イノベーション創発は、ここから生まれる。 人が集い、交わる場をつくりつづける京都リサーチパーク

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京都駅から2駅の丹波口駅から約5分歩いたところ、そこには国内外イノベーションプレイヤーが集まる一大ビジネス拠点「京都リサーチパーク(通称:KRP)」があります。

甲子園球場約1.5個分もの広大な敷地には、オフィスや実験・研究スペースに加え、ホールや会議室など充実した施設が揃っています。また、500の企業・団体、6,400人のプレイヤーが利用し、イベントや交流、ワークショップなどが開催されています。

「私たちが大切にしているのは、人が集まり、交わる場を創ること。それがイノベーションへの一歩だと考えています」

そう語るのは、京都リサーチパーク株式会社(以下、KRP㈱)経営企画部 小林さん、イノベーションデザイン部 河端さん、ブランド企画部 日笠さんです。なぜ、広大な土地を使ってイノベーションを創発するKRPは誕生したのでしょうか。そしてなぜ、KRP㈱は人が集い、交わる場を創るのでしょうか。本記事では、KRPの全貌を紐解いていきました。

日本初のイノベーション創発の場、京都リサーチパークの誕生

はじまりは1928年。KRPが開設される以前にまでさかのぼります。

今KRPがある土地には、かつて京都市民の生活を支えるガス供給の基幹工場が建てられていました。しかし、操業開始からちょうど50年目の1978年、京都工場は一部のガス供給施設を残して静かにその使命を終えました。そして、甲子園球場約1.5個分もの遊休地が生まれました。

1987年、その広大な遊休地の利用プロジェクトとして生まれたのがKRPでした。

KRP㈱の初代社長は、高度成長期が終わり成熟期に入っていく日本を見て、「日本経済全体にニュービジネスが必要だ」と確信。官民の研究開発を促す「リサーチパーク」というアメリカのモデルを取り入れ、日本初の民間運営によるリサーチパーク、KRPが誕生しました。

どんな働き方をする人にも、安心して働ける場を

現在KRPは、500の企業・団体、6,400人のプレイヤーが集い、新事業創発・研究開発などのイノベーションに向けた挑戦を行う場となっています。

取材ではまず、KRPにはどのような施設が備わっているのかを紹介いただきました。

最初に案内されたのが、1ヶ月から利用可能な会員制のサービスオフィス「KRP BIZ NEXT」です。KRP BIZ NEXTは秘書サービス付きのレンタルオフィスで、ビジネスラウンジとオフィスエリア(家具付きレンタルオフィス)の2つのエリアで構成されています。

ビジネスラウンジは、シックな色合いをベースにした上品な空間になっています。京都で執務や打ち合わせをするスペースを探している人にオススメです。

KRP BIZ NEXT ラウンジ

オフィスエリアは、1人〜5人用のレンタルオフィスが50室もあります。備え付けの家具や無線LANなど、ビジネスをはじめるために必要なものが揃っていて、起業やフリーランスとして独立を考えている人たちに最適な場になっています。

KRP BIZ NEXT 2名専用オフィス  オフィスエリアを利用する会員はビジネスラウンジの利用も可能です

KRPにはこのような1人用のシェアオフィスから1,000㎡を超える賃貸オフィスまで、350区画以上の多様なオフィススペースがあります。

事業の成長に伴う、オフィス変更などを検討する際、KRPの施設内で移転や増床ができるので、急速に事業が拡大しやすいスタートアップにはうってつけではないでしょうか。

KRPはオフィススペースの他、研究機器を設置し、自由に設計できるBSL2※1/P2レベル※2の研究スペースがあります。
※1 細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室の分類。
※2 遺伝子組み換え生物が外部に出ないようにする為の設備基準。

その中で、今回ご紹介いただいたのはKRPでの研究スペースの管理・運営ノウハウを活かした、「ターンキーラボ EGG」です。こちらは、大阪府の吹田市と摂津市の両市にまたがる北大阪健康医療都市(健都)内に2022年4月にオープンする「ターンキーラボ健都」のプロトタイプ版※3です。

「ターンキーラボ」は、すぐに実験を始められるよう、必要最低限のバイオ系の実験機器等が揃っていることが特徴です。月に数回など、限られた時間だけ研究したい方にとっては、ラボの開設・退去にかかる費用と時間を削減することができる便利な施設です。

ターンキーラボEGG
※3 ターンキーラボEGGは2022年3月でクローズします。

施設内を歩いているなかで気づいたのが、“植物の多さ”や“吹き抜け構造”です。

圧迫感のある空間だと息が詰まって、仕事や業務の効率が落ちる可能性があります。そこで、本来ならオフィススペースとしても確保できた場所を、あえて吹き抜けにして自然光が廊下に差し込むようなデザインに。そして施設内でも、四季を感じられるよう植物を多く育てています。

京都ゆかりの植物が多く植えられています
9号館にある自然光が差し込む吹き抜け

そして、次に紹介いただいたのがKISTIC棟2階に2018年に開設されたたまり場です。

たまり場は、KRP入居者だけでなく、誰でもイベントを開催できるオープンスペースです。また、ここでは年間100回以上(※新型コロナウイルス感染拡大前)ものイベントを開催。学生や起業家、大企業、フリーランスといった立場が違う人たちが集まれる場となっています。

たまり場

最後に紹介いただいたのが2021年4月に新設された10号館の「GOCONC」と「GOCONC-biz」です。GOCONCは、KRP入居者だけでなく、KRP来訪者など、様々な目的で来られた方たちが入り交じる場として“駅のコンコース”をテーマにしています。

GOCONCは、窓が多く開放感ある空間になっており、食事・仕事・イベントの3つができる場所です。昨年12月にGOCONCで、交流イベント「KRPナイト」を3回にわたって開催。延べ181名の人たちが参加しました。

GOCONC

GOCONC-bizには、1人で集中できるパーソナルブースと複数人の会議に最適なミーティングルームがあります。オンラインで30分単位(最低利用時間1時間)での予約が簡単にできるため、急遽ミーティングが入ったときなどに利用できます。

GOCONC-biz パーソナルブース
GOCONC-biz ミーティングルーム

人々が集い、交わることをサポートし、生まれるイノベーション

KRPの魅力は、スタートアップから大企業、フリーランスなど様々な働き方を想定し、施設がデザインされているところです。しかし、施設などのハード面を充実させるだけでは、KRP㈱のミッションである「京都からの新ビジネス・新産業の創出に貢献する」は達成できないと、経営企画部 小林さんは語ります。

小林:施設などのハードの充実にはもちろん力を入れていますが、イノベーション創発のためには、イベントや交流、ワークショップなどソフト面の充実も欠かせません。私たちは、「集・交・創」という社是のもと、人が集い、そこで交わることにより、“創発の瞬間”を生み出すことに挑戦しています。なので、『集まる・交わる』に注力するイベントを開催し交流を促進しています。

それでは一体、KRPにおいて、どのようなイベントを開催しているのでしょうか。イノベーションデザイン部 河端さんは、登壇者として研究者をお招きし、研究内容について観客参加型でディスカッションを行うサイエンスカフェ形式のイベント「ふれデミックカフェ」の開催を担当しています。

河端:ふれデミックカフェでは、これまでに京都大学、立命館大学、京都府立大学、京都精華大学、同志社大学の5校それぞれでご活躍の若手研究者をお招きしています。参加者は主に企業で研究開発をされている方々や公的機関・アカデミアの方々で、毎回20名程度の方にご参加いただいています。

イベントで研究内容を知るのはもちろんですが、『ふれデミックカフェで聞いた〇〇さんの研究が面白くて、自社でやっていることとコラボしたい』と参加者から度々申し入れがあります。イベントが研究者と企業とのマッチングの場になり、コラボレーションのきっかけになっています。

左:小林さん、中央:河端さん、右:日笠さん

ブランド企画部 日笠さんは、発信をするなかで感じる「KRPらしさ」は、イベントを通じてご入居者さまとKRP㈱の双方向の働きのうえ「出会いが生まれていること」だと語ります。

日笠:これまでにもお話しさせていただいたように、KRPには様々な人が集っています。そのため、開催するイベントも多種多様です。その中でも、ご入居者さまに積極的に参加いただけるイベントがあることは、KRPらしさだと感じています。

例えば、「つながらナイト」という、当社主催のご入居者さま限定の小規模交流イベントがありますが、ここには、『他にどんな企業が入居しているのか知りたい』と希望するご入居者さまが参加されており、たくさんの出会いが生まれているようです。

KRPに入居すると、会社の近況や施設内で困ったことをすぐに相談できるよう、当社のスタッフがサポートしています。そのため、ご入居者さまに合いそうなイベントがあれば、すぐにお誘いできます。

多種多様な企業が入り交じる京都を、KRPから。

”ここで、創発。”――

このようなブランドスローガンを掲げて、ハード面とソフト面に注力している民間企業は全国でも多くはありません。KRPからイノベーションを生み出すことは、社会にどのような価値を還元しているのでしょうか。3人から語られたのは、それぞれの「京都」に対する想いでした。

小林:私は、生まれ育った京都に貢献したいという気持ちが強く、それがここで働く一つの理由となっています。大学時代の講義で、このまま東京一極化が進んだ場合の消滅可能性都市の多さに衝撃を受けました。

今後は、新しいことを生み出していかないとまちは廃れていきます。それを阻止するためにも、まずは生まれ育った京都にあるKRPで、働く場所を提供すること。さらに、その場所を魅力的な交流の舞台にすることに尽力し、京都からの新ビジネス・新産業の創出に貢献していきたいと思っています。

河端:数百年続く老舗企業と、スタートアップなどの新しい企業が共存していることが、京都の魅力のひとつだと思います。KRPでサポートしたスタートアップが、今後数十年の年月をかけて、京都を代表する老舗企業となる。そんな過程に立ち会えることが光栄であり、全力で支援したいと思っています。

日笠:私がここに就職した理由の一つには、生まれ育った京都の魅力を発展させることで、より多くの人に京都の多様な一面を知ってほしいという思いがありました。広報の担当になったことで、その気持ちはより強くなっています。KRPでさまざまなイノベーションの場を生み出し、その活動を積極的に発信していくことで、『KRPに行けば新しい出会いがあるかも。』だけではなく、『京都に行けば面白いことが始まるかも』というイメージを作り出したいと思っています。それがKRPが提供する価値の一つとなれば幸いです。

設立して約30年、京都からの新産業創出を目指し、業種・業態を超えて人々が交わる場をKRP㈱は創ってきました。取材では、イノベーターを支え、京都の未来に貢献する人たちの情熱が垣間見れました。

ここから、どんな人たちがコラボレーションし、どんなイノベーションが誕生するのでしょうか。KRPから生まれる新たな発展が、楽しみで、待ち遠しいです。

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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