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京都の日常を彩る食を訪ねる「食を巡る」シリーズ。京都らしい食べ物や飲み物、京都移住計画メンバーのお気に入りの一品をご紹介する連載コラム記事です。食べることは生きること、京都での暮らしに彩りを与える物語をお届けします。
京阪電車・神宮丸太町駅。鴨川を眺めながら丸太町橋を渡り、河原町通りを北に上がると、美味しそうなスパイスの香りが漂ってきます。

今回ご紹介するのは、河原町通沿いにあるカレー屋さん「himeru spicecurry(ヒメル スパイスカレー)」。店主の炭竈昌人(すみがま・まさと)さんは、大学4年生の頃に京都で起業し、株式会社kitasuの代表を務める実業家でもあります。そんな炭竈さんに、お店のこと、これまでの歩み、大切にしている価値観、そして今後の展望を伺いました。
廃棄されるはずの野菜を、誰もが愛するカレーに
himeru spicecurryは、規格外野菜をふんだんに使った、本格的なスパイスカレーが魅力のお店です。

規格外野菜というのは、形が不揃いだったり、少し傷があったりすることが理由で市場に出回らず、廃棄されてしまう野菜のこと。その量は、日本国内で毎年約200万トンにのぼると言われています。炭竈さんがその実態を知ったのは、とある農家さんとの出会いがきっかけでした。
「南区のイベントに参加した際に出会った農家さんから、実際には美味しく食べられる野菜が、規格外というだけで廃棄されている厳しい現実を知りました。一方で、そのイベントを開催していた南区・九条エリアは当時スーパーが少なく、日々の買い物に困っている高齢者の方々が多い地域でもあったんです」
もったいない野菜と、買い物に不便を感じる地域の人々。その2つを繋げられないかと考えた炭竈さんは、南区のコミュニティスペース九条湯で、規格外野菜を販売する「もったいないマルシェ」を立ち上げました。

「マルシェのゲストとして大阪のカレー屋さんに出店していただき、規格外野菜を使った即興ランチを出してもらったんです。その時に、子どもからご年配の方まで、本当に楽しそうに同じテーブルを囲んで食事をしている風景を見て『あぁ、なんて素敵なんだろう』と胸を打たれたんですよね。カレーって野菜をたくさん使うし、何より世代を超えてみんなに愛される食べ物じゃないですか。『自分もこの野菜を使ってカレーを作りたい』と、いちからカレー作りを学び始めました」
九条湯を間借りしてのカフェ営業、キッチンカーでの販売、そして実店舗。活動の幅を広げるにつれ、その美味しさとコンセプトはじわじわと広がり続けています。
ヒッチハイクで日本一周!500人との出会いで芽生えた「恩送り」の精神
人やまちと積極的に関わりながら事業を展開する炭竈さんですが、元々は内気で、人と話すのが苦手なタイプだったのだそう。しかし、学生時代の出会いと挑戦によって、世界は大きく広がっていきます。
「大学1年生の時、バックパッカーとして世界中を渡り歩いてきた人や、自転車で日本一周した学生に出会いました。彼らの旅の珍道中話がすごく面白くて、『自分も全国の面白い人に会いに行きたい』という想いが芽生えたんです」

内気な性格だからこそ、強制的に人と話さざるを得ない環境を作ろう。そう決意した炭竈さんは、ホワイトボードを片手に、1年生の春休みを使って2ヶ月間のヒッチハイク日本一周の旅に出発しました。出会った人は500人以上!この旅で、起業への想いが確かなものへと育っていきます。
「車に乗せてくれた人に、『将来自分でビジネスを立ち上げたい』という夢を語っていたんです。そしたら、皆さんめちゃくちゃ応援してくれて。見ず知らずの自分に、これほどまでの優しさを注いでくれる人がいる。だからこそ、この夢を絶対に形にしようと心に決めました」
旅での出会いは一期一会。炭竈さんは、この旅でもらった恩を、社会で困っている人や、必要としている誰かに届ける「恩送り」として循環させていこうと決意します。その想いは、「人との繋がりを通して心を豊かに」という会社の理念となり、今も変わらず息づいています。
人との関わりで、良い循環が“日常化”する社会を
人にとって、社会にとって、良い循環を生み出し、日常化していくこと。それが、炭竈さんの願いです。
「ここには日々、さまざまな人が集います。常連さん、初めましてのお客さん、農家さん、仲間、その家族まで、色んな立場の人が同じ空間に集まれる“日常の居場所”になることができたら、こんなに嬉しいことはありません」

「衣食住における良い循環も、日常化していきたいと思っています。ただ消費して終わるのではなく、生産者や作り手の顔が見えることで、普段の暮らしの景色が少し違って見えると思うんです」
特別なことではなく、日々の「食べる」という営みが、誰かの笑顔や社会への優しさに繋がっている。himeru spicecurryは、自然とそんな気持ちになれる、唯一無二のカレー屋さんです。
6月21日は夏至!今年の「夏至カレー」はhimeru spicecurryで開催します
京都移住計画でお馴染みのイベント「夏至カレー」を、今年はhimeru spicecurryで開催することが決定しました!

夏至カレーとは?
一年で最も昼が長く、夜が短い「夏至の日」に、太陽の恵みに感謝しながらカレーを食べて、これからの本格的な夏を元気に乗り切ろう!というイベントです。
発起人は、京都移住計画のフォトグラファーとしても活躍している中田さん。毎年SNSでも話題となるこのイベント、是非お気軽にご参加ください!
開催概要
日時:2026年6月21日(日)11:30〜13:30(受付開始11:15)
会場:himeru spicecurry(〒602-0855 京都市上京区上生洲町248-4)
当日は、himeruの看板メニューであるバター醤油チキンカレーをご用意します。大地の恵みと太陽のパワーがぎゅっと詰まったhimeruのカレーは、夏至の日にぴったり!本来なら廃棄されてしまうはずの規格外野菜を美味しく食べるという「食の社会体験」も一緒にお楽しみください。
イベント詳細やご予約は、こちらのページから。
皆さん、今年も夏至カレーを楽しみましょう!
『himeru spicecurry』
京都市上京区上生洲町248-4
https://himeru-spicecurry.com/
https://www.instagram.com/himeru_kitchencar
CHECK OUT
取材後にいただいた「バター醤油チキンカレー」は、野菜のうまみがたっぷりと溶け込んでいて、あっという間に平らげてしまいました。美味しいだけでなく、食べることで食品ロス軽減に少しでも貢献できていると思うと、どこか嬉しく、心まで満たされる感覚になります。「地球に優しいこと」を、まずは美味しく、楽しく。日々の食事の目線が少し変わる体験を、ぜひhimeruで味わってみてください。
執筆:佐藤 ちえみ
編集:藤原 朋



