2023.12.15

散歩がてら立ち寄りたい。「SHIGA COFFEE」のコーヒーとスイーツで日常に彩りを。

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京都の日常を彩る食を訪ねる「食を巡る」シリーズ。京都らしい食べ物や飲み物、京都移住計画メンバーのお気に入りの一品をご紹介する連載コラム記事です。食べることは生きること、京都での暮らしに彩りを与える物語をお届けします。

梅小路京都西駅より徒歩10分ほどの場所にある小さなお店。食を巡る第26弾では、自宅のガレージを改装して夫婦で営むコーヒー店「SHIGA COFFEE」を紹介します。観光地から離れた住宅街にさりげなくたたずむこのお店には、気取らずほっと日常を過ごせる空間がありました。

地元でコーヒー店として再スタート

SHIGA COFFEEは、中谷芳浩さん、亜由美さんご夫婦が営む小さなコーヒー店です。お店に入ると、コーヒーの柔らかな香りが広がります。

「もともとは機械や重量物の輸出梱包を行う家業に携わっていました。そのとき梱包していたもののひとつが、焙煎機だったんです。焙煎機を仕事で目にするようになって、焙煎とはどういうものなのか、少しずつ興味が芽生えました」と話す中谷さん。家業をつづけながら趣味で焙煎をはじめたものの、「将来的にコーヒーが仕事として繋がればという想いもあった」と振り返ります。

店内入り口には3kgの焙煎機が置かれています

しかし、最初からコーヒー屋を営もうとは思っていなかったそうです。

「父から継いだ事業を整理することになり、1kgの小さな焙煎機だけが手元に残ったんです。当時は40歳を過ぎた頃。もう1回頑張れないかなと再スタートを切る気持ちでした」

唯一残った焙煎機をもとにコーヒー店を営むことを決意した中谷さんが再スタートを切った舞台は、幼いころから生まれ育ってきたまち。

「近所の人には、事業を整理してコーヒー店を始めることをすごく心配されました。『大丈夫なの?』と。ただもう一度新しいことをしたいという気持ちが強く、プレッシャーは感じなかったですね」

日常の延長にあるようなコーヒーとスイーツを

「京都らしさを感じられる観光地が少ないこの場所で、自分たちがもう一度何かを始められたら」と、梅小路エリアの西側にお店を構えた中谷さん。ここでは、気取らない日常に安心感をもたらしてくれるようなコーヒーとスイーツが味わえます。

ブレンドは、午前中の1杯におすすめの「ミドル」としっかりとした味わいの「フカイリ」の2種類

「季節のブレンドを作ったりもしますが、基本的にメニューはシンプルに、お客さんが試しやすい価格帯で提供しています」と話すように、店内には常時ブレンド2種、シングルオリジン9種類がそろいます。

コーヒーの価格帯は自家焙煎のコーヒー店では珍しく、ブレンドもシングルオリジンもすべて同じ。

「豆ごとに価格をつけると、お客さんが選ぶ時に値段に引っ張られてしまう。同じ値段であれば、お客さんは好きなものを気軽に試してみることができるので。いろいろ飲んでみて好きな味を見つけてほしいですね」

中谷さんは、コーヒー店を営む前は、一消費者としてさまざまなコーヒー店を巡っていたそう。「自分の好きなコーヒーに出会う感動を、消費者として知っているので。できるだけ買いやすい価格を守って、お客さんには多くの選択肢から選んでいただきたい」と話します。

コーヒーと一緒に味わえるスイーツは、奥様の手作り。「飽きっぽいので」と笑う亜由美さんが作るスイーツは、プリンやチーズケーキ、ガトーショコラなどが日替わりで登場します。

もともと趣味で作っていたスイーツ。お店を始めると決めてから、マンツーマンでレッスンを受けて勉強をして、毎日作り続けているそう。「コーヒーと同じで、スイーツもお手頃価格でシンプルです」。

シンプルながらも味わい深いコーヒーやスイーツには、日常の延長で楽しめる温かさとおふたりの想いがこめられています。

同じリズムで、時々新しいことを

「毎日同じリズムで、朝に焙煎してお店を決まった時間に空けて、お店が終わったら家に戻って、のくり返し。これが幸せだなあと日々思っています。これからも、このまちで今のリズムを続けられたらいいなと思っています」と、日常を大切にする中谷さん。

SHIGA COFFEEには、若い世代の人から年配の方、子ども連れの方まで、幅広い層の人たちが集います

一方で、時には新しいことを、と地元のイベントに出店することも。京都駅西エリアには、近年新しいお店が増えつつあります。新しいお店だけでなく商店街で古くから営業を続ける魚屋や八百屋が集まり行ったイベント「㐂 yoroko[bi]」は、入場制限がかかるほど多くの人でにぎわったそう。

「6年前にお店を始めた頃から、将来的にもっと盛り上がってくれたらいいなと思っていました。だから、近所のお店と一緒にイベントできたのは面白かったですね」。決して観光地ではないエリアが静かに盛り上がりを見せています。

特別な日だけでなく、毎日の暮らしの中で立ち寄りたい場所。同じリズムで同じ味で、日常に根付いたコーヒーとスイーツを味わい、ホッとするひとときを過ごしませんか。

『SHIGA COFFEE』
住所:京都府京都市下京区西七条御領町25-2
TEL:075-315-8486
営業時間:11:30-19:00(LO18:30)
定休日:日曜、月曜
H.P:https://www.shigacoffee.com

執筆:高橋 美咲
編集:藤原 朋

CHECK OUT

引越しで環境が変わったなか、散歩中にふらっと立ち寄ったSHIGA COFFEEさん。いい意味で気取らない、居心地のいい空間とコーヒーの味わいに、一気にファンになりました。観光地というわけではないけれど、京都での日常に根付いたやさしい場所で、おふたりが出迎えてくれますよ。

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