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京都には、季節ごとの行事やならわし、風物詩がたくさん存在しています。このコラムでは、1年を春夏秋冬の4つに分け、さらにそれぞれを6つに分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」にあわせて、京都移住計画に関わる人たちの等身大の京都暮らしをお伝えします。
「その調子で人生を地球とリンクさせていってください笑」
舞鶴に移住してちょうど4年が経つこの季節、不意に送られてきたメッセージ。
「あ、そうか」とずっと探していたフレーズに巡り合えた気がした。
舞鶴はすぐそこに海がある。なのに釣りをしたことがない。
もはやコンプレックスとまで思っていた釣りに初めて行ってきた。
近所のイタリアン料理店のオーナーにお誘いをいただき、初回から船で出るというビッグチャンスに飛びついた。
夜の冷え込みに日本海の冬の訪れを感じながら、ただひたすらに釣竿を振る。
こんなに寒いのに魚がいるのかと思った矢先、釣れた。
「エラを開いて赤いとこ3つ切っといて」
自分で食べるというためだけに捕獲した生き物。
食に無神経だった僕に殺生の文字を突きつけられる。
その夜、自ら捌いた魚の味というか感覚は独特だった。
冒頭のセリフはお誘いのお礼に送ったラインにペロンと返ってきたメッセージである。
移住の良さってなんですか?と聞かれて、つまらないフレーズしか思いつかないステレオタイプな僕。
移住の正解探しという長いトンネルの先に光が差した瞬間だった。
光が見えたらそこに猛進してしまうのもまた僕である。
この暮らしぜーんぶひっくるめて表現してみたい。
少し前にSEW STAYというホテル事業をスタートさせた。
「地球リンクここにあり」を一人でも多くの方に知ってほしい。
そんな思いがあったから立ち上がったんだなと今更気づく。
日々向き合う仕事と、ようやく言語化できた個人的感情が縫い合わさった場所である。
この大雪という時候、移住生活初日に文字通り大雪で始まった僕には複雑な季節だ。
色々な記憶が蘇ってくる中、足早に仕事へと向かう。
ふと目をやると対岸には雪で真っ白に染まる山々が並ぶ。
その素朴さと僕の慌ただしさにはまだまだ大きなギャップがある。
どうやったら人生楽しめるか試行錯誤で流れ着いた現在地。
今年の雪は多いのかなー、またあれこれ思いにふける冬になりそうだ。
「地球リンクな暮らし」という新しいモノサシを持ち合わせても、厳しい寒さを乗り越えるのはやっぱり一筋縄ではいかない。
あのフレーズを見返してみる。
おや「その調子で」とも書いてあるではないか。
ちょっとずつリンクできたらいっか。名言は拡大解釈するもんだな。
皆さんも「地球とリンク」、どうですか?
菅原 一輝
福井センイ有限会社/SEWプロデューサー
千葉県船橋市出身。妻の家業である縫製工場の後継ぎとして2020年に舞鶴市へ移住。新規事業であるSEWプロジェクトを2024年夏に立上げ。宿泊事業SEW STAYと自社プロダクトSEW FABRICを新たな軸として、「都市縫製」をコンセプトに新たな挑戦を展開中。「地球とリンク」を感じられるかも?そんな舞鶴でゆっくり過ごしてみてください。SEW STAYでお待ちしています!
執筆:菅原 一輝
編集:藤原 朋