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京都には、季節ごとの行事やならわし、風物詩がたくさん存在しています。このコラムでは、1年を春夏秋冬の4つに分け、さらにそれぞれを6つに分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」にあわせて、京都移住計画に関わる人たちの等身大の京都暮らしをお伝えします。
祇園祭は、私にとって年代ごとに全く異なる感覚をもたらしてくれる特別なお祭りである。実家は祇園祭の中心地に位置しているが、家が面している通りには鉾がない。でも、生まれた時から毎年お祭りには参加していた。
幼い頃、私は親と一緒にお祭りを巡り、くじ引きをしたくて駄々を捏ねていたことを思い出す。小学生の頃には、授業で鉾の曳き初め(ひきぞめ)や、ちまきを作る活動があり、夏休みには暑い畳の部屋でちまきを作った記憶が強く残っている。小学校中学年以降は友達と一緒に祇園祭を回り、かき氷を買って公園で遊んだりもした。
しかし、高校生くらいになると、祇園祭は単に人が多いだけのイベントになってしまい、楽しさを感じることが少なくなった。毎年同じ光景に飽きていたのである。自転車通学をしていた私は、歩行者天国になると自転車立ち入り禁止の場所を押しながら家に帰らなければならず、「なんで家に帰るのにこんな苦労しなあかんねん」と思っていた。
21歳で東京に住むようになり、その頃から祇園祭が恋しくなった。祇園祭の時期になると、お囃子の音を聴きたくてたまらなくなる。そして2年前に京都に戻り、今は自分の子どもと一緒に祇園祭を楽しむようになった。子どもたちも私と同じように、かき氷やくじ引きをせがんでくる。
この歳になって、京都の良さを改めて感じることができるようになった。私が思う京都の良さの一つには、確実に祇園祭が含まれている。祇園祭は、ただのお祭りというよりも、私の人生における様々な思い出が詰まった特別なイベントである。これからも歳を重ねながら、祇園祭をどのように感じるのかを楽しみにしている。
執筆:渡邊 高行
編集:藤原 朋
渡邊 高行
株式会社Gns 代表取締役。1990年に京都で生まれ、17歳から25歳まで俳優として活動した後、29歳で株式会社Gnsを創業する。社名に込めた”Go, next stage”の想いを胸に、中小企業のDX支援・AI導入、学生の事業立ち上げ伴走支援、中学/高校でのキャリア講演等を行う。