2021.12.17

食べる楽しみをのせてキッチンカーで京都をあちこちだし巻きバーガーで人をつなぐ『デリカキッチンあうん』

CHECK IN

京都の日常を彩る食を訪ねる「食を巡る」シリーズ。京都らしい食べ物や飲み物、京都移住計画メンバーのお気に入りの一品をご紹介する連載コラム記事です。食べることは生きること、京都での暮らしに彩りを与える物語をお届けします。

遠くからでも目立つ、かわいらしいキッチンカー。車から漂う優しいお出汁の香り。「あれはなんだろう?」と思わず寄って食べてみたくなる。そんなキッチンカーが京都市内をあちこち移動しながら、ファンを増やしていると聞きました。作る人と食べる人がコミュニケーションがとれるキッチンカーの楽しみ方を探りに出かけました。

手作りパンと野菜で体にもやさしい「だし巻きバーガー」

食を巡る第15弾は、デリカキッチン「あうん」さんをご紹介します。運営しているのは佐藤和美さん。車のなかで手際よく手を動かしながら、作っているのはなんと「だし巻きバーガー」です。

「だし巻きサンドイッチってあるけど、だし巻きバーガーは珍しいでしょう?」そう言って笑顔で出されただし巻きバーガーは、大葉と酢レンコンを全粒粉のパンではさんだ和テイスト。ほおばってみると、口のなかでじゅわっと溢れ出すお出汁がパンと絶妙に溶け合いました。

このだし巻きバーガーは、ごぼうのフリット付きで680円。ごぼうのフリットは山椒がピリリと効いた塩をふってあり、一度食べ始めたが最後、止まりません。

「あうん」のメニューには佐藤さんの優しい気遣いが感じられます。使っている材料についてきいてみると、「パンは自分で焼いていて、野菜は有機のものを使っています。でも、基本的には大葉やレンコンのようにいつでも手に入るものを使っていますね。大葉などは自宅近くのスーパーで買っています」と教えてくれました。そんな自然体で明るい佐藤さんのキッチンカーの周りには、途切れなく人がやってきます。

「だし巻きバーガー」が来るのを待つ常連さんも!人をつなぐキッチンカー

週末を中心に京都市内のいくつかの場所で出店している佐藤さん。この日は京都市南区にある京都醸造さんでの出店でした。

「うちのごぼうのフリットと京都醸造さんの一期一会というクラフトビールはものすごく合うんですよ〜」と佐藤さん。早速試してみると、ほんのり山椒の風味が鼻をくすぐり、流れるようなのどごしが食欲をそそります。おでんやソーセージなどビールに合うメニューも出していて、近所の人から外国人まで、いろいろな方がビールとおつまみを楽しんでいました。

京都醸造株式会社のベンさんと佐藤さん

佐藤さんと京都醸造さんとの出会いについて尋ねてみると「ここで働いていた知人が紹介してくれて、出店するようになったんです。もう三年半になりますね。今は、月に2〜3回来ています。出店の際にはいつも来てくれる常連さんもいるんです」と佐藤さん。

自分から「出店させてほしい」と頼んで出店しているところもあるそうですが、いろんなところで縁がつながっていったと話します。

「サンドイッチはあるけど、バーガーはない」その一言が羅針盤に

初対面でも古くからの友人のように気さくに話してくれる佐藤さんは、滋賀県出身。京都・アメリカ・茅ヶ崎と移り住み、料亭やパン屋で働いていたそうです。その後、京都に戻ってきて、2017年12月にキッチンカーの営業を開始しました。

キッチンカーを始めた経緯を聞くとこう答えてくれました。「最初はお店を持とうと考えていたのですが、30年一緒にいる主人が『キッチンカーににしたら?』と言ってくれて。キッチンカーと言えばハンバーガーだけど、そのままだったらつまらないから、和のテイストにしたらいいんじゃないかということで生まれたのが、だしまきバーガーです。サンドイッチはたくさんあるけれど、バーガーはないと言われてそれもそうだなって。店の名前もそんな主人との“あうん”の呼吸という意味も込めての『あうん』なんです」

働くのが大好きで、毎日でも働いていたいという佐藤さん。出店の少ない平日でも自宅の駐車場で出したり、電話注文を受けて届けたりしているのだそう。

地域のイベントやコラボ企画では、その場だけにしか生まれない、お店とはまた違う食の楽しみ方があります。そんな場ではおいしさを介して、人と人とのつながりも自然に生まれていくのかもしれません。

出店情報はインスタグラムで発信されています。気になったら、チェックしてみてください。そして、ぜひ「だしまきバーガー」を食べてみてください。

▼デリカキッチン あうん
https://www.instagram.com/aun.kyotojapan/

執筆:若林 佐恵里

オススメの記事

記事一覧へ