地域との関わりを見つけるワーケーション 丹後の海とサステナブルな暮らしを考える旅

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“旅をしながら学び、はたらく”をコンセプトに、2021年4月からはじめた「はんぶん旅、半分仕事。(以下、はん旅)」。

京都移住計画のメンバーとともに京都のローカルエリアを訪ね、その地ならではの魅力や人との出会いから、新しいプロジェクトや関わりの種を見つけていくような、訪れる側(都市側)・受け入れ側(地域側)の双方にとって良い関係が生まれるような「ワーケーション(※1)」のあり方を考えたいと思い、現地のコーディネーターとともに企画をしています。

(※1)ワーケーションとは・・・ワーク(仕事)+バケーション(休暇)を意味する造語。観光地やリゾート地、帰省先など、自宅以外の休暇先で、リモートワーク・テレワークをする過ごし方のこと。

第2回は、海の京都・京丹後市を訪ねました。私たちはこれまで、イベントやプログラムを通して京丹後市の豊かな食資源や、UIターンをして食に携わる方々についてご紹介することが多かったのですが、今回のテーマは「海×環境」。京丹後市の美しい海と切り離すことのできない「環境問題」や「サステナビリティ」について、改めて考える機会となりました。

現地コーディネーターと旅のしおりについて

⚫︎現地コーディネーター
坂田 真慶(さかた まさよし)さん / 一般社団法人丹後暮らし探求舎

2019年、人のつながりをつくり、まちを楽しくするをテーマに(一社)丹後暮らし探求舎を立ち上げ、移住支援業務、京丹後市若手職員の研修や、高校への地域コーディネーター(地域おこし協力隊)の導入など、多様なコミュニティとまちとのつながりをコーディネートする活動を行っている。東京都荒川区出身。大学卒業後、人材紹介会社での海外人材事業の立ち上げ、京都府移住コンシェルジュ@東京など
丹後暮らし探求舎:https://tankura.com/

原 康太朗(はら こうたろう)さん / 京丹後市雇用促進協議会

福岡県出身。学生時代を京都で過ごした後、通信会社に就職。福岡・東京で12年働いた後、2019年に妻の実家である京丹後市にIターン。現在は京丹後の雇用促進に従事し、企業や個人事業主の新規事業支援や各種イベント開催などを行っている。

京丹後市雇用促進協議会:https://kyotango-jobnavi.org/to-company/

⚫︎旅のしおり

京丹後市を含む丹後半島は、古代に大陸から渡来した人々によって稲作技術がもたらされ、江戸時代は「丹後ちりめん」や海産物の売買のために北前船が停泊するなど、日本海側の玄関口として商売や文化交流が盛んに行われてきたエリアです。

かつて船を運んだ海流は、現在、海に漂流するプラスチックごみを海岸へ運ぶようになりました。そのような現状に課題を感じ、環境問題や地域観光の分野でチャレンジするプレイヤーのもとを現地コーディネーターとともに訪ね、参加者視点から地域での体験や滞在の魅力化を考える2日のプログラムです。

<1日目>
・12:00 京都丹後鉄道「網野駅」集合
・Eバイクツアーやプラスチックごみ削減の取り組みを行う「丹後エクスペリエンス」の八隅さんを訪問
・シーカヤック事業・ビーチクリーン活動を行う「翔笑璃」の澤さんを訪問
・温泉・夕食

<2日目>
・ゲストハウス「base sanablend」を訪問・見学
・ゲストハウス併設キッチンスタジオ「tabel table」を訪問・見学 ・昼食
・丹後暮らし探求舎にて滞在の振り返りとチェックアウト
・15:00 中締め 京都丹後鉄道「峰山駅」解散

この日の集合は、京都丹後鉄道「網野駅」。今回は、就職を機に移住したばかりの若者や求職中の方、京都市内や関西圏で働く5名の方に参加いただきました。

みなさんが今回の「はん旅」に参加した理由

・新卒採用で今年から京丹後市にIターン。住みはじめた地域のことをもっと知りたいのと、仕事である福祉の領域とまちとの関わりについて考えたい。(福祉関係)
・田舎への移住を考えているが、仕事や住まいはどうするのか、自分のスキルがどう活かせるのかを考えたい。(求職中)
・前回の亀岡市のプログラムが楽しかったので。地域をフィールドにしたPBLのプログラムづくりに興味がある。(教育・人材開発系)
・普段は学生と訪れることが多いので、今日は一人の参加者として京丹後市の自然を楽しみたい。教育とワーケーションの可能性についても考えたい。(大学教員)
・以前から丹後の方々にはお世話になってきたが、地域をフィールドに学生との接点や自身が所属する研究チームの活動を改めて考えたい。(大学教員)

楽しい入り口から、海洋ごみを考える「丹後エクスペリエンス」八隅さんの挑戦

京都市出身の八隅さん。前職は消防隊員をされていました。

まずは、2019年に地域おこし協力隊に着任し、環境と地域観光をかけ合わせた取り組みを行う「丹後エクスペリエンス」の八隅孝治(やすみ こうじ)さんのもとを訪問。取り組みや活動の背景についてお話を伺った後、実際に八隅さんが清掃活動を行っている小浜ビーチを案内いただきながら、海洋プラスチックや漂着ごみの現状を見学しました。

八隅さんのお話によると、潮の流れによって、多い時は海岸をすべて塞いでしまうほどのごみが流れ着くそう。20名ほど人が集まれば半日で片付けられるそうですが、風化して小さくなったプラスチックごみは、浜辺に埋もれてなかなか回収しきれないのだとか。

海が好きで移住を決めたものの、海の近くで暮らしていくうちに海洋プラスチックや漂着ごみの現状を知り、何か自分にできることはないか?と模索するなかで出会ったのが「プレシャスプラスチック」というオランダ発のリサイクルプロジェクトでした。

「プレシャスプラスチックは、プラスチックごみを細かく砕いて熱し、再びプロダクトにする取り組みです。マシンの設計方法などはオープンソースになっていて、誰でもはじめることができます。日本では鹿児島県にある『ダイナミックラボ』が先駆けて取り組んでいて、京丹後にも環境を軸にしたファブラボをつくりたい!と思い導入しました」(八隅さん)

2050年には、海に生息する魚の数と海洋ごみの量が同じになると言われています。

「小浜ビーチの清掃はこれまで、地元の有志の方々だけで実施されていました。でも、義務ではないかたちで、もっと幅広い年齢層の方に楽しく関わってもらえたらいいなと思っています。今後は、プレシャスプラスチックの成形体験やEバイク(※2)ツアーをかけ合わせながら企画を考えたいです」(八隅さん)

参加者からも「プレシャスプラスチックの成形体験は、子どもを連れて参加したい!」「朝の清掃活動に参加するために、前日の宿泊がセットになった企画があるとうれしい」というコメントがありました。

(※2)Eバイク・・・スポーツタイプの電動アシスト自転車。バッテリーの容量が大きいため、100km以上走れるモデルが多いことも特徴のひとつです。

灯台のあるロケーションを活かした体験づくり「MITSU TODAI COFFEE」

次に訪れたのは「MITSU TODAI COFFEE」。シーカヤック事業やビーチクリーンを行う「翔笑璃(とびわたり)」の澤佳奈枝(さわ かなえ)さんが運営しています。澤さんに三津(みつ)集落で管理するビーチをご案内いただき、ビーチコーミング(※3)とハーバリウムボールペンづくりを体験しました。

「沖縄でシーカヤックの研修を受け、2020年にUターンして事業をはじめました。三津集落には私の同級生も5人ほど住んでいますが、高齢化率は7,8割です。今日ご案内した集落のプライベートビーチはとてもいい風景ですし、体験教室や飲み物のテイクアウト販売などが可能な『MITSU TODAI COFFEE』を活用しながら、この場所ならではの体験を提供したいと思っています。そのひとつが、海の漂流物でつくるハーバリウム体験ですね」(澤さん)

(※3)ビーチコーミング・・・海岸や浜辺などに打ち上げられた漂着物を収集したり観察したりすること。漂着物を加工したり標本にしたり装飾にしたりして楽しむことが多い。

私たち一同もハーバリウムボールペンづくりに挑戦。先ほど浜辺で拾ったシーグラスや貝殻を、思い思いに入れていきます。入れ終わったら、澤さんにハーバリウムの専用液を入れていただき、自分だけのオリジナルペンが完成しました。

体験後は、コーヒーをテイクアウトして灯台まで散歩。三津集落は、映画やドラマのロケ地にも度々選ばれているそうです。水平線に沈む夕陽を眺めながら飲むコーヒーは格別で、とても穏やかな時間を過ごすことができました。

参加者からも「この景色を見ながらコーヒーが飲めるのは最高ですね!」「食事が可能だったら、朝の時間帯も気持ちが良さそう」と感想がありました。

これにて1日目のプログラムは終了です。温泉にゆっくり浸かり、宿泊場所へ向かいました。

豊かな時間が流れるゲストハウスとキッチンスタジオ「tabel table」

2日目は、2021年4月に大宮町でオープンした“暮らすように滞在できる”ゲストハウス「base sanablend(以下、サナブレンド)」を見学。豊作を祈願する祝いの宴「さなぼり」と都市部と農村部の人々が融合する意味の「ブレンド」、そして、友達を意味する「フレンド」をかけ合わせた造語です。

施設内を一通りご案内いただき、ゲストハウスの立ち上げを行った、奥大野の区長・川口勝彦(かわぐち かつひこ)さんにお話を伺いました。

「ここ大宮町奥大野は、人口おおよそ800人の集落です。サナブレンドは、空き家を購入し、京都府の補助金を活用しながら改修しました。地域づくりに長年関わってきましたが、地域側にもこの10年で外から来た方々を受け入れる土壌ができてきたと感じています。サナブレンドに宿泊される方にも集落の祭りや行事に参加してもらい、地域の人たちと仲良くなってもらえたら嬉しいですね」(川口さん)

まるで映画の世界に入ってしまったかのような素敵な店内。

つづいて、サナブレンドに併設されたキッチンスタジオ「tabel table」を訪ね、お手製のアイリッシュ料理をいただきました。

オーナーのハミルトン純子さんは、旦那さんと一緒に6年ほどアイルランドに住んでいたそう。現在は、純子さんのお婆さまが住んでいた丹後の地で、豊かな地元食材をベースに、予約制のレストラン営業やケータリング、料理教室などを主宰されています。

この日のメニューは、シェパーズパイとキャロットラペ、キャベツのマリネ、ソーダブレッドです。

以上で、“はんぶん旅”の行程は終了です!

旅の最後は、コーディネーターの坂田さんが運営する「丹後暮らし探求舎」にて、2日間の滞在の振り返りと感想をシェアしながら、これからどのように地域と関われそうか、関わりしろを見つけたいかを話しました。

--みなさんにとって、今回の滞在はいかがでしたでしょうか?

「京丹後市に住みはじめて2ヶ月が経ちますが、今日がいちばん密度の濃い1日でした。次回は職場の人たちとも訪れてみたいと思います。最近は地元の高校生とも話す機会が増えたのですが、2日間で出会ってきたような魅力的な人たちがいることを伝え、いい循環をつくっていきたいと思います」(福祉関係)

「学生の頃に地域との関わりができることでUIターンにつながっているケースがありますし、教育分野は長いスパンでの関わりになります。学生のキャリアデザインの一環として、多様な仕事・働き方をしている大人と出会い、ライフヒストリーを聴くような生の体験が必要だと思いました」(大学教員)

--僕たちも学生が訪れる機会づくりや、情報提供をしていけたらと思います。何かお仕事上で関われそうなイメージはありますか?

「普段、日本で働きたい留学生と話す機会があるのですが、彼ら・彼女らは必ずしも日本語が流暢ではないんですよね。都市部の企業だと英語を交えながらでも仕事が成り立つのですが、地方だとなかなか難しいみたいで。京丹後にも英語を話せる方がいらっしゃるので、何か留学生たちとの接点が見つかるといいなと思いました」(教育・人材開発系)

「大学のゼミ活動との関わりを深められたらと思います。現地で感じた魅力をオンラインでどのように伝えていけるのか、情報発信等のお手伝いはできるのではないかと思いました。訪問後に遠隔から関われる方法があったら、学生も継続して取り組めるのではないかと思っています」(大学教員)

「移住を考えている者の視点だと、『サナブレンド』のように仕事も住まいも用意されている環境はとても魅力的でした。生活するイメージも湧きやすいですし、川口さんのような地域の方の存在も心強いです」(求職中)

--コーディネーターのおふたりからも感想をお願いします。

「当初、八隅さんのEバイクツアーに参加できればと思っていましたが、観光業は天候が大きく関係するので、雨天でも楽しめる環境系の体験やアクティビティを考えたいと思いました。先ほど感想にもいただいたように、移住検討者向けの住まいについては地元の事業者とも組みしろを考えていきたいと思っています」(坂田さん)

「私自身、丹後に移住してからキャリア相談をいただく機会が増えたのですが、お話を伺っていくと、消費が前提となる都市型の暮らしに対して疑問をもっている方が多い印象で。今回ご案内をした地域の方々と出会っていただくことで、働く・暮らす上でさまざまな選択肢があることを知っていただけたらいいなと思います」(原さん)

2回目の開催となった、はん旅。参加者のみなさんとお話をするなかで、八隅さんや澤さんが取り組まれている「環境問題」や「サステナビリティ」を軸にしながら、教育や観光の分野をかけ合わせたツアー企画、教育プログラムが生まれていきそうな兆しがありました。

京都移住計画としても、「はんぶん旅、半分仕事。」のより良い企画づくりに取り組んでいる途中です。京都のローカルエリアでワーケーションを試してみたいとお考えの企業のみなさま、受け入れを検討されている自治体や地域のみなさまも、ぜひお気軽にご相談ください。

次回は、舞鶴市にて、7月31日(土)- 8月1日(日)に【はんぶん旅、半分仕事。vol.3 】の開催を予定していますので、興味のある方はぜひご参加いただけたらうれしいです。

「はんぶん旅、半分仕事。」vol.3 地域×豊かな暮らし、舞鶴市を旅する

第3回は、舞鶴市で「Coworkation Village MAIZURU」の管理運営やFMまいづるパーソナリティー、ママ向けアウトソーシング事業を行うシンク・アンド・アクト株式会社の作間さんに現地をアテンドいただきながら、地域で豊かに暮らすヒントを探すとともに、2日間を通して舞鶴ならではのワーケーションの企画を考えられたらと思っています。

\ こんな人におすすめです!/
・舞鶴でワーケーションのプログラムを考えてみたい方
・自然とともに心豊かに生きるヒントを見つけたい方
・地域をフィールドにした学び・発見と企画の接点を見つけたい方
・会社のリソースや個人のスキルを活かして関わりを考えてみたい方

●日時:2021年7月31日(土)〜 8月1日(日)
●集合:10:15 JR東舞鶴駅
●定員:9名
●参加費:1500円+現地滞在実費分 おおよそ15,000円
(昼食2回・夕食・朝食・体験・宿泊費など)
●持ち物:宿泊時に必要なもの

▼プログラム詳細はこちら
https://hantabi-hanshigoto-maizuru.peatix.com/

■企画・運営
株式会社ツナグム(京都移住計画)
担当:藤本・並河 info@tunagum.com

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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