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京都移住計画(株式会社ツナグム)では、2018年度から京都北部7市町のUIターン推進をお手伝いしています。こちらの記事では、2019年5月30日(木)に開催した、行政担当者向けのワークショップについてお伝えしていきます。
2016年度からはじまった京都北部7市町の連携事業。
これまで実施してきたプロモーション企画「たんたんターン」を皮切りに、2018年度から官民連携の持続可能な移住施策づくりを目指し、UIターンした民間のプレイヤーと協働しながらイベントを開催してきました。
2019年2月には、塩尻市役所企画政策部 地方創生推進課シティプロモーション係長 / 空き家プロジェクトnanoda代表の山田 崇さん、株式会社ツナグム代表取締役 / 京都移住計画 代表の田村 篤史さんをゲストに迎え、『地域の未来をつくる 小さな事業のはじめ方』というイベントを開催。
当日、会場に集まった約40名の参加者が、行政・民間・住民など 肩書きや立場を越えて話し合い、それぞれが思い描く地域の未来へ向けた、次のアクションを考える時間となりました。
地域一体となって「移住」を促進していくために欠かせない「官民連携」。
移住施策は自治体の担当者だけが取り組むことではなく、UIターンしたプレイヤーや地元住民など、みんなで協力しながら地域を盛り上げていくことが大切です。
本プロジェクトを通して実施してきたUIターン推進の取り組みや、そこで生まれた関係性をさらに強化していくため、2019年5月30日(木)に舞鶴市の赤れんが「Coworkation Village MAIZURU」にて、7つの自治体の担当者向けのワークショップが開催されました。
担当者の枠を越えて、チームで取り組む移住施策
はじめに、京都へ移住したい人、暮らしたい人を応援する京都移住計画(株式会社ツナグム)の藤本 和志さんから、この場を開催する目的が共有されました。
藤本:これから官民連携を強化していくにあたって、まずは官同士で関係性がつくれたらいいなと思いこの場を設けました。今日は、7つの自治体の ”移住担当者” という立場を越え、この場にいる ”自分” のこと、そして ”みんな” のこととして今後の取り組みを考えていけたらいいなと思っています。
ここからの時間は、会議のように意見を出し合うというよりも、対話することを心がけながら過ごしていただけると嬉しいです。
ワークショップは2部構成。司会・進行は、田村さんが務めます。
田村:2月にお会いした方もはじめましての方もおられるかと思いますが、本日はどうぞよろしくお願いします。
この官民連携のプロジェクトを進めていくうえで大切にしたい「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」という4つサイクルがあります。多様なメンバーが関わるなかで「関係の質」が変わりはじめると、最終的な「結果の質」にもいい影響が生まれていきます。
今日は僕たち京都移住計画のメンバーも含めて、肩書きや立場を越えた関係性をつくっていけると嬉しいです。
第1部では「ストーリーテリング」という手法を活用して、担当者同士の交流を深めます。
▼ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングは、話者(ストーリーテラー)、聞き手(ハーベスター)、これを観察する立会い人(ウィットネス / 記録係)の3役を置いて進められる対話型のワークショップです。今回はランダムにグループ分けされた3人1組で、移住の仕事に関わる背景や個人の想いなど引き出す質問項目を元に、それぞれインタビューを行いました。
会場からは、「売れるかな? と不安だった空き家が成約に至った!」「自分が担当していた方の移住が実現した!」といった、この仕事をしていて嬉しかったエピソードや、
「自分が地元側から発信することで同級生たちに戻ってきてほしい」「どうすれば、自分の子どもたちが将来Uターンしてくれるのかを考えている」「自分自身が孫ターンなので、都市部の暮らしと比較しながら相談にのることができる」など、当事者として移住施策に携わっている声を耳にしました。
また、ワークショップの最後には「こういう場が苦手だったけれど楽しかった」という感想もあり、ストーリーテリングを通して担当者同士の人となりを知りながら、終始会話が弾む和やかな時間となりました。
行政側の「民」と民間側の「官」でつくる新たな移住施策
ワークショップにつづく第2部は、官民連携の事例として田村さんによる「京都移住計画」の紹介からスタート。
そのあと、京丹後市の移住施策を行う市長公室政策企画課の蛭子 ひとみさんと「丹後暮らし探求舎」の坂田 真慶さんがスピーカーに加わり、京丹後市の官民連携事業が誕生したプロセスについて、自治体(官)側・民間(民)側、の両方からお話を伺いました。
田村:僕たち京都移住計画は、「居(コミュニティづくり)」「職(求人情報)」「住(物件情報)」という3つの分野から、京都へ移住したい人へ向けた情報発信をしています。
もともと有志のメンバーが集まってはじめた取り組みでしたが、だんだん活動が広がっていくうちに、京都の企業や不動産のオーナー、大学、行政の方々から仕事を依頼されることが増え、2015年に株式会社ツナグムを創業しました。
みなさんと移住施策の方で関わりのある「京都移住コンシェルジュ(京都府)」をはじめ、 “人と人、人と場のつながりを紡ぐ。” をコンセプトに、中間支援組織として地域や組織と関わるプロジェクトの支援、企画づくりなどに携わっています。
そういった官民連携の動きは現在、京丹後市でも生まれています。ここからは、移住施策を担当する蛭子さんと丹後暮らし探求舎の坂田さんから京丹後市の事例を伺っていきたいと思います。
坂田:僕はもともと東京出身で、京都移住コンシェルジュの東京窓口を担当していました。丹後を訪れながら地域や人の魅力に触れていくうちに自分自身が移住したくなり、2年前からこちらに住んでいます。
京丹後市を含めた丹後のエリアには、地域の外から人を引っ張ってくる地元のキーマンや、UIターンをして地域を盛り上げるプレイヤーの方がたくさんいて、そういった人たちがよそ者だった僕を地域側に巻き込んでくれたんです。当時のことを思うと、移住する前から地域との関わりがあったので とても心強かったですね。
2019年に、京都市から京丹後市へ移住した小林 朝子さんと一緒に「丹後暮らし探求舎」を立ち上げ、京丹後市からの業務委託を受けて移住の相談窓口を開設しています。移住後に望む暮らしをお聞きし、それに合わせた地域や人の案内、物件探しのお手伝い、イベント情報の発信をしています。
関連リンク:丹後暮らし探求便
蛭子:もともと小林さんは、京丹後市役所の嘱託職員として移住に関する業務に携わってくれていました。相談者のことを第一に考えている小林さんにとって、行政の制約のなかでは動きづらさを感じていたと思いますし、私自身も彼女の動き方に対して「これは行政としての仕事なのか、プライベートなのか・・・」と線引きの難しさを感じることもありました。
そんなある日、小林さんが独立したい気持ちがあることを知ったんです。
移住者に限らず、地域で次のステップへ進みたいと考えている人に対して、応援できる行政・応援できる関係性でありたいと思っている私たちは、移住・定住施策に関する業務の一部を予算化し、業務委託というかたちで「丹後暮らし探求舎」にお世話になることを決めました。
田村:京丹後市の事例のように、地域側にも行政側にもキーマンがいて、双方がサポート関係にあることが大切だと思っています。移住するにあたって仕事や物件があるかどうかも大切ですが、坂田さんが冒頭で話していたように、地域におもしろいコミュニティや人のつながりがあるかどうかが 最終的な移住の決め手となるケースが多いです。
また、移住のハードルになりやすい仕事探しについて、民間と協働しながら新たな事業をつくることで、ハードルを解消できるのも行政だからこそできるサポートではないかと思います。
蛭子:移住を検討されている方に、地域や人の魅力をどのように伝えていくのか。それは決して移住の担当課や一個人としてではなく、いろんな部署と協力し、課を横断しながらサポートしていくことが大切だと思います。京丹後市では、私が籍を置いている政策企画課だけでなく、まちづくりの一環として市民局、地域づくり推進室が一体となって移住施策に取り組んでいます。
藤本:京丹後市をはじめ、比較的人口規模の小さい自治体では住民ひとりひとりが持っているパワーが大きく、連携することで発揮できる力も大きいです。だからこそ、多様な背景やスキルをもっている人々が集まってできることは、もっとたくさんあるはずだと感じています。
7市町の移住支援をこの現場に関わる ”みんな” ごととして捉え、それぞれの取り組みやアイデアを今後もシェアしていけたらと思います。
世代や立場、肩書きといった枠を越えて「この人たちと地域を盛り上げていきたい!」と思えるチームで動いていれば、その地域の魅力はきっと伝わっていくのではないでしょうか。
これからますますおもしろくなっていきそうな、京都北部7市町。近くの方も、遠くの方も、このプロジェクトに関わってみたい! という方みんなで 地域を盛り上げていきませんか?
▼たんたんターン(京都府北部UIターンプロジェクト)
https://kyotohokuburenkei.jp
▼京都移住コンシェルジュ
https://concierge.kyoto-iju.com