募集中2026.02.24

京都の寺社や歴史ある建物を未来につなぐ。次代にバトンを渡す、電気工事士の仕事

歴史的建造物が時を超えて数多く残されている京都。このまちには、文化を守り、未来へ継承するために働いている人たちがたくさんいます。

京都の名だたる寺社のインフラ設備を手がける足立電気工業株式会社も、そんな思いを持つ人たちが働く会社の一つ。電気設備や防災・防犯設備の施工を通じて、受け継がれてきた文化を次の時代につないでいます。

京都移住計画では、2024年に建仁寺の塔頭・西来院を訪れ、足立電気工業が電気工事を行う現場を取材しました。今回は、京都市左京区にある洋館を改修したシェアスペース「下鴨ロンド」を訪問し、足立電気工業の現在、そしてこれからについてお話を伺います。

築90年を超える「下鴨ロンド」。足立電気工業が電気設備などの施工に携わっています

古い建物や町並みを守る人たちの思いと共に

足立電気工業は、初代社長・足立敏明(あだち・としあき)さんが1970年に創業し、1973年に法人化。2022年に現社長・徳丸正憲(とくまる・まさのり)さんに事業継承し、新体制がスタートしました。

清水寺や金閣寺、上賀茂神社といった名だたる寺社から信頼され、電気設備や防災・防犯設備の施工、自動火災報知設備や消火器具の点検・改修工事などを担ってきた足立電気工業。しかし徳丸さんは、業界全体の高齢化や人手不足に危機感を抱いていました。

そこで、「若い世代に興味を持ってもらえるように」と会社のロゴデザインやWebサイトを一新。さらに、労働時間や休暇、給与などの条件を整え、働きやすい環境づくりにも力を入れてきました。こうした試行錯誤の結果、組織の若返りが実現し、今では社員の平均年齢は30歳前後になっています。

また、最近は新たなチャレンジとして、寺社以外の仕事にも積極的に取り組んでいます。

徳丸さん

京都市のWebサイトでたまたま募集を見つけて、京都文化財マネージャー育成講座を受講しました。歴史的建造物の保存・活用のために活動する人を育成するための講座で、町家の構造や歴史、町家で暮らす人たちの季節ごとの営みなど、幅広く学びました。この学びを生かして、うちの会社に何ができるかなと考えていた頃に、下鴨ロンドという洋館に出会ったんです。

きっかけは、足立電気工業が携わっていた青蓮院門跡の工事。この現場に、下鴨ロンドの当時の管理人だった学生がアルバイトに来ていたことから、徳丸さんは下鴨ロンドの存在を知りました。

徳丸さん

彼を通じて下鴨ロンドを主宰する本間さんとも知り合いました。実際に足を運んで話を聞いてみると、「電気工事が完成しておらず、6~7割くらいで中途半端に終わってしまっている」とのことで。講座で学んだ知識を生かせるかもしれないし、寺社以外の仕事をするのも面白そうだなと思って、やってみることにしました。

下鴨ロンドを主宰する建築史家の本間智希さん(左)と徳丸さん(右)

下鴨ロンドは、1932(昭和7)年に建てられた洋館。築100年を迎える2032年に向けて、少しずつ改修を進めながら、シェアスペースとして活用されています。足立電気工業は2025年に1階応接室の電気工事に着手。2026年以降は2階の電気工事にも取り掛かる予定です。

徳丸さん

電気火災のリスクを減らすなど、建物を守る観点で優先順位を考えて、本間さんと相談しながら少しずつ進めています。電線やケーブルのジョイント部分を、作業しやすい場所にまとめておくなど、次に工事をする人たちのことまで考えておかないといけません。それはもちろん寺社でも同じ。電気設備の寿命より、建物の寿命のほうがずっと長いですから。

現在は下鴨ロンドのほかに、銭湯の継業で知られる「ゆとなみ社」が開業準備を進めている喫茶店「喫茶鴨」の電気工事にも携わっています。こちらも築80年ほどの歴史ある建物です。

徳丸さん

歴史的建造物の保存・活用という面で勉強になるかなと思って、喫茶鴨の仕事もやってみることにしました。京都文化財マネージャーの学びを生かし、古い建物や町並みを残そうとする人たちの思いや考え方をきちんと理解した上で、工事に携わりたいですね。

下鴨ロンドの本間さんが「足立電気さんは、同じ思いを持って関わってくれる心強いパートナー。これから7年がかりで進めていく工事なんて、他社ではなかなか引き受けてもらえないですよ」と笑顔で話すと、「工事が終わる頃には、僕は50歳ですね」とにっこり微笑む徳丸さん。この建物を次の時代へと共につないでいこうとする2人の信頼関係が伝わってきます。

照明による空間デザインを第3の軸に

足立電気工業は、電気設備、防災・防犯設備という2つの事業をベースに、3つ目の軸として、照明による空間デザインにも力を入れています。前回の取材で訪れた西来院では、電気設備の施工だけでなく、天井画を飾る本堂の照明デザインも担当。現在も、ある寺院の敷地内にある築90年の洋館で、庭の照明デザインから手がけています。

徳丸さん

例えば清水寺など、寺社のライトアップ工事にも数多く関わってきたので、庭の照明デザインにもその経験が役立っています。また、今携わっている清水寺の納経所の新築工事では、僕たちは電気設備を担当していますが、照明デザインが凝っているのですごく勉強になっていて。さまざまな現場で得た知識や経験を、今後につなげていきたいですね。

現場で蓄積した経験だけでなく、基礎から学んで知識を深めるため、徳丸さんは今春からインテリアデザインやインテリアコーディネートを学ぶ学校に通おうと計画中だとか。

徳丸さん

勉強して知識や技術を高めて、お客さんに空間デザインの提案ができるようにしていきたいですね。まずは僕がやってみて、ゆくゆくは若い社員たちが自分でできるような仕組みを作っていくつもりです。設計も施工も予算管理も、トータルでできる人をたくさん育てていきたいなと思っています。

自ら積極的に学び続けている徳丸さんは、若い世代を教育していく上でどんなことを大切にしているのでしょうか。

徳丸さん

やり方は大まかにしか伝えないですね。人から言われた通りにやる仕事って、面白くないでしょう?火災のリスクを抑えるなど、基本はもちろん教えますが、「使う人のことを考えてやってみて」と伝えて、本人に考えてもらうことが多いです。

一度自分なりに考えてみて、やってみて、途中で「わからなくなること」も大切だと、徳丸さんはにこやかに続けます。

徳丸さん

「わからなくなる」のを1回味わってもらう。それをせずに、なんとなくわかった気になってしまうと、仕事の質が悪くなるんですよね。緊張感を持って仕事をしてほしいので、あえて時間をかけて、自分で考えてもらうようにしています。1から10まで全部教えるよりも、結果的に成長スピードは上がると思いますね。

設計も施工も、自ら手がけることを目指して

足立電気工業では、業界未経験で入社し、スキルを身に付けていく人がほとんど。ここからは、未経験からスタートした若手社員の方たちにお話を伺います。1人目は、鹿児島から京都に移住し、2025年3月に入社した上玉利実咲(かみたまり・みさき)さんです。

上玉利さん

町家などの古い建物が好きで、各地の町家について調べているときに、京都移住計画のWebサイトにたどり着きました。そこで足立電気工業の求人記事に出会って、お寺の電気工事って今まで意識したことがなかったので、すごく新鮮で。文化を次世代につなごうとする思いや価値観に共感し、ここで働きたいと思いました。

記事を読んで興味を持ったとはいえ、鹿児島から移住しての就職となると、ハードルが高かったのでは?と尋ねると、上玉利さんは「ハードルはすごくありましたね」と笑います。

上玉利さん

以前から京都に興味があって、一人旅に来たこともあったんです。でも、そもそも一人暮らしも初めてだし、京都も電気工事の仕事も、全部が初めて。だから2ヶ月くらいはずっと悩んでいたけど、「よいしょ!」と気合を入れて応募しました。不安もありましたが、それよりもやってみたい気持ちのほうが大きかったです。

入社後は、初日から金閣寺の現場へ。掃除などの作業をしながら、先輩のそばに付いて少しずつ仕事を覚えていったそうです。

上玉利さん

古い建物に興味があって入社したので、現場に入るのはすごくワクワクしました。土木工事などの力仕事は大変でしたが、すべてが初めてで、新鮮で面白くて。一日があっという間に過ぎていきました。家に帰るとあちこち筋肉痛ですけど(笑)。

入社して半年ほど経った頃には、第二種電気工事士の資格を取得。今は消防設備士の試験に向けて勉強しています。また、仕事をしながら大学にも在学中。オンラインとスクーリングで空間演出デザインを学んでいます。

上玉利さん

今は仕事も勉強もまだ日が浅いですが、お互いに結びついて深まっている実感があります。これからも学び続けて、実際の仕事につなげていきたいですね。

現在は、電気工事や空調工事を行うための図面を作成するなど、主に設計の仕事を担当しながら、事務作業も担っている上玉利さん。どんなときに仕事のやりがいを感じているのでしょうか。

上玉利さん

社長をはじめ、設計士さんや大工さんなど、社内外の人たちに相談しながら設計を決めていくので、各所と調整をして折り合いをつけるのが、難しくもあり楽しくもあり。うまく収まりそうだという見通しが立つと、とても達成感があります。今後は、設計も施工も両方できるようになって、自分で決めたレイアウトで施工まで担当できたらいいなと思っています。

休日は大学の友人と飲みに行くなど、京都の暮らしも楽しんでいる上玉利さん。「京都はまちを散歩するだけでも楽しいです」と笑顔で話してくれました

目の前の人から「ありがとう」が返ってくる喜び

続いてお話を伺うのは、2024年9月に入社した井上新大(いのうえ・あらた)さんです。大学在学中に始めたDJの活動を、卒業後も続けていた井上さん。「歳を取っても長く働ける仕事がしたい」と探す中で、足立電気工業に出会いました。

井上さん

父が電気関係の仕事をしていたので、その分野で探していたら、足立電気工業の求人を見つけて。寺社の電気工事って珍しいし、面白そうだなと思って応募しました。

上玉利さんと同じで、井上さんも全く未経験での入社。どうやって仕事を覚えていったのでしょうか。

井上さん

初めの頃は、電気を埋設するための配管の穴掘りとか、力仕事ばっかりでしたよ。入社時はまだ資格もなかったので、「掘るだけなら知識は要らないし、やったろか!」という感じで(笑)。僕は学生時代に陸上をやっていたので、体力的には問題なかったですね。

その後、第二種電気工事士を取得し、自ら施工に携わるように。現在は、従事できる工事の規模と範囲がさらに大きくなる第一種電気工事士の資格取得に向けて勉強中です。筆記と実技の試験があり、実技は練習が必要になるため、先輩に教えてもらうことも多いそうです。

現在は主に清水寺の現場に携わっている井上さん。特に印象に残る仕事を尋ねると、三重塔のライトアップを挙げてくれました。

井上さん

三重塔の内部は非公開なので、中に入って作業できるのは誇らしくもあり、緊張も大きかったです。無事に工事が終わった後、ライトアップの期間には友達を呼んだりもしましたね。親も見に来てくれてうれしかったです。

関わった現場の完成を自分で見届けることができ、家族や友人にも見てもらえるのは、この仕事ならではの魅力の一つでしょう。一方で、大規模な工事だけでなく、日々の仕事の中にもやりがいを感じていると、井上さんは続けます。

井上さん

ほぼ毎日、清水寺に行って、工事だけでなく電球の交換など、お客さんのさまざまな要望に対応しています。「ありがとう」が直接返ってきて、人の役に立っていると実感できる、いい仕事だなと思いますね。

仕事で大変だと感じることは?と尋ねると、「事務作業がめっちゃ苦手で」と笑う井上さん。自分にとっての今後の課題だと、前向きに話してくれました。

井上さん

見積書の作成など、事務作業に苦手意識があって、つい溜めてしまうんです。でも、お客さんに何かを提案するには、工事の技術だけでなく予算管理なども必要なので。今後は、頼まれた仕事に対応するだけでなく、自分からももっと提案できるようになりたいですね。

足立電気工業で次世代が着実に育っていることが感じられた今回の取材。受け継がれてきた文化の継承に携わる仕事であり、目の前の人たちの生活に密着した仕事でもある。そんな足立電気工業で働く魅力も、改めて感じることができました。

寺社だけでなく、歴史的建造物の保存・活用も。電気設備だけでなく、照明による空間デザインも。さらに領域を広げつつある足立電気工業で、共にチャレンジしてみませんか。

執筆:藤原 朋
撮影:小椋 雄太(あかつき写房)
編集:北川 由依

求人募集要項

企業名・団体名足立電気工業株式会社
募集職種電気工事スタッフ
雇用形態正社員(試用期間3ヶ月、試用期間前後の勤務条件の変更はなし)
仕事内容神社・寺院、その他事業所等の電気工事、消防設備工事、イベント設営等

【具体的には】
主に京都市内の神社仏閣の電気工事や消防設備の工事を担当します。
文化財の仕事も多く、次の世代も維持管理を行えるよう、丁寧な仕事が求められます。
最近は境内でイベントを行う寺社仏閣が増えており、電源の設営や照明の設置などの工事も担当します。
入社後は、簡単な作業から始めていただき、スキルに合わせてお仕事をお任せしていきます。
給与月給・基本給:
240,000円〜450,000円

・賞与:年2回支給
・残業手当:残業代に応じて支給
・資格手当:月3,000円〜
・皆勤手当:月20,000円〜
・家族手当:月3,000円〜
・交通費:実費支給、上限月7,100円
福利厚生退職金制度あり(勤続1年以上)
各種保険加入
福利厚生サービスへ事業所加入
慶弔休暇、産休育休、介護休暇
勤務地本社 (京都府京都市南区東九条西明田町34-21)

・地下鉄九条駅から徒歩5分
・JR京都駅から徒歩10分
・市バス「九条車庫バス停」から徒歩2分
・バイク、自転車通勤可能
勤務時間8:30〜17:30(休憩時間60分)
残業:月平均15時間程度(直近1年間)
休日・休暇年間休日115日(2026年、会社カレンダーによる)、週休2日制(土、日曜日、祝日)、入社6ヶ月経過後の年次有給休暇日数10日
応募資格必須:普通自動車免許(AT可)をお持ちの方
手に職をつけたい方
幅広い知識を身につけたい方
寺社仏閣が好きな方
歓迎:電気工事士の資格をお持ちの方
甲種4類消防設備士の資格をお持ちの方
選考プロセス京都移住計画の応募フォームより応募
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書類選考(履歴書・職務経歴書)

面接
(基本的には対面での面接ですが、遠方の場合など、オンライン面接を希望される場合は相談可能です)

採用
面談場所本社( 〒601-8045 京都府京都市南区東九条西明田町34−21)
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