募集終了2023.02.15

京都に「関わりたい」「暮らしたい」を応援する。ローカルの水先案内人・京都移住コンシェルジュ

あなたが住みたいのは、どんなまちでしょうか。

都市部にアクセスしやすく、利便性のあるところ。歩いていけば、海や山が広がる自然豊かなところ。歴史的な街並みが広がるところ。かつて住む場所は、出身地や仕事のある場所に限られていましたが、テレワークの広がりを受けて場所を問わず働ける人も増え、自分の求めるライフスタイルに合わせて「住みたい場所」を選ぶ人も増えてきました。

しかし、移り住むことへの憧れはあるものの、「環境が変わっても暮らしていけるのか」「地方に仕事はあるのだろうか」など、移住した後のことを想像すると、なかなか足を踏み出せない人もまだまだいます。

今回募集する「京都移住コンシェルジュ(以下、コンシェルジュ)」は、京都に移住したいと考えている人の不安や疑問に耳を傾けて、それぞれに合った情報を伝え、現地とつなぐ役割を担います。単に情報を伝えるだけではなく、「なぜ、そのまちに住みたいか」「そのまちでどんなことがしたいか」と一緒に未来を想像する。まさに「コンシェルジュ」と呼べる仕事なのです。

「京都に住みたい」人たちの希望に寄り添い、移住先での暮らしをともに描く移住コンシェルジュ。それはどのような仕事なのか、紐解いていきましょう。

まだ伝えきれていない京都の魅力

多くの人が「京都」と聞いてイメージするのは、歴史的建造物が立ち並ぶ京都市内でしょう。しかし京都府には異なる魅力を持った市町村が26もあります。

「海の豊かな恵みを受ける京丹後や、お茶の産地である和束町など、個性溢れる地域がたくさんあります。移住という枠組みを通じて、その魅力をもっと伝えていきたいですね」と話すのは、京都府庁で移住促進を担当する岡田久美さん。

京都府は、2014年より一般社団法人京都府農業会議(以下、農業会議)、並びに株式会社ツナグム(京都移住計画)とともに、京都移住コンシェルジュ事業を推進してきました。

「移住コンシェルジュ」は農業会議の所属となり、京都・大阪・東京にある窓口での「移住相談」、先輩移住者の暮らしの様子や住まいや仕事、関連イベントなどの「情報提供」、現地を訪ね、地域の人との交流機会をつくる「現地案内のコーディネート」などを通して、移住希望者のサポートを行います。

京都移住コンシェルジュによる 個別相談の様子

現在は東京で1名、京都で2名のコンシェルジュが活動しています。

今回は、京都府内を活動拠点に、広報と企画を担当するコンシェルジュをそれぞれ1名ずつ募集します。広報担当は京都府公式移住定住サイト「今日と明日」に掲載する記事の制作やSNS発信を担います。企画担当は京都への移住に関心の高い人に向けた企画を考え、実行します。それぞれ中心となる役割はありつつも、窓口相談の対応や現地案内はどちらも行う業務になります。

「移住という言葉も浸透してはきましたが、いきなり決意するのは難しいことです。ですから、まずは京都に関心のある方と接点を持ち、魅力を知ってもらう機会を設けることが大切だと考えています。『どんな企画がいいのだろう』『どんなことを発信していけばいいんだろうか』と自ら考えてアイデアを出すことができる方にはぴったりの仕事だと思います」

移住希望者の想いに添った提案を

まずは広報担当と企画担当のどちらにも共通する「移住相談」がどんな仕事なのかを、東京の窓口を担当している榎本麻里さんにお聞きしました。

大学時代を京都で過ごし、横浜市で暮らす榎本さん。榎本さん自身も「いつか地方へ移住したい」との想いがあり、関東の都市部に暮らしながら京都と関われる、移住コンシェルジュの仕事を選びました。

東京の移住相談窓口には、京都への移住に関心を持つ人が訪れますが、その相談内容も本気度も人によってさまざま。例えば、「仕事もすでに決まっていて、数ヶ月後に移住します」という方もいれば、「いつか移住したいと考えてるんだけど」とまだまだビジョンが定まっていない方も。

「相談者によって求める環境が違うので、それぞれの悩みや心配事に合わせて、どんな提案をするかが大切なポイントです。移住後のビジョンや計画がしっかりある方には情報を提供するだけでもよいですが、整理できてない方もたくさんいらっしゃいます。その場合は『移住してどんなことがしたいか』『どんな暮らしをイメージしているか』などをお聞きし、次の一歩に必要な情報を提供します」

現在、コンシェルジュとして6年目の榎本さん。コロナ禍を経て働き方が多様化する今、相談に来る方の内容や年齢層も変化してきていると感じているそうです。

「コンシェルジュになった初期は京都市内への移住希望者が多かったのですが、最近では『子育てがしやすい』『自然が豊かな場所がいい』といった希望も増えています。仕事がテレワークになり2拠点生活が可能になったことで、完全な移住ではないけど何かしら京都に関わってみたい、短期間でも京都での暮らしを体験してみたいなど、相談内容も移住前提ではないものも増えてきています」

そうした背景から、移住だけに限定せず、京都と関わりを持てるイベントやプロジェクトも始まっています。

地域の特産品やお酒を楽しみながら、京都府各地を盛り上げる企業や地域おこし協力隊との交流ができる「ALL KYOTO FES」。地域の企業に実際に訪問し、副業・兼業から地域と関わる「京都ローカルワークステイ」。こうしたイベントへの参加を促し、多様な面から京都との関わりを提案するのも移住コンシェルジュの大切な役割です。

2022年9月、大阪で開催された「ALL KYOTO FES」
京都への関わりを探しに首都圏からの参加する人も多い「京都ローカルワークステイ」

「1月下旬に開催された京都ローカルワークステイには、東京で相談対応した方がたくさん参加されました。こうしたイベントは、京都に関心はあるけれど移住まで踏み切れないと思っている方にもご紹介することができます。関わりを広げていくことで、観光だけではない京都の魅力をもっといろんな方に知っていただけたら嬉しいですね」

足を運び、地域との関係を積み重ねる

「移住相談」を経て、現地に足を運びたいと希望する方もいます。「現地案内のコーディネート」を担当するのは、2022年からコンシェルジュとして活動する矢田諭子さんです。

移住先のエリアが決まっている場合は市町村の移住担当者に紹介し、現地訪問がスムーズにいくように手助けを行います。しかし「子育てに対する支援が手厚いところに移住したい」などエリアが限定されていない場合は、市町村をまたいで案内をすることになるため、コンシェルジュが希望にあった地域を紹介し、現地を案内します。

今では京都の水先案内人として相談者から信頼されている矢田さんも、青森県からの移住者です。

「大学の時にラジオサークルに所属していたんですが、学内や地域で面白い取り組みをしている人に取材をして、ラジオで紹介していました。地域のことを、自分の言葉で県内の人とかに伝えるっていうのがすごく面白くて。卒業して企業に就職したんですけど、やはり地域に関わるような仕事がしたいという想いが捨てきれなかったんです」

そんな折に偶然SNSで見つけたのが、コンシェルジュの募集記事。「京都には修学旅行でしか来たことがなかった」という矢田さんですが、自分自身が移住者として地域と一から関わりを持つこともよい経験になると考え、応募を決意しました。

「最初は京都府の地図を机に貼り付け、京都府の市町村名を覚えることからのスタートでした。でも先輩コンシェルジュについて、実際に足を運び、地域の方や移住者の方と話すと、面白い情報がどんどん蓄積されていくんです」

特に現地案内のコーディネートは、こうした普段の情報収集や地域との関係づくりを積み重ねることが大切なのだそう。

「例えば、『自然豊かな場所で子育てをしたい』という希望を持つご家族を案内した時は、亀岡市や京丹波町にある小学校や保育園を実際に案内しました。暮らす場所・働く場所を変えることは大きな決断が伴い、不安も大きいですよね。だからこそ、先輩移住者や地域の人からしっかりと話を聞き、『どんな地域で、どんな人が住んでいるのか』をご自身たちでリアルに感じてもらえる機会にしたいんです」

矢田さんは、「今日と明日」の記事制作やSNSなどの広報業務も担当しています。「今日と明日」では、移住者や地域で面白い取り組みを行う企業や団体にインタビューして記事を作成。この時、学生時代の経験や自らも移住者であることが役立っているそうです。

「最初は京都に対して、観光のイメージしかなかったんです。海も山もあって、こんなに自然豊かなんだと驚きました。京都で仕事をするようになって、豊かな自然やそこでの営みに惚れ込んで移住を決めた人たちとたくさん出会いました。そんな方々の言葉を通じて、地域に対してどんどん知識や理解を深められることが楽しいですね」

広報担当の方は、「今日と明日」の記事作成やSNS発信業務を担当していただきます。経験は問いませんが、「地域のことを面白がれる人」が向いているとのこと。

「取材では地域の面白い話もたくさん聞けるんですが、『ずっと地域にいると、何がいいのかわかんないんだよね』って言われることもあるんですよ。だからこそ私たちが地域の隠れた魅力を表に出して伝える役割を担う意味があるんです。多くの人が当たり前に思うことも、面白がれる視点を持てる人が向いているかもしれませんね」

ユニークな企画で京都との接点を増やす

京都府が企画する「ALL KYOTO FES」や「京都ローカルワークステイ」以外にも、イベントや現地ツアーを企画し、移住に関心の高い人たちとの接点を持つこともコンシェルジュの仕事。企画担当となる方には、これから紹介するようなコンテンツを、先輩コンシェルジュと一緒に企画・運営してもらうことになります。

例えば東京では、2022年12月から、新たに「京都ファンミーティング」の取組がスタートしました。観光よりも濃く京都に関わりたい人たちが、気軽に参加できるイベントを実施し、終了後はチャットグループに加わってもらうことで、継続して「京都ファン」同士のコミュニケーションを育んでいけるような場づくりをしています。 

東京「移住・交流情報ガーデン」で開催された京都ファンミーティングの様子

「毎年遊びに行くぐらい京都が好きで、いつか移住したいんだけど…と悩まれている相談者の方はけっこう多いんです。そこで、同じような想いを持つ方たち同士で交流してもらったら面白いかもと思い、企画しました。チャットでは『こういう京都イベントあるよ!』というライトな情報から、移住に関する質問まで、参加者それぞれに関心のあるトピックについて話せる場になっています」(榎本さん)

チャットでの会話からイベントの参加や移住相談につながるなど、新たな関わり方が生まれています。企画担当者は、榎本さんと一緒にコミュニティに参加している人たちがもう一歩京都に深く関われるような企画づくりやチャット運用などを担当してもらうことになります。

京都の移住コンシェルジュが昨年企画したのは、「古民家」をテーマにした現地ツアー。3回にわたるセミナーでは、オンラインで古民家リノベの専門家に話をお聞きし、その後、空き家をリノベーションした家やお店を実際に訪れ、暮らしぶりやDIYの方法などについて聞くツアーを開催しました。

「窓口でお話を聞いていると、『古民家をDIYして住みたい』と考えている方がけっこういらっしゃるので、需要があるテーマだと思い企画しました。セミナーを聞いて終わりではなく、現地を訪れ、地域の方と触れ合うことで、そこでまた繋がりが生まれる。古民家はあくまできっかけで、そこから少しでも移住に繋がっていけるような、新たな企画を考えていく必要があると思っています」

古民家をテーマにした現地ツアーの様子

こうした企画は、移住相談者の声から生まれることも多いそう。

「コンシェルジュの方々が相談を受ける中で、『こういうことを知りたいんだな』『こんなイベントがあれば喜ばれそう』と考えていただいた結果、こういったプログラムが生まれています。ですから企画担当の方は、毎年同じプログラムを遂行するのではなく、相談者の声に耳を傾けながら求められていることを分析して、プログラムを企画していただきたいですね」(岡田さん)

広報と同じく、企画担当も経験は不問。最初は先輩コンシェルジュが企画したコンテンツを一緒に進めながら仕事を身につけていきます。

「企画から運営までまるっとやる仕事なので、イベントの司会や進行管理など経験したことがないことに挑む場面も多いと思います。だから、『とりあえずやってみよう!』というマインドの方が楽しめるんじゃないかな。とはいえ、最初から1人きりでやろうと背負い込みすぎず、私たちと一緒に進めていきましょう」(榎本さん)

左は京都移住計画の藤本和志。「京都ローカルワークステイ」を中心に、イベントやプログラムをご一緒することになります。

移住したいと望む人たちの悩みや疑問に耳を傾け、肌感のある確かな情報を伝えるコンシェルジュ。地域ならではの文化や暮らしへの理解を深め、自らが京都との関わりを楽しんでいる人たちだからこそ、心から移住者に寄り添うことができるのかもしれません。

仕事を通じて、地域に関わりを持ちたいと考える方はぜひ、ご応募ください。あなた自身が京都のまちや人との関わりを育むことで、きっと楽しみながらこの仕事に取り組めるはずです。

編集:北川由依
執筆:ミカミユカリ
撮影:橋野 貴洋

▼京都移住コンシェルジュの仕事は、これまでもご紹介してきました。併せてご覧ください。

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