2019.08.12

巻き込まれたい方大歓迎!肩書きを越えたチームでつくる、京都北部の移住促進プロジェクト

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京都移住計画(株式会社ツナグム)では、2018年度から京都北部7市町のUIターン推進をお手伝いしています。こちらの記事では、2019年6月26日(水)に開催した、担当者向けのワークショップについてお伝えしていきます。

2016年度からはじまった京都北部7市町の連携事業。

これまで実施してきたプロモーション企画「たんたんターン」を皮切りに、2018年度から官民連携の持続可能な移住施策づくりを目指し、UIターンした民間のプレイヤーと協働しながらイベントを開催してきました。

2019年2月に開催した「地域の未来をつくる小さな事業のはじめ方」の様子。

移住施策は、自治体の担当者だけが取り組むことではなく、UIターンしたプレイヤーや地元住民など、みんなで協力しながら地域を盛り上げていくことが大切です。

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2019年5月に開催した行政担当者向けのワークショップの様子。

今年の秋には、本プロジェクトを通して出会った民間プレイヤーから構成される実行委員会メンバーで、UIターン推進へ向けた大きなイベントを企画しています。

プロジェクトに関わるみなさんの関係性をさらに強化し、イベントの企画内容をより良いものにしていくため、2019年6月26日(水)に京丹後市の「丹後暮らし探求舎」イベントスペースにて実行委員会のキックオフイベントが開催されました。

はじめに、京都府内各地への移住をサポートしている「京都移住計画(株式会社ツナグム)」の藤本より、この場を開催する目的が共有されました。

藤本(和):UIターン推進事業を進めるにあたり、実際に京都北部へUIターンされた民間プレーヤーの方々と行政と一緒に移住施策をつくっていきたいと思っています。また、民間プレーヤーのみなさんが得意とする分野ごとに「テーマ × 移住」の新規プロジェクトを立ち上げ、都市部からの関係人口の創出にもつなげていけたらと考えています。

藤本(和):今年の秋には、この後お話いただく「尼崎ENGAWA化計画」の藤本 遼さんが企画に携わっている「生き方見本市」のような、多様な生き方やキャリアの選択肢を知るイベントを、この場に集まっていただいた京都北部7市町のみなさんと開催したいと考えています。“自分だったらどういったテーマでこの企画に関われそうか” という視点を大切にしながら、今日の時間を過ごしていただけると嬉しいです。本日もよろしくお願いします!

藤本 遼さんのお話を伺う前に近隣の方とチェックイン!
会を重ねるごとに顔なじみのメンバーが増えていきます。

チェックインで会場の雰囲気が和らいだ後は、いよいよ藤本 遼さんのお話に移ります。

キーワードは、いろんな立場の人が思わず関わりたくなる「余白」

第1部では、兵庫県尼崎市でさまざまな地域プロジェクトを企画している「尼崎ENGAWA化計画」の藤本遼さんをお招きして「まちの人を巻き込むプロジェクトづくり」の事例についてお聞きしました。

藤本 遼(ふじもと りょう)さん 尼崎ENGAWA化計画/場を編む人
1990年生まれ。兵庫県尼崎市出身・在住。尼崎ENGAWA化計画代表。関西大学経済学部を卒業後、NPO法人に就職。独立を経て、現在は地元・尼崎市を中心に、イベントの企画や空間のプロデュースをはじめ、ワークショップのファシリテーション、対話・恊働に関する研修など、場づくりやまちづくりに関わる仕事・活動を展開している。活動のコンセプトは「あわいと余白のデザイン」。2019年9月に開催予定の「生き方見本市KANSAI」実行委員長。

藤本(遼):本日はよろしくお願いします。僕は、地元の兵庫県尼崎市で、まちの人たちを巻き込んだプロジェクトの企画・運営、空間のプロデュースなど、「場づくり」や「まちづくり」と呼ばれる分野に5年ほど携わっています。今日はこれまで実施してきたイベントや、プロジェクトを企画するうえで大切にしている要素についてご紹介していきたいと思います。

ここからはダブル「藤本」でお届けしていきます! 会場:(笑)

1年を通してさまざまなプロジェクトを企画している藤本さん。尼崎市民や会社員、まちづくりについて学ぶ大学生、行政職員など、さまざまなメンバーが企画ごとに関わっているそうですが、多様な人たちとプロジェクトをつくるにあたって、どのようなことを心がけているのでしょうか。

(写真提供:藤本さん)

2016年7月にはじまった「カリー寺」は、その名の通り「カレー」と「お寺」を掛け合わせたイベント。

藤本(遼):「カリー寺」は、 “お寺でカレーを食べたらおもしろそう!” と思ったところから企画がスタートしました。そこから、仏教・・ということはネパールやインドに所縁がある・・そういえばインド人って本当に3食ともカレーを食べるのだろうか? と連想していくうちに、「アジアの文化も知れそうだし、お寺でカレーイベントを開催したらおもしろいかも!」と思うようになったんです。

「カリー寺」イベント当日の様子(写真提供:藤本さん)

藤本(遼):1回あたりのイベントに、お米が6〜70kgほど必要なのですが、実際に炊いてみるとブレーカーが飛んでしまって。でもこれって、災害時の炊き出しの予行演習にもなると思うんですよね。そういった「防災」の側面、「多文化理解」の側面を掛け合わせていくことで、カレーイベントをお寺でやることの意味づけをしていきました。「カリー寺」は現在、東京・福岡にも広がっており、西正寺がカリー寺の総本山になっています(笑)。

「ミーツ・ザ・福祉」イベント当日の様子(写真提供:藤本さん)

続いて紹介していただいたのは「ミーツ・ザ・福祉」というイベント。イベント開催するにあたり、月に1回オープンミーティングの場を設けています。

藤本(遼):尼崎市では、ハンディキャップをもつ方と一般の方が交流できる「市民福祉のつどい」という取り組みが1982年から続いています。ですが、こういった啓発系のイベントは、普段からその情報を得ようとしている層にしか届かないと感じていて。より多くの方に届けるにはどうしたらいいだろうかと考え、2017年度からは企画自体を実行委員会形式にして、みんなでつくるプロセスに変えていくことにしました。

オープンミーティングの様子・毎回50名ほどが集まります。(写真提供:藤本さん)

藤本(遼):ひと言で「障がい」と言っても、人によってさまざまな違いがあります。「ミーツ・ザ・福祉」では、 “障がいのある人” や “健常な人“ という風にカテゴライズするのではなく、そこにいるひとりの「◯◯さん」と知り合うことで、その間にある境界線を薄めていくことを目的としています。

垣根を超えたつながりが生まれる場をどうやってつくるか、多様なメンバーが関われる余白をどうデザインしていくのか。藤本さんのプロジェクトではそういった観点を大切にしているそうです。

(写真提供:藤本さん)

最後は、多様な生き方を知り・考える見本市「生き方見本市」のお話へ。2017年に東京・清澄白河ではじまったこの企画は現在、日本全国へと広がりをみせており、藤本さんは2019年9月に開催予定の「生き方見本市KANSAI」で実行委員長を務めています。

2017年から始まった「生き方見本市」は、さまざまな領域で「生き方」の実験をしているチャレンジャーをゲストに迎えながら、これからの生き方について考える日本各都市同時開催のトーク&交流イベントです。(HPより一部抜粋)

藤本(遼):イベントの様子は、2018年に開催した「生き方見本市 KOBE」の動画を見ていただけたらと思いますが、ゲストスピーカーを含めた参加者の8割くらいは20、30代が占めています。参加してくれた200名のうち、おおよそ3割の方が「生き方見本市」の運営に何かしらのカタチで携わりたいと言ってくれているのも、この企画の特徴かもしれません。実際、第1回の参加者がその後の企画に中心メンバーとしてコミットしています。

藤本(遼):どんなプロジェクトにも、常に関わりしろを用意しています。「生き方見本市」では、世代や目線が近い人たちのお話を聞きながら “自分も関わってみたい!” と思ってもらえるような場にしていくことを心がけていますね。当日の雰囲気や、事前の会議が楽しかったら自然と足が向かうでしょうし、安心してプロジェクトにも参加してもらえると思うから。

藤本さんが仕掛ける企画に共通するのは、関わりたい!と思った方へ関わりしろをきちんと用意していること。そして、本人の関わりたい度合いに合わせて役割を振り分けていることです。そういった適度な “ゆるさ” を担保しながら、藤本さんは多様なメンバーが安心して集まれる場をつくっているようです。

藤本(遼):「生き方見本市」には毎回、多様な方々が参加してくれます。そのなかでも印象的な出来事があって。とある参加者から、障がい当事者の方へ向けて「どうやったら『福祉』や『障がい』という分野に関わることへのハードルを下げられるか」と問いかけがあった時に、彼が「僕と友達になったらいい」と言ってくれたんですよね。そういった「問い」が自然に生まれる場をつくることも、さまざまなプロジェクトを企画する上で大切にしています。

お話のあとは、質疑応答へと移ります。

会場からの質問

Q.多様な方とプロジェクトを進めるようになった背景についてお聞かせください。

A.考え方ややり方が近しい人ばかりだと、意見が異なったときに居づらくなる可能性がありますよね。「みんな違う」という前提で居られる場があることが、すごく心地のいいことだと思っています。そういったメンバーでプロジェクトを企画すると、自分ひとりが想像していた以上の発想が生まれていきます。

Q.お話の中で「ビジョン」や「意義」を語らないとおっしゃっていましたが、どうやって人を巻き込んでいるのですか?

A.対話の中でその人が好きなものは何か、どういう嗜好性があるのかを聞き、個々人の想いを吸い上げて巻き込んでいくようなイメージです。ただ、チームでものごとを進めていく上で「コンセプト」はきちんと語るようにしています。

Q.これだけのプロジェクトをどういう組織で進めていますか?

A.基本的には個人で行なっています。あとは、学生インターンの子たちが20名ほどいるので、それぞれのプロジェクトを一緒に進めてもらっています。

Q.活動のいちばんのモチベーションはなんですか?

A.人との出会いですね。この人と一緒にこれからいろんなことをやっていきたい! と思える出会いが毎回あることです。

じぶんごとから始まる、京都北部7市町の新たな移住プロジェクト

第2部では、京都北部で活躍する民間プレーヤー6名に「◯◯× 移住」で話したいテーマを出していただき、どういったカタチで移住施策に反映していくか、じぶんごととして関われそうか、会場に集まったみなさんで意見交換を行いました。

グループ① 工忠 照幸さん(MATA TABI代表・綾部市)× 辻井 貴之さん(行政職員・宮津市)
トークテーマ「観光をきっかけにした地域との関係性づくり」

2013年に大阪市から綾部市へ移住した工忠さん。里山ゲストハウス「クチュール」と、旅行会社「MATA TABI」を経営しています。

工忠:移住やUターンを検討されている方を対象に、地域資源を一緒に発見していけるようなツアーをつくりたいと考えています。現在、取り組みをはじめている「天職観光」に興味がある方とも連携していきたいですね。また、僕自身が携わっている地域の魅力発見やガイド、ツアーの運営などを一緒にやってくれる仲間を募集しています!

辻井さんは、現在宮津市に住んでいる京都府職員。京都府内各地をもっと深く知ろうと、休日も積極的に地域へ足を運んでいます。漁師の元を訪ねて、朝から筏の見学をしたこともあるのだとか。

辻井:行政職員ではありますが、市民側・巻き込まれる側として参加させてもらえたらと思います。京都北部のおもしろいイベントや人の情報をしっかり発信していきたいです!

グループ② 大滝 雄介さん(KOKIN代表・大滝工務店代表取締役・舞鶴市)
トークテーマ「まちぐるみの受け皿づくりと地域プロモーション」

2007年に東京都から舞鶴市へUターンしてきた大滝さん。家業を継ぐ傍ら、まちづくりチーム「KOKIN」を結成し、レンタルスペース、ゲストハウス、日替わり店長のチャレンジショップなど、まちを楽しむ人を増やすための活動をしています。

大滝:舞鶴市には文化財に指定された銭湯が2つあります。大切な地域文化である町並みを未来に残していくために、また、舞鶴市を何年先もずっと暮らし続けたくなるまちにしていくために、地域側へのアプローチと、地域外へのプロモーションを促進していきたいです。

グループ③ 市瀬 拓哉さん(NPO法人地球デザインスクール理事・京丹後市)
トークテーマ「副業・兼業的関わり大歓迎!裏ハローワーク」

2009年に東京都から京丹後市へ移住した市瀬さん。現在は「丹後海と星の見える丘公園」にて、森林計画や環境教育プログラム、キャンププログラムなどに従事しています。

市瀬:地域には、季節労働的な仕事やクリエイティブ系の仕事など、ハローワーク等に掲載していないような仕事が結構あるんです。そういった情報を、移住希望の方や地域と関わってみたい方へ向けて裏ハローワーク的に発信することで、地域内外のつながりや仕事の行き来が生まれたらと思っています。

グループ④ 濱田 祐太さん(株式会社ローカルフラッグ代表取締役・与謝野町)
トークテーマ「若者のチャレンジを応援したい!ふるさと兼業と自身の起業について」

大学で勉強する傍ら、地元の与謝野町を盛り上げていきたい、与謝野町の資源を活用して起業する人を増やしたいと「ふるさと兼業」や「Challenge for Yosano」の取り組みを進めている濱田さん。

濱田:7月1日に「株式会社ローカルフラッグ」という会社を与謝野町に設立する予定です。都市部の人材と地域の企業を、副業・兼業でつなげたり、地域課題を解決していくソーシャルビジネス創造の動きを加速させていきたいと思っています! このまちに足を運んで、チャレンジしていく若者を増やしていきたいですね。

グループ⑤ 杉本 健治さん(もんどりや代表・伊根町)
トークテーマ「京都市内に京都北部7市町の発信・交流拠点をつくりたい!」

2014年、伊根町の地域おこし協力隊に就任したことをきっかけに伊根町へやってきた杉本さん。任期終了後は、地域の漁業や観光業をもっと盛り上げていきたいという思いで、水産加工品開発の「もんどりや」を設立されました。

杉本:京都市内に拠点を構えて、京都北部に所縁のある方や関わりを持ちたい方が集まるコミュニティをつくっていけたらと思っています。現在、京都市内の店舗と打ち合わせを進めているところです。丹後半島に興味がある若者や大学生をどんどん地域側へつないでいきたいですね。

グループ⑥ 坂田 真慶さん(丹後暮らし探求舎・京丹後市)
トークテーマ「地元スーパーのにしがきさんと一緒に何かしたいなぁ・・・(笑)」

坂田:「丹後暮らし探求舎」の事務所があるこの場所を通して、まちの人たちともっとコミュニケーションできる場づくりをしていきたいです。地元で “何かしたいけどどうすれば・・・” とくすぶっている方とも出会っていきたいですね。あと、近所のスーパー「にしがき」さんと何か一緒に企画をやってみたいので、お知り合いの方はぜひつないで下さい!

第2部は、民間プレーヤーを中心にざっくばらんにお話をする時間となりました。これから、実行委員会メンバーでそれぞれのテーマを深掘りしながら、京都北部7市町の移住プロジェクトに反映していく予定です。

おなじみの京都北部7市町「セブン」ポーズで記念撮影!
交流会も大いに盛り上がりました!

いよいよ、この秋にイベントの開催を迎える京都北部7市町のUIターン推進事業。イベントをつくるプロセスを一緒に楽しんでいけるメンバーが集まっています。

今後のイベント開催スケジュール

■ 10月12日(土)@市民交流プラザふくちやま
■ 11月23日(土)@KOIN(四条烏丸)

詳細は改めて「京都移住計画」のFacebookページでご案内させていただきますが、どちらも、京都北部の地域や人とつながる機会となっています。

京都への移住を検討している方はもちろんのこと、地域と新たな関わりを求めている方も、まずはこの秋に開催されるイベントから巻き込まれてみませんか?

▼たんたんターン(京都府北部UIターンプロジェクト)
https://kyotohokuburenkei.jp

▼京都移住コンシェルジュ
https://concierge.kyoto-iju.com

問合せ

事業担当:株式会社ツナグム 藤本 和志(fujimoto@tunagum.com

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