2021.09.14

高校生の“やってみたい!”をみんなで応援。京丹後でチャレンジが生まれる場づくりを学ぶ2日間【受付終了】

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本記事でご紹介する「京都ローカルプロジェクト旅(以下、プロ旅)」は、UIターン後、京都府内でさまざまなプロジェクトやビジネスを立ち上げている地域プレイヤーの元を訪ね、取り組みの内容やUIターンの背景・今後の展望などをお伺いし、地域との新たな関わり方を見つけていくためのプログラムです。京都府・京都府農業会議とともに京都移住計画(株式会社ツナグム)が企画・運営しています。

高校生のチャレンジや地域との交流をサポートする場「roots」とは

2020年10月末にオープンした、京丹後市未来チャレンジ交流センター「roots」。高校生と地域の方々が集い、新たなチャレンジができる居場所をつくろうと、京丹後市から委託を受けて「有限責任事業組合 まちの人事企画室(以下、まちの人事企画室)」が企画・運営を行っています。

京丹後市内の高校に通っている高校生のうち、90%は進学や就職を機に地元を離れる選択をするそう。ですが、親や親戚、学校の先生以外の大人と出会う機会が少なかったり、大学生活をイメージできなかったりと、高校卒業後のキャリアを描くための情報や、将来に向けてチャレンジできる機会そのものが少ないという現状があります。

そうした課題感から、rootsでは、高校生の“やってみたい!”をもとに企画をつくる「公開企画会議」や、高校生が自由に夢を語ったり大学生に進学の相談をしたりするなど、未来へ向けたチャレンジを促す環境・機会づくりを行っています。

峰山高校で地域コーディネーター・能勢さんが担当する「探究学習」の様子。

rootsの誕生に先駆けて、京丹後市では2019年度から峰山高校での「高校魅力化プロジェクト(※1)」がはじまっています。地域ならでは教育課程が過ごせるよう、新たに加わった「探究学習」のカリキュラムを作成するため、地域コーディネートを行う地域おこし協力隊を募集。

高校魅力化プロジェクトの一環として新たに運営がはじまったrootsとの連携を深めるため、「探究学習」を担当している峰山高校の先生方やコーディネーターとワークショップを開催しながら、高校生がrootsから新たな「ルーツ」をつくっていけるよう、日々の相談や“やってみたい”を応援できるようなサポート体制が築かれています。
(※1)高校魅力化プロジェクトとは・・・その地域・学校でなければ学べない独自カリキュラム、学力・進学保証をする公営塾の設置、教育寮を通じた全人教育の3本柱で、多くの生徒が行きたい、保護者が通わせたい、魅力ある高校にするプロジェクトです。(HPより抜粋)

壁に備え付けられた本棚には、地元や全国各地の応援してくださる方々が寄付をしてくれた本がずらりと並びます。

「高校生に限らず、私たちが何か新しいチャレンジをするとき、心の支えになるものは『ルーツ』だと考えました。生まれ育った地域の魅力、出会った仲間や大人たちの存在、そして、ありのままの“私”でいられること。そのような出会いや学び、発見のある場がつくれたらと京丹後市とともに『roots』をつくりました」

そう語るのは、「まちの人事企画室」代表の川渕一清(かわぶち かずきよ)さん。川渕さんご自身も、大学への進学とともに京丹後市を離れ、東京の企業で働いたのち、2013年にUターンされました。

「rootsでは、高校生が安心して課外活動にチャレンジできる環境づくりを心がけています。家や学校以外の場所で、自分自身のことを考えられるようなサードプレイスが必要だと思っていて。彼ら・彼女らには、積極的なチャレンジには失敗がつきものであることを前提に、そこから得た学びや気づきを次につなげていくことを意識してもらえたら嬉しいですね」(川渕さん)

そうした経験や共通言語としての「ルーツ」があれば、高校生たちが今後のキャリアを選択していくうえで「地元とのつながりも感じてもらえるのではないか」と、川渕さんのお話はつづきます。

はじめは大人がサポートしていたプロジェクトミーティングも、現在は自分たちで行っています。(写真提供:まちの人事企画室)

「オープンから8ヶ月が経ち、初めは様子見だった先生方も、少しずつ高校生たちをrootsに送り出してくれるようになりました。すでに、彼ら・彼女らの“やってみたい”からいくつもプロジェクトが生まれているのですが、何か課題があっても『どうすれば実現できるか?』を考えていますし、みんなのポジティブさと学びに対する吸収力・応用力がすごいと感じています。その状況にまわりの大人たちもいい影響を受けている気がしますね」(川渕さん)

高校生のチャレンジを応援することで地域の大人も変化する

今回、プログラムのコーディネートをしていただくのは、rootsの相談員を務める稲本朱珠(いなもと すず)さん。京都市内で日替わり店長スタイルの飲食店の立ち上げを行い、イベント会社やアパレルECの会社などで働いたのち、京丹後市へIターン。「まちの人事企画室」にジョインし、rootsの企画時から参画されています。

「川渕さんからrootsの構想を聞き、これまでの経験を活かしてみたいと思いました。私自身も高校生の頃は『聞き書き甲子園(※2)』に参加し、大学生や社会人と一緒にプロジェクトを進めた経験があり、自分に自信をもつことができたんですよね。それに加えて、当時、同級生にはなかなか相談できなかった将来の悩みを打ち明けると、まわりの大人が一対一で向き合ってくれて。そういう人たちと出会える環境が、自分にとっての居場所になっていたんだと思います」(稲本さん)
(※2)「聞き書き甲子園」とは・・・日本全国の高校生が、日本のさまざまな地域で暮らす森・川・海の名人を訪ね、一対一で「聞き書き」を行い、ストーリーを作品にまとめていくプロジェクトです。(HP参照)

稲本さんとrootsに通う高校生。(写真提供:まちの人事企画室)

「場を始めるにあたり、こちらから高校生を呼び止めたり手招きをしたりすることはしないでおこうと決めていました。最初は来てくれるか不安もあったのですが、自らの手でrootsのドアを開けてくれるまではじっと待っていようと。実際に始まってみると、近隣の峰山高校だけではなく、市内外にある複数の高校から1日あたり5〜15名の高校生が足を運んでくれるようになりました」(稲本さん)

稲本さんがrootsの運営で心がけているのは、「その人自身であれること」と「主体的であること」。高校生が自分の意見や考えを誰かに発信することや、初めてのチャレンジをするためには勇気が必要だからこそ、一人ひとりに寄り添える居場所になればと稲本さんは考えます。

「rootsには、将来の夢を明確にイメージしている高校生だけではなく、それがわからなくて困っている高校生も来ます。誰にでもチャレンジを促すというよりは、一緒に考えるスタンスを大切にしていますね。進路の相談を受けることもあるので、先生方や高校魅力化プロジェクトの地域コーディネーターと連携しながら、彼ら・彼女らの芽が育つ環境をつくっていけたらと思っています」(稲本さん)

rootsのロゴマークは、興味があると手を挙げてくれた高校生とともに制作。なかには、「デザイナー」という職業や「デザイン」という概念に初めて出会う高校生もいます。

「デザイナーに講義をしてもらい、ロゴマークってなんだろう?を考えるところからスタートしました。高校生たちとキーワード出しやラフスケッチの制作、ディスカッションを重ねながら、ロゴマークを通して何を表現したいのか、どんなことを伝えたいのかをみんなで考え、現在のかたちに至りました。企画を通してプロジェクトの進行を経験してもらうと同時に、その道のプロから話を聞くことは、高校生たちにとっても貴重な体験になっていると思います」(稲本さん)

稲本さんたちが伴走することで、rootsには高校生から等身大の“やってみたい”が集まってくるようになりました。例えば、ショートアニメ制作のプロジェクトが立ち上がったり、ハンドメイドでアクセサリーや小物をつくるイベントが企画されたり。「日韓問題について考えたい!」「ヘアメイクを知りたい!」など、テーマや内容もさまざまです。

「高校生や先生方と話していると、これからの時代に必要な社会生活における学びや実践を教育機関だけですべてカバーするのは難しいと感じていて、rootsのような場が必要になっているのではないかと思います」(稲本さん)

地域で主体的に動いていく高校生たちの姿は、まわりの大人たちにもいい影響をもたらしていると稲本さんは実感しています。

「ある高校生が、廃校を活用した企画をやりたい!と提案してくれたんです。市役所に相談すると、教育委員会の方が活用できそうな小学校を見学させてくれ、どうすれば彼ら・彼女らが施設を使えるかも一緒に考えてくれました。先ほど例に挙げたヘアメイク講座もそうですが、高校生の“やってみたい”が実現するように、まわりの大人たちがサポートをしてくれる体制・環境が少しずつできてきたように感じています」(稲本さん)

高校生のチャレンジを応援しよう!と立ち上げられたrootsですが、蓋を開けてみると6割は大人の方が訪れているのだとか。

「この場に関わってくださる大人もさまざまです。何か明確な目的や意図があるわけではなく、みんな個人として高校生を応援したいと言ってくれて。ある方が『ここは大人にとっても必要な場所になっているのかもしれないね』とおっしゃっていたんです。高校生にとって価値のある場になるとは思っていましたが、大人にとっても必要な場所になるとは思っていなくて。私が大切にしている“その人自身であれる”時間は、私たち大人にとっても大切なことかもしれません」(稲本さん)

大切な“ルーツ”をつくる、地域教育のあり方を考える2日間

壁一面には、高校生たちの“やってみたい”が集まっています。

稲本さんたちがrootsを立ち上げる際に思い描いていたような、人や情報の行き来が生まれつつある一方で、地域や高校生にとって「rootsだけが特別な存在になってはいけない」と懸念を感じているそう。今回のプログラムでは、地域教育に関わる人たちやrootsを利用する高校生と出会い、地域内外からの関わり方、また、地域教育のあり方そのものを考えます。

「京丹後市の事業の一環でrootsを運営しているという側面もありますが、私たちのようなコーディネーターがいなくても世代や立場を超えたつながりが生まれていくことが理想だと思っています。そのために、学校を含めた『教育』と『地域』の関係をより良いものにしていきたいです」(稲本さん)

\こんなプログラムを予定しています/
1日目
・オリエンテーション
・市役所の担当職員から話を聞く
・地域コーディネーター・ふるさと創生職員から話を聞く
・rootsにて高校生イベントに参加
2日目
・rootsの立ち上げ、企画や運営に関わっている地域の方からお話を聞く
・高校生と”やってみたい”企画や今後の関わりを考える
・振り返り

「進路選択になると、地元に残るか・地元を離れるかという話題になりやすいのですが、高校生たちにとってはたまたま生まれ育った場所が京丹後。大人たちは良かれと思って『京丹後には何もないから、ここを離れていい大学・いい会社へ行きなさい』とアドバイスをするのですが、それだと少し窮屈な気がするんです。京丹後市に限ったことではないんですけど、高校生を含めた子どもたちが描く“やってみたい”をサポートをするのが大人の役割だと思いますね」(稲本さん)

開催日程2021年11月12日(金)- 13日(土)
参加費一般の方:5000円
学生の方:3000円
※現地での食費・宿泊費等は別途自己負担となります。
定員5名
申込フォームhttps://localprojecttabi2021-roots.peatix.com/
申込〆切2021年11月2日(火)23:59
その他〈注意事項〉
・申込多数など状況によっては抽選とさせていただく場合があります。
・募集定員も限られているため、参加確定後のキャンセルはご遠慮ください。
・手洗い・消毒・マスクの着用など新型コロナウイルス感染拡大防止対策にご協力下さい。
(当日、体調不良などの場合は参加をお控えいただく場合がございます。)
・新型コロナウイルスの状況などにて、開催の可否を判断させていただく場合があります。

京丹後市未来チャレンジ交流センター「roots」HP:https://www.roots-kyotango.com/

本プログラムで訪れる「京丹後市」について

​​京都市から車で2時間半、京都府のはしっこに位置する京丹後市。海も山もある地域だからこその豊かな自然環境や食、厳しい冬があるからこその冬を生き抜く昔ながらの生活の知恵が今も息づき、人の繋がりが強い地域で暮らしたい!というおもろい人達の移住が今、増えています!京丹後市移住支援サイト:https://www.city.kyotango.lg.jp/ijushien/index.html

ローカルプロジェクトを学ぶ旅〈オンライン説明会〉

※本イベントは終了いたしました。

《開催概要》
北は丹後、南は相楽まで、京都府各地に目的を持ち移住され活動されている方々と供に、各地の活動テーマのプロジェクトを2日間体感し、地域との関わりを学ぶプログラムを開催します。受入いただく4名それぞれの多様な活動や想いを知ってもらい、このプログラムでどんな体験や関わりがつくれるのか知って頂くべく、交流と説明を行うオンラインでのPRイベントを、2回に分けて開催します。

\こんな方にオススメです!/
・地域と関わりやつながりをつくりたい
・自分に合う働き方やライフスタイルを考えたい
・ゲストの活動や地域プロジェクトに興味がある方
・京都の地域が好きな方、ゆかりがある方
・ゆくゆくは移住やUターンを考えられている方

■日時
10月6日(水)19:15~21:00
※途中入室・退出も可能です。事前申し込みの際にご連絡ください。
■会場
オンラインZoom(事前申込制)
■イベント詳細&参加申込み
京都移住計画Peatixよりお申込みください。
https://kyotolocal-event1006.peatix.com/
■ゲスト紹介
・稲本 朱珠さん まちの人事企画室/roots
・八隅 孝治さん 丹後エクスペリエンス/京丹後市網野町地域おこし協力隊
■企画・運営
株式会社ツナグム(京都移住計画)
担当:藤本・並河 info@tunagum.com

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