アパレル企業の新機軸

生きるをつくる(前編)

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今回の募集は京都に本社のあるアパレル企業、株式会社ヒューマンフォーラムです。

独自のカルチャーを発信するショップ「SPINNS」を始めとしてGALLERIE、monomania、mumokuteki goods&wears、cafe&foodsなどのお店や、ヒューマンフォーラム村を運営しています。募集するのはそのmumokutekiブランドで働くスタッフです。

まずは代表取締役(会長)の出路(でみち)雅明さんに会社のなりたちについてお聞きしました。

「前の会社もアパレル企業に勤めていました。不良少年で、高校時代からそこでアルバイトをしていて、そのまま就職しました。会社の成長のプロセスを10年ぐらい見てきて、燃え尽きたり、傲慢になったり、飽きたりといろんなことが起きて。いっしょにやってきた仲間からもついていけへん、かわいがってくれた社長とも意見があわなくなってきて、逃げるようにやめました

そして出路さんは1993年9月にヒューマンフォーラムを創業します。

「もう2度とあんな思いしたくない、人を大切にしよう、いっしょにやっている仲間ぐらいは大事にしたいと思って小さな古着屋からスタートしました」

その後、海外のインポートブランドや雑貨も扱う150坪の巨大な古着屋を京都でつくり、それがきっかけで日本中から出店してほしいというオファーがあったと言います。

借金でギブアップ宣言

「気がついたら会社をBIGにしたくなる性質で、借金をして会社がつぶれかけた」と笑いながら話します。

「会社が大きくなるにつれて家業から企業になろうとしました。マーケティングとかマネジメント、ブランディングとか勉強するじゃないですか。これからはそっちや、みたいな感じでガンガンみんなを振り回していました」

出路さんは当時をそんな風に振り返ります。

「終わってから飲みにいく酒の量と仕事の量が比例していきました。ケンカしますし、飲んですぐ仲良くなるけど、当時はひどかったです。自分だけが突っ走っていたのかもしれませんけど、会社の空気が悪くなってきて」

業績が悪くなり、経営陣に近い10人を集めて弱音を吐いたそうです。

「それまで一切言ってなかったのですが、『このままやったら会社潰れるわ』と言って。みんな苦しくなっているし、しんどいし、俺も『ごめん、ほんまギブやわ。もし会社潰れたら俺逃げるし』と話したんです。そしたら『みんなで行きましょう!』という感じになるんですよ。うれしくてうれしくて。いま思い出して涙出そうになってきました、忘れかけてた」

と本当に泣きそうな出路さん。それを見て今回の取材のアテンドをしてくれた社員の井垣さんは言います。

「その弱音を聞いて、みんな出路さんに頼りまくっていたなという思いがありました」

V字回復からのDASH村?

そんな苦しい背景がヒューマンフォーラム村やmumokuteki cafeにどうつながるのでしょうか。

『もし成功したら全員好きな夢を叶えてください』と言っていました。赤字が2年ぐらい続いたのですが、V字回復したんで好きな目標を叶えようと思って。アホな目標ですけど、僕が言ったのは村をつくることだったんです。みんなで遊べるDASH村をやりたかった(笑)。僕はそっから本気で土地を探しました」

当時の出路さんはもっと太っていてロン毛で髭がボーボーのスタイル。不動産屋で「買います」と言った土地も、地域の人から反対されたと言います。京北のヒューマンフォーラム村(以下、村と省略)も半年前からずっと村の集会に通い続け、地域の方と親しくなるよう心がけたそうです。

新しい生き方をつくるmumokuteki

今回の求人はmumokitekiのスタッフの募集ですが、村の誕生とmumokutekiができるタイミングはどのようなものだったのでしょうか。

「農業をはじめたのも生きることをつくりたかったんですもしくは新しくて面白い生き方をつくり続けたいと思っているんですけども。こんなものはダメと言うのではなくて『こんなんもアリやん』ということをみんなでやっていければと考えました」

その当時、ご自身でマクロビをしてみたり、断食してみたり、日本中の医療業界や教育業界を訪ねて飛び回り、知り合った人を本社3階のホールで2ヶ月に一度ぐらいのペースで講演会をしてもらっていたと言います。

「そのホールの場所がmumokuteki_hallなんです。多目的ホールというのは多いから、mumokuteki_hallでいこうと思って。自分が大好きな先輩がやっておられて、かっこいいし『使わせてもらっていいですか』と言って」

当時そのホールの下のフロアはdevice cafeというお店でした。そのカフェを新しく切り替えるときに名前をmumokuteki hallの下のカフェなのでmumokuteki cafeにしたそうです。

「当時自分でマクロビを実践していたので、卵や砂糖、お肉を使わないといったことをはじめたんです。ビジネスで動いたわけではなく、直感的にライフスタイルへの提案がかっこいいと思いました」

収益化が難しかったmumokuteki

では現在そのmumokuteki事業部の本部長、今出貴裕さんからもお話を聞きます。

今出さんは2002年に入社。すぐにバイヤーに抜擢され、アルバイトながら1年ほどアメリカに買い付けに行っていたとか。その後、別の事業部の仕入れや他の事業部の立ち上げ、店舗管理など、さまざまな事業部を転々とし、最終的にはブランド展開するための経営戦略を考える役割になったと言います。

「当時、mumokutekiを成長させて生き方をつくっていく方向に会社が舵をきっていこうとしていて、自分もずっと売り上げを積み上げていくような仕事をしてきたのですが、次はmumokutekiの新しい今までやったことのないようなジャンルの分野にトライしてみたいと思って、仕入れやリニューアルを重ねて今に至ります」

ここで先ほどの出路さんの話と重なります。

「出路がその当時、食べ物や水、健康などに関心が向いていたこともありますが、従業員が長く働いていけるようにという思いが出路にありました。スピンズのお客様は高校生が中心になってくるので徐々に価値観も違ってきたりするわけです。会社全体の従業員も高年齢化していくのに対して、なかなか次の働き口がなくなっていくので、雇用という意味でも村をすすめていくのに自分として共感しました」

また、今出さんはお子さんが大きいということもあり、身体に良いものや普段の私生活をどう充実させていこうかという思いが、mumokutekiで進めているスピード感と一致していると感じています。

今出さんはmumokutekiという事業のgoods&wearsとホールを運営し、farmやcafe&foodsなどの全体のフレームは、出路さんや井垣さん等数名の社員で月に一度、進捗管理や次の展望や方針を話しながら進めているそうです。

転機となった京都店のリニューアル

出路さんからはmumokutekiは当初、売り上げが落ちたと聞きましたが、お店を覗くと平日でも大盛況のにぎわいです。いったいどのようにして軌道に乗っていったのでしょうか。

「収益性でいくと、mumokutekiは収益がなかなか難しい事業部だったんです。スピンズから移籍してきたのは4年前ですが、当時はエリアに集中的に出店して地域一番店になろうとしていました。その戦略をやめて、みんなで四苦八苦しながら、一番は2016年10月の京都のリニューアルがきっかけですね。ずっとそれまでcafeとgoodsと、村のほうの連携もなかなかうまくとれてなかったんです」

村で無農薬にトライしたのも2016年がはじめてだったそうです。

村でつくったお米を加工品にしてgoodsで販売したりとか、goodsでお客様を集めてホールでイベントをしたり、村でいっしょに農業体験をしたり、地域の人と触れ合ったり、中身の軌道が乗り始めて、ひとつひとつのパーツがつながっていきました。経営陣が話し合う回数は昔に比べると増えましたね。向かっていく方向も昔よりかは明確になっていっています」

そのmumokutekiの向かっていく方向についても深く触れていただきます。

「コンセプトはやっぱり、生きるをつくるです。食べること、着ること、使うこと、知ること、感じること、作ること、僕自身はそれらをひとりひとりが作っていける力をつけていくことが『生きるをつくる』だと思っています」

今出さんが言う「ひとりひとり」とは、社員も、お客様も、関わるすべての人。

「ずっと大きい組織にいると、あまり考えなくてもよかったり、言うことを聞いていたら普通の生活は回っていきますけど、どこか不安になったり、人間関係もモヤモヤしたり、このままでいいのかなと思う人も社員と接していても多かったです」

そういう人たちとに向けて、今出さんはこう続けます。

ひとりひとりが思っていることを発信して、それをmumokutekiで実現できるようにしたいと思っています。その価値観を皆んなで共有した上で、ひとりひとりの関心ごとが実現できるような事業部にしよう、そしてお客様とか仲間とか自分の人生を一緒につくっていけるような事業部にしたいと考えているんです」

mumokutekiの現場レベルの課題はお客様のほうが知識が多かったり、価値として提供するのはなかなか難しい、まだまだ勉強が足りないと考えているそうです。

「価値観をお客様にわかってもらうためには、何度も積み重ねて関係性をつくることが大事で、その一歩目が今だと思っています。ホールではシネマがスタートし、外部の方の講演会がスタートすることを、スタッフに共感してもらいながらやっていくことが、僕はいちばん難しいし、力を入れているところです」

最後に未来に実現させたいことについても聞いてみました。

「働き方を変えていきたいなと思っています。例えば食べ物とか、つくることに関心がでてきたスタッフは、1日の半分をgoods、半分cafeで働くのでもいいと思ったり、週末はfarmで農作業とか、働き方が変わって、人生が変わっていけるような会社になったらいいなと思っています」

一度退職。数日で復職!?

続いて、そのgoodsでオーガニックコスメの担当をしている西崎愛未さんにも話を聞きます。5年前、OLに憧れてヒューマンフォーラムのシステム部に入社。当時はパソコンはおろか、Excelも使えなかったと言います。職場は大好きだったものの、他のことをしてみたいと2年後の20歳で退職。別のアクセサリーショップで働いたそうです。

「ヒューマンフォーラムでは立場関係なく思ったことが言える環境だったので、それが普通だと思って別の会社でも同じような態度をとったのですが、ある時その会社の上司が大きなミスをして、スタッフのせいにし始めたので指摘したらバッシングを受けて。口論になって辞めました(笑)。入社して1週間ぐらいだったのですが、ヒューマンフォーラムの元上司から『新しい職場どう? ごはんでも行こうよ!』と誘ってもらって。退職した話をしたら『戻っておいでよ』と言われて(笑)」

なんと数日でヒューマンフォーラムに復職し、その1年後、mumokutekiに異動しないかと提案を受けます。

「mumokutekiのナチュラルなイメージが自分とは真逆だったので、価値を伝えることができないと考えて最初は断ったのですが、じっくり考えると可能性があると感じました」

なんでも言い合える環境を

2016年9月からmumokuteki goodsで働きはじめ、ご自身の変化を語ってくれました。

「スキンケアの違いを実感しています。調子が良くなるし、カロリーや野菜を気にするようになって外食しなくなりました。少しずつスキンケアについて勉強して、お客様のお肌や乾燥の悩みを聞いているうちにもう一度お店に来てくれて、『ここの商品が良いらしいよ』と教えてくれたり、少しでも使って良かったとお聞きできるとやりがいを感じます。スタッフ同士もみんなで協力しようという空気があって」

すると横から今出さんが「彼女は口が悪いですよ〜」と一言。「でもなんでも言い合える関係のほうがいいし、そういう環境をつくろうとしています」とフォロー。

それを聞いてヒヤヒヤする西崎さんにどんな人が活躍できそうか聞いてみると「オーガニックが好きな人だけでなく、私のように何も知らなくてもちょっと興味ある人にも来てもらいたい」と語ってくれました。

美容師から料理長へ

本社ビル2階のmumokuteki_cafeは、平日昼間は界隈の会社員や子育て中のママを中心ににぎわっています。現在cafeの料理長として働く中部(なかべ)さんは、もともと地元で美容師として働いていたそうです。

「心がぽっきり折れてしまって、1年半で辞めました。喜びの部分よりも辛い部分のバランスが大きくなってしまって。美容室が厳しかったわけではなく、お客様の距離感に疲れてしまって。その後、違うお店でも働いたのですが、ダメでした」

そしてカフェで働きたいと考えて、未経験でも雇ってもらえるmumokuteki cafeを見つけてホールの仕事を選びました。

「結局人が好きで、接客をしています。お客様とは独特な距離感です。今度は遠くなったので、もう少しお客様と近くになれることができたらと思います」

入社当初は当時あった三条店の店長になり、何もできなかったと中部さんは当時を振り返ります。

「今考えると思いも薄く、人に対しても未熟でした。これまで美容室で接客はやっていたけれど深さも足りなかった。料理もできなかった。1年でお店がなくなってしまいました。先が見えず、もっと力をつけたいという思いでした。キッチンに移ってこちらの店舗に帰ってきました」

少しずつ力をつけて、昨年、社員となりました。

失敗してもチャレンジできる環境

朝はオープン前の9時から朝礼を行い、コンセプトを唱和するところからはじまります。「さらに横幅をつけるために自分たちで考えたものもある」と言ってコンセプトシートを見せてくれました。

こちらのコンセプトシートは社員だけでなく、アルバイトスタッフもいっしょに意見を出し合って考えたものなんだとか。これをつくってから、みんなが自分ごとになっていったと言います。

「やりがいは、失敗してもチャレンジさせてもらえることです。三条店がつぶれたときは地獄を味わいましたが、できることを少しずつ力をついていきました。言われたことをやるだけでの仕事ではなくて、自分たちで季節感のあるメニューを考えたり、もう少しお客様にゆっくりしてもらえるような環境を心がけています」

お店の特徴としてmumokuteki cafeはベジタリアンカフェとして定着しているけれど、そこだけにこだわっているわけではないと言います。

まだ通年は実現していないものの、farmのお米を使い、京都の地産地消の食材を使うことを目指しているそう。

愛に溢れた空間に

続いてお話を聞くのはcafeスタッフ4年目の一宮(いちみや)麻里さん。保育士として7年働いた後に、食生活へのこだわりと親和性が高いと感じたmumokuteki cafeの求人に応募したと言います。

ホールでお客様対応をするだけでなく、カウンターの中でスイーツやドリンクの仕込みなども行います。忙しい日は一度も立ち止まることがないぐらい忙しいこともあり、1日がはやいと感じているそうです。

「店長の山田さんのことをすごく尊敬しています。仕事って当たり前の業務とプラスαでする業務の2つあると思うんですが、山田さんは当たり前の業務でさえ『やってくれたんだ、ありがとう』と言ってくれて。すごく愛に溢れた人なんです。この先輩の下で働きたい、役に立ちたいと思って、自然と習うことがあって。自分も後輩にそういう態度で接することができればと思っています」

入社してちょうど1年目に同じフロア内にキッズルームができて、保育士の経験を生かして子連れのお客様が安心できる場所を心がけたいと考えているそうです。

インタビューの前半では出路さんから体育会系のような創業エピソードをお聞きしましたが、mumokutekiブランドの誕生後から働き方も徐々に見直されて、女性がのびのび働ける環境も整えられていったと感じました。

後編では京北の村に訪れ、ヒューマンフォーラムが描く未来について伺います。

後編はこちら

求人募集要項
企業名・団体名(株)ヒューマンフォーラム
募集職種①mumokuteki goods&wears 販売スタッフ

②mumokuteki café&foods (キッチン/ホール)スタッフ
雇用形態アルバイト
仕事内容①接客・販売・商品陳列・整理・ストック補充など、店舗運営全般をお任せします。店頭販売および関連業務を担当します。

②キッチンでの調理または、ホールでの接客およびスイーツやドリンクの製造・関連業務を担当します。
給与①②時給:900円~(研修期間875円)
・交通費全額支給(公共交通機関のみ)
・社員割引制度あり
・能力に応じ昇給、賞与制度あり
・各種保険完備
・社員登用制度あり
勤務地①〒604-8061
京都市中京区式部町261 ヒューマンフォーラムビル1F

②〒604-8061
京都市中京区式部町261 ヒューマンフォーラムビル2F
勤務時間①9:45~21:00 早番、遅番、フルタイムのシフト制(時短シフトもご相談ください)
②9:45~23:00 早番、遅番、フルタイムのシフト制(時短シフトもご相談ください)
休日・休暇有給休暇 月8~9日
応募資格・選考基準【いきるをつくる】食べること、着ること、使うこと、知ること、感じること、作ること。
個人の関心事をお仕事に活かし、一緒に店舗つくりをしていただける方。1人1人の大好きを形にしたい。そんな想いで皆で楽しく働いて頂ける方、大歓迎です。
人、健康、食事、雑貨、お洋服、インテリアが好きな方、
未経験の方も大歓迎です。

①販売未経験者、主婦さんも活躍中です。

②元気な笑顔で接客出来る方。調理経験のある方優遇。
選考プロセスまずは下記より応募・お問い合わせください
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(必要に応じて)二次面接

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