2021.09.01

“なんかいいな”の感覚を楽しめる京都スポーツチームという、しあわせの通過点

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京都のおもしろい人を訪ねる「人を巡る」シリーズ。京都に移住した人の体験談や京都の企業で働く人をご紹介する連載コラム記事です。移住するに至った苦労や決め手、京都の企業ならではの魅力など、ひとりの「人」が語る物語をお届けします。

第21弾にご登場いただくのは、京都のバスケットボールチーム「京都ハンナリーズ」で営業をしている天神祥智(てんじんよしあき)さんです。奈良県で生まれ育ち、京都で大学生活を送りました。東京、埼玉、大阪と移動しながら仕事をしてきた天神さんは、転職を機に再び京都へ戻ってきました。スポーツチームの営業という仕事や、京都で仕事をするということや魅力についてお話を伺いました。

“なんかおもしろい” 京都。

――京都での学生生活を通して、印象に残っていることはありますか?

ぼんやりとした言葉になってしまいますが、なんかおもしろいなあ、って。いろんなジャンルが大小それぞれ揃っていると思うんです。京都は東京や大阪よりも小さい街。でもメジャーな音楽を聴けるところもあれば、インディーズを楽しめる場所もある。最新のおしゃれカフェもあれば老舗の喫茶店もある。大手の企業さんもいれば、個人のクリエイターが活躍していたりもしますよね。

様々な規模の、多種多様なお店や事業が街の中に混在していて、自分の趣味やその日の気分でそれらから選び取ることができるのが京都の魅力のひとつだと思います。

――京都に転職を機に戻ってきたきっかけは?

スポーツチームは全国にあるけれど、どこでもいいわけではなかったですね。これまで過ごしてきた中でゆかりがあった土地で仕事ができればいいなと思っていました。そんな時に偶然、京都ハンナリーズの求人があったので飛び込んだ、というのが正直なところです。

京都に帰ってきた理由のひとつでもあるんですけど、京都のカルチャーが好きなんです。特にその中でも銭湯がとても好きなんですよね。京都には銭湯がいっぱいありますし、せっかく京都に来たので大好きな銭湯といっしょに何かできないかなと思っていました。そんな時に町の銭湯に行き相談してみたところ、組合の方を紹介いただき、京都に100施設以上ある全ての銭湯へポスターを貼ってもらえることになりました。

――それもスポーツチームの営業のお仕事なんですね!

スポーツチームの仕事はすごく幅広いと思いますよ。前職では直接お客様の売上向上に直結する商材の営業をしていました。販売している商材を使うことで売上が上がることを提案し、納得いただいた方に契約を頂いていました。しかし、スポーツチームの営業商材ってパートナー企業様がお金を払ったからといって、必ずしも直接的かつ短期的に大きな利益が出るわけではないこともあります。直接的な利益だけでなく、パートナーになったことによる長期的な意義、チームの目指す世界や想いに共感いただくことで契約をいただいているので、今までやってきた営業と全然違いました。

模索しながらの仕事を楽しめる場所

――京都移住計画との出会いも、Twitterからなんですよね

そうなんですよ(笑)まず僕たちの仕事はパートナー企業様とのBtoBのお仕事がメインです。その中でも今までの先輩たちが縁をつないできた既存のパートナー企業様との商談が多いです。それにプラスで新規のパートナー企業様を獲得することでより多くの資金を集め、チームを強く大きくすることに尽力しています。

新規のお客さんを増やすためにどうすればいいか考えていたときに、ハンナリーズのTwitterをフォローしてくれている企業さんはどうだろう?と思いつきました。いろいろな方にDMをして、そのうちのひとつが移住計画です。

実は20-21シーズンに会場へ来てもらったお客さんがすごくハンナリーズを気に入ってくれて。そこからお客さんを紹介してもらえたり、試合もたくさん観に来てくれたり。僕的には最高の形で仕事としてつながったなと思いました。Twitterをフォローしている企業様の中にもハンナリーズと良い関係を築ける企業様がいるのではないかと思い連絡をさせていただきました。

――試合会場の準備もされるとか。

そうなんですよ。何もない状態の体育館を前日から準備して試合会場にしています。大きな横断幕をかけたり、コート上の必要な場所へ目印のテープをはったり、ファンクラブの受付をしたり。この仕事に就いた最初の頃は、営業がやるんですか?って思うことも結構多かったです。けれど、どうすればみんなが楽しめるかなって考えて動けるのがこの仕事のやりがいのひとつでもあります。お客さんに合わせて、こういうイベントしたら楽しいんじゃないかな?とか、こうすればパートナー企業のイメージも上がりそうだとか、考えながら提案する上で、現場で手を動かすのも楽しいです。自問自答を繰り返しながらも楽しんで仕事をしています。

みんなが楽しめる場所をつくる

――コロナ禍だからこその、スポーツの意義ってなんだと思いますか?

このようなご時世で入場制限もありましたが、たくさんの方にご来場いただきました。本当にハンナリーズのファンの方々に支えられたシーズンでした。

ハンナリーズはBリーグの1部リーグに所属していますが、まだ優勝経験もなくホームゲームで負けることもしばしばあります。もちろん負けた後なのでがっかりしてるお客様もいらっしゃいますが、「次の試合も見に来るよ!」と声をかけてくれる方も多いんですよね。もちろん勝った方が僕も嬉しいですよ。だけど、なにより来ていただいたお客様がスポーツ観戦を通してハッピーになってくれたらなと思っています。

――スポーツ観戦の可能性はまだまだ広がっていそうですね!

ハッピーになる手段がバスケットボールである必要はないと思っていて。たくさんの人が幸せになる場所をつくりたいと思っています。試合を観に来なくても、西京極の公園近くを歩いていたら、なんかやってるな?ってふらっと立ち寄れる。会場のまわりでフェスのようななにかが開催されていて、バスケットボールを好きな人じゃなくても楽しめる。スポーツを好きな人だけが楽しめる場所じゃなくて、いろんな人が楽しめる。その隣にたまたまバスケットボールがある。そしてなんとなく来てくれた人がバスケットボールの試合を観てハッピーになって、また新しいお客様を連れてきてくれる。そういう「みんなが楽しめる場所」を提供できればいいなと思っています。

――天神さんがこの仕事を通して成し遂げたいことはありますか?

僕のポリシーとして、自分に関わってくれる人はちょっとでもハッピーになってほしいと思っているんです。コロナ禍でもたくさん来てくれる人がいたことから、ハンナリーズがたくさんの人をハッピーにしているんだなと実感しました。また試合に勝つことだけがお客さんにとっての楽しさではないと改めて実感しました。もちろん人それぞれだと思いますが、それよりも会場全体の雰囲気が好きだから来たとか、アリーナで食べるご飯が美味しいから来たとか、試合のチケットをデートの口実にして来たとか(笑)いろいろなストーリーを持った方々が会場に集っている。そうして来場した方々が少しでもたくさんハッピーになってほしいですし、私の仕事がそのための力になれればいいなと思っています。

また、来てくれる方たちは何かしら興味を持って来てくれていると思います。なので、試合を観てもらうことはもちろんですが、会場で大きな音で流れる音楽が好きだとかキッチンカーのご飯が美味しいとか。アリーナへ行って、なんか楽しかったなと思ってもらいたいし、感じてもらえると思っています。そういうものがお客様が楽しむための付加価値になると思いますし、それがこの仕事の醍醐味なのかな、と。スポーツを軸としていろんなひとが楽しめる場づくりをすることで、スポーツの価値を捉え直していきたいです。

執筆:nana

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