と感謝の気持ちが湧き起こり、初めて「供養」というものが自分事になってね。供養や葬送について徹底的に調べ上げて、最後に行き着いたのが手元供養です。遺骨の一部を身近に置いて、故人を偲び、感謝を伝え続ける。これが自分にとって最善の方法だと思いました。

遺骨はすべて家々の墓に納めるのが常識とされていた当時、手元供養をすることにためらいはなかったのでしょうか。

山崎社長

僕はいわゆる団塊の世代のど真ん中でね。古い価値観と新しい価値観の間を生きてきたから、従来のお墓へのこだわりはそんなになかった。むしろ、どうしてお墓じゃないとダメなのか、時代に合った新しい供養のかたちがあってもいいじゃないかという考えでした。

ディベロッパー時代から綿密なマーケティングを礎に、まちづくりという名の「価値創造」に取り組んできた山崎社長。「新しい供養のかたち」の実現に向けて動き出したのは必然だったのかもしれません。

葬送事業で今日的な課題を解決する

年間約160万人が亡くなっている今日、何らかのかたちで手元供養を行なっている人は10数万人に上るといわれています。手元供養品を扱うネットショップや実店舗も今では珍しくありませんが、山崎社長が事業を開始した当初は皆無に等しい状況でした。
販売代理店の開拓も思うように進まず、事業の継続に不安を感じていた頃、たまたま訪ねた営業先が救世主となりました。

山崎社長

コープこうべの葬祭部門の方にお地蔵さんの納骨オブジェを見せたところ、開口一番「これが欲しかったんですよ!」と言われて。
神戸では阪神淡路大震災で大勢の方が命を落としたでしょう。大切な人を失った悲しみを抱え、辛い日々を送っているご遺族がたくさんいらして、心の慰めになるものが欲しいという声が寄せられていたそうです。自分が想像していた以上に、手元供養の役割は大きいんだと気付かされました。

手元供養は実際にさまざまな事情を抱えた方の支えとなっています。愛する人を失った方のグリーフケアとして、あるいは経済的な理由などでお墓を建立できない方やお参りが困難な方の心の拠り所として、「なくてはならないもの」なのです。

核家族化や少子高齢化が進み、お墓の継承問題が取り沙汰される中、「手元供養は今後ますます必要とされるに違いない」と確信した山崎社長は、自身の考えを『手元供養のすすめ』という本にまとめました。その本の中で樹木葬を取り上げたことが、「彼岸のまちづくり」にあたる樹木葬事業の端緒となります。

書籍『手元供養のすすめ』は、祥伝社新書より2007年に発売された

山崎社長

本をお読みになった東福寺塔頭のご住職から直々に「樹木葬を始めたいのでぜひ手伝ってほしい」と依頼されたんです。最初は驚きましたが、もう一つの新しい供養のかたちとして提案していきたいなと思って、喜んでお引き受けしました。

手元供養を立て直し、持続可能な会社へ

2011年に開始した樹木葬事業のコンセプトは、「ゆっくりと、自然に還る」。由緒ある京都のお寺が守り継いできた自然の大地を「棺」に見立て、その中をめぐる水や生きものの力を借りながら自然に還ってゆくという考え方です。

山﨑社長

お寺の墓所と言っても檀家になる必要はなく、ここがいいと思ったらどなたでも入れます。長く続いてきた京都のお寺さんに供養してもらえるなら安心、京都なら交通の便もよくお参りしやすいといった理由で選ばれています。

これまでにプロデュースした樹木葬地は市内4カ所。それぞれ東福寺、建仁寺、大徳寺の塔頭寺院にあり、その運営全般をカン綜合計画・博國屋が担っています。樹木葬への関心の高まりとともに右肩上がりに契約数が増え、この13年間でその数およそ1700件に上っているそうです。しかし、一方の手元供養事業では課題が浮上しているようで……。

山崎社長

樹木葬事業にリソースを割いた結果、手元供養のほうが手薄になり、必要としている人へのアプローチが不十分になっています。そこで今回、手元供養事業の立て直しのため、マーケティングや販売企画を担当してくれる人を募集することにしたんです。おそらくその人がうちの会社の“最後のピース“になるでしょう。

最後のピースとは、何を意味するのでしょうか。真意をたずねると、「あと1人がはまれば、会社としてほぼ完成するから」と山崎社長。さらにこう続けます。

山崎社長

スタッフは今5人いるんですけど、みんなとってもいい。僕がいなくても回るくらい、それぞれが有能で連携も取れています。おかげさまで収益も安定しているので、もう1人加わって手元供養事業の立て直しができたら成長はもういいかなと。だから無闇に人を増やさない。増やすくらいなら働き甲斐をさらに感じられる施策の改善にお金を使います。

国の試算によると、年間死亡者数のピークを迎えるのは2040年頃。これをチャンスととらえて事業拡大に乗り出す企業が増加する中、山崎社長は「伸びれば伸びるほどガクンと下がる時が必ず来る。そうならないように」と、成長から持続へ舵を切ろうとしています。
単なるモノではない「心の商品」を提供する、誠実かつ堅実な会社の姿が見えてきました。

自分らしい供養が選択できるように

山崎社長が信頼を寄せているスタッフの方々にもお話を伺いました。
営業企画室 室長の近藤亮(こんどう・りょう)さんは、人材派遣会社や和装小物会社の営業職を経て、2016年、カン綜合計画・博國屋の一員に。現在は山崎社長の右腕として、会社の運営を取り仕切っています。

「あの一件がなかったら、この会社の存在すら知らなかったかもしれませんね」と、入社経緯を明かしてくれました。

近藤さん

前職の会社の会長夫妻が立て続けに亡くなられて、社葬のお手伝いをさせていただいたんですが、その時初めて葬儀の流れを知りまして。息子である社長が憔悴しきっているのをよそに、式はスケジュール通り粛々と進められていく。そこにすごく疑問を持ったんですよね。これでいいのかなって。

「いつか親を見送る時」を想像した近藤さんは、葬送や供養について調べるように。その過程で遭遇したのが、カン綜合計画・博國屋の樹木葬のWebサイトでした。

近藤さん

こんなお墓のかたちもあるんだ、面白いなぁと思って見ていたら、「スタッフ募集」のバナーが目に入って。とりあえず雇用形態を確認したくてメールを送ったところ、社長から一度会いましょうと返事が来て、気が付いたら入社の方向に進んでいきました。

転職準備を進めていた数ヶ月間、何度も事務所を訪ねるうちに「供養の世界をもっと知りたい」「供養で困っている人の役に立ちたい」という思いが強まったそうです。

その後、どのように仕事をマスターしていったのか、入社後の日々を振り返ってもらいました。

近藤さん

社長に言われたのが、「3ヶ月時間をやる。その間、好きにしていいから、うちの事業を今後どうしていくべきか、考えをまとめて3ヶ月後に発表して」って。めちゃくちゃ困りました。
とりあえず本やネットで調べていたんですけど、続かなくなって。外に出てヒントを探すしかないと思い、営業に同行させてもらいました。葬儀屋さんや仏具屋さんの考えを知らないと何をどうしていいのかもわからないので、あちこち回って知識を得ていったという感じですね。ちなみに3ヶ月後の発表では「考えが浅い!」と一喝されました(笑)。

知識と経験を蓄えた今でも、「トライアル&エラーの連続ですよ」と苦笑い。例えば、ペットショップにペット用の供養品があれば喜ぶ人もいるだろうと店に掛け合うも、「縁起でもない」と門前払いされるなど、死をタブー視する風潮が“壁”となっているようです。

近藤さん

手元供養も樹木葬も歴史が浅く、確立されたマーケティング手法がないんですよね。そこが難しくもあり、チャレンジのしがいがあるところです。うちの商品にはすべて思想が入っているので、届けばきっと喜んでくれると確信しています。それを知っているから諦めずにチャレンジし続けられるのかもしれませんね。

どんな時も人の想いを大事にする

近藤さんはそう言って、自身のモチベーションにつながっている「商品に宿る思想」の一例を紹介してくれました。

近藤さん

うちの手元供養品には大抵お骨を入れる布袋が付いています。何のためかというと、手元供養品の持ち主の方が亡くなった時にこれを取り出して棺に納められるように。そこまで考えて作っているところは少ないんじゃないでしょうか。

そして、「せっかくなので作り手の思いも聞いてやってください」と、納骨ペンダントや写真オブジェの制作、骨壷全般の文字入れなどを行なっている社内の工房へ。中に入ると、納骨ペンダントづくりに打ち込む福宮裕介(ふくみや・ゆうすけ)さんの姿がありました。

福宮さん

ペンダントトップの表面に黒漆を塗っているところです。まだ1回目なので、あと3回塗って磨けば完成ですね。細かい仕事がもともと好きで始めましたが、特別なものを納める商品なので、余計に気持ちが入りますね。

供養品に入れるメッセージや写真を見ると、「どんな方だったのかなぁ」と想像を掻き立てられるそう。時には直接工房を訪れる方もあり、メッセージの文言について相談を受けたり、故人の思い出を聞いたりすることもあるそうです。

福宮さん

直接お話を伺うと、大切なものを作らせてもらっているんだと改めて感じます。文字入れ一つとっても、託されたメッセージ以上のものを感じ取って作らなければいけないなという気持ちで取り組んでいます。

近藤さんが商品だけでなく作り手まで紹介してくれたのは、「スタッフみんなが人の想いを大事にしていることをわかってほしくて」。今回の求人でも、そこに共感できる人を迎えたいと言います。

近藤さん

逆に言うと、お商売目線でこの業界にぶら下がりたいっていう人は合わないと思います。確かに伸びる業界であるけれど、うちはそこを狙っているわけじゃないので。

そうした絶対条件に付け加えたいスキルや能力についてもお聞きしました。

近藤さん

手元供養はネット通販が主体なので、Webマーケティングの知識や経験があると心強いですね。経験の有無にかかわらず、生の声を拾ってくるフットワークの軽さやコミュニケーション力も注目ポイントになります。

なお、入社後は近藤さんとともに手元供養品の取引先回りからスタート予定。そのやりとりを見聞きしながら、ノウハウを吸収していくこととなります。「自信がついたら、自分にできること、やりたいことを積極的に発信してほしい」と、近藤さんは話していました。

すんなり溶け込めた、家族的な雰囲気

最後にお話を伺ったのは、樹木葬事業の顧客対応やweb周りの業務を受け持っている田中翼(たなか・つばさ)さんです。田中さんは、大手自動車メーカーで約8年間、Web制作会社で約3年間在籍したのち、今年(2024年)2月にカン綜合計画・博國屋へ。
転職時の条件としていた「人と話ができる仕事で、京丹波町の自宅から1時間半以内で通えるところ」に当てはまり、「事業内容にも魅力を感じた」のが応募の決め手でした。

田中さん

僕の実家でも墓じまいの話が出ていて、葬送は結構身近なテーマでした。昔からある供養の文化を大事にしつつ、今の価値観に合ったかたちやサービスを作り出しているところが素敵だなと思いましたね。

一方で、「100人規模の会社でしか働いたことがなく、少人数の会社ってどんな感じなのかな」という不安もあったそうです。

田中さん

応募要項にブラック企業が使いがちな「家族的な会社です」みたいに書かれていて、大丈夫かなって(笑)。でも、入社してみると本当に家族っぽくて、すごく溶け込みやすかったです。社長がどっしり構える親父で、近藤さんが頼れる兄貴、僕は末っ子のような感じでいつも和気藹々としています。

周りのスタッフから「何年も前からいるみたい」と言われるほど、人の懐に入るのが上手な田中さん。その長所は顧客対応の場面で存分に生かされているようです。どんなところにやりがいや難しさを感じているのでしょうか。

田中さん

うちの樹木葬は、埋葬方法や景観の面で独特なんですけど、現地へご案内した時に「こんなところを探していたの」と喜んでいただけると嬉しいですね。同時に、そういう希望を持っている人に情報を届けるのが難しいなとも感じていて、ご年配向けの旅行雑誌に広告を出すのはどうかなぁとか、自分なりに糸口を探し続けています。

次々に芽生えるチャレンジしたいこと

もう一つの担当業務であるWebサイトのほうでも「やってみたいことがあるんです」と田中さんは目を輝かせます。

田中さん

現地まで見学に来られない方のために、Zoomなどを活用した“おんらいん見学”を実施しているんですけど、ご年配の方にとってはハードルが高いんじゃないかと。なので、Webサイト自体をもうちょっと親しみやすいつくりに変えたいなと思っています。
ただ、僕はページ制作はできてもデータ解析まではできないので、その辺に強い人に来てもらえないかなぁと密かに期待しています。

さらに「こんな人がうちの会社に向いているかも」と、アラサー目線の適性ポイントを挙げてくれました。

田中さん

社内は僕以外みんな昭和生まれで、お客様もほとんど昭和世代なので、古い文化や価値観を柔軟に受け入れられる人でしょうか。伝統文化だったり、お年寄りと話したりするのが好きな人なら楽しく働けると思います。

インタビュー終了後、集合写真の場に選ばれたのは、大文字山を望むビルの屋上でした。毎年8月16日の夜、スタッフやその家族、友人・知人などがここに集い、供養のともし火に手を合わせているそうです。
五山の送り火のように時代を超えて守り継がれる供養もあれば、時代の流れに沿ってかたちを変える供養もある。たった一つ変わらない、故人を偲ぶ心に寄り添うお仕事をこの会社で始めてみませんか?

執筆:岡田 香絵
撮影:中田 絢子
編集:北川 由依

求人募集要項

企業名・団体名株式会社カン綜合計画・博國屋
募集職種葬送関連企業でのマーケティングや販促企画・運営全般
雇用形態正社員
試用期間:3ヵ月(勤務条件変更なし)
仕事内容◇マーケティング全般、ブランディング戦略の立案
◇HPや動画サイトほか各SNSでの宣伝・PR企画、運用全般
◇WEB広告などの企画、手配、運用全般
◇アクセス解析、効果測定、データ分析、改善
◇チラシ、パンフ等の販促物の企画、デザイン全般
など

樹木葬・手元供養品など、自社サービスや商品に関する知識等に関しては、業務を行いながら少しずつ学んでいけばOK。
給与基本給・月給: 230,000円 - 280,000円
時間外手当は法令に従って支給する
賞与あり 年2回(前年実績4.0~5.0ヵ月)
昇給あり 前年実績5000円~10,000円
試用期間:3ヶ月 (試用期間中は月給230,000円)
福利厚生社会保険:労災、雇用、健康、厚生
勤務地自社内:京都市中京区久遠院前町669-1

原則転勤なし
勤務時間9:00-18:00(休憩60分)
休日・休暇シフト勤務にて週休2日制(年間125日)

GW・夏期休暇・年末年始は会社カレンダーによる
応募資格【あれば活かせる経験】
◆マーケティングや広告の知識、ITリテラシーがある方
◆Photoshop・Illustratorの使用経験
【歓迎するタイプ】
◇数字やデータ分析に強く、課題を解決することが得意な方
◇アイデアや発想が豊かで、業界問わず知識を吸収できる方
◇自分で考えスピーディに行動できる方
選考プロセス京都移住計画の応募フォームから応募

書類選考

1次選考

最終選考

内定
※職場見学やカジュアル面談も可能
面談場所弊社事務所
参考リンク会社HP
手元供養HP
樹木葬HP

求人への応募・お問い合わせ

募集要項を見る

オススメの記事

記事一覧へ