※全3回に分けてお送りするシリーズコラムです。第一回の記事もぜひお読みください。
IT会社ヌーラボのDIY事務所化計画第2弾。今回は、実際の改装する様子を追っていきたいと思います。
■自社サービスを取り入れて
まずはDIYの段取り。DIYは、このスケジュールや予算感といった最初のスタートダッシュが上手く決めれるかにかかっています。建築面のアドバイザーとして入ってもらっているRADさんと相談しながら、10月末に事務所としては最低限使えるように、というところから逆算して決めていきました。
そして、DIYの共有ツールとして使ったのが、ヌーラボさんが自社で開発された「Backlog」。よく会社で使うスケジュール管理ソフトのプロジェクト版という感じで、使いやすく、そして楽しくやりとりできるよう設計されています。本業の要素もちゃっかり盛り込める姿、さすがです。
(PCからだけでなく携帯でもアプリから見れます)
今回、ヌーラボ京都事務所(施主兼工事の実務)、福岡本社(施主)、RAD(建築アドバイザー)、私(不動産&コラム)と関係者がたくさんいたのですが、自分がメイン担当でない部分も共有して何となく把握できている(これ結構大事ですよね!)。というのが、プロジェクトベースで仕事をする人にはかなりオススメしたいところ。そして、DIYってワークショップ以外の作業ってわりと地道で孤独なものなんですが、みんなで作っている感があるのがとても励みになります!ちなみに、このコラムも皆さんに赤入れしてもらって、すごく励まされました。
(下にコメント欄が表示、励まされました。)
■その1 壁壊し編
そしていよいよ改装へ。まずは、クリーンセンターへ何度も車を往復させ、襖や畳を全部撤去します。その後、初のワークショップとして壁壊しを開催。同業種のIT関係の方、京都事務所のご家族の方などなど、20名ほど参加してくれました。お子さんはおそらく人生初であろう壁壊しにちょっとびっくりしながら、大人は日頃のストレスを発散するかのように思いきって。日常ではあまり経験しない破壊するという行為、バール(金づちの先が尖ったようなもの)を使って、思い思いに壊していきます。
とはいえ、今回の物件は町家ですから、土壁を壊しさらに竹木舞も壊さないといけないので、通常の壁とは違ってなかなか手強いんです。みんなで協力し合って土埃が立ち込める中、なんとか両階の袖壁と押入れの壁を取り終えました。
終わって改めて部屋を見てみると、壁が一枚無くなっただけで、本当に見通しもスッキリ。さらにスッキリすべく、最後はビール、からの銭湯でひとっぷろで締めました。
(このみんなの達成感のある顔。これがDIYの醍醐味ですね!)
■その2 壁塗り編
壁塗りは、ハード過ぎないつくる系の作業ということで、女性の参加者も少し増えました。移住計画のFacebookでも告知させて頂いたところ、なんと滋賀から来てくれた方もいらっしゃいました!嬉しくて、参加理由を伺ったところ、「なかなか自分の家でやるチャンスもないし、もともと興味があってちょうどいい機会だと思って」とのこと。また、別の参加者でDIYが初めてというご夫婦は、「こんな貴重で楽しい体験ををタダでさせてもらえるなんて!」とおっしゃっていました。たしかに、休日のイベントとしてはこれほど体力を使って達成感を味わえるものなんて、最近なかなかないかもしれませんね。
(壁はローラーで塗装。楽そうに見えますが、首が結構疲れます。)
今回も町家ならではのチャレンジとして、壁の一部に漆喰を使いました。硬すぎても塗りにくく、作業している間に乾燥が進み、また練り直す。男たちの熱き戦いが繰り広げられていました。
(試行錯誤しながら、正解のないのが楽しいですね)
(劇的ビフォーアフター)
■その3 床張り編
3回目は、いよいよ最難関の床張り。こちらは今までとは異なり、全国床張り協会の伊藤洋志さんを招いた有料ワークショップとしました。こちらも、平日日中にもかかわらず、伊藤さんのカリスマ性もあって満員御礼です。
(今後に使える術も惜しみなく披露してくれる伊藤さん)
伊藤さんに音頭を取ってもらいながら、まずは根太を等間隔に打つところから。古い町家ですので、元々の床がゆがんでいるため、この段階ですでに悪戦苦闘。アイフォンの水平器にも頼りながら作業は進みます。
(文明の利器に力を借ります)
そして待ってましたの床貼り。みんなで一列になってトントントン。トンカチを持つ手も数を重ねるごとに慣れた手つきになっていきます。
根太・フローリングともに木なので、少しづつ反ってしまいます。そんな時は力技も協力し合いつつ、丸2日間で7割くらいの床を貼ることができました。
(決して遊んでいるわけではなく、フローリング板を押し込んでいます。)
■ひとまず改装を終えて
3回のワークショップを終え、別日でヌーラボの皆さんが手直しをされ、ひとまず、壁・床・天井の主要素は一旦改装が完了しました。
(ヒノキ床で初団らん)
最初は作業の進め方に迷いがあるように見えた社員の方も、後半になるにつれ、自ら声をかけて率先して参加されていたのが、振り返ってみてとても印象に残っています。「誰かと一緒に何かすること、誰かと一緒に目的を達成してその嬉しい気持ちを共有すること」こそ、DIYの醍醐味だなぁと。
この後は、10月末にお引越しをされ、仕事をしながら細かい部分を改装される予定です。次回は、実際に自分たちの造った場所で働かれている姿をレポートしたいと思っています。お楽しみに!
(つづく)
*1 竹木舞(たけこまい)・・・土壁の下地組みで、竹で編んだもの
*2 根太(ねだ)・・・住宅の床を張るために必要となる横木。