2024.08.29

お寺の境内にある幼稚園で、日本の文化や四季を大切にした保育を。

京都市左京区にある浄土宗の大本山、金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)。かつて新選組が本陣を置いたことから「新選組発祥の地」とも言われるこのお寺は、地元では「黒谷さん」の愛称で親しまれています。

金戒光明寺 山門

山門のすぐ東側に位置するのが、今回ご紹介する「学校法人くろたに学園 くろたに幼稚園」。創立70周年を迎える2025年度から、幼稚園型認定こども園への移行を予定しており、幼稚園教諭として新たに仲間に加わるスタッフを募集しています。

仏教の精神をベースに持つ、「子どもが真ん中」の保育

金戒光明寺の敷地内にあるくろたに幼稚園は、1955(昭和30)年に創立され、約70年にわたる歴史を紡いできました。3代目園長を務める杉山俊定(すぎやま・としさだ)さんは、園の成り立ちについてこう話します。

俊定さん

もともとは境内で寺子屋のような保育園を運営していました。急激に人口が増え、子どもたちを受け入れる施設が足りなくなってきたので、本山の一室を借りて幼稚園を始めることにしたんです。私の祖父が初代理事長を務め、園長は檀家さんにお願いしました。

俊定さんは金戒光明寺の塔頭の一つである光安寺の住職でもあります

その後、園児が増えていくにつれて園の規模も拡大。1973(昭和48)年には現園舎が完成しました。現在は、満3歳児/年少(3歳児)/年中(4歳児)/年長(5歳児)の4つのクラスのほか、2~3歳児を対象とした登録制・週1回の親子登園クラスや、未就園児向けに月2回の幼稚園開放も行っています。

園で大切にしていることを尋ねると、俊定さんは「とにかく子どもが真ん中」と笑顔で答えます。

俊定さん

「子どもが真ん中」は全日本私立幼稚園連合会のスローガンでもあり、私たちも非常に大切なことやなと思っています。幼稚園はとにかく子どもが安心して楽しく遊べる場所でありたい。常に子どもたちを中心に考えるように心がけていますし、先生方にも日々伝えています。

子どもが危険な遊び方をしていたら注意するけれど、それ以外はできるだけ口を出さずに見守る。「○○しなさい」と言うよりも、大人が率先して行動する姿を見せる。そうやって自主性を尊重することで、子どもたちが自ら考えて行動できるようになるのが大切だと話す俊定さん。そのために、くろたに幼稚園では「体験」を重視しているそうです。

俊定さん

思いっきり泥んこ遊びをしたり、壁いっぱいに紙を貼ってお絵描きをしたり。徒歩圏内の京都市動物園や吉田山、バスに乗って鴨川や御所までおでかけする日もあります。「わくわく、どきどき」の感動体験をたくさん持つと、子どもたちは遊びの中から自ら考えて学んでいくんです。

広々とした境内も子どもたちのお散歩コース。蓮池に架かる極楽橋を渡り、長い階段を上って三重塔を目指すのは、人気のコースなのだとか

さらに、仏教にまつわる体験ができるのは、お寺が運営する幼稚園ならではの特徴です。

俊定さん

「仏さまはみんなのことが好きやし、いつも見守ってくれているよ」と子どもたちに伝えています。すぐに理解はできなくても、いろいろな宗教行事を通して、子どもたちに仏さまという存在を感じてもらえたらと思っています。

宗教行事の際には、子どもたちにお話をする時間を作っているそうです。例えば、お釈迦さまの誕生日である4月8日の灌仏会(かんぶつえ)には、「生まれること」について。お釈迦さまが悟りを開いたとされる12月8日の成道会(じょうどうえ)には、「幸せ」について。お釈迦さまが亡くなった2月15日の涅槃会(ねはんえ)には、「死ぬこと」について。このように宗教行事ごとに、人が生きることや命の大切さについて伝えています。

俊定さん

最近の子どもたちは、祖父母が家で亡くなることも少ないでしょうから、死が遠い存在になっている。命について話す時間を持てるのは、仏教に限らず宗教を背景に持つ幼稚園の強みではないかと思いますね。

多様化するニーズに応えるための変革

仏教の精神をバックボーンに、常に子どもたちを中心にした保育を行う。そんな昔から変わらない方針を守りながらも、くろたに幼稚園は時代に合わせて変革していく時期を迎えています。2025年度から、幼稚園型認定こども園として新たなスタートを切ることを予定しています。

今年4月から家業であるくろたに幼稚園に入職し、副園長を務めている杉山貴俊(すぎやま・たかとし)さんは、認定こども園へと移行する理由についてこう説明します。

貴俊さん

1番の理由は、社会的ニーズの変化です。共働き世帯の割合は年々増加していて、今は約7割を占めると言われています。でも私たちの園では、専業主婦やパートタイムの方も多く、社会のニーズを受け止めきれていないのではないかと考えました。多様化するニーズに応じて、私たちも変化していかなくてはいけないと思ったんです。

幼稚園から認定こども園へと移行すると、どのように変化するのでしょうか。

貴俊さん

認定こども園は、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設です。つまり、ニーズに合わせて教育と保育の両方を提供できるということですね。そしてもう1つ、「地域における子育て支援」の役割を担うのも、認定こども園の特徴です。くろたに幼稚園ではこれまでも、親子向けの幼稚園開放や子育て相談を行ってきましたが、そういった子育て支援をさらに手厚くしていけたらと思っています。

例えば、幼児教育の専門家を招いた保護者向けのワークショップや、産休・育休を経て仕事復帰したいと考えている保護者の相談受付など、新たな取り組みにもチャレンジしていきたいという貴俊さん。今回のスタッフ募集について、こう話します。

貴俊さん

今は園が変革していくタイミングなので、新しいことを一緒にやりたいと思ってくれる方に来ていただけたらいいなと思っています。若手でもベテランでも、新しい風を吹かせてくれる方がいいですね。

貴俊さん自身も、小学校の教員としてのキャリアを経て、新たな環境での挑戦を始めたばかり。これまでの経験を生かして、子どもや保護者をサポートしていきたいと言います。

貴俊さん

「小1プロブレム」という言葉があるように、小学校に上がったときにさまざまなギャップを感じる子どもは少なくありません。例えば、事前に小学校と連携しておく、保護者が相談できるような外部機関を紹介しておくなど、私たちができるいろいろなアプローチがあると思うので、ギャップを少しでも軽減できるような保育や教育をしていきたいです。

時代に合わせて変化していくくろたに幼稚園ですが、今後も変わらない部分について、改めて貴俊さんと俊定さんに伺いました。

貴俊さん

四季折々の行事を大切にする保育は、これからも残していきたいですね。仏教も含めた日本の文化に幼少期からふれられるのは、グローバルな時代においても重要なことかなと思っています。

俊定さん

大事にしたいのは、とにかく子どもが安心して楽しく遊べること。そのためには、先生たちがいつも笑顔でいられることが大切です。先生がしんどい思いをしていたら、子どもが楽しいわけがないですからね。

子どもと共に過ごし、成長を感じる喜び

くろたに幼稚園では、20代前半から60代まで、幅広い世代の先生たちが働いています。ここからは、入職して6年目の佐々木きらら(ささき・きらら)さんと、勤続40年以上というベテランの伊佐貴美子(いさ・きみこ)さんにお話を伺います。

佐々木さん(左)と伊佐さん(右)。5周年ごとに作るという園のオリジナルTシャツは、先生たちがデザインしているそうです

2人はどのようなきっかけでくろたに幼稚園に入職したのでしょうか。

佐々木さん

自宅から通いやすい場所で就職先を探していて、くろたに幼稚園に出会いました。見学に来たとき、子どもたち一人ひとりに目が届くほどよい規模感や、園庭が広く自然に囲まれた環境に惹かれて、ぜひここで働きたいと思いました。

伊佐さん

私は大学の実習でくろたに幼稚園に来たときに、ここで働かないかと声をかけていただいたのがきっかけです。最初はわからないことばかりで手探り状態でしたが、初代の園長先生や当時主任だった先生から、幼稚園教諭としてはもちろん、社会人としての心構えから教えていただいて、とてもありがたかったですね。

現在、年長クラスの担任をしている佐々木さんと、昨年から主任として園全体を統括する立場で働いている伊佐さん。園での過ごし方についても詳しく伺いました。

幼稚園の1日の流れ(一例)

8:00 – 8:30預かり保育
8:30 – 10:00歩き通園児、バス通園児が順次登園、自由遊び(室内または戸外)
10:00 – 朝のあいさつの後、クラスごとに歌・リトミック・絵本・製作・体育遊び・散歩など
12:00 – 昼食(月・水・金は給食、火・木はお弁当)
13:00 – 自由遊び(室内または戸外)
14:50 – 15:30歩き通園児、バス通園児が順次降園
– 18:00預かり保育

佐々木さん

季節に応じた製作、週1回の体育遊びなど、大まかに決まっていることはありますが、それ以外の過ごし方は、各担任が子どもたちと相談しながら決めているものもあります。園内の菜園で育てる野菜も、「何を作りたい?」と意見を出し合います。みんなで決めて育てて、みんなで料理をすると、ピーマンが嫌いな子も食べてくれたりするんですよ。

子どもたちの様子を楽しそうに話す佐々木さんは、どんなときに仕事のやりがいや喜びを感じているのでしょうか。

佐々木さん

子どもが大好きでこの仕事を選んだので、子どもたちと一緒に過ごすのが1番楽しいですね。ずっと練習していた縄跳びができたとか、字が上手に書けたとか、子どもの成長を見て「やったー!できたー!」って一緒に喜んでいるとき、とてもやりがいを感じます。

伊佐さんも「子どもと接しているときが1番楽しい」と口を揃えます。

伊佐さん

子どもたちと一緒にいるのが楽しいから、この仕事を続けてこられたんだと思います。「二十歳の集い」という卒園生の会で、成長した姿を見られるのもすごくうれしいし、いろんな分野で頑張っている話を聞くと、長年やってきて良かったなと思いますね。卒園した子の子どもさんが、またこの園に入ってくれることもあるんですよ。

くろたに幼稚園は、親子3代で通う方も少なくないそうです。世代を超えて愛され続けているのは、歴史ある幼稚園ならではです。

先生たちが楽しく笑顔で働ける環境

くろたに幼稚園は、若手スタッフへのサポートも充実しています。新卒の場合は入職前に研修期間を設ける、未経験で担任を持つ場合はベテランが補助に付く、といったサポート体制があるため、安心して働けます。

佐々木さん

1年目は必死すぎて、実はあんまり記憶がないんです(笑)。子どもにどうやって話したら良いのかもわからなかったので、他の先生方を見て、真似をしてやってみて、うまくいかなかったら相談して、の繰り返しでしたね。先輩たちから「初めはわからなくて当たり前。何でも聞いてね」と言ってもらって、すごく助けていただきました。

伊佐さん

相談してもらいやすい雰囲気づくりは心がけていますね。私の先輩たちはアドバイスをくれるだけじゃなく、「一緒に考える」という姿勢でいつも接してくれていたので、自分が今までしてもらったことを今度は後輩に受け継いでいきたいと思っています。

最後に「これから新しく仲間に加わる人に、どんなことを伝えたいですか」と2人に尋ねてみると、こう答えてくれました。

伊佐さん

いろんなことに一生懸命に取り組める人と、一緒に働きたいなと思います。失敗しても良いから、一度やってみる。そんな好奇心旺盛な人に来てもらえるとうれしいです。

佐々木さん

困ったときや悩んだときは先輩たちが助けてくれる、とても働きやすい環境です。職員室でも毎日みんなで笑いながら楽しくやっているので、ぜひ来てもらえたらと思います。

子どもたちがいつも楽しく笑顔でいるために、まず先生たちが笑顔でいられるようにしたい。そんなふうに園長先生が話してくれたように、子どもたちも先生も、みんながのびのびと朗らかに過ごしている様子が、取材を通じて伝わってきました。

これからもずっと変わらない部分、そして時代に合わせて変わっていこうとする部分。くろたに幼稚園のあり方や、ここで働く皆さんの思いに共感した人は、まずは見学に行って、園の雰囲気を実際に感じてみてください。

執筆:藤原 朋
撮影:小黒 恵太朗
編集:北川 由依

求人募集要項

企業名・団体名学校法人くろたに学園 くろたに幼稚園
募集職種幼稚園教諭(保育士)
雇用形態正社員(試用期間無し)
仕事内容園の方針に沿った教育活動
子どもたちの指導・生活全般のサポート
園内の清掃業務
保護者対応
教育活動の準備
給与大卒
月給190,000(基本給150,000+その他手当40,000)~

短大卒
月給187,000(基本給147,000+その他手当40,000)~

賞与 年3回(3.5か月分) ※2年目以降
昇給 年1回

通勤手当 全額支給

残業代:残業時間に応じて支給
福利厚生私学共済
労災
雇用保険
私学退職金財団
自転車・バイク通勤可
定期健康診断
勤務地くろたに幼稚園
〒606-8331
京都府京都市左京区黒谷町121
勤務時間令和7年度より7:30~18:30の間で8時間勤務(休憩1時間)
シフト制

令和6年度:
変形労働時間制により8:00~18:20(休憩1時間)
9時間20分勤務 長期休暇などは勤務時間が短くなります。
休日・休暇令和7年度より週休二日(日、祝日を含む)のシフト制
令和6年度:土日祝休み(月に一回程度土曜出勤あり)

※休暇は令和6年度、7年度以降とも変わりません
年末年始休暇、夏季休暇

育児休暇、産前産後休暇、介護休暇、慶弔休暇
応募資格幼稚園教諭1種または2種
保育士資格
選考プロセス京都移住計画の応募フォームから応募

書類選考

園見学、説明会

選考試験(作文+面接)

内定
面談場所くろたに幼稚園
〒606-8331
京都府京都市左京区黒谷町121
参考リンクhttps://www.instagram.com/96tani.kindergarten
https://www.kurotani.com/

求人への応募・お問い合わせ

募集要項を見る

オススメの記事

記事一覧へ