2019.11.27

出汁×スパイスの新しい挑戦祇園・新門前『UDON MAIN(うどんメーン)』

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京都の日常を彩る食を訪ねる「食を巡る」シリーズ。京都らしい食べ物や飲み物、京都移住計画メンバーのお気に入りの一品をご紹介する連載コラム記事です。食べることは生きること、京都での暮らしに彩りを与える物語をお届けします。

食を巡る第7弾は、祇園・新門前にある『UDON MAIN(うどんメーン 以下、うどんメーン)』。2018年11月にオープンして、ちょうど1周年。しっかりとったお出汁をベースに、スパイスやハーブがミックスされたうどんがいただけるお店です。

築120年以上の町家をリノベーション、モダンで落ち着ける空間

Photo:UDON MAIN

2018年11月にオープンしたうどんメーンは、骨董品や古美術商のお店が立ち並ぶ、新門前通りに面しており、間口が狭い“うなぎの寝床“で、うっかり見落としてしまいそうなほど馴染んでいる隠れ家的お店。それもそのはず、築120年の元建具屋をリノベーションしているから。

Photo:UDON MAIN

お店は、店主の深田周平(ふかだ・しゅうへい)さんと、お母さまの二人で現在は切り盛り。玄関のドアを開けると、ネオンサインがお出迎え。町家の古き良き部分を残しながらも、センスよくデザインされたレイアウトが目を惹きます。

Photo:UDON MAIN

古き良きものと新しいものを同時に取り入れたいと、和の要素を生かしつつもモダンな造りに。1階と2階で34席あり、1階はうれしい掘りごたつ、2階は20席の座敷となっているので、貸切での宴会も可能です。奥には田中美穂植物店さんが手掛けた箱庭も見えて、風景を眺めながらのんびり食事が楽しめます。

Photo:UDON MAIN

よく見ると、ところどころにアート作品が置かれています。美術色が濃い新門前通りに位置していることもあり、アートを積極的に取り入れているのだそう。京都で活動する作家のものを中心に、深田さんが惚れ込んだ作品が置かれています。

旨味の効いた京風お出汁と、スパイスやハーブをミックス!

Photo:UDON MAIN

うどんメーンのうどんは、旨味の効いた上品で京風な味付けに、ハーブやスパイスが合わさった個性的な味わい。これは店主が出会ったスパイスをベースに、スパイスインストラクターの資格を持ったお母さまが、250種以上あるというスパイスを味や効能、理論から効果的に調合しているのだそう。

Photo:UDON MAIN

画像は、一番人気の『トンポーローうどん』。8種類のスパイスで3時間煮込まれた、国産の皮つき豚バラ肉が使われていて、一晩寝かすことで旨味が凝縮されています。

Photo:UDON MAIN

ほかに、『ペッパー燻製鯖うどん』(画像)や、『パクチー味噌赤地鶏団子うどん』も人気。ペッパー燻製鯖うどんは、生胡椒のおいしさに感動した深田さんが、ぜひ使いたいと生まれたメニュー。よく目にする乾燥した胡椒にはないプチッとした食感と、フレッシュで爽やかな辛さが広がります。
いずれも、可能な限り京都の食材を使っているそうなので、具材の味も楽しんでみてください。

肝心の麺は、富山県の氷見うどんが採用されています。つなぎに油が使われておらずヘルシーなこと、職人さんにより手間をかけて手延べで作られるため、麺の太さが不揃いで食感の変化が楽しめること、麺との絡みがスパイスに合っていることから、氷見うどんに決めたのだとか。西日本で氷見うどんを扱うお店は少ないそうなので、食べてみる価値のあるおいしさです。

日常と日常を組み合わせて非日常なお店に

山科区出身の深田さんは、もとは印刷会社の営業マンでした。開業するには飲食経験は短いほうでしたが、おじいさまが長年中華料理店を、おばさまがおでん屋を営んでいて食に携わる家系だったので、開業には不安を感じず、むしろ早くスタートしたいと思っていたとのこと。

当初はカフェ営業を考えていましたが、京都はカフェ文化も発達していて個性的なお店が多く、カフェのように居心地がよく、日常の中にあるもので、かつ地域に必要なものはなにか?と思いついたのが出汁×スパイスの組み合わせでした。

京都に根付く出汁文化。そこに世界各国のスパイスを組み合わせることで、日常×日常=非日常を体験してもらえないか。深田さんがスパイスや酒のアテが好きということもありますが、特に日本では主食で食べられているうどんとの組み合わせはどうかと思ったのだそう。意外な組み合わせにワクワクしてほしいという思いもあり、出汁×スパイスのうどん専門店をはじめることにしました。

もっと地域に入り込んでいきたい

繁華街や若者が集まるエリアでなく、新門前で開業したのには理由があります。京都は観光地としても有名ですが、より京都らしい、少し大人の落ち着いた雰囲気のある祇園という場所で、世界各国のスパイスを使い、観光の方にも、地域の方にも親しみやすいお店にしたいと思い、この場所を選びました。

準備段階では、たくさんの人に助けられたと深田さんは言います。
お店の顔である看板も、開業をするにあたってアドバイスをくれた親類からのプレゼントです。また、出汁やスパイスの調合は、深田さんが信頼する舌をもつ友人のカフェの店長に相談したり、たくさんの人の紹介で出会うことができたアーティストの作品を飾ることで、より良い店をつくることができたと感じているそうです。

地域ともかかわりたいと、開業前には商店街活性プロジェクトへ参加。その経験を踏まえて開業しましたが、1年営業をして感じるのは、まだまだ地域との取り組みが少ないということ。近くに住んでいる方たちも食べにきてくれますが、もっと地域の方たちが気兼ねなく立ち寄れる場所にしたいのだそう。

お店を通じて地域を盛り上げていきたいし、積極的に地域とのパイプ役にもなっていきたい。もっと街の人たちとかかわって、日常にさらなる彩りを与えることができる場所にしたいと、今後の展望を笑顔で語ってくれた深田さん。

古美術店も多く、古くからの伝統が残る街で、一から始めるのは難しいかもしれません。でも深田さんのやる気や行動は、街の人たちも気づいているはず。深田さんの”地域に開かれた店にしたい”という思いは、少しずつでも地域に伝わり広がることでしょう。

2年目に入り、どんな広がりが見られるか楽しみです。

『UDON MAIN(うどんメーン)』
住所:京都市東山区新門前通り大和大路東入る西之町201-1
TEL:080-4561-5100
営業時間:
平日・10:30~15:30/17:00〜22:00
土曜日・08:30~15:30/17:00〜22:00
日曜日・祝日:08:30~15:30/17:00〜20:00
定休日:不定休

Facebook:https://www.facebook.com/Udon-Main-%E3%81%86%E3%81%A9%E3%82%93-%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%B3-372377913507766/

Instagram:https://www.instagram.com/UDON_MAIN/

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