みなさんは、市役所で働く人たちにどのようなイメージを抱いていますか?
9時〜17時で働いていそう。
超ホワイトな職場で私生活を大切にできそう。
異動が多いって聞いたことがあるけど楽しそう。
などなど、このような印象を抱いているのではないでしょうか。
でも、実際のところはどうなのでしょう?
京都移住計画でも、企業の採用のお手伝いや不動産のご紹介をする一方で、自治体の方々とお仕事をすることが多くあります。
2019年2月1日・2日、東京で開催される『DOORS TO KYOTO -KYOTO WORKING FORUM-』もそのひとつ。京都の企業と出会える就職・転職フォーラムや起業家・クリエイター向けのトークイベント、京都進出を検討している企業向けのセミナーなどが行われます。
そこで、今回、イベント本番に先駆けて全2回の座談会を企画。第1回目では、イベント運営メンバーである「京都市役所」と「京都市ソーシャルイノベーション研究所」のみなさんにお集まりいただきました。
第1回目の座談会は、前編と後編の2部構成で実施。
前編では、『DOORS TO KYOTO』の運営メンバーの「人柄」を知ってもらいたい!ということで、「そもそも、市役所の人たちってどのような仕事をしているの?」「生活者の一人として、京都は暮らしやすいと思う?」という問いについて話し合っていただきました。
市職員は異動が多いって本当?
【京都移住計画(以下:京移)】:本日は宜しくお願いします。今回は、市役所に対して抱いている、疑問を投げかけさせていただこうと思います。まず気になっているのが、「市役所の人は異動が多いのでは?」という疑問。気がつけば担当者が変わっていた、ということもあります。実際のところ、どうなのでしょうか。
【右近】:みなさんの予想通りで、通常は3〜4年くらいで異動します。ただ、異動先や異動する間隔は人によってまちまちですね。今は移住相談や移住促進が主な業務ですが、ひとつ前の人事委員会にいたころは5年間も務めていました。
【京移】:一方で、産業観光局の川口さんは2年ごとに異動されているんですよね。
【川口】:そうですね、産業観光局からは動いていないのですが、部署間を短期間で異動していて4職場目です(笑)水産・青果を扱う中央卸売市場第一市場でのプロモーションや伝統産業の振興を経て、今はベンチャー企業の支援を主に担当しています。
【京移】:川口さんが市職員になろうと思ったのは、やはり、イベントとか立ち上げたいから?
【川口】:いえ、もともとは福祉の仕事がしたくて公務員試験を受けたんです。なのに、僕が最初に配属されたのが産業観光局で、それから8年間ずっと同じですよ。
【右近】:自分がここにいる理由を教えてくれ、みたいな(笑)でも、産業観光局っていいじゃないですか。市役所の花形ですよ。私みたいにちまちまと内部で作業するだけじゃなくて、いろんな人と出会えたり、イベントを企画したり、羨ましいです。
【川口】:良い面もありますけど、大変ですよ。ベンチャー企業の方々はスピード感を持った即断・即決や、新しいテクノロジーを使ってコミュニケーションをする一方で、市役所では組織が大きいから決裁に時間がかかったり、情報保護の観点からテクノロジーを使うのに一定の時間がかかったりするので、ついていくのに必死です。
【京移】:ベンチャー企業と市役所のスピード感がそもそも違うんですね。
【川口】:ただ、僕らはスピード感を求められますが、右近さんのような部署は細かな業務をコツコツと、慎重なことに長けている。部署によって雰囲気が違いますね。役所には両方の側面が必要なんだろうなと思います。
市職員は「9時〜17時」で働けるの?
【京移】:続いては、本当に「9時17時」で働いているのかどうか。多くの市民が気になっている疑問だと思います。
【右近】:結論から言うと、全くそんなことないです(笑)たぶん、区役所の窓口なんかが受付が17時までなので、そう見えちゃっているのかな。
【京移】:右近さんも残業されているんですか?
【右近】:そうですねぇ…先週はずっと…(遠い目)
【右近】:市役所で働くギャップについては、民間企業から市役所に転職したばかりの柴田さんが特に感じてらっしゃるのでは?
【柴田】:多々、ありますね……特に残業なんて、まじかって思うくらい(笑)
【京移】:まじかって(笑)えー!9時17時ちゃうのー!?みたいな。
【柴田】:奥さんになんて言ったらええねん!って。そこからスタートしましたね(笑)縦割り行政とはよく言ったもので、ひとつの仕事を担当するのが1人か2人くらいなんですよ。だから、1から10まで仕事をしないといけないので、結局、仕事に追われてしまうんです。もっと改善できる部分があるなと常々思っています。
【右近】:徐々に改善はしているんですけど、民間企業さんみたいに変えるのは難しくて、模索中という感じですね。
【山中】:私もこれまでも民間企業から市役所に転職した人をたくさん見てきました。今は京都市ソーシャルイノベーション研究所のメンバーとして、以前は行政のまちづくりアドバイザーとして。そのなかで共通しているのが、だんだんと自分の中に自主規制をインストールしてはること。せっかく新しい風を吹き込むチャンスなのに、結局は普通の公務員になっちゃうことも多く、もったいないなぁと思います。なので、柴田さん、ずっと抵抗し続けてくださいね。
【柴田】:善処します(ゴクリ)。
【京移】:(どこもルーキーは大変だなぁ)
市役所で働くメリットってなに?
【京移】:このままだと京都市役所がブラックな印象しか残らないので、市職員として働くからこその利点もお尋ねしようと思います。もともと銀行員だった柴田さんはどのような違いを感じていますか?
【柴田】:今は目の前の市民のために全力で向き合えている感覚があります。もちろん、民間企業も地域経済のために頑張っていますが、結局は自社の利益にならないことを避けるので。
【京移】:まずは自社の存続が大事ですものね。
【柴田】:だから、どうしても会話の中で探り合いというか、駆け引きみたいなものが生まれるんです。でも、役所では真逆で、商談っぽいことは全く無しで話せるのが気楽ですごく楽しいですね。
【京移】:隔たりなくというか、素直に向き合える感じ。
【柴田】:そうですね、僕自身、市職員になったのは、自分が住んでいる、働いている地域の経済をより良くしていきたい、将来、自分の子どもが暮らす京都をもっといい街にしていきたいという想いがあったからなので。そのスタートラインに立てて、すごく楽しいです。
【全員】:(市職員の鏡やん…!)
正直、京都って暮らしやすいの?
【京移】:最後にお伺いしたいのは、京都に暮らすことについて。「観光地だからこそ住むのが大変そう」「いけず(意地悪い人)が多そう」っていうネガティブな意見があるのも事実です。みなさんは京都に暮らしていて、どのような感想を抱いていますか?
【右近】:京都は「こたつで過ごしている感覚」です。
【京移】:こたつ!?
【右近】:こたつの周りって、リモコンとか、雑誌とか、必要なものが手を伸ばせば届く範囲に置いてあるじゃないですか。京都も同じで、身近な距離に程よくなんでもあるんですよ。寺社仏閣もあるし、文化的な施設もあるし、商業施設もある。個人的には、そんな心地よさがすごく気に入っています。
【京移】:なるほど。みなさんはどうですか?
【山中】:京都はめっちゃいい町です。本当に。自信を持っておすすめする。京都に引っ越してきたほうが、絶対に幸せになると思うんですよね。
【京移】:ゴリ押しじゃないですか(笑)
【山中】:観光地ばかり注目されますけど、京都は住む上で便利な場所も多いですよ。例えば、『新大宮商店街』という、京都市で一番長い商店街が賑わっています。『これからの1000年を紡ぐ企業認定』の認定企業『株式会社フラットエージェンシー』さんが活動されていて。昔ながらのお店もあれば、新しく始まったカフェもあって、個性的なお店が増えていますよ。
※京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)とは?
一言で説明すると、京都の社会課題の解決に取り組む企業の掘り起しや支援を行う団体。2015年4月、調和・バランスのとれた社会をつくる「京都市ソーシャルイノベーションクラスター構想」の実働拠点として設立。「学び育つ場」「つながる場」「広がる場」の3つの場を通して、ミッション実現を目指している。主な取り組みは『イノベーション・キュレーター塾』や『これからの1000年を紡ぐ企業認定』など。
※これからの1000年を紡ぐ企業認定とは?
社会的課題の解決やマルチステークホルダー(消費者、従業員、株主、取引先、地域社会など)への配慮を行う、企業・団体を認定する制度。京都市から社会的企業・団体が輩出される基盤づくりが目的。2018年で3期目を迎え、認定企業は13社。
【山中】:あと、私は大阪のど真ん中に住んでいたことがあるんですけど、地域に対する思い入れが全然持てなかったので、すごく「根無し草感」を抱いてしまって。そこから改めて京都に帰ってきたときに、まず感じたのが、歴史に満ち満ちているなっていうこと。町内や通りに名前の由来あって、子どものころは、へぇ、そうなんや、みたいな感じやったんですけど(笑)今はその歴史の深さがおもしろいなと思います。
【京移】:それでも、やっぱり気になるのは「いけず」「閉鎖的」なイメージ。これについてはどうでしょう?
【川口】:僕は大阪出身ですけど、いけずやなって感じたことはないですよ。確かに、祇園とかは一見さんお断りっていう雰囲気がありますけど、お商売や地域の良さを守るためにやっていることやと思いますし。
【山中】:幼少期から使えるオリジナルの伝統産業品を手がけている『株式会社和える』さんが、下京区の松原通に直営店を出したんです。それこそ、老舗の呉服屋さんや和菓子屋さんがお店を構えているところで。
【山中】:でも、「京都のこと教えてください!」っていう素直な姿勢でご近所さんとお付き合いし始めたら、みんな、京都のこと大好きやから、会話が弾んで自然と馴染んでいけたらしくて。だから、ほんまにいけずな人っていないと思いますよ。
【右近】:地元に馴染むなら、まずは地蔵盆(8月23日・24日に開かれるお祭り)に参加することからですね。地域のお祭りごとに若い人が参加するとすごく重宝されます。あのとき頑張ってくれたなって関係性を築けるので、積極的に地域に入るのがポイントかなと思います。
【京移】:ありがとうございます!前半はこの辺りで終えて、後半は京都が抱えている課題や京都にある企業や働く上での特徴について意見を交わしていただきます。引き続き、宜しくお願いします!
東京開催!『DOORS TO KYOTO -KYOTO WORKING FORUM-』
正直、市役所で働くのは大変!
同時に、誰よりも京都が大好きなのも市役所で働く人たちです。
今回、東京都内で開催される『DOORS TO KYOTO -KYOTO WORKING FORUM-』も、「京都で働く魅力をもっと多くの人たちに知ってもらいたい!」との想いで立ち上がったイベント。当日は、その熱量も肌で感じてみてくださいね!
▼イベント特設WEBサイト
https://www.doors-to-kyoto.com/index.html
▼こんな方におすすめ
・現在の仕事に悩みを感じている方
・働き方や生き方を見つめ直したい方
・就職、転職活動中の方
・将来的に起業を考えている方
・自分の気持ちを大切にしながら働きたい方
・いつかは京都や地方に住みたいと考えている方
▼開催日時
2019年2月1日(金)〜 2月2日(土)
※遅れての参加、途中退場も可能ですので事前にご連絡下さい。
▼会場
・八芳園(白金台駅 徒歩1分)
・Are(渋谷駅 徒歩2分 SHIBUYA CAST 1F)
・Nagatacho GRiD(永田町駅 徒歩2分)
※イベントによって異なりますので、お気をつけ下さい。
▼参加方法
詳しくは、下記の各フォーラムページをご覧ください。
その他、京都移住計画のFacebookページでも情報を公開しています。
▼各テーマとイベント概要
<1日目:2019年2月1日(金)>
【企業誘致】京都市企業誘致セミナーin東京
13:30~16:30 @八芳園(白金台駅 徒歩1分) 入場無料・事前申込み
近年様々な企業の進出が進む京都。そんな京都の魅力や強み、ビジネス環境を知っていただくため、京都市内に進出された企業からの講演や、進出に当たっての支援体制などをご紹介!
申込:http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000244638.html
【コワーキング】GoWorking Kyoto Night in Tokyo ~京都で働くを知る~
19:00~21:00 @Are(渋谷駅 徒歩2分、SHIBUYA CAST 1F) 入場無料・事前申込み
クリエイター、起業家などを対象に、京都のコワーキングオフィス、京都のコミュニティなどについて、コワーキング運営者や京都への移住者によるクロストークイベントを開催!
申込:http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000245999.html
<2日目:2019年2月2日(土)>
【観光企業】京都観光企業フォーラム
13:00~16:00 @Nagatacho GRiD(永田町駅 徒歩2分) 入場無料・事前申込み
京都の観光企業でのインターンシップ体験談発表や、京都企業の経営者、人事・採用担当者と直接出会えるイベント。京都で暮らすこと、働くこと、人の魅力等を生の声でお届けします!
申込:https://kyotokankokigyo.peatix.com/
【ソーシャルビジネス】ソーシャル企業と考える「京都移住転職計画」
16:00~18:30 @Nagatacho GRiD(永田町駅 徒歩2分) 参加費1,000円・事前申込み
「これからの働き方や暮らし方」を共に考える「移住・転職」イベント。 京都のまちの特徴とともに、「持続可能な社会」に向けて京都でソーシャルビジネスを展開する企業を紹介!
申込:https://kyoto-iju-social.peatix.com/view
【交流】合同交流会
19:00~21:00 @Nagatacho GRiD(永田町駅 徒歩2分) 参加費2,000円・事前申込み
2DAYSの締めくくりには4つのフォーラムの合同交流会を開催!各フォーラムのトークゲストも参加します(一部)。京都で働くことに興味がある来場者同士やトークゲストとつながって、京都で暮らす・働くイメージを膨らませてみませんか?
申込:https://doors-to-kyoto-after-party.peatix.com/view