募集終了2019.09.17

場数を踏んで、目利き力を伸ばす。京町家を仕入れる会社の要

西村専務と張さんと青山さん

京都を紹介する番組やガイドブックでは必ずその外観風景を映すほど、「京町家」は京都のアイコンとなっており、海外から京都に移住して「京町家」で暮らすことを選ぶ外国人の方も珍しくなくなってきました。

町家

今回訪れたのは、そんな「京町家」の物件を扱う建築・不動産の会社、株式会社八清です。その最大の特徴は、不動産のトータルコーディネートができること。不動産、建築、ファイナンス、相続・税金などのアフターケア、管理・投資・賃貸運営にいたる利活用まで、一度に相談できることが何よりの魅力です。

株式会社八清

また、シェアハウスやコワーキングスペースなどさまざまなプロデュースも手がけています。社外では職住一体型の宿泊施設「UNKNOWN KYOTO 五條楽園」 プロジェクトも進行中なのだとか。

ヨリアイマチヤ
五条烏丸にある、元呉服商の京町家を利用したレンタルスペース「ヨリアイマチヤ」

建築や不動産業界と聞けば男性社会というイメージですが、八清では意図したわけではなく、社員全体の女性率が半分を超えています。現時点で育休や産休をとっている社員が二人と、女性にとっても働きやすい環境になってきているようです。

このような八清の魅力を下支えするのが今回募集する営業部門「暮らし企画部」で仕入れを担当する人材です。京都移住計画では8度目の登場なので、ぜひ過去記事も合わせて読んで、会社の雰囲気を感じ取ってみてください。

仕事をつくる側の人として育ってほしい

「今回は営業面を充実させていきたい思いがあり、特に将来は仕入れを任せられるような人に成長してほしい」と西村直己(にしむら・なおき)専務は語ります。

西村直己専務

過去の記事では物件を仕入れて売却するまで一気通貫できるように、営業職も設計職もできる人材を募集していました。

しかし、今回からは営業と設計を分けて採用するというわけではなく、どちらかと言えば建築畑出身の人が多いため、営業の軸が強い人を採用したいという思いがあるといいます。

「仕入れを担当する営業担当者はお客様だけでなく取引業者とも人間関係をつくっていかないといけませんし、仕入れは企画や販売に長けている人材でないと上手くできません。建築担当ではなかなか持ちえない集客やセールスの才能に恵まれた人材が必ずいると思いますし、今後の組織の営業力強化のためにはそういった人材も必要と感じています。仕入れ業務は一朝一夕には上手くできませんから、入社されたら販売営業からしっかり経験を積んでいただきたい」とのこと。

ここで言う仕入れとは、物件情報を収集し、取引のある業者から情報をもらい、八清での買取を検討し、買い取った物件に八清ならではの企画力で付加価値を高めて販売していく仕事です。

過去の記事に掲載された「暮らし企画部」の藤井博周さんの言葉を引用すると「京町家の仕入れが最大のポイントで、市場の価格で購入してしまうのでは、さすがに企業として利益をあげるのは難しいので、値段交渉の部分であったり、見極めが大事です」と語っていました。

仕入れは、すべて自分ひとりで決断するわけではなく、改修の計画と事業計画書を作成したうえでリーダー、専務と3名で購入価格の妥当性について議論し決定します。

「八清の仕入れは、10軒見て2軒買えればいいほうです」と西村専務はいいます。また、たくさんの物件を診るので目利き力が養われるのだとか。「一般の人が見ればなんとも思わない物件も、僕たちからすると磨けば光るダイヤモンドの原石のように感じる物件があります。そういう物件をいかに仕入れてくるかがポイントなんです」。

その目利き力をつけるためには図面だけでなく、現場に訪れ、地道に周辺を調査する必要があるようです。

「社長に『マンホールを見てこいよ』と僕はよく言われました。掘削(くっさく)と言って、ガスや水道のインフラが他人の敷地の上を通っている場合が稀にあり、マンホールを確認しないとわかりません。例えばガス管を太くするためには掘削許可が必要なので、敷地所有者に許可を取りに行く必要があります。だから現場を見ることは重要なんですよ」。

その地道な作業を乗り越えて物件が売れ、入居者が決まって家の庭で花に水やりをしている姿など見れば感動は大きそうですね。そこで大事なのは、京都でさまざまな人と関係を構築していくことだと西村専務はいいます。

「当社に声をかけてもらったら『誰よりも速く査定に行きますよ』と言います。すぐに査定の答えを出せるようになると、どんどんお声がかかるようになります。取引先の不動産の流通業者からすれば、その人の営業成績にもつながるので、そういうことも意識できるwin-winの関係を築けるようになっていってもらいたいですね」。

同業他社ではインセンティブを高く出すものの、給料の金額を目的にしてしまうと、その状況が長くは続かないのが一般的です。一方の八清では、結果が出ないからといって給料が低くなるということはありません。そのため、じっくりと腰を据えて目利き力と人間関係を構築しながら販売営業担当としての場数を踏んでいくことができます。

今回の募集ではこれまで不動産業界にいた方や、異業種の営業経験者に来ていただきたいと西村専務はいいます。その上で、面接ではどんなところに注目されているのでしょうか。

「これまで記事の中でなんとなく感じてくださっていると思いますが、素直さや新しいことに挑戦する向上心に注目しています。八清の中での変化や、業界の中でのスタンダードがどんどん変わってきているので、新しいことをやるのが苦手な人はうちで働くのはつらいでしょうね」。

松本和也さん

隣で聞いていたサービスマネジメント部の松本和也(まつもと・かずや)さんは、「先ほど西村専務が話した、流通業者から物件を買うという仕入れの仕方自体も今後は変わっていくかもしれない」と語ります。世の中が情報化社会になり、メルカリのようなアプリの不動産版が開発されて、中間業者を通さない社会になっていくかもしれないと考えているそうです。

「物件を高く売って利益を出していく。あるいはビジネスモデル自体を変えてストックのビジネスに変えていくなど、八清では両方のラインから発展させていこうと考えている」と西村専務はいいます。

また、当社が京都で展開している様々な事業のお客様にお得な情報や魅力的な施設をシェアして暮らしの価値を高めるオンラインコミュニティ「八清ワールド」など、さまざまな付加価値をうまく活用してもらえればと付け加えます。

「社内的には堅実なリスクヘッジ発想の社員が多いため、リスクチャレンジ発想の『やってみましょう』と盛り上げていく人にも来てもらいたいです。その上で、基本は大昔からの営業の基本である『人間的な魅力のある人』人たらし』がほしいですね」。

京都の魅力をまずは自ら体感する

ではここで、同じ「暮らし企画部」のグローバルチームに所属する張芳源(ちょう・ほうげん)さんにも話を聞いてみます。

張芳源さん

張さんが入社したのは2017年11月。実は前職から八清とつきあいがあったといいます。

「前職では、町家を購入してそれをリフォームして宿にする中国系の企業で働いていました。だから前職の私は、八清にとってお客様の立場だったんです。八清のスタッフが物件を案内してくださったときに、他の会社の方はスーツで来てなんだか苦しそうなんですが、八清のスタッフはめっちゃラフな服装で(笑) 『物件を自由に見てください』って感じなんですよ」と笑う張さん。

西村専務と張さん
「張ちゃん、まずい! 雑な会社のイメージがついてしまう!」と笑う西村専務。話すたびに張さんはみんなを笑顔にしてゆきます。

「雑だとは全く思っていなくて(笑)。押し売りをしないスタンスで、かっこいい会社だなあという印象だったので、求人サイトで募集を見つけたときに即応募しました」とフォローの言葉を添える張さん。「彼女は契約をたくさん決めてくれているんですよ」と西村専務は語ります。

張さんの仕事は物件の販売で、主に外国人のお客様を対応しています。香港の富裕層ではなく一般の方がセカウンドハウスとして京都の物件を買っていくそうで、京都の生活事情を含めて物件の魅力を語るのが張さんの役割です。

何千万円もする物件を販売するのはドキドキするのではないかと尋ねると、「日本人のお客様にはドキドキするけれど、外国人のお客様には全然ドキドキしない」と意外な答えが返ってきました。

「私は中国出身ですが、香港と同じ広東語が話せるので、お客様には安心感があるようです。お客様はみんな私の両親ぐらいの年齢の方が多いのですが、みんな友だちのように接してくれるんです。またその友だちを紹介してくれて、毎回京都に来る際にお土産をくれたりして。この仕事にやりがいを感じています」。

逆に大変に感じるところは、細かく報告・連絡・相談の報連相を求められるところ。このあたりの日本の企業で求められるスキルを伸ばしていきたいようです。しかし、取材の前日の1日を一例にタイムテーブルをお聞きすると、移動や事務的な作業の数が多く、外国人だから不慣れというわけではなさそうな内容だとわかりました。

「昨日は出社後すぐにお客様を案内して、社内に戻って打合せ。その後、外でお客様に案内。その後現場で打合せ。次にお客様を案内。その後、会社に戻り、18時までに連絡しないと電話がつながらなくなる銀行にローンの申請のやりとりをして…。あ、わたし、すごく充実している!」。

手帳

たしかに充実しています! 契約が増えると仕事量が増え、大変なこともありますが、張さんのお話を聴いているとてもやりがいを持って働いていることが伝わってきます。

中国の方とやりとりする際は、リアルタイムにスマホで相手の顔を見ながらWeChat(中国最大のチャットアプリ)でやりとりすることもあるそう。中国人の習慣を知っている張さんらしい営業方法です。

また、張さんは八清に入社してから京都に詳しくなったのだとか。

「京都で外国人が暮らす上での各種手続きですとか、近くのスーパーマーケットの場所などいろんな知識がないと八清の仕事はできません。京都のまちの面白いことがわからなかったら案内もできませんから」。

仕事中の張さん

張さん自身、中国やアメリカの大学で学んだあと、京都の大学院でも学び、京都生活が長いため、道路の名称や町名などに詳しいそうです。写真が趣味で、京都では嵯峨野の化野(あだし)念仏寺や愛宕(あたご)念仏寺、山科区の将軍塚から見る景色などを気に入っているのだとか。

特にご自身が暮らす上京区エリアの物件をたくさん売っているそうで、街中でよくお客様と遭遇するそうです。お客様から「あなたの紹介は正しい、ありがとう」と言われたときはうれしかったと語ってくれました。

八清には成長できる環境がある

つづいてご紹介するのは、青山幸司(あおやま・こうじ)さん。京都移住計画での過去記事ではプロパティマネジメント部のリーダーとして紹介していた青山さんですが、2ヶ月前に「暮らし企画部」に異動となりました。入社して現在9年目の青山さんにとって、八清はどんな職場と感じておられるのでしょうか。

青山幸司さん

「僕自身はいろんなことを八清から学びました。前職までは、ずっとオフィスビルの仕事をしていたんです。BtoBからBtoCになって、扱うものも鉄筋コンクリートの六本木ヒルズなどといった巨大なビルを扱う人間から、町家という、それこそ真逆にあるような物件を扱うようになりました。現場にも入る機会も増え、職人さんと話しながら木造建築の醍醐味やおもしろさ、かっこよさみたいなものも教えてもらいました」。

なんと青山さんは朝5時に起きて勉強されているのだとか。いただいたお名刺には「宅地建物取引士」「二級建築士」「不動産コンサルティングマスター」とズラリと資格が並んでいました。

青山さんだけでなく、八清には勉強熱心な人が多く、30人程度の会社で20人以上の方が「宅建」の資格をもっているそう。そういう意味では「ひとりひとりのレベルが高いのではないか」と西村専務は分析されています。

「Webの担当者まで宅建の資格をもっていますからね。なぜかって? 資格によって給料があがるからですよ(笑)」と青山さんは笑いながら教えてくれました。

盛り上がる組織をつくりたい

では青山さんは、どんな人といっしょに働きたいと感じているのでしょうか。

「小さい会社なので営業を一から教えるほどの余裕がありません。1年でも2年でも営業経験がある人にきてもらいたいです」。

また、こんな思いを強調しました。

「心の機微が読める人にきてもらいたいです。特にお客様との話し方ですね。表情や目線、ちょっと言葉を引き出すために笑顔というスパイスを入れてみたりとかが大事です。僕は面接のときに『初対面で嫌われることはまずないです』とアピールしたのを覚えています」。

たしかに青山さんは何か真面目なことを語るたび、オチをつけるかのように冗談を交えて話してくださります。

その青山さんの考えは、今後の「暮らし企画部」の展望につながる内容でした。

「私たちは営業部門なので、チームが盛り上がらないと物件は売れません。だから小さな仕事でもいいので、コツコツやっていれば大きい仕事って絶対回ってくると考えているんです。社長もよく『掃除も大事やで』と口にします。たしかに現場を掃除すると物件って動いたりするんですよ。そういう考えをみんなが共通項として持った上で、ちょっとずつの積み重ねをみんながしていくと、必然的に売り上げってあがっていくので。その積み重ねが、盛り上がりに力を添えてくれると思うんですよ。だから盛り上がる組織をつくりたい。そのためには勉強しないといけないことや、泥臭いこともやらないといけない。それをみんながいとわずできる組織がいいなと僕は思います」。

西村専務と青山さん

そういう意味で、まず上席の自分が見本を見せるために、自分が動くことでお手本になっていけばと考えているそうです。インタビュー中に西村専務や青山さんが度々口にした「センス」や「心の機微」という言葉。二人の言い方が違うだけで、伝えようとしているエッセンスは青山さんが最後に語った言葉に集約されていると感じました。

西村専務と張さんと青山さん

今回3名の方に話お伺いし、共通して言葉にされていたのは不動産業界の変化にすぐに対応できる能力の大切さです。冒頭では八清が女性にとって働きやすい職場になっていると伝えましたが、成長したいすべての人にとって働きやすい職場になっているから、スキルをもった女性社員が集まってくるのだろうと感じました。

繰り返しになりますが、今回の募集はこれまで不動産業界にいた人や、他業界で営業経験がある人が対象です。いまの職場で営業の仕事に物足りなさを感じている人や、目標にしたい先輩がいないと感じている人、この記事を読んでピンときた人にオススメします。

執筆:狩野 哲也
編集:北川 由依
撮影:岡安 いつ美

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