2024.08.22

14 処暑 – 秘密基地、山盛りのお菓子、地蔵盆

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京都には、季節ごとの行事やならわし、風物詩がたくさん存在しています。このコラムでは、1年を春夏秋冬の4つに分け、さらにそれぞれを6つに分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」にあわせて、京都移住計画に関わる人たちの等身大の京都暮らしをお伝えします。

処暑の頃の思い出といえば今から二十数年前、小学生の時の「地蔵盆」という子どもたちのための行事だ。

青々と稲が育つ田んぼの前に、古ぼけたお地蔵さんが10体ほど並んでいる。裏の藪の中には竹で組まれたやぐらに御座が敷いてあって 、その上に座った20-30人の子どもたちが思い思いにトランプやゲームで遊んでいる。これぞ秘密基地!

大人たちが三々五々お地蔵さんにお菓子をお供えにくる。お菓子がある程度たまると、わらわらと竹藪から出てきた子どもたちがお菓子を回収する。居合わせた大人たちは微笑ましく眺めている。

それを十数回は繰り返すだろうか、カナカナカナとひぐらしの鳴く夕暮れ時になると、大量のお菓子を子どもたちが山分けしてホクホクと帰路につく。

これは私が生まれ育った、兵庫県三木市は久留美地区の地蔵盆だ。

京都に移住してはや10年が経とうとしている。二条城北の中書町で運営しているマガザンキョウトという町家の宿は、近ごろ地蔵盆の会場になって今年で6回目。お地蔵様にお参りし数珠回しをする「京都の地蔵盆」だ。

初めて参加させていただいた時、同じ「地蔵盆」でもこれほど違うのかと驚いた。

長さ3~5mほどの大きな数珠を、念仏を唱えながら順に隣に送る「数珠回し」 

京都から始まった行事や風習が全国津々浦々へ広まり、時にかたちを変えて今も各地に根づいているという。

姿形は変わっても、地蔵盆で子どもたちの幸せを願う心は今も昔も変わらない。

距離や時空を超えて、人は願いでつながることができる。そう思わせてくれる京都の夏が、今年も暮れていこうとしている。

執筆:岩崎 達也
編集:藤原 朋

岩崎 達也

株式会社マガザン 代表取締役 | 編集長

1985年生、兵庫県三木市出身、山田錦農家の長男。京都市在住。京都精華大学非常勤講師。2016年株式会社マガザンを創業。複合施設マガザンキョウトにて、雑誌の特集のようにシーズン毎に空間で様々な企画を展開。2022年食の循環プラットフォーム CORNER MIX を、2023年に松竹株式会社のパートナーとして東銀座に伝統文化と未来を接続する媒体 SHUTLを開業。ローカルカルチャーの体験価値を拡張する挑戦を続けている。

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