2019.09.04

訪れることからはじめよう。茨城移住計画のアテンドから見えた、まちと関わる第一歩

京都からはじまった移住計画は、2019年7月時点で全国21地域に広がり、同じ想いを胸に、各地らしい旗印として展開しています。2019年3月には、任意団体や会社組織などさまざまな形態でそれぞれのペースで活動する全国の移住計画が一堂に会す『みんなの移住計画祭 2019』が、東京にて開催されました。

その中のコンテンツの一つ、古くて新しい移住の形を提案する『現代版参勤交代』では、京都移住計画の藤本和志が、茨城移住計画に指名されました。

その流れを受け、4月には代表の田村篤史と共に茨城県を訪れ、県職員のみなさまに向けて移住支援施策について講演。また、茨城移住計画のみなさんに、茨城をご案内いただき、交流を深めました。

「現代版参勤交代」で茨城移住計画に指名された時に様子。左下が藤本

こうして、京都と茨城に行き来がつづく中、6月には茨城移住計画のみなさんが京都にやって来ることが決まり、藤本がアテンドをさせていただきました。

今回は、京都を巡るまちあるきの様子を一部ご紹介します。

現代版参勤交代とは?
全国にある○○移住計画が、お互いの活動を知ったり、得意とすることをシェアしたりしながら、交流を深めるプロジェクトです。

今回、参勤交代した人

鈴木 哲也さん(てつさん)

茨城県出身。横浜市在住。全国の地方創生案件に関わり地元茨城で移住定住支援団体『茨城移住計画』の立ち上げた。茨城県結城市で古き良き城下町が残る街全体を会場にした祭『結い市』や町巡り音楽イベント『結いのおと』を実施。2017年8月に築80年の呉服店をリノベーションしたコワーキング・シェアスペース『yuinowa』を立ち上げた。2018年よりコワーキングスペース立ち上げたい人向けの支援をする『コワーキングスクールキャンプ』も実施。ヤフー株式会社地域IT教育チームに所属。

鈴木 高祥さん(すーさん)

1981年生まれ。茨城県水戸市出身。2018年4月株式会社カゼグミ代表取締役。茨城移住計画では、茨城出身・在住者を中心とした任意団体として、「お盆とお正月以外に帰れる1日を増やす」をコンセプトに、都内でのイベントや茨城県内でのプロジェクトの可視化を行い、関係人口の入り口のデザインをしている。カゼグミでは、ファシリテーションとソーシャルザインの企画・プロジェクト進行をメインに事業展開を行いつつ、茨城での暮らし方や茨城県のプロジェクトへの関わり方を提案している。他、 Think the Earth推進スタッフ、一般社団法人WorkDesignLabパートナー、BUKATSUDO 鍋部部長、他。 

関係人口からまちを盛り上げる茨城

茨城移住計画は、2017年に設立。鈴木哲也さん、鈴木高祥さん、菅原広豊さんの3名によって立ち上がりました。

茨城移住計画のコンセプトは、他県に住む茨城の人たちが「正月・お盆休み以外に帰る日を1日増やす」。移住にこだわらず、茨城との縁を多くの人とつないでいくことを目標に活動しています。

茨城での働き方・暮らし方について考えるイベント『STAND(スタンド)』や、フィールドワークを通して茨城の魅力や課題を学び、講師と共に課題解決の企画を行う『if design project(イフ デザインプロジェクト) 』などの企画・運営もしています。

藤本:茨城県は、東京から距離が近いこともあり、関係人口の創出を念頭に置き、企業誘致やスポーツ合宿誘致を積極的に推進しています。フリーランスやIT人材とターゲットも明確にしているところも、特徴的です。そうした施策づくりに茨城移住計画は関わっている。僕たちも京都府と京都移住コンシェルジュ事業をしているので、行政との関わりについて、学ぶことがたくさんあります。

新旧混ざり合う京都らしい街並み

まず訪れたのは、西陣エリア。堀川商店街にある”本をつくれる本屋”『Horikawa ac lab』を訪問しました。

ここは、京都を中心に本屋を展開する『大垣書店』と印刷会社の『修美社』が共同で運営する場所。スペース奥には昔ながらの活版印刷の機械も置かれていて、自分で名刺やポストカードを印刷することもできます。

Horikawa ac lab』2019年6月にオープンして以来、数々のメディアにも取り上げられ、堀川商店街でもっとホットなスポット。古くから続く商店街に、新しい文化が混ざり合いながらまちを形成していく京都らしい雰囲気を感じていただきました。

まちの本屋の新しい形に刺激を受けた後は、『Impact Hub Kyoto』へ!

社会、世界を変えたいと強く欲する人たちが集い、学び合い、新たな行動を起こす場所として誕生したこのスペースでは、NPOや企業、学生など多様なセクターの人が活動しています。

お話をお伺いしたのは、『NPO法人グローカル人材開発センター(以下、グローカル)』のみなさん。

グローカルは、アクティブラーニング型の大学教育プログラム開発支援やコーディネートや、学生によるまちづくり施策を企画・立案・実施している団体です。

この日、肥後祐亮さんと外崎佑実さんは、新しいファシリテーションスキルとして近年注目されるグラフィックレコーディングの技術を持っていることから、京都移住計画が開催するイベントでレコーディングをお願いすることも。

すーさんもファシリテーターとして活動していることもあり、ファシリテーションの話題で盛り上がりました。

以前、外崎さんに以来した時のグラフィックレコーディング。壁などに貼り出した大きな紙に図形やイラスト、文章などの表現を使い、イベントの内容をリアルタイムに記録していきます。

グローカルを後にした一行は、同じく西陣にある『MAGASINN KYOTO(マガザンキョウト)』へ!

コンセプトは、”泊まれる雑誌”。京町家をリノベーションした1日1組限定の体験型のホテルで、五感をフルに使って京都カルチャーを体験できます。

セレクトショップのような空間が広がり、本や服、ノート、バッグなど店主おすすめの品がずらり。飾られている商品は、どれも購入することができます。

左:マガザンキョウト岩崎さん

最後は河原町へ移動して、”お茶文化のアップデート”をテーマにお茶の企画・販売をする『京都ぎょくろのごえん茶』を訪問。ギフト用商品や色が変わるお茶「はなぎょくろ」の開発など、これまでお茶に興味がなかった人も楽しめるような商品開発をしています。

左:ごえん茶山口さん、中央:鈴木哲さん、右:ごえん茶柴田さん

全国各地の催事に出店している、ごえん茶さん。お話の中で、鈴木哲さんが茨城県結城市で運営する『Coworking & Café yuinowa』で開催しているお祭り『結い市』に興味をもち、出店することが決定!京都と茨城のつながりを、また一つ生み出すことができました。

訪れることで次の一歩が見えてくる

こうして、約半日のまちあるきは終わりを迎えました。アテンドをして、藤本はどのように感じたのでしょうか。

藤本:ローカルは、まず訪れることが大切ですね。僕が茨城ときっかけができた『現代版参勤交代』で指名されても、その土地を訪れないままの人もいます。もし興味があるまちがあるなら、自分から訪れて関係性をつくることが大切なんじゃないでしょうか。1回訪れ、2回目の機会をつくることが大事だと考えます。

てつ毎回訪れるたびに、チャレンジャーに出会う場所が京都です!

すー:そうだね。京都のいわゆる有名な観光エリアの直ぐ側で、新しくチャレンジしている人やそれを応援している人が居ることを改めて知りました。京都は、それぞれの地区で「え?ここでこんなコトしているの?」と、毎回驚きに出会う素敵な場所という印象です。
というのも、京都移住計画が誇るフジモン(藤本)と一緒に行動するからこそ知れたことですが、その時期の食べ物も活動している人も含めた旬は、そこに生きる人から聞くのが一番だなと改めて思いましたね。

『現代版参勤交代』からはじまった茨城移住計画と京都移住計画の関わりは、まだまだ続いています。

このまちあるきをきっかけに、8月2日、京都にてイベント「茨城から広がるこれからの「働き方」とは?〜二拠点・複業会社員・フリーランス・関係人口という選択」を開催。茨城移住計画をはじめ、茨城で活躍するローカルプレイヤーの生き方や働き方を紹介しながら、茨城のまちを知ってもらう機会をつくることができました。

茨城移住計画のみなさんに京都のまちをご案内し、イベントを開催して京都のみなさんにご紹介できたのも、元をたどると、藤本が茨城を訪れたことから。地方と地方のつながりをつくるのは、まず訪れることの重要性を実感した1日となりました。

これからも京都移住計画では、地方と地方のつながりをつくっていきます。

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