募集終了2022.02.24

3Dプリンターを製造方法のスタンダードへ。YOKOITOが描く、モノづくりの未来

「YOKOITOは会社でありながら、アカデミックな空間でありたいんです」

前回の取材で、代表を務める中島佑太郎さんは、そんな話をしてくれました。

あれから一年の間に、新メンバーの加入、ジョブディスクリプションの導入など「アカデミックな空間」を目指して、挑戦し続けています。

今回取材に訪れたのは、プリンティングファクトリーとショールームを兼ね備えた新社屋。ファクトリースペースには多数の3Dプリンターをはじめとするアディティブマニュファクチャリング(素材を積層することで、さまざまな形状を作り出すデジタルツール)が設置され、国内の3Dプリント施設としては、最大規模の稼働機数を誇ります。まさにこの施設が、YOKOITOが描く次のステージを体現した場所。

今回は、3Dプリンターに興味関心が高い方や、YOKOITOの事業に共感された方との出会いを求めて、職種を限定せず、オープンポジションとして募集します。

記事では、YOKOITOの事業について理解していただくために、AMスペシャリストとセールス&マーケティングチームの仕事についてご紹介します。

仕事の内容もそうですが、YOKOITOの働き方に関する概念はかなりユニーク。1年ごとに仕事の内容を決めて契約を交わす制度「ジョブディスクリプション」を導入しています。あまり聞き慣れない制度に驚く人もいるかもしれませんが、今回お話を聞いたYOKOITOのメンバーも、このユニークな働き方に共感して入社しています。

YOKOITOの事業や働き方は、あなたがこれまで触れてこなかった世界かもしれません。でもそんな人にこそ、この記事を最後まで読んでみて欲しいと思います。「モノづくり」や「未開拓の技術」に興味を持つ方なら、きっと、好奇心が揺さぶられるのではないでしょうか。

新部門「Yokoito Additive Manufacturing」として新たな船出

五条大宮近くに構えた新社屋にお邪魔すると、3Dプリンターをはじめとする機械がずらり。

「そこにある新しい機械は『SLS方式3Dプリンター Fuse 1』と言って、アジア太平洋地域ではうちの機体が一番稼働しているらしいんですよ」と中島さん。

2021年10月、YOKOITOは新社屋を構えると同時にアディティブマニュファクチャリング(AM)技術を研究・普及する新部門「Yokoito Additive Manufacturing(YAM)」を立ち上げました。

YAMでは、AM技術を用いた「3Dプリントサービス」、ツール導入から運用までをサポートする「コンサルティングサービス」を展開し、AM技術を最大化させるデザインや技術の提案を行っています。

また、新社屋には日本のモノづくりの力を最大限に引き出すことを目的とした拠点「Yokoito Additive Manufacturing Center(YAMC)」があり、プリンティングファクトリーとショールームが併設されています。

YAMで展開するサービスの利用者は、主に法人。3Dプリントサービスではプロダクトデザインやアート作品、工業製品、実験器具などの試作品はもちろん、最終品の製作までさまざまな業界に対応しています。

これまでは注文につき1個〜数個の受注がほとんどでしたが、YAMCに機械を多数入れることにより量産できる体制を整え、「ファクトリー」として機能することができるようになりました。

「AMは、従来の成形加工のように金型が必要なく、どんな配置や密度で作るかも細かく決めることができます。そんな自由度が高い製品を、プリンティングファクトリーをつくったことで量産できるようになりました。先日も、特注の器を数百個、注文を受けて納品しました。3Dプリンターがようやく、マニファクチャリング(製造技術)として認知が広がっていきそうだと手応えを感じています」

他にも義手義足や医療モデルなどの個人の身体に合わせた製品や、生体適合性材料を活用した医療機器の試作、飲食に関わる製品の試作など、医療や食品などの分野に関わる製品にも取り組んでいきたいと考えています。

また、プリンティングファクトリーには、複数台の3Dプリンターの購入やプリントサービスの利用を検討している人が訪れ、実際に運用している様子を見ることもできます。

「YAMCができたことによって、たくさんのお客様が足を運んでくれるんです。プリンティングファクトリーで実際に機械が動く様子を見て、ショールームで最新のツールを見る。その中でスタッフとコミュニケーションをとることで、AMへの理解を深めていただく場になっています。しかし、まだまだAMの普及は一部の分野にしか広がっておらず、AMという単語は一般化していない。こうして『訪れることができるAM施設』として開かれた場を持つことで、AMと共にYOKOITOの存在感を広げていきたいですね」

ここでは3Dプリンターによって製品を成形している様子を、見ることもできます。

さらに、AMが製造技術としてスタンダードになるために、YOKOITOがこれまでに蓄積してきた技術的な知見や、運用オペレーションのノウハウなどを「コンサルティングサービス」で提案し、AMの普及を加速させていくことが、今後の大きな目標です。

「3Dプリンターであれば必要な分だけ作れるし、再生可能な材料を使うこともできる。そうするとAM技術をを導入するだけで、循環可能なプロダクトを作れるようになるんです。開発から生産まで社内で一貫して手掛けられれば、循環可能な製品と証明することができる。コスト面でも、社会的意義においても、価値のある投資になるんじゃないかな」

AMの未知なる可能性を楽しみながら働く

中島さんが力を注ぐ新ブランド「Yokoito Additive Manufacturing」で、AMを用いて設計・加工などの技術を担うのが「テクニカルチーム」です。具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。

「ひとつは、お客様からデータをお送りいただき、3Dプリンターで出力する仕事。データに不備があれば複数のCADやCGソフトを使い分けながら微調整し、より良い製品が出来上がるように設計変更や後加工の提案を行います。また、AMを使って何かしたいお客様とプロジェクト単位で並走する仕事もあります。コンセプト段階から関わり、設計方法をゼロから模索するなど、AMの本質的な価値やスタンダードをどう構築していくかについて考えるのが仕事です」

そう教えてくれたのはAMスペシャリストの深見公貴(ふかみこうき)さん。深見さんは、独学で3Dプリンターの知識を身につけ、YOKOITOに入社するまではフリーランスとして、3Dプリンターを使った試作設計を行っていました。なんと、中島さんのTwitterがきっかけで、YOKOITOへ入社したのだそう。

「建設の仕事をしていたときに、現場で使用する道具を3Dプリンターでカスタマイズしはじめたのがきっかけです。自分一人で仕事をする上で自身の無知さに気づき、相談できる人が欲しいと感じることも多くありました。一度組織に所属したいなと思っていたタイミングで、中島さんの『募集します』というツイートを見て応募してみようかなと」

テクニカルチームでは、「テクニカルリサーチ」というAM技術の探求活動も行っています。

「これは自分でモデリングしたものなんですが、よく見ると格子の太さがだんだん細くなっています。こうすることで、柔軟に曲がる面と硬くて曲がらない面がつくれる。強度や性質を実験し、3Dプリンターの可能性や応用力を探究する活動を行っています」

こうした日々の探究活動は、競合他社との差別化、YOKOITOの強みにつながっているのだそう。

「YOKOITOには、『まかないプリント』というプライベートで3Dプリンターを使える制度があるんです。自分が欲しいサイズの収納用品やフィギュアを作って、場数をどんどん踏める。そうすると機械のクセが見えてきて、お客様へより的確なアドバイスができ、細かな要望にも応えられるようになりました」

深見さんがプライベートで制作した、隕石のオブジェをのせるためのフィギュア

「プライベートな時間でもつくりたくなるぐらい、めちゃくちゃ楽しいんですよね」と深見さんは笑います。

深見さんの発する言葉のなかに、日々の仕事の充実度を感じることができますが、個人で活動していた方が自由度は高いはず。「チームで働く」ことで得られたことは、どんなことだったのでしょうか。

「新しいサービスに立ち上げ段階から関わり、値決めについても議論しました。1人でやっていたときは相談する相手もいなくて、自分の技術にいくら値がつくかということをあまり考えられなかったんです。技術に対する対価を中島さんやチームと一緒に議論できたのはかなり刺激になりました」

さらに技術を磨く日々の中で、今後取り組んでいきたいことも見えてきたそうです。

「どんなモノづくりの機械でも、その機械に適した設計やデータ作成の作法があるんです。例えば、造形物の精度の向上や、造形時間の短縮だけでなく、後処理にかかるコスト、質の高い製品をつくって出来高をあげることも考慮して設計します。3Dプリンターにおいてはその作法がまだ判明していないことも多く、それを開拓していくことがすごく楽しいんです。これから入ってこられる方とは、こうした作法の確立やAMにしか実現できない価値を持つ製品を想像することで、AMの可能性を一緒に模索していきたいですね」

次のステップを模索しながら働くことで生まれる相乗効果

つづいてお話を伺ったのは、「セールス&マーケティング チーム」でデベロップメントディレクターを務める菊池映美(きくちえみ)さん。

菊池さんは、「YOKOITOを、京都で一番イケてる会社にしたいんです。一見不可能に思われることや、こうあるべきという固定概念を超えて、一番イケてる会社でありたいんです!」と強い想いを私たちに聞かせてくれました。

しかし、まだ入社して1年ほどなのだそう。ここまでの想いを持つようになった背景をお聞きしました。

菊池さんは、前回の募集記事を見て、YOKOITOに入社しました。以前は東京で様々なベンチャー企業を渡り歩き、人事や組織開発に関わる仕事に就いていたそうですが、めまぐるしく過ぎるだけの日々に疑問を持ち、知人のいる京都への移住を決意しました。

京都に来て「どうしようか」と考えたとき、大学時代に学んだモノづくりに立ち返ることにした菊池さん。AMを通じてモノづくりに取り組む、YOKOITOの記事に興味を持ちました。詳しい話を聞きたいと会社を訪ねたところ、中島さんの思考や言葉に触れ、刺激を受けたそう。

「これまで関わってきたベンチャー企業では、とにかく成長、拡大を目指して何億と資金調達して……と、お金を返すことや上場が会社の目的になってしまっているように感じていました。そうであってもいいと思いますが、私には少し違和感があったんです。でも中島は、家族やスタッフ、モノづくりに携わる身近な人たちが幸せになれることを考えている。これまで、身近な周囲の幸せにフォーカスしている経営者に出会ったことがなかったので、中島の思考は新鮮でしたし、とても共感できました」

現在は、セールス全般のビジネスデベロップメントとして、組織開発、事業開発を担当。新機種のセールス&マーケティングやPRも担うなど、菊池さんの役割は多岐にわたります。まずはどのようなことから着手していったのでしょうか。

「私が入社した時期にはセールスやロジスティックス業務のオペレーションが完璧に出来上がっていたんですね。そうなるといい意味でも悪い意味でも、一人ひとりが考える力っていうのが弱くなってしまう」

新しい市場開拓をするためにも、社員一人ひとりがベンチャーマインドを持ち、自走できるようになってほしい。そう考えた菊池さんは、案件管理ができるマーケティングツールの導入などを行い、自分で次のアクションへの判断ができる体制を少しずつ整えています。自ら考えて動き、大変な時は自分で周囲に協力を求める。会社が新しいことに挑戦していく上で、個々の判断力がとても重要だと菊池さんは考えています。

また、セールス&マーケティングとしては、前職で培った経験をフルに活かしながら、サイト改修やSEO対策、広告運用なども担っています。会社の成長を願い、熱意を持って仕事に打ち込んでいる菊池さんですが、「将来的には職住一体のお店を構えて、器の製造・販売をしたい」と独立を希望していると言います。

冒頭でも少し紹介しましたが、YOKOITOでは「ジョブディスクリプション」という、1年ごとに契約を交わす制度を導入しており、基本的に入社から5年で契約は満了となります。その後は、役員となるか、フリーランスとして関わるのか、卒業するのかを選ぶことになっているのです。

「実のところ、中島のビジネスの取り組みや考え方を学びたいからYOKOITOにいる、といっても過言ではないんですよ。独立の相談を代表にできるってすごいことですよね。やりたいと思ったことは挑戦させてもらえる土壌なので、5年間で吸収できることはたくさんある。自分の力を試したい人にとっては、すごく魅力的な会社だと思いますね」

「ジョブディスクリプション」は、菊池さんのように独立を決めている人でなくても、「自分の今後の人生」を振り返るきっかけになっているそうです。

「毎年の契約更新が、自分のスキルや可能性に矢印を向けて将来を考える機会になる。社会人になると『仕事して給料もらえればいいや』と自分が何をしたいか考える機会って減っていきますよね。うちはそれぞれに期限がある中で、『これから何をやっていきたいか』自分の可能性を常に考えている。そんなメンバーと共に仕事ができるのは、すごく魅力的だと思います」

3Dプリンターを世の中のスタンダードに

新たな空間を設け、次のステップへと向かうYOKOITO。中島さんは、どのような未来を描いているのでしょうか。


「まずは、3Dプリンターを製造技術のひとつとして定着させていくことですね。モノづくりに関わるさまざまな人や企業が3Dプリント技術にアプローチできるようになれば、日本でもっと自由なモノづくりが発展するんじゃないかと思います」

また、AMは再生可能な材料を使って、必要な量だけをつくることができるという点で捉えると、サスティナビリティが高い技術。YOKOITOはAMの普及を通じて、合理的かつ、持続可能な形でモノづくりが行われる未来を描いています。

現在の3Dプリンターの購買層は、研究者や大学、大手企業などが中心ですが、若い世代にも興味を持ってもらえるようにしていきたいとのこと。WEBや映像、クリエイティブなど、AM技術をより身近なものにするために、コンテンツ制作を強化していきたいと考えています。

また、「会社をプラットフォーム化していきたい」との言葉も。

「YAMはYOKOITOの一部門としてAMに特化していますが、YOKOITOという会社自体はもっとプラットフォーム的な存在になっていくと思うんです。ですから、今後ものづくりにものづくりに関わる活動・事業だけを行っていくとは限らない。エコシステムとか、教育とか、そういう領域に広がっていく可能性は大いにあると思うんです」

だからこそ、「野望を持った人」がYOKOITOには合うんじゃないかと中島さんは言いいます。

「自分の野望とかルールを原動力に動く人たちが、たまたま一時期集まっているっていう会社でありたいんですよね。自分のやりたいことを会社でやってもいいし、個人でやってもいい。僕は経営者というより、経営の探求をしている学者なんですよ。野望をもっていなくてもいいのですが、『あなたは何をしたいですか?』と問いつづけると思うので(笑)、そのつもりでYOKOITOに来てほしいかな」

前回の取材でお話ししていただいたことを、まさに有言実行されている中島さん。その行動力のもとに集まってきたメンバーは、中島さんが共に働きたいと描いていた理想像にフィットする方ばかりでした。

一見、高い技術がある、多くの経験値がある、そんな人ばかりが働いているようにみえるかもしれません。けれどYOKOITOで働くメンバーの共通点は、「やってみよう」と思う好奇心や、「これは何だろう」と感じる探究心なのだと思います。

あなたの好奇心や探究心を活かして、YOKOITOが描くモノづくりの新しい未来を一緒につくっていきませんか。

編集:北川 由依
執筆:ミカミ ユカリ
撮影:中田 絢子

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