2022.07.05

ものづくりへの情熱を絶やさない。お客様の「つくりたい」想いに応える板金コンシェルジュ

京都移住計画での募集は終了いたしました

戦争が終わり、京都のまちも少しずつ活気を取り戻しつつあった1949年。家の土間に置かれた一台の金属のプレス機からはじまった企業があります。それから現在までおよそ70年余り、金属加工業として技術を磨き、価値ある製品をつくりつづけてきたのが、株式会社広瀬製作所です。

時代によって作る製品は変わっても、変わらないのがものづくりに対する情熱。大手企業から個人事業主まで、どんな要望も断らず、お客様の「つくりたい」想いに応えています。

ものづくりに真摯に取り組むだけではなく、社員が働きやすい環境づくりにも力を入れています。約半数を女性が活躍する企業として、京都府の「女性活躍推進ロールモデル」に選ばれるほか、社員が健康でいきいき働ける企業の証である「健康経営優良法人」の認定を受けました。

そんな広瀬製作所が今回募集するのは、お客様と現場をつなぎ、より良い製品作りのサポートを行う営業職。仕事の内容はもちろん、働く人たちのリアルな言葉から、広瀬製作所のあり方やものづくりに対する想いをしっかりと感じてください。

品質の高いものづくりで、取引先を開拓

一台の金属のプレス機から、始まった広瀬製作所。これまでどのような歩みを進めてきたのかを教えてくれたのは、営業部長の広瀬 雅史さんです。1999年に家業である広瀬製作所に入社し、父が築き上げてきた会社を、代表取締役である兄・安行さんと共に守りつづけています。しかし、最初の就職先は、大手電機メーカーの製品を扱う商社。家業に関わる気持ちは持っていなかったそうです。

「営業職として3年働いた後、独立して自分の会社を持ちました。工場で必要な道具を仕入れて卸したりもしていましたが、金属加工の仕事をとってきて、機械を借りて自分で作ることもありました。機械を自分で買うことができなかったので、製作所が休みの日や夜に金属を切って曲げて溶接していましたね」

営業から金属加工まで自ら行い、会社を軌道にのせようと奮闘していた雅史さん。しかし父が亡くなり、安行さんから「一緒に会社を盛り立ててほしい」と声をかけられます。長年勤めていた職人の独立、創業時から付き合いのあったメーカーとの取引の減少なども重なり、会社は過渡期を迎えていました。

「当時は孫請けとしての仕事がほとんどだったため、メーカーと直接取引できる仕事を探し、営業にまわる日々がつづきました。そんな折、新たな大手電子機器メーカーから声がかかり、取引がスタートしました。このとき、限られたコストの中で要望に応えようと試行錯誤したことや、品質を見極める目を養えたことで対応力が格段に上がり、『いいものを作る会社や』と周囲に認めてもらえる製品が作れるようになったんだと思います」

お客様とともにものづくりに挑む「板金コンシェルジュ」

こうした努力の末、名だたるメーカーとの取引が始まり、現在では幅広い製品を手がけています。そこには「できません」と決して言わず、「どうすればできるか」を考え、お客様とともにものづくりに挑む姿勢があります。

「製品をつくるうえで、まずはお客様が1番に何を求められているかをしっかりお聞きします。重量を軽くしたい、格好の良いデザインにしたい、コストを抑えたい。優先順位をお聞きし、見合った加工方法を提案します。これまでの経験だけに頼らず、協力業者の方に知恵を貸してもらうことも。そうやってお客様からいただいた難題に挑むことで、できることがどんどん広がっていったんです」

雅史さんも営業としてお客様の要望を聞き取るだけでなく、製造スタッフとともに一緒に知恵を振り絞り、時には自ら加工の現場に立つことも。「どうやったらお客様の要望を叶えられるか」をみんなで考えて挑戦しつづける。ゼロからものづくりが原点にある広瀬製作所だからこそ、お客様の想いを深く理解できるのかもしれません。

「機械を扱うのは人です。たとえ同じ図面・材料・機械を使って同じ製品を作っても、一緒にはならないですよ。作業者の想いが製品に出るんです」

お客様が大企業でも、個人でもその姿勢が変わることはありません。以前、ホビー用のレーザーマーカーの開発に取り組んでいる方からの依頼があり、設計の相談から商品化までを請け負うことがありました。なんと、その製品は全国展開するバラエティーショップで取り扱われているそう。

「個人ではなかなか受けてくれる製作所は少なく、いろんな会社に断られて断られて、うちに来てくれた。それでも諦めない想いを聞くと、何とかしてあげたいなと思うんですね。ものづくりの可能性を大事にし、お客様と共に成長したいからこそ、僕たちができませんと言うことはないんです」

お客様とともにものづくりに挑む。その気持ちから、広瀬製作所では「板金コンシェルジュ」を商標登録し、社員が役職や仕事の種類ではなく、板金のプロフェッショナルとして、お客様に信頼してもらえるコンシェルジュになろうという姿勢を表した言葉です。

「私たちはサプライヤーですが、ただ図面通りに作る仕事ではありません。お客様の要望を叶えるために相談にのったり、加工方法を考えたり、時には図面から一緒に考えることも。社員みんながコンシェルジュである意識を持ち、自ら提案できる技術や知識を持とうということなんです」

安全なものづくりの現場を目指す

こうした広瀬製作所のものづくりの現場を支えているのが、入社12年目となる北村 大介さん。前職も板金加工業に従事していましたが、結婚を機に転職し、広瀬製作所に入社しました。

「前職は就業時間が長く、深夜まで仕事が及ぶこともありました。板金加工の機械は扱いを誤ると、大怪我をすることもあります。若い時は気力で乗り越えていましたが、年齢を重ねれば体力もなくなる。安心して働ける仕事に就きたいと、転職することにしました」

前職の経験を生かし、仕事に邁進してきた北村さん。図面に沿って金属板から型を抜き、曲げて溶接し、嵌合するという板金加工の流れの中で、北村さんは「曲げ」部門のリーダーを担当しています。高い技術はもちろんのこと、重要視しているのは、お客様も会社にとっても良い状態でものづくりができること。

「もちろんお客様の要望を優先するんですが、そのために時間やコストがかかってしまうのでは、良い仕事だとは言えません。そのためにも、試作の段階で量産できるかどうか、再現性があるのかを考えて作っておく。お客様も会社にとっても、どちらも得になるようなものづくりを目指しています」

時間・コスト・品質。その三拍子が揃って初めて、いい仕事だと言えると話してくれた北村さん。北村さんをはじめ技術者として働く社員は、「特級板金技能士」などの資格を取得するなど、技術や知識の向上に努めています。

「資格を取得するために学ぶことで、基礎を振り返れたり、業界として正しい用語を社内の共通言語として用いることができています。自分自身も間違えて覚えてることに気づいたり、より安全にできる方法を選べるようになりました」

リーダーとして後輩を指導する際にも、こうして資格を取得する際に学んだ知識が役に立っているそうです。何人もの後輩を育成してきた北村さんに、この仕事にはどういった人が向いているのかを聞いてみると、意外にも「ビビリの人が向いているのかも」とのこと。

「一つ間違えると機械でケガをすることもあるので、石橋を叩いて叩いて…くらいの方が向いていると思います。仕事は経験を積めば早くなるので、とにかく安全を重視して仕事ができる人がいいですね」

安全面や作業効率を鑑みて、現場はいつも美しく整えられている

大切なのは安全への配慮。長年、現場に立ちつづけ、実直にものづくりに向き合ってきた北村さんだからこそ、いいものづくりをするためには、会社の心臓部を担う現場の安全が何より大切だと理解されているのでしょう。

女性が笑顔で働ける環境を

広瀬製作所はものづくり企業では珍しく、パート社員を含めるとなんと女性比率は50%以上。加工現場の製造スタッフや事務職として、多くの女性が活躍しています。今年も女性社員が入社し、そのうちの一人が営業アシスタントの高田陽香(はるか)さん。発注書や見積書の発行だけでなく、経理や総務に関する事務も担っています。

すぐそばには桂川が流れています。こんな風景を休憩中に気軽に見にいけるのも魅力。

お昼ご飯や休憩中は、和気あいあいとした雰囲気。4月に入社したばかりの高田さんも「相談しやすい雰囲気だな」とほっとしたそう。今は先輩方に教えてもらいながら、コツコツと仕事を覚えている最中です。

広瀬製作所に就職を決めたのは、就活中に参加したハローワークの合同説明会。自分たちがつくる製品に対して、こんなにも熱意を持っている人たちが働いている会社なら、と入社を決めました。事務職の高田さんは基本的に現場に立つことはありませんが、入社初日には機械の危険性などを学ぶ安全講習を受けました。そこで、広瀬製作所が安全性を高めるためにさまざまな体制を整えていることを知ったそうです。

「他にも地球環境や社員の健康などについて会社のあり方を聞き、社員が快適に働ける環境づくりを本気で目指している会社なのだと感じました」

迷ったり悩んだときは、すぐに先輩に相談できる環境

入社して驚いたのは、月1回、全社員が取り組む「環境整備の日」。通常時の仕事は一切行わず、自分のスキルアップに取り組みます。高田さんは、エクセルのスキルアップに取り組んでいる最中です。

「自己成長につながることを出勤日に取り組めるのでありがたいですし、自分のスキルアップのために社員みんなで取り組んでいるのも素敵なことだと感じました。私はコツコツ積み重ねることは向いているタイプなので、こういった機会を有効に使いながら、先輩方のようにテキパキ働けるようになりたいですね」

年齢も経験も垣根なく、挑戦できる風土

つづいてお話を伺ったのは、CADオペレーターの三ツ井毬菜(まりな)さん。大学で心理学を学んだあと、学生寮の指導員として勤務していました。しかし、学生寮が閉鎖となり、転職を余儀なくされます。新たな仕事を探すうちに興味を持ったのが、ものづくりの仕事。コツコツと物事に向き合うことが得意な自分の適性を活かせるのではないかと感じ、職業訓練校でものづくりの技術を学びました。

加工や溶接などさまざまな体験を経て、三ツ井さんが選んだのは、CADオペレーター。そうして働く先を探していた折、ものづくり企業の合同説明会で出会ったのが広瀬製作所でした。

「面接の際に『最近入社した20代の社員が楽しく働けるように、同世代の方が入ってくれたら嬉しいんだけどな』ってぽそりとおっしゃったんですよ。あぁ、今いる社員を大切にする会社なんだなと感じて、ここで働きたい!って思ったんです」

入社後、一から学べる研修や先輩たちの丁寧な指導を受ける中で、一人ひとりがものづくりに丁寧に向き合う様子を見て、とても感銘を受けたという三ツ井さん。

「最初の社員研修では、現場のそれぞれの部門がどんなことをしているかを見学したり、初心者でもできる作業を実際に経験しました。CADもまずは練習から始めて、慣れてきた頃に簡単な図面から実践に入りました。『分からないことはすぐに聞いてね』と声をかけてくれるので、安心して仕事に取り組むことができています」

 1年経った今は複雑な形状のCADデータも作成できるようになり、金属の板から形を抜く「レーザー加工機」にプログラムを送り込む操作や、「曲げロボット」を操作し、金属板を曲げたり、角度調整などの作業を行っています。

「お客様からいただいた図面をもとに、CADを操作して一から設計することもありますが、まだまだ臨機応変に対応できないので悔しいですね。先輩に教えていただきながら、勉強する日々です。大変ではありますが、新しいことに挑戦できることが楽しいんです」

社内には3つのプロジェクトチーム「コミュニケーション」「スキルアップ」「改善」があり、役職や業務内容に関係なく、社員全員がどれかのチームに所属しています。三ツ井さんは、スキルアップチームに所属。チーム内でも役割が分かれており、三ツ井さんは最近できたばかりの「アイデアソンチーム」のリーダーを務めています。

「アイデアソンチームは、会社の新商品開発に取り組むチームです。話を聞いて面白そうだったので、思わずリーダーに手をあげちゃいました(笑)。今はスタートしたばかりなので、情報収集をしたり、いろいろな方にアイデアをもらったりして、イメージを膨らませています。何を作るか、どう販路を作るかなど、自由に考えさせていただけるんです。無事に新商品が製品化できるように、チームみんなで頑張っていきます」

入社2年目の三ツ井さんがリーダーとして新商品開発に携われるように、実務以外にも社員が当事者意識をもって会社に関わるチャンスを設けているのが、広瀬製作所の特色と言えるかもしれません。

テーマに沿って投稿する「みんなの木」というコミュニケーションボードも

他にも、毎月誰でも提出することができる「改善提案書」があります。これは「会社で改善したいこと」もしくは「自ら改善に取り組んだこと」を書くことで改善点を共有し、働く環境や制度などをより良くしていこうとする取り組みです。書いたものは休憩室に掲示され、見た人が「いいね!」と感じた投稿には賛同の意思を表すシールを貼ることができる仕組み。入社したばかりの頃、三ツ井さんもその掲示を見てとても驚いたそうです。

「『危険な場所をひと目でわかるように赤いテープをつけました』などの報告や提案が、たくさん書いてあって。社員みんなが、改善の意識を持って働いてる会社ってすごいなと改めて会社の良さを感じました。私も何か改善できるところはないかなと、日々思って働くことができています」

ものづくり・人づくり・人生づくりを大切に未来へ進む

ひたむきにお客様と付加価値のある商品を一緒に作ってきた広瀬製作所。しかし、コロナ禍や原材料不足など、近年は「世の波に左右されて困ることも多くあった」、と雅史さんは言います。もっと盤石な組織にするために。そこで、これまでの知見を活かして、初となる自社製品の開発をスタートさせました。

「いくら技術を磨いても、お客様からの依頼がなかったら力を発揮することはできません。リーマンショック、コロナ…と大きな波を経験して、将来的にはうちの柱なるような製品を開発するべきなんだと考えるようになりました」

社員は、社長にも雅史さんにも、気兼ねなく質問できる間柄

これまでお客様のものづくりをサポートしてきた知見と経験を活かして、広瀬製作所の看板となる製品を作りたいーー。創業から70年以上の歴史を積み重ねてきた広瀬製作所で今、新たな挑戦がはじまろうとしています。その根っこにあるのは、先代から受け継いできたものづくりに対する真摯な想い。

「小さい頃は父親に『できへん』って言ったら怒られた気がするんですよね。自分で手を動かすことによって、分かることがある。それは自社製品でも、お客様から依頼されたものでも変わることはありません。みんなが最後まであきらめず、ものづくりに対して真剣に向き合ってくれたらきっと良いものができると思うんです」

作りたい人の想いに耳を傾け、寄り添い、品質の高い製品として世に送り出す。そうしたことを大切に、広瀬製作所は、京都、そして日本のものづくりの基盤を支えています。ものづくりに興味がある、誰かの役に立つ仕事がしたい。そんな想いを持つ人は、これまでの経験や適性などにとらわれず、ぜひ応募してみてください。実際に現場に足を運び、働く人たちの想いに触れることで、ここで働くイメージが湧いてくるかもしれません。

編集:北川 由依
執筆:ミカミ ユカリ
撮影:橋野 貴洋

※本記事はBeyond Career事業にて受注・掲載した求人記事となります。Beyond Careerについてはこちら

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