活版印刷でZINEや名刺をつくろう! 本をつくれる本屋 Horikawa ac lab

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京都のおもしろい場所を訪ねる「場を巡る」シリーズ。人が集いハブとなるような場や京都移住計画メンバーがよく立ち寄る場をご紹介する連載コラム記事です。一つの場から生まれるさまざまな物語をお届けします。

「場を巡る」第2弾は、堀川商店街にある「Horikawa ac lab」。創業75年余り、京都を中心に本屋を営む大垣書店が、2019年5月にオープンしました。コンセプトは、”本がつくれる本屋”。どんな企みから生まれた場所なのでしょうか?「Horikawa ac lab」を主催する大垣書店の大垣守可さんと、共催する修美社の山下昌毅さんにお伺いしました。

紙の本がない世界がやってくる?

「Horikawa ac lab」は、2019年5月19日にオープン。堀川中立売から歩いてすぐ。ガラス張りの扉が目印です。

運営するのは、大垣書店の大垣守可さんと印刷会社を営む修美社の山下昌毅さん。「共通の友人が主催した飲み会、かっこよくいうと異業種交流会で出会った(笑)」と話すお二人は、本と印刷という紙業界に身を置くことから意気投合。「何か一緒にしたいね」と盛り上がったところから、この場が生まれました。

左:山下さん、右:大垣さん

大垣:大垣書店は、2020年頃、堀川商店街に「堀川アート&クラフトセンター(仮称)」オープン予定です。「Horikawa ac lab」はそのプレ事業として、立ち上がりました。

「Horikawa ac lab」のコンセプトは、”本をつくれる本屋さん”。そこには、大垣さんの本への思いが込められています。

大垣:どんどん世の中が便利になっているから、いつか「紙の本なんて、いらんやん」って言われるかもしれません。でも僕は、そんなことないよ、紙の本はすばらしいよって伝えたくて。ここでしか生まれない本があれば、本屋さんで本を買うんじゃないかって思うんです。

その思いに山下さんも賛同します。

山下:印刷を安価で請け負う会社がどんどん生まれて、僕も悩んでいて、新しいチャレンジをしてみたいと思っていたんです。紙業界の5年、10年先を考えたときに、本屋さんと同じスペースの中で印刷できる仕組みは考えたこともなかったので、おもしろいんじゃないかなと。本を買う側で印刷していたら、紙や印刷のことに興味を持ってもらえるかもしれないし、もっと本を好きなってもらえるんじゃなかな。

本が当たり前にある環境をつくりたい

ベストセラーや漫画、絵本を中心に選書。子どもからご年配の方まで誰もが気軽に立ち寄れる本屋であることを大切にしています。

長年、本屋として本に関わってきた大垣さん。出版不況といわれ、まちの本屋が閉店していく様をこのように見ています。

大垣:本屋業界が縮小しているのは、需要がないから。僕たちは本を売るために本屋をしていますが、今はそれ以上に、本がある環境を文化として残したいと思っています。

大垣さんは、こう問いかけます。

「本のある家とない家、どちらに住みたいですか?」

「本がきれいに並べられた本棚と、ぐちゃぐちゃに置かれた本棚ならどちらがいいですか?」

店内には、大垣さんの本棚の一部が飾られています。

大垣:自分にとってベストな本が並んでいる本棚ができたら、その人にとってはすごく価値があるものになる。今は商業出版の本が中心ですが、「Horikawa ac lab」で地域の人が自分や地域の人のためにつくった本が生まれたら、選択肢が増えてより豊かな本棚をつくっていけるのではないでしょうか。「人生で最高の一冊はこれです」と言える本が、みなさん見つかるといいですよね。

誰もが本をつくれるようになることは、「僕たちのような普通の本屋を助けることにもなる」と大垣さんはつづけます。

大垣:多くの人に受け入れられる商業出版も、個人がつくった個性的な本もどちらもあることで、お互い高め合いながら、紙の本を残していけるのではと思います。20年後、子どもたちが「紙の本はあって当たり前」だと思えるような環境をつくりたい。だから、山下さんと組んで、印刷所を併設したスペースをつくれてすごく嬉しいです。

自分で名刺やZINEをつくる場所に

活版印刷の機械や部品が並ぶ風景は、圧巻!名刺やZINEを、自分で印刷することができます。

「Horikawa ac lab」はスペースが小さいため、併設された場所でつくれるのは、一色刷りの名刺やハガキサイズの印刷物とつくれるものが限られています。しかし、大垣さんと山下さんは、「堀川アート&クラフトセンター(仮称)」のオープンを待たず、「小さくてもできることからやろう」という姿勢を大切にしています。

大垣:僕たちにとっても、ここは”本をつくれる本屋”の実験場所。「堀川アート&クラフトセンター(仮称)」をオープンするときには、さまざまな印刷物をつくれるようになる予定です。

山下:「50冊、100冊だけ本をつくりたい」という相談も多いですが、小ロットで本をつくるのはコストがかかります。でも僕は、できるだけ実現してあげたい。だから技術を磨いて、小ロットのニーズにも応えられるような印刷屋になりたいですね。

大垣:大学生が勉強しながら、小説を書いて本をつくるとか。撮りためた子どもの写真で写真集をつくるとか。そうした動きが、地元から出てきたらおもしろくなりそうです。

「Horikawa ac lab」では、名刺やZINEをつくりたい人の企画から相談を受け付けています。

ライターや編集者、デザイナーなどの紹介もしているそうなので、本をつくりたいと思う方は、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

”本がつくれる本屋”の挑戦は、はじまったばかり。京都で暮らすみんなで、この本屋をすてきな場所に育てていきたいですね。

Horikawa ac lab
住所:京都市上京区桝屋町堀川通出水上る 堀川団地出水第3棟
TEL:080-9606-9079
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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