2021.11.19

一生に一度の思い出を楽しい時間に。ニューボーンフォトに特化した撮影ユニット「Creative Studio Fun」

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京都のおもしろい人を訪ねる「人を巡る」シリーズ。京都に移住した人の体験談や京都の企業で働く人をご紹介する連載コラム記事です。移住するに至った苦労や決め手、京都の企業ならではの魅力など、ひとりの「人」が語る物語をお届けします。

第23弾にご登場いただくのは、「Creative Studio Fun」の土田智史さんと美華さん。土田智史さんは、京都北区に生まれ育ち、今は美華さんの実家近くの右京区・宇多野に住んでいます。もともとDJを生業としていた智史さんは、一度本格的なDJ活動を離れたタイミングでカメラに興味を持ちます。徐々に仕事が増えていき、今では美華さんとともに「ニューボーンフォト」に特化したカメラマンとして活躍されています。DJからカメラマンへと転身したきっかけ、「ニューボーンフォト」を撮影するやりがいについてお話を伺いました。

弱冠23歳で、フリーランスDJに

――写真を始める前は、フリーランスDJをしていたと聞きました。

智史さん:高校時代に友達とラップグループを結成し、『DjDog』名義でDJ活動をはじめました。大学卒業後も、広告代理店で印刷オペレーターとして勤務しながら、空いた時間でDJ活動をつづけていました。2000年前後はDJ自身が作った曲を流すのが一般的でしたが、私はみんなが知っているJ-POPやR&Bなどを中心に流していました。当時ではそれが珍しくてウケたんです。就職して1年くらいでDJ活動が忙しくなったため、フリーランスのDJになりました。

――23歳で、DJでフリーランス……。すごいですね!

智史さん:辞めてからは、京都市内のクラブや飲食店でDJとして活動していました。週末にもイベントを自主企画したり、大型クラブのイベントに出演したりしていました。徐々に1人では手が回らなくなり、DJチームを結成して自分が行けない日は他のDJに出演してもらっていました。

フリーランスDJからカメラマンへと転身

――その後、何をきっかけに写真の世界に足を踏み入れたのでしょうか?

智史さん:DJチームは3年運営したのち、27歳の時に解散しました。解散後は、営業職をしながら、祇園のクラブ・ディスコの専属DJになりました。その後、34歳の時にその店が閉店しDJ活動の機会が少なくなりました。
今までは週末DJ活動にほとんど時間を使っていました。しかも、DJ活動のために出張や残業が少ない仕事に転職していたので、時間に余裕ができたんですね。その頃写真に興味を持っていたので、カメラで撮った写真をAdobe Illustratorで編集するようになりました。

――クリエイティブのなかでも、あえて写真を選んだ理由は?

智史さん:父は写真が趣味で、いろいろな機材を購入したり、写真や動画を撮って編集したりしていました。少なからず影響を受けたのかもしれません。

――なるほど。小さい頃から見ていたお父様の姿に影響を受けたんですね。その後、カメラマンとしてフリーランスになられたそうですが、不安や恐怖はなかったですか?

智史さん:あまり不安はなかったですね。会社員の頃にDJスクールを開催したことがあって、ネットで告知をしたら予想以上に人が集まったんです。その経験から「案外、一人で食べていくのは難しくないかも?」と考えていました。
あとは、妻の影響も大きいですね。退職することを相談したら「行けるだけ行け、迷ってるならやってみよう!」と背中を押してくれて。それが最後の決め手になりました。

――その当時、仕事はたくさん入っていましたか?

智史さん:いや、当時仕事はほとんどなかったですね(笑)。カメラを購入したのは3年前ですが、本格的にカメラの仕事を始めたのは昨年の秋頃からですし。最初は、妻を被写体に撮影して、その後は知人の家族を撮影して……と地道に撮影を続けた結果、徐々に次の仕事につながっていきました。

お客さんの要望に合わせて、”唯一無二”の作品を創れることが楽しい

――いつから夫婦でお仕事をされるようになったのでしょうか?

美華さん:2020年10〜12月ごろからですね。その頃は、病院の受付事務の仕事をしていて、空いた時に同行していました。私ははじめて行く場所、新しいことが好きなんです。だから、一緒に仕事ができたら楽しいなと思っていました。
10〜12月は七五三の撮影の繁忙期で、しばらくすれば仕事が落ち着くのかなと思ったら、お宮参りや卒業写真といった仕事が入りつづけたんです。この先まだまだ人生は長いし、自分が楽しいことをしようと思い、今年の3月に病院の仕事を辞めました。

――仕事で大切にしていることやポリシーはありますか?

美華さん:ニューボーンフォト、七五三、お宮参り、どれも一生に一度の思い出です。撮影のアシスタント、撮影の場を盛り上げる役割として、常に初心の気持ちを忘れずに、楽しんでもらいたいという気持ちで臨んでいます。

――今はニューボーンフォトに特化されていると聞きました。はじめたきっかけは?

美華さん:ニューボーンフォトとは、生後3週間までの赤ちゃんを「おくるみ」と呼ばれる布で包み、花飾りをつけて撮影する記念写真です。
特化しようと思ったのは、2人で成立する仕事をしたかったからです。ニューボーンフォトは主に自宅で撮影するため、お母さん1人で対応するケースがほとんどです。やはり、男性カメラマン1人だと少々不安に感じる方も多いのかなと思います。また、私がセットを組んだり、赤ちゃんをあやしたりすることで、効率的に撮影を行うことができます。

――赤ちゃんの面倒を見たことは?

美華さん:全く(笑)!もともと子供が好きではなかったんです。ニューボーンフォトをすると決まってから、友達や親戚の赤ちゃんで練習させてもらいました。

――ニューボーンフォトのやりがいは?

智史さん:七五三やお宮参りだとお寺や神社を背景に撮影するため、なかなか他の人と差をつけにくいんです。その点、ニューボンフォトではお客さんが撮影したいイメージに合わせてセットを組むことができます。セットを組むという点では、DJと近しい部分があるかもしれません。

幅広い撮影ニーズに対応したい

――今後の活動のビジョンについて教えてください。

今住んでいる宇多野で何か仕事がつくれたら良いなと考えています。宇多野には、仁和寺、金閣寺、嵐山など有名観光地があるのに、清水寺や銀閣寺のある左京区が目立ってしまって……(笑)もっと盛り上げたいですよね。今建設中のホテルの撮影をしたり、今スタジオを利用してもらっている立命館大学の映像学部の学生たちと一緒に仕事ができたりしたらおもしろいなと思っています。

――スタジオ活用についても、何か考えていますか?

昨年の7月から自宅の一角をフォトスタジオとして貸し出しています。今は「ファーストバースデー」と「ハーブバースデー」がメインですが、白ホリ(※)があるので成人式や証明写真、アーティスト写真を撮れるようにしたいですね。
※真っ白な壁や背景、空間での撮影

――最後に、今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。

少し先で考えているのは多拠点居住ですね。京都に拠点を置きつつ、コリビングサービスの「ADDress」を使って全国を転々としたいです。今は、インターネットで仕事が取れる時代ですし、ニューボーンフォトも出張がメインなので、場所の制約がないんですね。出張撮影だけではなく、全国旅しながら撮影した動画素材をストックムービーサイトで販売して、ストック型の収入も作っていけたら良いですね。

▼Creative Studio Fun
関西を中心に活動するメディアクリエイター。学生時代からDJ活動をスタート。国内外の大物アーティストとも共演。現在は幼少期からの父の影響をうけ、撮影から編集までマルチに映像制作に携わる。
https://www.creativestudiofun.com/

執筆:俵谷 龍佑

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