手軽に写真を撮れる時代に 一枚の価値を届ける『あかつき写房』

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京都のおもしろい場所を訪ねる「場を巡る」シリーズ。人が集いハブとなるような場や京都移住計画メンバーがよく立ち寄る場をご紹介する連載コラム記事です。一つの場から生まれるさまざまな物語をお届けします。

「場を巡る」第7弾は、北大路駅近くにある「あかつき写房」。10年以上前から写真事務所としてオフィスを構え、2018年からはあかつき写房としての活動をはじめました。あかつき写房として大切にしているのは、写真一枚の価値を届けるということ。写真一枚の価値を届けるとは、どういうことでしょうか?あかつき写房の本田優生さん、川島龍佳さんにお話を伺いました。

写真一枚の価値を届ける

写真一枚一枚を大切にしてほしいという願いを持って活動しているあかつき写房では、定期的にワークショップも行っています。日光写真と呼ばれる、薬品を紙や布に塗った上に葉っぱなどを置いて紫外線に当てるもの。湿板写真というガラスを加工してフィルムとして使用して撮影するものなどさまざまな写真のあり方を提案しています。

本田:写真を手軽に撮れるようになった分、たくさん撮ったうちのほとんどがスマホの中で眠ったまま。SNSにアップしておわったり、写真をプリントするひとも少なくなったりする中で、すべての写真一枚一枚に価値があるのにという思いがありました。しかし、写真一枚を大切にしてほしいというのを、いきなり写真だけで提示してもわかってもらえない。それに、いきなり写真館で撮影するとなると何万円もするので、もうちょっと身近に、かつ大切にしてもらえるようにという思いからいろいろな活動をしています。去年は中学校で特別講座として日光写真のワークショップをしたんです。生徒のみなさんと落ち葉を拾うところからはじめて、それぞれデザインを決めて制作するというものでした。とても新鮮だったようで、あたらしい写真の形だったり、ひとつの写真への思いを伝えられたりしたワークショップだったと思います。

また、去年は映画の上映会イベントを開催したそう。近所のコーヒーショップの常連さんの中に映画監督の方がいて、上映会イベントをあかつき写房のガレージで実施することに。コーヒーショップやあかつき写房のつながりの方はもちろん、通りかかった地域のひとも「何やってるの?」と入ってきてくれたそうです。

本田:40人くらいの人に来てもらって、とても楽しいイベントになりました。準備の段階で近所の方に挨拶まわりをしたんですが、みなさん快諾してくれましたし、そんなことやってる会社なのねと認知してくださって。今まではずっと外に出て撮影をしていたこともあって、何をしている会社なのか分かってもらえてなかったんですけど、イベントの準備含めて僕たちの仕事について知ってもらえたと思います。

川島:あかつき写房としての活動をはじめてからオフィスにいることも増えて、イベントを通して地域の方に「あかつき写房とはなにか」を知ってもらえたことでいろんな方とお話できるようになりました。

あかつき写房として活動する前までは、ウェディングの広告写真撮影などの仕事がほとんどで、会社には誰もいないことが多かったそう。しかし最近ではオフィスにいることが多く、地域になじめてきたと感じることが増えたそうです。まちの中にある写真屋としてできることはまだまだありそう、とわくわくしている様子でした。

京都というまちで、モノを大切にする意味

仕事で他の地域に行くと「京都は文化的なまちですよね」と言われることが多いとか。伝統的なものが生活のそばにあったり、職人さんがつくったこだわりのモノが近くに売っていたりする文化的な一面がある一方で、京都のひとは新しいモノも好きな一面があると川島さんたちは話します。

川島:大事な写真、というと撮影したものを台紙にして棚にしまうだけという人がまだまだ多い中で、僕たちはもっと多様的な写真のかたちを広めていくことで価値をあげていきたいと思っています。だからこそ京都という“あたらしいものが好きなまち”は文化的な素地があるというか、親和性が高いんじゃないかなと感じています。

本田:地域になじめてきたからこそ、京都を拠点に写真の価値を高めていきたいという思いが強くなりました。一枚を大切にしようという気持ちだけじゃなくて、京都のひとたちが当たり前にしてきた“モノを大切にする”という中に多様的な形の写真を含めてもらえるようにしたい。その拠点として、ここは本当に素敵だなとつくづく感じています。

身近になっている写真、しかし身近であるがゆえに当たり前に眠らせてしまっているものが多い写真。SNSにアップしたりプリントして飾るだけでなく、身に付けられるものにしたり、自らの手で写真というかたちをアップデートできたりすることを知りました。モノを大切にするまち、京都から、写真の価値といろいろな形がつながっていくことを願います。

あかつき写房

住所:京都市北区小山花ノ木町25
Tel:075-494-2896
営業時間:10:00〜18:00
定休日:月曜日

記事の作成に関わってくれたクリエイター

  • written & photo by
    Nana Takahashi

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