クリエイターの審美眼に触れてみる 丁寧に選び抜かれた作品と出会う『Community Store TO SEE』

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京都のおもしろい場所を訪ねる「場を巡る」シリーズ。人が集いハブとなるような場や京都移住計画メンバーがよく立ち寄る場をご紹介する連載コラム記事です。一つの場から生まれるさまざまな物語をお届けします。

「場を巡る」第10弾は、烏丸丸太町にある『Community Store TO SEE』(以下、TO SEE)。1階はコーヒースタンドとストアスペース、2Fは展示やワークショップなどを行う空間となっています。独自の視点でセレクトされたライフスタイルグッズや工芸品などが並び、京都にいながらもさまざまなアーティストの作品に出会える場所、 TO SEE。2019年12月に3周年を迎えたTO SEEのこれまでとこれからについて代表の中島光行(なかじま・みつゆき)さん、マネージャーの前谷莉衣(まえたに・りえ)さんにお話をお聞きしました。

「コミュニティストア」である理由

「TO SEE」の代表に加えて、写真家としても活躍している中島さん。知人から「お寺の一角を使って何かやってみないか」と誘われたのをきっかけに、場をもつことに興味をもったそうです。

中島:写真家の仕事は、本やWEBなど表現する場所が二次元ですので、空間という三次元で何かアウトプットがしたいと考えていました。自分の好きなコーヒーが飲めて、写真のスタジオがあって、僕の周りにいるクリエイターたちと一緒に創造できるような場所を作りたい。お話をいただいた時にそんな構想がわいてきました。写真家という枠を超えて、もっと可能性が広がるのではないかと。

残念ながらお寺のプロジェクトの話はなくなってしまいましたが、せっかくならこの構想を形にしようと、現在の場所に「TO SEE」を立ち上げます。屋号に入れた「 コミュニティストア」には、仲間と一緒に場を作っていけたらといういう意味も込められているんだとか。

中島さんとマネージャーの前谷さんはご夫婦。前谷さんは結婚を機に東京から京都へ移住しました。立ち上げ当初は裏方としてサポートしていましたが、今ではストアマネージャーとして、中島さんとともにお店の運営からキュレーションまで担当しています。

前谷:本職はエディターで、今も京都と東京を行き来しながら仕事を続けています。仕事上アーティストとのつながりが多くある現場にいたので、「TO SEE」のオープン時は中島や私と関係の深い方々のプロダクトを中心にセレクトしていました。しかし、今ではそのアーティストや立ち上げに関わってくれたクリエイターが紹介してくれた方々へと輪が広がり、扱うプロダクトの幅も広がっています。

アーティストとの信頼関係の構築

店内にはお2人が中心にセレクトした陶器、Tシャツ、木のオブジェとさまざまなアーティストの作品が並びます。作り手も材質も形状も異なる作品たちですが、どこかに漂う「TO SEE」らしさ。どのようにして作品を選んでいるのでしょうか。

中島:展示やお店に置くプロダクトは、作り手と直接会って決めています。作品の現物を見て、作り手の思いや作品のコンセプトを直接本人からお聞きしないと、分からないこともあるからです。アーティストは自分の世界観を明確にもっている方がほとんどなので、自分の作品が置かれる場所がどんな空間なのかをきちんと理解したいという方も多い。

ですので僕たちからも「TO SEE」についてお話して、お互いに納得できたうえで作品を扱わせていただいています。作り手とのコミュニケーションを大切にしたいから、ネット上やメールのやり取りだけでは仕入れたりしたくないんです。

前谷:私たちが選ぶ作品は、使いやすいとか、かわいらしいとか、見た目だけじゃない世界観を大切にしているもの。どこかに毒っぽさがあったり、ひねりがあったりするものが好きなのかもしれません。例えば「陶芸=食器」という定番ではなく、当たり前の概念を飛び越えたものを作っているようなアーティストの作品に心が惹かれます。

また、京都の人にもここでしか出会えないものを手に取ってほしいという思いから、あえて他府県のアーティスト作品を中心にセレクトしているそうです。MADE IN KYOTOで勝負するのではなく、「TO SEE」ならではの審美眼でセレクトされたものを扱いたいと考えがあってのこと。

前谷:アーティストとTO SEEがコラボレーションする企画は、アーティストの普段とは違う側面が見れるもにしたいと思っています。アーティストにとってもこの場所が、新しいことに挑戦できる場になればうれしいですね。

3年という月日が作った「TO SEE」らしさ

今年で3周年を迎えた「TO SEE」。以前はアーティストのファンや、展示内容に興味をもって来店される方がほとんどでしたが、最近ではInstagramをきっかけに来店されたり、海外からの旅行客など多様なお客様が訪れるようになったそうです。

前谷:先日、はじめて来店された方が「自分の好きなアーティストばかり扱っていてすごくうれしい」とおっしゃってくれて。自分たちがはっきりとした言葉にできない「TO SEE」らしさが、この方には刺さっているんだとわかってうれしくなりました。今まで発信し続けたものは、きちんと届いているんだと。だから3年目もブレずに、さらに濃度の濃い展示やプロダクトを提供していきたいですね。

中島さんが撮影したプロダクトの美しい写真が並ぶ、TO SEEのinstagram

中島:今までに展覧会を10本近く開催しました。それが少しづつアーカイブされて、ようやく「TO SEE」の色が見えてきたんだと思います。今までは知名度も実績もなかったんですが、「前回の展示もおもしろかったから今度も行ってみよう」という方が増えてきた。3年つづけて、やっとなんです。今まで関わってくれたクリエイター、アーティスト、お店に来てくださるご近所の方や子連れのお母さん。いろんな方がもつチャンネルを、うちの店につなげてくれている。それもコミュニティストアの一つの形なのかなと思っています。

さまざまなアーティストの作品を扱いながらも、どこかに感じる確かな「TO SEE」らしさ。アーティストへむけるリスペクトをもったお2人だからこそ、作り上げられる空間なんだと感じました。「TO SEE」が大切に選びぬいた作品に会いに、一度足を運んでみてください。

 

Community Store TO SEE
住所:京都府京都市中京区玉植町244
tel:075-211-7200
定休日:火曜日・不定休有り
営業時間:11:00~19:00

企画展《TO SEE Archive:16》
Adrian Hogan Exhibition
3月20日(金) ~ 4月5日(日)
豪・メルボルン出身、東京を拠点にするイラストレーターであるエイドリアン・ホーガンの個展を開催します。
www.adrianhogan.com

記事の作成に関わってくれたクリエイター

  • written &photo by
    ミカミ ユカリ

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