募集終了2020.02.27

やりたいことは地方で叶える。人とまちの関わりをつくる移住コンシェルジュ

「子どものために自然豊かな場所で暮らしたい」、「お店を開きたい」など、今住んでいる場所から違う場所に移り住むことを検討している人の多くは、何かしら叶えたいことがあるのではないでしょうか。今回ご紹介する京都移住コンシェルジュの仕事は、そんな願いを京都府内で叶えるお手伝いをする仕事です。

全国に先駆けて誕生した京都移住コンシェルジュ

今では全国各地で耳にすることが増えた「移住コンシェルジュ」を、全国でいち早く導入したのが、実は京都府であるとご存知でしょうか。

京都移住コンシェルジュが生まれたそもそものきっかけは、京都府が京都府農業会議とともに2005年から設置した「京の田舎ぐらし・ふるさとセンター(以下、ふるさとセンター)」まで遡ります。

ふるさとセンターは、集落活性を目的に、田舎暮らしをしたい方に向けた情報提供や相談を受ける窓口。対象は主に、定年後のリタイア層や就農を考える方でした。

しかし、時代の流れとともに、田舎暮らしに興味をもつ若い方が増えはじめ、ふるさとセンターだけでは十分な支援が難しくなっていました。

こうした背景から20代〜30代をメインターゲットに、2014年に誕生したのが京都移住コンシェルジュ(以下、コンシェルジュ)です。

コンシェルジュは、京都・大阪・東京にある窓口での「移住相談」、イベントなどの「情報提供」、「現地案内のコーディネート」を中心に、理想のライフスタイルを実現するサポートをしています。

東京で開催する移住相談フェアの様子。
東京や京都、大阪で定期的に開催している移住セミナー。

コンシェルジュが窓口を通して受けた移住相談は、2014年〜2019年度までで約5400件、移住者は1932名に上ります。そんな中、2020年度からはさらにパワーアップした取り組みを展開していくため、新たにコンシェルジュを募集します。

京都府の岡田久美さん、そしてコンシェルジュとして活動する藤本和志と並河杏奈に、仕事内容やコンシェルジュを通して実現したい京都の未来についてお話を聞きました。

亀岡のカフェ「Saji」さんにて。

移住当事者として寄り添う相談窓口

コンシェルジュ事業は、京都府から補助を受ける形で京都府農業会議が実施。企画や現場業務を、「京都移住計画」を展開する株式会社ツナグムが担当しています。

ツナグムがコンシェルジュ事業に携わることになったきっかけは、京都府の職員さんが「京都移住茶論」に参加したことでした。

藤本:2012年から京都移住計画は、民間プロジェクトとして京都に移住したい方や移住された方の交流の機会をつくってきました。自分ごとベースで関わりをつくってきたので、参加する方々の層は僕たちと同じ20代後半〜30代が中心。コンシェルジュ事業の対象年代と似通っていたところから、京都府さんに声をかけてもらいました。

岡田:相談にいらっしゃる方の多くは、都市部在住でUIターンを検討をしている若者です。京都移住計画のみなさんなら、寄り添った相談ができるのではないかと思いました。

岡田さん(京都府)

2014年に2名のコンシェルジュを置き、コンシェルジュ事業を開始。藤本は2016年、並河は2018年からコンシェルジュとして活動してきました。二人はどのような経緯からコンシェルジュになったのでしょうか。

左:並河(コンシェルジュ南丹エリア担当)、右:藤本(コンシェルジュ丹後エリア担当)

藤本:転職前に、コンシェルジュが企画した丹後の現地ツアーに参加しました。京阪神から10名ほどの人が集まって、地域の方々にアテンドしてもらって。参加者の中に、「田舎暮らしはしたいけど、仕事や家族のことを考えるとどうしたらいいかわからない」と話す方がいたんです。それを聞いて、コンシェルジュは誰かの人生のさまざまな面に関わる仕事なのだと思いました。だからこそのおもしろさがあるんじゃないかと興味が湧きました。

並河:私は、藤本さんに「コンシェルジュどう?」って誘われて(笑)

新卒から地元・亀岡市の活性化に関わるような仕事をしていたので、地元の良さをもっと知ってもらいたいと思いコンシェルジュとして活動することにしました。ちょうどカフェや宿泊施設などのオープンが増え、亀岡市が住みやすいまちになってきたなと思っていたタイミングだったことも後押ししましたね。

先輩移住者さんのお店や、オープンに至る背景などを紹介する並河さん。
UIターン希望者向けた現地案内を、京丹後市の八丁浜にて開催。

藤本:仕事ではありますが、自分も楽しみながら、移住希望のみなさんに好きな場所や人をご紹介できるのは嬉しいです。コンシェルジュをはじめてから、友達が増えましたね。仕事とプライベートの境目があまりないので、仕事先の人がみんな友達になります(笑)

並河:どんな人がどういう働き方や暮らし方をしているのか知れるのも魅力です。はじめて訪れたまちに行くと、「この窓の向こうにはどんな生活があるんだろう」と想像するのですが、コンシェルジュとして多くの人に出会い、多様な暮らしの数々があることを教えてもらいました。 

岡田:藤本さんや並河さんのように、自分たちもまちとの関わりを楽しんでいる人じゃないと、移住者は来ないと考えていて。行政がまちの魅力を紹介しようとしても、立場的に特定の場所になってしまうことが多くあります。しかし、民間のコンシェルジュであれば地元に寄り添いながら、一人ひとりの移住希望者に合わせた案内が可能になる。移住希望者に、まちの人とのつながりや暮らしや仕事にまつわるリアルな情報を伝えられるので、行政としてもありがたいです。

移住者受け入れの土壌を耕した今までとこれから

コンシェルジュ事業は、移住希望者の「移住相談」「情報提供」「現地案内のコーディネート」と、地域との関わりづくりから移住まで一貫してサポートできることが特徴です。移住希望者の方々の相談に親身になることはもちろんですが、地域のみなさんとの関係づくりも欠かすことができません。コンシェルジュは、定期的に担当市町村に足を運び、時間を共にしてきました。

「MIXひとびと丹後」現地イベントに、コンシェルジュも参加して楽しみました。
梅本農園での収穫体験を通した、地域の人と交流機会。回数を重ねるごとに、受け入れ側も説明や対応に慣れています。

そうした背景もあり、事業のスタートから約5年、京都府内各地の受け入れ側の体制は整ってきています。

藤本:移住促進はもともと京都府主導で始まりましたが、この5年で各市町村も移住に取り組むようになりました。今では移住担当者がいて、移住相談や空き家対策に取り組んでおられます。コンシェルジュや京都府、各市町村が連携することで、移住希望者に空き家をご紹介する流れもつくることができました。

また地方で何かやりたいと考える移住相談者に対して、各市町村にいるプレイヤーを紹介するなど、仕事ベースでの関わりづくりも増えてきています。

こうした経緯から2020年4月より、「地方でやりたいことを叶えたい」と願う移住相談者に対して、より具体的なサポートができるよう体制を整えていきます。

岡田:「地方で暮らしたい」とか「今の生活のままでいいんだろうか」と思う方に対してのアプローチ手法はいろいろあると思うんです。そこで来年度からは今までの動きに加えて、「地方で何かしたい」と考える人に、今まで以上に寄り添って、一緒に何ができるか考え、やりたいことを叶えてもらえるようにしていきたいと考えています。

藤本:僕たちは、京都・大阪・東京を中心に広域で動いています。都市と地方の人をつないで仕事をつくっていったり、逆に地方のプレイヤーを都市に連れて行ったり。もっと関係人口を増やす関わり方をしていきたいなと。

岡田:過去5年で、移住促進の取り組みは全国に広がりました。その中で、京都をどう見つけてもらうのか。私たちは「やりたいことを叶えられる京都」として、発信していきたいと思っています。

京都が好きで、誰かを応援したい人に向いている

やりたいことを叶えられる京都にしていきたい。そのために、2020年度から京都府やツナグムと一緒にコンシェルジュ事業を実施していく方を募集します。

岡田:今後は、セミナー企画や仕事づくりをツナグムが、一方、これまでツナグムが実施していた相談窓口や現地案内のコーディネートを京都府農業会議が担う体制に変わります。新たに採用する方には、京都府農業会議付けでコンシェルジュとして、ツナグムのみなさんとも一緒にお仕事することになるので、行政とも民間とも関わってもらうことになります。

藤本:今まで僕たちが相談窓口に座り、セミナーや現地ツアーを企画から運営までになってきました。来年からは、新たな挑戦として職住一体のプログラムや、都市から京都にくるゼミ型の企画や京都ローカルコミュニティづくりなどに取り組んでいくので、現場業務を新しく採用する方に引き継ぎたいなと。はじめは僕たちとニコイチで動いていただき、各市町村の担当者やプレイヤーの紹介や、仕事の進め方はお伝えするので、経験がなくて大丈夫です。

岡田:うん、京都府愛があれば特別なスキルや経験はなくて大丈夫ですね。今知っている、関わっている地域が府全体じゃなくて、並河さんみたいに特定の地域だけでもいい。今後、府全体について知っていってもらえれば。

並河:おせっかいな人が向いているんじゃないでしょうか。コンシェルジュは、スポーツでいうと副キャプテン的なポジションだと思うんです。グイグイ引っ張るわけではないけど、相談に来られる方をそっと後押しするような。自分が目立ちたいという人よりも、誰かをサポートしたい人と一緒に働きたいです。

岡田:勤務は週4日程度で、リモートワークOKです。毎日、出社する義務はありません。だから、自分の好きなことややりたいことにも取り組んでいただく時間もあります。コンシェルジュの仕事と掛け合わせて、地方をフィールドにチャレンジしてもらえたらいいですね。

藤本:「書くのが好き」「写真を撮るのが好き」「企画するのが好き」という人であれば、コンシェルジュの仕事をしながら、自分の生業も育てていけるイメージがつきやすいかもしれません。でも、もし今明確なスキルがなくても、やってみたいことがあるならそれを実現する機会にしてもらえたら。地方の人はめっちゃ応援してくれるので、形にしやすいと思います。

やりたいことを叶えられる京都

新たな仲間を迎えて、リスタートするコンシェルジュ事業。最後に、これからめざしたい京都の姿についてお伺いしました。

岡田:移住は手段です。目標や目的、やりたいことがあった上で、みなさん移住を検討されます。だからこそ、京都府としては何かやりたいなと思う人、田舎暮らしがしたいなと思う人が、「やりたいことを叶えられるまち」にしていきたいです。移住者がくることで、地域にとっても新しい風が吹き、いい循環が生まれていくでしょう。

藤本:僕は「京都が選ばれるまち」になったらいいなと思っています。京都市内は大学や企業、文化施設が多く、他府県からも人が来ますが、そのイメージが強いために、京都府の北や南はまだまだ目を向けられていません。しかし実際訪れると、素敵な場所がたくさんありますし、UIターンして活動しているおもしろい人たちがたくさんいます。

今、彼らが活動を広げようとしている過渡期だと感じていて、プロジェクトが育ち、事業になると、新しい層が訪れるようになると。「京丹後市の○○さんおもしろいよね」「和束町の○○に行ってみたい」など、地方のプレイヤーや地方の場所が主語になる関わりを増やしていきたいです。

並河:一番大切なことは、「その地域で暮らす人が楽しく生きていくこと」だと思います。楽しい地域だと発信していけば、住みたいと思う人や関わりたい人、一緒に地域のことを考えてくれる人が増え、裾野が広がっていく。その「関わりしろ」をコンシェルジュとしてつくっていきたいですね。

京都と聞くと、寺社仏閣や文化など京都市内をイメージする人が多いはず。しかし、京都には北から南までさまざまな個性をもつ26の市町村があります。それぞれの市町村の魅力を掘り下げ、京都で暮らしたい方をサポートするのが、京都移住コンシェルジュです。

もし地方に関心があるのなら、柔軟な働き方、自分らしさをいかす余白のある環境で、あなたもやりたいことを叶えませんか?

左から瀬野さん(京都府農業会議)、岡田さん(京都府)、並河(コンシェルジュ)、藤本(コンシェルジュ)

執筆:北川 由依
撮影:橋野 貴洋

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