2023.07.14

どこでも生きられる時代になぜ京都を選んだ?IVS2023で移住×スタートアップを語る。

2023年6月28日から30日にかけて、「IVS 2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO」(主催:IVS KYOTO実行委員会)が京都市勧業館「みやこめっせ」や「ロームシアター京都」にて開催されました。

IVSは2007年から開催されている、次世代の起業家が集う日本最大級のスタートアップカンファレンスです。2023年の舞台は京都ということで、京都のスタートアップ企業やエコシステムを世界へ発信するためのゾーン「KYOTO STAGE & AREA」が設けられました。

その中の一つのセッション「どこでも生きられる時代に京都を選ぶ理由とその面白さ~京都に拠点を移したエンジニア・起業家が語る『京都』~」に京都移住計画/株式会社ツナグムのタナカユウヤがモデレーターとして登壇しました。京都で活躍するスタートアップ経営者4名から、京都と関わりをもったきっかけや京都の魅力をお伺いしました。

<登壇者プロフィール>

太田 優成 cizucu Inc. CEO / CTO
1998年、大阪府生まれ。2021年 3月に東京大学経済学部を卒業。 大学入学を機に、趣味でアプリ開発をスタートさせ、日本最大級のお料理カメラアプリ「SnapDish(スナップディッシュ)」をはじめとする複数の人気アプリケーション開発に従事し、在学中である2021年にコーヒーアプリ「KOHII(コーヒー)」を運営する株式会社KOHIIを共同創業し、CTOとして同社を牽引。2022年に株式会社cizucuを設立し、あなただけの1枚を生み出すコミュニティ・ストックフォト「cizucu(シズク)」のリリース。

吉田 佐和子 Locatell Inc. CEO
ふるさと京都府・福知山市で(株)Locatellと(一社)福知山芸術文化振興会を設立、代表に就任。芸術文化・まちづくり・海外を軸に、社会課題を解決するアートプロジェクト、海外アーティスト招聘など複数事業展開。2023年、福知山市のシティプロモーションに起用されたほか、京都府女性起業家賞 近畿経済産業局長賞を受賞。

牧田 恵里  tsumug Inc. CEO
東京理科大学在学中、東南アジア企業との合弁会社を代表取締役社長として設立。2013年4月より孫泰蔵率いるVCにジョイン。アクセシビリティコントロールシステム TiNK(ティンク)の開発会社tsumug(ツムグ)を設立し、遊休空間を活用する空間サービスとして、LINEで予約・鍵の解錠・決済まで完結できるセルフワークスペース「TiNK Desk」を展開中。2022年5月よりQUESTION 1階のawbar kyoto店長も兼任。京都芸術大学 非常勤講師。

海野 弘成 Coachat Inc. CEO
1988年兵庫県生まれ。2012年にプログラマのための技術情報共有サービス「Qiita」を運営するIncrementsを設立し代表取締役に就任。2017年に株式会社エイチームへ売却後、2019年に退任。2020年4月に習慣づくりをお手伝いする株式会社Coachatを設立し、サービス開発へ取り組んでいる。散歩と鴨川とクラフトビールが好き。

タナカ ユウヤ Tunagum Inc. Founder
1984年生まれ。滋賀出身。2015年3月、株式会社ツナグムを創業。「人と人、人と場のつながりを紡ぐ」をミッションとし、自治体や企業、金融機関、大学など多様な事業者との協働によるコミュニティづくりや事業への伴走支援、商店街や地域の活性化などを展開している。京都への移住とその先の暮らしをつくる「京都移住計画」は、全国各地への広がりや各地との行き来を生んでいる。

文化、食、それとも仕事?京都を選んだ理由とは

左からタナカ、太田さん、吉田さん、牧田さん、海野さん

タナカ

今日は京都がいかに最高かというお話をできればと思います。はじめに、みなさんが京都を選んだ理由を教えてください。

海野

一つは京都が大好きだからです。大学時代を京都で過ごした後、東京で働き、子どもが生まれましたが、子どもが生まれたこともあり、関西に戻ってきました。今は、自分の実家がある兵庫県との二拠点生活で、平日は京都で仕事をして、土日は兵庫で過ごしています。

牧田

東京に住んでいた頃から、京都には出張でよく来ていました。2022年春から、awabar kyotoの店長をすることになり、京都に移り住みました。今年は出産をして、今はとある割烹で暮らしながら子育てと仕事をしています。生活と仕事の距離が近いところが京都らしいなと。子どもが生まれたことで、しばらくは京都に住むことになりそうです。今までとは違った楽しみがありそうですので、まだまだ京都生活を満喫したいです。

牧田さんが立ち上げから店長を務めたawabar。2023年7月末で閉店(提供:牧田恵里)

タナカ

割烹に住まれるとは、かなり京都に入り込んでいる印象があります。以前は福岡で暮らされていましたが、京都に対してどのようなイメージを持たれていましたか?

牧田

九州はよそ者も地元に溶け込みやすい感覚があるのですが、京都は縁やゆかりがないと入りづらいまち、という印象がありましたね(笑)でも、一度ご縁があると、一気に広がるまちだとは思います。

吉田

私は京都北部にある福知山市の出身です。大阪・東京・パリと住んできましたが、どこへ行って何を体験しても、「この体験が福知山にあったらいいのに」って思ったんです。そこから都市と地方の文化教育格差について問題意識を持つようになり、起業しました。また、海外で「京都出身」と話すと、100発100中でみなさん笑顔になってくださいます。世界からこれほど愛されるまちがあるのかと、ポテンシャルを感じています。今は福知山と大阪・梅田の二拠点生活。京都はそうした関わり方や働き方にも寛容で、可能性のあるまちですね。

太田

まさか京都に住むことは想定していませんでした(笑)出身が大阪で、大学で東京へ行きました。でも東京で働くイメージがつかなかったので、関西に戻れたらいいなと思っていたんです。たまたまご縁をいただいて京都でスタートアップを共同創業することになって。さまざまな方と出会い、スタートアップをするにも最適な環境があったことから、そのまま2社目も京都で創業しています。

タナカ

京都で作ったサービスが世界に広がっていくのは嬉しいですね!僕は滋賀出身なのですが、京都に世界中から人が訪れることがすごいなって思って。これは滋賀では見られない風景だなと。そこから京都に移住して、ますます京都が好きになりました。

京都の好きな場所に挙がることが多い鴨川(提供:太田優成)

「京都」といえば?

タナカ

京都に住んでいると、よく外から訪れる方からおすすめのお店や場所を聞かれますよね。みなさんにとって「京都」といえばコレ!というものやおすすめはありますか?

海野

やはり、大好きなクラフトビールですね。意外とクラフトビールの醸造所がたくさんあります。市内にも複数あって、醸造所の密度はかなり高いです。国内だけのビールを集めたお店もあれば、海外のビールだけ取り扱うお店もある。町家を改装した京都らしい店舗もあれば、和洋の文化が融合したものもある。さまざまなバリエーションがあるところが面白いです。

牧田

おすすめのお店はどこですか?

海野

京都駅近くにある「Crafthouse Kyoto」ですね。築90年の町家をリノベーションしたお店で、国産中心に10種類以上のビールを飲めます。ぜひ行ってみてください。

海野さんがよく訪れるCrafthouse Kyoto(提供:海野弘成)

牧田

今、京都芸術大学の非常勤講師をしているのですが、京都は大学が多いですよね。IVSの会場3階でも、awabar kyoto×京都芸術大学として出店していますが、大学と一緒に事業や研究に取り組みやすい環境にあるのは京都の特徴だと思います。また、子育てのために移住している方に出会うことも多く、ファミリー層にも住みやすいまちですね。

タナカ

学生のみなさんや何か挑戦したい人はぜひ繋がってほしいですね。

吉田

私は福知山出身で、地元愛が強すぎるのでおすすめは福知山です(笑)元銀行をリノベーションしたクラフトビールのお店があったり、夜久野町には京都府で唯一の火山があったりと、ご紹介したい場所がたくさんあります。福知山に行きたい方はガイドをさせてもらいますのでぜひお声がけください。

タナカ

京都に火山があるんですね!京都といえば寺社仏閣のイメージがありますが、実は海や山もあり、いろんな京都があるんですよね。

吉田さんおすすめスポットの一つ、福知山市夜久野町の玄武岩公園(提供:吉田佐和子)

太田

あと、ご飯が美味しい。胃袋一つでは足りないのが京都です。本当は教えたくありませんが、岡崎エリアだと「58diner」のハンバーガー、海鮮の美味しい居酒屋「よこちょう」がおすすめです。

太田

エンジニアとしてもお話しすると、京都は伝統のまちでもありながら、実は最先端の技術を取り込むことにも積極的です。アプリのUI / UX設計に活かせる学びも多く、集中して開発できる環境です。疲れたら、コーヒーを飲みに行ったり、お茶を点てたり。そうした過ごし方は京都ならではかなと思いますね。狭いまちに多彩な才能が集まっているので、毎日様々な刺激を受けています。

春の京都タワー(提供:太田優成)

それぞれの視点から見た京都の魅力について語る時間になった本セッション。スピーカーが紹介したお店をその場で検索する参加者の姿も見られ、京都をより楽しむための情報を得る時間になったようです。

また、IVSの会場では、京都移住計画の記事にご登場いただいた方々も、多数出展をされたりスピーカーとして登壇をされたりしていました。懐かしい再会や新たな出会いに恵まれたIVS。京都移住計画では、個人の移住支援や企業の京都進出を応援していますので、お気軽にお声がけください。

執筆・撮影:北川由依

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