丹後半島の「生きる」を味わう交流会 地域とつながる“おいしい”コミュニティ

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京都移住計画(株式会社ツナグム)は、2014年より京都府内への移住を検討しているみなさんの伴走サポートをしています。本記事では、2019年6月5日(水)に京都市内の「ホテルアンテルーム京都」で開催された「京都食べる通信」と「京都移住コンシェルジュ」のコラボレーションイベント『生きるを味わう交流会』の様子をお届けしていきます。

みなさんは「食べる通信」という情報誌を知っていますか?

“つくる人と食べる人をつなぐ” というコンセプトのもと、全国各地で「〇〇(地名)食べる通信」として展開している食べもの付きの情報誌のことで、41地域(2019年6月時点)から発行されています。

本イベントは、そのなかでも京都府内で生産された食材を紹介している「京都食べる通信」と、京都府内各地への移住をサポートしている「京都移住コンシェルジュ」のコラボレーションによって開催されました。

イベントのテーマは 「生きるを味わう」 。私たちの暮らしと密接な「食」という切り口から、食べものが生産されている地域や人との “新たなつながりをつくりたい” という想いで、今年度から企画がはじまりました。

進行は「京都食べる通信」の向井さんと「京都移住コンシェルジュ」の藤本。

食べる通信 向井(以下、向井):僕たち「京都食べる通信」は、2ヶ月に1度 京都府内の生産者や産地情報が載った情報誌と、食材をセットにしてお届けしています。普段は、誌面やホテルカンラ京都、ホテルアンテルーム京都で提供している食事を通して地域の食や人の魅力を発信しているのですが、「もっと生産者と出会ってほしい」「現地を訪れてほしい」という想いがありました。

向井:そこで、今回は5月号の特集で取材させていただいた、京丹後市にある「丹後ジャージー牧場/ミルク工房そら」の平林 学さんをゲストにお迎えして、会社のことや地域の様子、平林さんご自身の生い立ちなどを伺っていきたいと思います。

人・もの・ことが豊かに揃う丹後半島

まずは、京都移住コンシェルジュの藤本より、丹後半島の立地や風景、地域コミュニティについての紹介がありました。

藤本:みなさんのなかには、伊根の舟屋群や日本三景として有名な天橋立、舞鶴の赤れんがパークを訪れたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

(写真提供:平林さん)

丹後半島には豊かな自然があり、海産物や品評会で特Aを取得したお米、フルーツ、日本酒など食の資源がとにかく豊富で、どれも本当においしいです。

丹後名物「ばら寿司」。

うめや本舗の「ピチピチにぎり寿司」体験。

藤本:また、地元の方やUIターンの方が地域コミュニティを盛り上げていて、食資源を活かした「丹後バル」や「キョウタンゴフルーツトレイル」といったイベントの企画を行なっています。

藤本:丹後半島には、人を巻き込むことや食を通じたイベント企画が上手な人が多いので、地域と関わってみたい方や新たなプロジェクトをつくってみたい方は一度、現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。僕たちもこれから、そんな機会をつくっていきたいと思っています!

田舎が、いつも冷蔵庫に牛乳のある実家が、とにかく嫌いでした。

トークの後半は向井さんが聞き手になり、京丹後市久美浜町にある「丹後ジャージー牧場/ミルク工房そら」で統括主任を務める平林さんのお話に移りました。

向井:小さい頃はどんなお子さんでしたか?

平林:どこから話そうかな・・小さい頃は、サッカーがすごく好きでサッカー選手を目指していました。あんまりこういう出だしはよくないかもしれませんが、何もない田舎が嫌いで(笑)。田舎が嫌いというよりも、とにかく実家が嫌いでしたね。

子どもの頃がちょうど事業拡大の時期だったこともあり、家のなかの会話がすべて仕事のことでした。両親は毎日乳牛の世話や出荷作業で忙しくしていたので、旅行に行った記憶もありません。冷蔵庫をあけるといつも牛乳があって、牛乳がなくなることはなくて・・・

とにかく自分は酪農とは真逆の方向に進みたいと思い、アパレルの会社に就職しました。

向井:どんなことがきっかけで、家業に携わろうと思ったんですか?

平林:ひとつは、祖父が乳牛をホルスタイン牛からジャージー牛に切り替えたと聞いて、素直におもしろそうだなと感じました。

ホルスタイン牛(体長170cm、体重600kg)に比べて、ジャージー牛(体長130cm、体重400kg)はひと回りほど小ぶりの乳牛なのですが、エサは同じくらい食べるにもかかわらず 採れる乳量は4分の3程度。それでも、乳脂肪の割合が5%と濃厚な牛乳が採れるので、市場での価値が高いんです。

(写真提供:平林さん)

平林:以前祖父に、なぜジャージー牛に切り替えたのかを尋ねてみたところ、「かわいかったから」という答えが返ってきた時はびっくりしましたけどね。

会場:(笑)

平林:もうひとつは、イタリアを訪れたことがきっかけです。チーズやバターなど、牛乳を加工して付加価値をつけた製品にたくさん出会いました。

それが27歳くらいの頃で、これからどうしていこうかと将来を考えていたタイミングだったこともあり、地元へのUターンを決めました。

牛乳のおいしさを、もっと多くの方に届けていくために。

向井:お仕事の今後の展望をお聞かせください。

平林:地元に戻ってから10年ほど経ちましたが、酪農業界からすると僕はまだまだ未熟です。父が代替わりのタイミングで創業した「ミルク工房そら」も15年になり、より多くの人に「牛乳」を楽しんでもらえるようにとカフェが併設されました。

(写真提供:平林さん)

僕たちは、世の中のニーズに合わせておいしい乳製品をどのようにつくっていくかを常に考えていて、そこに牛乳がもつ可能性を感じています。また、牧場の牛から絞らせてもらった大切な牛乳を、一滴一滴無駄のないように製品化することを心がけています。

もっとたくさんの方に牛乳のおいしさを届けられるよう、いい仕事をしていきたいですね。

ジャージー牛と平林さん。(写真提供:平林さん)

向井:平林さんにとって「丹後」はどういう場所ですか? また、今後どんな場所になってほしいですか?

平林:これからを語れるほど地域のことを知らない、まだわかっていない、というのが正直なところなのですが、丹後には “ヘンタイ” と呼ばれる地域愛の深い人たちがたくさんいるんです。そういった方々がコミュニティをつくっていて、地域を盛り上げる様々なイベントを開催しているので、ぜひ一度足を運んでもらえたら嬉しいです。

「ミルク工房そら」のおいしいジェラート。(写真提供:平林さん)

平林:それから、地元の子ども達に地域と関わるきっかけをつくっていきたいです。僕もそうだったので、都会に憧れることは決して悪いことではないと思うのですが、丹後という地域や、ここにある本物のおいしさを知ってから都会に出てても遅くはないと思うんです。

以前、ミルク工房そらでアルバイトをしてくれた高校生が、パティシエになるという新たな夢を見つけてくれたのは嬉しかったですね。ほかにも、長期休暇の際に里帰りをしながらアルバイトをしてくれる大学生がいて、今は社員として一緒に働いています。

地域のことはわからないけれど、まずは働いているスタッフが誇りに思ってくれる会社にしていきたいと思っています。

そして、何よりも「丹後」や「久美浜」ならではの風土、そこで生まれた牛からいただくおいしい牛乳を活かして、牛やつくり手の顔が見える “オンリーワン” の商品づくりをしていきたいです。

(写真提供:平林さん)

平林さんのお話のあとは、ミルク工房そらのチーズを使った軽食を片手に交流会! 「ミルクピス」という商品を使ったオリジナルカクテルも出され、会場は大いに盛り上がりました。

ホテルアンテルーム京都特製!そらさんのチーズを使ったお料理】

①メロンとモッツアレラチーズとミントのサラダ
②そらのとろけるチーズが入ったスライダー(ハンバーガーの小さいようなもの)
③ストリングチーズが入った生春巻き

交流会の様子。

会場には、ミルク工房そらさんのご近所で有機農業をしている「そら農園」の大場さんご夫妻が丹後から駆けつけてくれました。

たまたま「そら」という名前が同じだったこともあり、すぐに意気投合したのだとか。現在は、丹後の “ヘンタイ” たちで形成された異業種チーム「Tango Tango Tango」の一員として、地域を盛り上げているそうです!

丹後の「T」ポーズで記念写真を撮影!

最後までやわらかなトーンで語る平林さん。ご自身の経験をもとに、次世代の若者と地域の関わりについて熱く話されている様子がとても印象的でした。

丹後半島の豊かな地域資源である、人・もの・こと、そして「食」。様々な切り口から変化を受け入れていく土地の懐の深さが、丹後の地をより魅力的なものにしているような気がしました。今回のイベントで地域に興味をもった方はぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

今後のお知らせ

・8月末~9月上旬:高島屋京都店のB1F催事スペースで「ミルク工房そら」さんが出店します!
・10月5日-6日:「食」の生産者の元を訪ねるツアー@丹後を企画中!
・10月18日:丹後の食をテーマにした交流会@ホテルカンラ京都を企画中!

関連リンク

・丹後ジャージー牧場/ミルク工房そら:https://www.tango-jersey.co.jp/
・京都食べる通信:https://taberu.me/kyoto/
・京都移住コンシェルジュ:https://concierge.kyoto-iju.com/

記事の作成に関わってくれたクリエイター

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