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「私達は、毎日がちゃんと幸せで、成長するいい会社を創ります」
これは、今回ご紹介する株式会社WELLZ UNITEDグループが掲げる企業理念です。幸福や成長をキーワードとする会社は珍しくありませんが、「毎日がちゃんと」「いい会社」といった等身大の言葉とともに掲げられたこの理念は、ほかの会社とは違う「何か」を感じさせてくれます。
毎日がちゃんと幸せってどういうこと? いい会社ってどういう会社だろう? その答えがわかれば、ここで働く意義もおのずと見えてくるでしょう。会社の歩みや現在の取り組みなどと合わせて、実像に迫っていきたいと思います。
ソリューションを得意とする電設企業が母体
向かった先は、京都府北部に位置する福知山市。市民病院や商業施設が立ち並ぶまちの一角にあるWELLZ UNITEDグループの本社を訪ねました。
社屋に大きく書かれている「INOUE」とは、WELLZ UNITEDグループの、主たる事業会社である井上株式会社のこと。昭和22(1947)年に電気工事材料の卸売業で創業し、現在は電設資材の卸販売のほか、さまざまな施設の電気設備や機械設備、さらにそれらを統合したシステムの設計・施工・メンテナンスまでをワンストップで手掛けている“電設カンパニー”です。
一方で近年は、チームアグリライフクリエイトという農業関連の新部署が立ち上がるなど、電設業の枠組みを超えたビジネスも芽吹きつつあります。そうした新事業の可能性を広げるために、2021年、ホールディングス会社の株式会社WELLZ UNITEDが設立され、井上株式会社を擁するグループ企業となりました。
両社の代表は創業者の孫にあたる3代目の井上大輔さん。モノづくり系の社長さんといえば、スーツあるいは作業服姿の、ちょっと気難しそうな人を想像するかもしれませんが、井上社長は違いました。Tシャツにデニムパンツというラフな出立ちで、話し口調もざっくばらん。自社の“負の歴史”まで包み隠さず話してくれました。
「僕が井上株式会社を継いだのは2012年なんですけど、はっきり言ってポンコツな会社でした。債務超過が10億円もある危機的状況だった上に、社内の人間関係もモラルも、いろんなものが壊れていました。でも、壊していたのは社員じゃない。経営者のリーダーシップと環境づくりが破綻していたんです」
「人を大切にする経営者になろう」
社内の惨状を目の当たりにした井上さんは、社員の人生を背負っている経営者の責任の重さを痛感し、まず自分がどんな経営者であるべきかを問い直したそうです。その結果、導き出されたのは「人を大切にする経営者」。
増収増益を実現し、たちまち経営再建を成し遂げるほどの経験も実績もない。ただ、自分が努力をすれば社員や顧客をはじめとした「人」を大切にする経営者にはなれるのではないか、そうすれば社員みんなが幸せに働ける健全な会社にできるかもしれないと、一筋の光を見出したのです。
井上さんが自分に課したのは、社員に対して「指示・命令をしないこと」。代わりに、全社員から大小さまざまな気づきを募る「アイデア提案活動」を展開し、社員の主体性を引き出そうと考えました。提案内容は経営幹部間で協議し、承認された場合は原則1カ月以内に実現させる決まりです。
「床が傷んでいるから修理しておきますといった些細なものから、制度そのものを変えませんか?っていう大掛かりなものまで本当にいろいろですが、それらはすべて自分や周りの人の働きやすさや、お客さんのためを思っての気づき、アイデアなんです。それをコツコツ積み重ねていったら、自然といい会社になっていくんじゃないかなって」
10年間で5,000件を目標にスタートしたアイデア提案活動は、8年目の現在、早くも5,100件を突破しています。
「大袈裟に言えば、経営者である僕と社員が5,100件、経営についてコミュニケーションしてきたのと同じ。みんなで考え実行に移してきたので、もはや僕という人的資源に頼らなくても自走できる組織になりつつあります。下手に口を挟んだら、『違いますよ』って冷たく言われちゃいますから(笑)」
自虐を交えて話す井上さんの笑顔が、成果の大きさを物語っています。
社員の気づきを糧にする井上さんの経営手法は、名付けて「ミルクレープ経営」。どんなに小さな気づきでも、何十、何百、何千と積み重ねれば分厚い層となり、質・クオリティが生まれるーー。そのことをわかりやすく伝えるために井上さんが考え出した名称です。
ミルクレープ経営と連動するアイデアの仕組み化
そんなミルクレープ経営を象徴する取り組みの一つに、「ありがとうの仕組み」というものがあります。社内のSNS上に掲示板をつくり、そこで社員同士が「◯◯さん、今日は手伝ってくれてありがとう」などと、ささやかな感謝の気持ちを伝え合う取り組みです。
「もともと、上司が部下を積極的に褒めましょうという取り組みがあったんですけど、ありがとうの仕組みは、『社員同士でも褒め合いたい、何か仕組みをつくってもらえませんか?』という提案から生まれました」
今、どのくらいの“ありがとう”が交換されているかというと、なんと1日約100件、年間約2万8,000件。社員が110名いるので、ほとんどの人が毎日誰かに感謝を伝えていることになります。
「そもそもありがとうって、誰かのやさしさに気づくセンスがないと発信できない言葉なので、掲示板を見ていると誰がどんな気づきのセンスを持っているかがわかるんですよ。内容によっては、誰がどんな状況に置かれているのかもリアルタイムで把握できるため、経営資料としても大いに役立っています」
こうして現在も機能し続けている「ありがとうの仕組み」は、2018年、京都経営品質協議会において高く評価され「京都経営品質賞 優秀賞」を受賞。その頃には10億円の債務超過も解消され、新たな事業へ踏み出すゆとりも生まれていました。
基幹技術を農業に活かす、地域貢献のカタチ
「地域に育てられた企業として、これからも地域に必要とされる企業であろうと考えました。本業をしっかりやって納税をするのが本筋なんでしょうけど、人口減少や高齢化の問題を抱える地域社会の中でほかにやれることはないかなと、みんなで話し合ってきました」
その中で最も多く出たキーワードが「農業」だったそう。「実家が農家です」「祖父が農業をやっています」という声とともに、「後継者がいない」「事業を広げたくても家族経営では限界がある」といった問題が浮き彫りに。そして、「うちの制御技術を活かして、農業をもっと面白くしよう」という結論に至ったのです。
「使われなくなった農地であったり、農家さんの知恵であったり、地域にある資源を活かして新しい農業をつくっていこうと考えました。場所や作物の選定をめぐっては紆余曲折があり、最終的に決まったのが廃校になった旧中六人部(なかむとべ)小学校のグランドでのイチゴづくりです。
イチゴならハウス栽培で温度管理などの自動制御ができますし、イチゴ狩りの集客や、加工品販売による6次産業化もしやすいので。地元のイチゴ農家さんや学校周辺の方々が『ぜひやってくれ』と背中を押してくれたのも大きかったですね」
2019年にイチゴ農園をオープンした当初は、イチゴ狩りと量り売り、ジャムなどの加工品販売に絞った事業展開を想定していたそうですが、3年が過ぎた今、「THE 610 BASE(ムトベース)」の名のもとでさらなる進化を続けています。
「イチゴ狩りにいらしたお客さんの『えっ、ここコーヒー飲むとこもないの?』の一言で、校舎の一室にカフェをつくったり、地域の学校の要請を受けて農業体験を開催したりと、地域の皆さんのほうからアイデアをいただいてきました。イチゴのシーズン・オフの間も気軽に遊びに来てもらえるように、近々クラフトビールのブリュワーやボルダリング施設を校内に開設する予定です」
プロセス重視、「ヒツジ経営」のフィロソフィー
「何しろ思いついたら即提案、即実行に移す会社なので、新事業がこの先どうなっていくのか、ちょっと僕にも読めないですね(笑)」という井上さん。ただ、どこへ向かおうとも「強く楽しくやさしい、ヒツジの集団であり続けたい」と言います。
「オオカミかヒツジかでいえば、アチーブ力の高いオオカミの群れのほうがビジネスには有利ですよね。どんな手を使ってでも仕事を取ってくるやり手の営業マンと同じです。
一方のヒツジの群れは、アチーブ力は低いけれど、誰かを傷つけたり、置いてけぼりにしたりせず、日常のプロセスを大切にする集団です。ときには支え合いながら、それぞれの力を発揮できるようになると、オオカミほどではなくても精一杯の仕事ができる。だから僕らは、原野を旅する野生のヒツジのように強く楽しくやさしい『ヒツジ経営』を目指しています」
ヒツジの群れにおける井上さんの立ち位置を聞くと、「みんなの活躍を見守り、応援する立場なので最後尾です」との答え。その思いの強さは、各部署が「トップチーム」として上に、経営チームは下に置かれている組織図や、集合写真の撮影時「僕はここでいいんで!」と端を譲らなかった井上さんの姿にもよく表れています。
メディアなどを通じて一連の取り組みが広まるにつれ、「どうすれば幸せな会社づくりができるんですか?」「どうすれば社員一人ひとりが前向きに取り組める会社になるんですか?」といった問い合わせや講演依頼が舞い込むように。
「それだけ困っている経営者の方が多いんだなぁと再認識しました。僕自身、PDCAサイクルみたいな既存のモデルで解決できる状況ではなかったので、何かお役に立てることがあればと、今、ヒューマン・リソースの仕組みづくり支援や関係づくり支援を少しずつ始めているところです。いずれ一事業として独立させる可能性もありますね」
ちゃんとした会社から、成長する会社へ
「人を大切にする経営」が社員や顧客、地域の人々、さらには苦境に立たされた経営者にまで届きつつある中、WELLZ UNITEDグループは新たなスローガンを打ち立てました。その名も「2030年 スマイル・アップ・スパイラル」。これまでの10年間で自分たちが手に入れた毎日の幸せや楽しさを、これからは外に向けて積極的に発信し、マルチステークホルダーに幸せを広げていくとした長期ビジョンの合言葉です。
「今まではどちらかというと、成長よりも『ちゃんとした会社』になることを意識していましたが、これからは2030年のスローガンのもとで『成長する会社』に向かっていくでしょう。その見守りやサポートをしっかりとできるように、僕自身の思考のリニューアルも必要だと思っています。成長してこんな会社に、こんな経営者になりたいといった明確なビジョンはあえて持たず、プロセスを楽しみたいですね、みんなと一緒に」
WELLZ UNITEDグループでは組織の成長を見据え、営業部門や技術部門など複数の部署で活躍するメンバーを募集しています。職種によっては専門のキャリアが求められる場合もありますが、それ以前に「日常を大切にしたい人、やさしく生きたい人、誰かの役に立ちたい人であること」が井上さんの注目ポイントです。
前例のなかったカムバック採用が実現
ここからは、すでにメンバーとして活躍している社員さんの声をお届けしていきます。はじめにお話を伺ったのは、アグリ事業を展開する井上株式会社・チームアグリライフクリエイトのリーダー・森翔平さん。実はこの方、2014年に新卒入社し、営業職として3年間働いたのちに一度会社を辞め、2019年に再入社を果たした異色の存在です。
「よそではまずあり得ないと思うんですけど、なんと僕のためにわざわざカムバック制度がつくられたんですよ。たまたまLINEでつながっていた社長から『うちで農業をやることになったんだけど、一緒にやらない?』って誘われたのがきっかけです。何かいざこざがあって辞めたわけではなかったし、実家が米農家で農業に対する親しみもあったので、ありがたくお受けしました」
森さんがカムバックして改めて感じたのは、「人のやさしさ、温かさ」。多少の冷やかしなどは覚悟していましたが、ただの一度もなく、むしろ笑顔で迎えられたそうです。
「新卒で入ったときもチューターの先輩社員が2年間みっちり指導してくれて、人を大切にする会社なのはわかっていましたが、まさか出戻り社員まで温かく迎えてくれるとは(笑)。第二創業期の精神性が社内全域に深く浸透しているのを感じました」
「THE 610 BASEを後世に残したい」
現在は、THE 610 BASEを拠点にイチゴ農園の農業実務、カフェをはじめとした併設店舗の管理運営、スタッフの労務管理などの幅広い業務に携わる日々。農業に挑戦してわかったことは「つくるより売る方が難しい」ということでした。
「イチゴ畑があるのを誰も知らない状況からのスタートでしたから、看板をつくってみたり、SNSで発信してみたり、今思えば大変でしたね。そこからカフェやスケボーランプなどにつながって、年中楽しめる場所に進化してきました。どこまで進化して、いつ完成するのかさえもわかりませんが、50年後、100年後も愛される場所にしていきたいですね」
そんなふうに未来を語る森さんにとってWELLZ UNITEDグループは、「仕事を全力で楽しめる会社」。アイデアを口にしやすいだけでなく、「それいいね」「やってみようよ」と言い合える仲間がいるからです。「こんな会社、なかなかないと思いますよ」。森さんがこの日、そう言ったのは3回目でした。
技術まわりの経験値が格段にアップ
続いては、本社から車で5分ほどの距離にある技術ファクトリーで働く、井上株式会社・チーム技術の髙橋智也さん。2020年に中途採用で入社し、現在はおもに工場の生産システムを動かす制御装置の設計を担当しています。
「前職も電気制御系の技術職でしたが、比較的規模の大きな会社だったこともあり、設計なら設計だけと決められた仕事をやるのが当たり前でした。ですが、この会社では設計がメインでありつつも、現地調査に行くところから機材の選定、見積作成、材料の手配、納入まで自分でやって、ときにはプログラムや制御盤の制作もするので、自分で経験できる範囲がとてつもなく広がりました。そのぶん努力は欠かせませんが、技術まわりの総合力を高めたいエンジニアには打ってつけの職場ではないかと思います」
アイデア提案の実現性の高さに驚き
もう一つ、前職との大きな違いを感じたのは、「提案の通りやすさ」。以前の職場にも提案を受け付ける制度があったものの、検討に時間がかかりすぎるため、あまり活用されていなかったそうです。
「この会社では1カ月以内に結果が出ると聞いて驚きました。しかも、個人的な要望でもいいというので、去年、ちょっとした問題が発生したときに初めて提案してみました」
その提案とは、「マイカー通勤が難しいくらいの積雪が予想され、取引先訪問などの予定が入っている場合は、前日から会社近くのホテルに泊まらせてほしい」というもの。昨年の大雪の際、自宅のある舞鶴市から大変な思いをして出社した経験があったからです。
「宿泊費が発生するので難しいかなぁと思っていたら、意外とあっさり承認されました。年に一度あるかないかのケースとはいえ、いざとなったら前泊できると思うと安心ですね」
総勢6名の設計グループの中では、30歳の髙橋さんが一番の若手です。多くは50代のベテラン社員ですが、年の差を感じないくらい気さくに話せる間柄なのだとか。髙橋さんはそうした心地よい関係性がチームやグループの枠を超えて結ばれていることを、全社員が参加する経営方針発表会で知ったそうです。
「私はコロナ禍中の入社だったのでまだ参加できていませんが、忘年会や社員旅行など社員同士が集まる機会が多いから自然と仲良くなるみたいですね。行事の再開が待ち遠しいです」
助け合いが自然にできる、やさしい人の集合体
最後にお話をうかがったのは、株式会社WELLZ UNITEDのチーム経営サポートでリーダーを務める大槻宏美さんです。京都府向日市生まれの大槻さんは、結婚後、ご主人の故郷である福知山市へ移住。転職にあたっては「良くも悪くもいろんな会社を見てきたので、今度は絶対『人』最優先で会社を選ぶ」と決意していたそうです。
「最寄りのジョブパークでも、とにかく人がいい会社を!とお願いしました。そうして紹介してもらったのがこの会社です。2016年に入社して、今年で7年目になります」
入社後の印象をたずねたところ、「私が見てきた会社の中でダントツの、優しい人たちが集まっている会社でした」ときっぱり。日常の何気ない場面で、ひしひしと実感したと言います。
「仕事中、コーヒーをこぼしてしまったり、シュレッダーを詰まらせたりして、思わず、あっ!と声が出ることがありますよね。周りの人は普通、チラッと見るか、無視すると思うんですけど、ここでは『どうしたん?』『大丈夫?』って言いながら手伝ってくれるんですよ。助け合いが自然にできる、すごい会社だなと思いました」
失敗を恐れず、挑戦できる環境でこれからも
大槻さんが所属するチーム経営サポートは、経理、人事、労務、総務、広報などの営業外活動をすべて担う部署。大槻さんはリーダーとしてチームを束ねつつ、目まぐるしく変化する社内の仕組みや制度づくり、新しい取り組みの準備などに追われています。
「忙しすぎてパンクしそうになるときもありますが、先ほども言った通り、周りの人が手助けしてくれる環境に救われています。失敗したとしても、大丈夫、また頑張ればいいよって勇気づけてくれる環境だから、失敗を恐れずに挑戦し続けることができるんです」
そして今、大槻さんが新たに挑戦しているのは、マーケティングのノウハウ習得。自社制作のAIからイチゴジャムまで、事業領域の拡大とともに商品の多様化が進む中、マーケティングの専門チームの立ち上げを目標に、仲間とともに猛勉強中だそうです。
「もう難しくて大変です!」。そんなぼやきさえも笑顔で発する大槻さんの明るさが、周りの人たちを元気づけているに違いないと感じました。
破綻の危機に直面して以来、「社員本位」の経営に大きく舵を切り、一人ひとりの気づきの積み重ねによって、「毎日がちゃんと幸せ」で「成長するいい会社」へと生まれ変わったWELLZ UNITEDグループ。毎日アップデートが繰り広げられているこの会社で、やさしく、たくましく、楽しくをモットーに働きたい人を募集しています。
編集:北川由依
執筆:岡田香絵
撮影:清水泰人
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