まちのあちらこちらに建つ道路標識。一体誰が設置や修繕を行っているのだろう、と疑問を抱いたことはありませんか?
京都府内においてその役割を担っている会社の1つが、今回ご紹介する株式会社建巧社(けんこうしゃ)です。工事を担うのは「標識班」と呼ばれるチームです。警察からの要請のもとで道路標識の設置や修繕工事を行い、京都の交通安全を支える標識班。その新たなメンバーを募集します。
京都の交通安全を支え続けて約60年
建巧社は、1963年に交通規制標識の施工業者として設立された会社です。主な事業は、道路標識の設置と修繕。それ以外にもガードレールやバス停、高速道路の遮音壁などの付帯構造物の設置も行っています。
以前の道路標識は日本独自の様式で作られたものが基本でした。しかし、1963年に標識令が改正され、国際基準を取り入れた新たなデザインの道路標識を設置する必要が出てきたのです。
そこで京都府警察の総務部長から「京都で国際基準に合わせた標識を建てられないか」と相談を受けたのが、代表取締役の山口良幸(やまぐち・よしゆき)さんの祖父でした。

良幸さん
祖父は製材所を営んでいて、総務部長と幼なじみだったんです。相談を受けた祖父はすでに高齢だったので、父が事業を引き受け、建巧社を立ち上げました。“巧みに建てる会社”という意味の社名は、その総務部長が付けてくれた名前です。建巧社は人との縁から始まった会社。以来、京都府警察さんとは60年以上にわたって長くお付き合いさせていただいています。
その後、良幸さんが建巧社で働き始めたのは1986年のこと。頼もしい先輩社員に囲まれながら仕事を覚えていく日々の中、良幸さんは突然、二代目として代表を継ぐことになります。
きっかけは、先代社長である父が2000年に肺がん宣告を受けたこと。元気そのものだった父の変化は、家族にも社員にも衝撃を与えました。
良幸さん
父が肺がん宣告を受けてすぐの2001年に代表を交代しましたが、ずっと自信がないままやきもきしていました。祖父には昔から「お前が後継ぎになるんだ」と言われ続けていたものの、時を同じくして母も入院したため、両親が心配で経営にも身が入らず……。それでも先輩方が「心配せんでええ、俺らがいる。仕事はなんとかなる」と言ってくださって。その言葉にずいぶん救われましたね。一緒に働いていた弟も現場を支えてくれました。


翌年の2002年に父が亡くなってからも、気丈に会社を守り続けた良幸さん。不安と自信のなさは、次第に「自分がやるしかない」という覚悟に変わっていきました。
良幸さん
建巧社がここまで続いているのは、何より人とのつながりを大切にしてきたからこそ。ありがたいことに、自分から「仕事をください」とお願いしたというより、良いタイミングでご縁が巡ってきてお仕事につながった、というケースが多いんです。会社経営の壁にぶつかることもありましたが、その度に「どうすれば脱却できるか、会社を成長させられるか」と必死で考えて乗り越えてきました。
代々受け継いだ人との縁を未来へ
2027年には、良幸さんの息子であり取締役の山口雄也(やまぐち・ゆうや)さんが三代目として後を継ぐ予定です。良幸さんは、雄也さんに「自分流を見つけてほしい」と期待を込めた眼差しを向けます。

良幸さん
お客様に迷惑をかけることだけはしてはいけないけれど、それさえしっかり守っていればあとは本人次第。時代が変われば仕事のやり方も変えていく必要がある。人によってやり方もそれぞれ違います。だから、自分流を見つけてもらえたらと思っています。
雄也さん自身は、先代社長であり自身の祖父から「お前が建巧社の跡取りになるんや」と言われ続けていたそう。「自分の中でもそれが当たり前で、自然なことだと思っていました」と話します。

雄也さん
子どものころは、社内の懇親会や慰安旅行に連れて行ってもらいましたし、学生時代にはアルバイトとして現場作業をしたこともあります。そこで面倒を見てくださった先輩方が温かくていい人ばかりで、ここに帰ってきたいなと思ったんですよね。ただ、最初は自分の好きな仕事に挑戦しようと思い、建巧社に入る前は10年ほど鉄鋼商社で働きました。
商社では営業や人事総務を経験し、商売の基本や採用のプロセスを学んだ雄也さん。その経験は建巧社での仕事にもしっかりと活かされています。
現在は代表を継ぐための準備期間。良幸さんから受け継ぎ、守っていきたいことは何かと尋ねると「やっぱり、人との縁」と真剣な眼差しで語ります。
雄也さん
建巧社が60年以上続いたのは、いろんな人の支えがあってこそ。私たちを信じて「こういうことできる?」と声をかけてくださった方々のおかげで、ここまで成長してきました。これからも、ここに頼んだら何とかなるだろう、と思ってもらえるような会社であり続けたいですね。
緊急対応を支える「余白とメリハリ」
現在、京都府警察から発注される道路標識関連の仕事は毎年入札の募集が行われていますが、建巧社がその多くを受注しています。その理由は、緊急案件にもすぐ対応できる対応力の高さにありました。
良幸さん
たとえば「車両侵入禁止」の標識が曲がって見えなくなっていると、交通事故に直結する可能性がありますので、警察の方から修繕依頼の連絡が来ます。それに対応するには、人・時間・資材に余裕をもって備えておかなければなりません。だからこそ、余白とメリハリを大切にしているんです。


標識班は朝、事務所で予定を打ち合わせた後、作業車に資材を積み込んで1日10~15か所を巡ります。道路標識の新設はもちろん、事故で曲がったり老朽化で文字が読めなくなったりしたものの修繕など、警察から届く案件に優先順位を付けて対応していきます。
1日の作業が終わったら15時ごろには事務所へ戻り、ゆとりを持って翌日のスケジュールを組み立てて資材の準備をします。緊急対応が入ると予定が変わることもありますが、基本的に残業はほとんどありません。これも建巧社が大切にしている「余白とメリハリ」のひとつです。
良幸さん
どうすれば現場を効率良く回り、作業をスムーズに終わらせられるのか。従業員には、仕事はきっちり確実にやり遂げた上で、少しでも時間を残すにはどうすればいいか考えるように、とよく話しています。


道路標識の設置や修繕の工事を行うのは、警察からの道路使用許可書に書かれている日中の時間帯がほとんど。17時以降に工事を行う場合は別の許可書が必要になるため、標識班ではよほどのことがない限り、夜間の作業は行いません。
良幸さん
毎日車の運転や機械の操作をしますし、高い所にものぼります。翌日の作業に影響が出ないように、帰ってゆっくり休むのも仕事のうちです。
実際、取材を行った日も17時半を迎えた時点で、社内に従業員の皆さんは誰も残っていませんでした。プライベートの時間も大切にしながら働きたい方にぴったりの環境だと言えます。
しかし、未経験でも務まる仕事なのだろうか、と不安に思う人もいるのではないでしょうか。
雄也さん
経験と知識は現場で自然と身に付きますから、安心してください。今働いている従業員もみんな最初は未経験でした。初めは先輩と一緒に現場を回りながら仕事を覚えてもらいます。現場の状況に合わせた判断が必要な場面も多いので、まずは場数を踏んで慣れるのが一番。標識班では1日中同じメンバーで作業車に乗って現場を回るため、気になることがあればすぐ聞けますし、自然と打ち解けられます。


さらに標識班の仕事の面白さについて尋ねると、雄也さんから「RPGゲームのクエストみたいに攻略するのが面白い」と意外な答えが返ってきました。
雄也さん
限られた時間の中で効率良く仕事をこなしていくためには、優先順位やルート設計という攻略法を考える必要があります。それがクエスト攻略みたいだな、と。一つひとつ攻略するごとに達成感を味わえますし、「今日はこれだけできた」とやりがいにもつながります。時間をかけて大きなことを成し遂げるというよりも、小さな達成感を積み重ねていくことに喜びを感じるタイプの人なら、この仕事をより一層楽しめると思います。
自分の仕事がまちの景色として残っていく
最後にお話を伺ったのは、標識班歴18年になる小林宏彰(こばやし・ひろあき)さんです。
標識班は1日に10~15か所を巡る中で、多いときは30個もの道路標識を設置・修繕するのだとか。電柱に反射幕を取り付けて5分ほどで終わることもあれば、地面を掘って看板を立てて1時間ほどかかることも。限られた時間の中で効率よくルートを組み、工事を進めていきます。

小林さん
面白い仕事である一方で、万が一間違った道路標識を取り付けてしまうと交通事故につながる可能性もあります。インフラを支える仕事の責任の大きさを日々感じています。
工事中は安全確認や声かけを徹底し、「近隣住民の方や通行中の方にご迷惑をおかけしないよう注意している」という小林さん。トラブルを防ぐためには、コミュニケーション力も必要なのだとか。また、体力も求められるのだといいます。
小林さん
信号機くらいの高さで作業をすることも多いので、高所が苦手だとつらいかもしれません。重い機械や資材を扱う仕事ですし、夏や冬も屋外で作業をしますから、体力も使います。でも、もともと体を動かすのが好きだった私は、お給料をもらいながら筋トレまでできて楽しいな、とプラスに捉えています(笑)
そんな小林さんが標識班の仕事に憧れた原点は、建巧社でともに働く祖父・市川光雄(いちかわ みつお)さんの存在でした。

小林さん
物心つく前から「ここで働きたい、この仕事がしたい」とずっと言っていたみたいです。近くの中学に通っていたころは、作業服姿で仕事に向き合う祖父の姿をよく目にしており、その度に「かっこいいな」と思っていました。
70代後半になった市川さんは現場を退き、指導役として若い社員を支える立場になりました。その存在感は今も圧倒的で、社内では“レジェンド職人”と言われ、警察からも一目置かれているのだとか。


標識班の社員は皆、市川さんに手取り足取り仕事を教わった“市川学校の卒業生”。小林さんも例外ではなく、現場での判断、警察とのやり取り、状況を読む力など、その背中から多くを学んだのだといいます。そんな小林さんに仕事のやりがいについて尋ねると、こんな答えが返ってきました。
小林さん
標識は目に見える形でまちに残るので、子どもや友達に「これ、僕が建てたんやで」と言える。そこに大きなやりがいを感じています。祖父への憧れから始まった建巧社での仕事は、自分の人生に大きくプラスになっているんです。
「いつかは”レジェンド”を超えたい」。小林さんがそう話すと、市川さんは「50年は働いてもらわんと。まだまだ辞められへんな」とうれしそうに笑っていました。

最後に、小林さんはどんな人と一緒に働きたいですか、と聞いてみました。
小林さん
一言で言うなら、元気で真面目な人。国や自治体の規則のもとで行う仕事なので、ルールや指示をきっちりと守る真面目さは必要です。それから、黙々と自分の作業だけに集中するよりも、チームで声をかけあって一緒に働ける人が来てくださるとうれしいですね。

京都のまちの安全と未来を、確かな技術と温かな人のつながりで支え続ける建巧社。仕事はきっちりと、休むときはしっかりと、そしてコミュニケーションは和やかに。そんな余白とメリハリを大切にするこの会社で、自分の仕事がまちの景色として残っていくやりがいを味わってみませんか。




執筆:鶴留 彩花
撮影:清水 泰人
編集:天野 夏海
求人募集要項
| 企業名・団体名 | 株式会社建巧社 |
|---|---|
| 募集職種 | 京都のまちづくりを担う道路標識スタッフ (日常生活で見かける「止まれ」や「駐車禁止」といった道路標識を道路脇や電柱に設置したり、老朽化や事故などで交換が必要になった標識を交換したりします。) |
| 雇用形態 | 契約社員(入社後3か月は試用期間として、契約社員の形態で勤務いただき、面談などの機会で双方が納得した場合、正社員登用させていただきます。基本的には正社員登用が前提です。試用期間中も労働条件や賃金・福利厚生は正社員のものと同じ条件です。) |
| 仕事内容 | ・標識設置の業務には2人〜3人で班を組んで専用の作業車で現場を回ります。 ・1日の行動内容や作業ルートは各班で決めていきますが、朝から現場を回り、15時頃には帰社して片付けや翌日以降の予定を立てたり準備をしたりすることが多いです。 ・現在の社員も入社時は全員未経験の状態から始めています。 ・入社してから3~6ヶ月の間は先輩社員とコンビを組んでもらい、作業内容を一つずつ理解してもらうことになります。 ・業務の特性上、どうしても作業車で移動するため普通自動車免許の保有は必須とさせてください。なお、AT限定でも問題ありません。 |
| 給与 | ・基本給:235,000円~360,000円(ご経験や能力に応じて基本給を決定します) ・残業が発生した場合は、時間に応じて支払いますが、基本は残業無しで業務が終えれるように普段から徹底しています。 ・その他の手当 家族手当:配偶者(所得税、社会保険の扶養)がいる場合15,000円/月、満30歳未満の子供の扶養1人当たり5,000円/月支給します。 資格手当:2級土木施工管理技士5,000円、1級土木施工管理技士10,000円 ・昇給あり(前年度実績:1ヶ月あたり5,000円~10,000円) ・賞与あり(前年度実績:2回、賞与月数 計4.00ヶ月) |
| 福利厚生 | ・バイク・自転車通勤:可 ・駐車場自己負担:なし ・ユニフォーム、空調服、安全靴など業務遂行に必要な衣服を支給します ・資格取得(土木施工管理技士)支援制度あり(受講料・交通費を合否に関わらず支給) ・退職金共済:建退共加入 ・健康診断補助あり(通常の健診に加えて本人が希望する健診を受診した際に以下の費用負担) ①付加健診 上限:5,000円 ②人間ドック:10,000円 |
| 勤務地 | 本社(京都府京都市右京区太秦西蜂ヶ岡町4) JR「太秦」駅より徒歩5分程度 |
| 勤務時間 | 8時~17時(休憩時間:60分) 残業はほぼありません。 |
| 休日・休暇 | 週休二日制(土・日・祝)※年に数回、土曜出勤あり(振替休日を取得していただきます) 年末年始休暇 夏季休暇(期間中に本人の希望する計5日間) 年次有給休暇(入社後6ヶ月経過後10日付与) |
| 応募資格 | 現場での業務経験の有無は不問です。 業務の特性上、以下のような方におすすめの仕事です。 ・協調性を持ち、チームで仕事を進めることが好きな方 ・ルールを守り、業務を進められる方(国や都道府県の規則に則った仕事が多いため) |
| 選考プロセス | 京都移住計画の応募フォームから応募 ↓ 書類選考 ↓ 1次選考(担当者と面接) ↓ 最終選考(担当者、代表と面接) ↓ 内定 ※最終選考前に希望があれば、職場見学やカジュアルな面談も可能です。なるべく会社のことを知ってもらった上で入社するかどうかを見極めていただければと思います。 |
| 面談場所 | 選考は本社にて実施します。最終選考前の面談は会社に来てもらっても構いませんし、近くの喫茶店やWeb面談でも対応可能です。なるべくご本人が希望される場所にて実施できればと考えています。 |
| 参考リンク | https://kk-kenkosha.co.jp/ |


